西川ひとみが「歌仲間とおもてなし‼︎2021」コンサートを開催。憧れの岡千秋氏と夢のデュエット
「ご来場のお客様、隅から隅までずずずずず〜っと御礼奉ります。今日は本当にようこそお越しくださいました。ありがとうございます。私もこうして皆様の前で歌えることを幸せに思います。今日はもう苦しかったことの話はしません。だから、コロナのコの字も言いません。今日来てくださった方によかったと喜んで帰っていただけるように、心を込めて精一杯歌わせていただきます」
西川ひとみが6月16日、東京・大田区民ホール アプリコ大ホールにてコンサート「歌仲間とおもてなし‼︎2021」を開催し、そのパワフルな歌声と軽妙なトークでファンを魅了した。
西川は、浪曲師・松平円十郎のひとり娘として熊本に生まれ、物心ついた頃より歌に親しみ歌手を目指し上京した。1994年に「別府航路」でデビューしたが、家庭の事情により休業。その後、2005年に再デビューし、2007年には現在の「西川ひとみ」に改名、心機一転の再出発を果たした。
コンサートは美空ひばりの「人生一路」、北島三郎の「北の漁場」で威勢よくスタートを切ると、今回のコンサートの開催地であり西川も縁の深い蒲田が舞台となっている、2014年に発表した「蒲田風情」を披露した。
「私は昨年4月に新曲をいただきまして、とてもいい曲です。日本航空の推薦曲にもなって機内で流れていました。そしてこの曲は、私が一番憧れている作曲家の先生に作っていただきました。岡千秋先生です。岡先生がおっしゃいました。『西川ひとみにも春が来るようにと思って、俺はこの曲を作ったんだよ』って。でも(昨年はコロナ禍で)春は来なかったんです。だけどこれからです!頑張らせていただきます」
最新曲「玄界灘に春が来る」は、激しい女ごころを西川の持ち味でもある「唸り節」で情熱的に歌い上げた迫力ある作品だ。西川から熱烈なオファーを受けた岡千秋氏が、西川をイメージして作曲した。歌い終えたところで、西川が敬愛する岡千秋氏がサプライズゲストとしてステージへ登場。大きな拍手に包まれた。
「先生、私の夢を叶えさせてください。一番の夢は岡先生に歌を作っていただくこと。二番目の夢は、あの名曲を一緒に歌わせていただくことです!」
そう願い出ると、岡氏は快諾。1983年、岡が作曲をし都はるみとデュエットして一世を風靡した名曲で、上方落語界のカリスマ、初代・桂春団治の破天荒な生き様とそれを支えた妻・お浜との夫婦愛をモチーフにした「浪花恋しぐれ」を二人で熱唱し、西川は昨年に続きまたひとつ夢を叶えた。
ここからは、西川の歌仲間がステージを務め、いっそう観客を盛り上げた。
そしてコンサートも終盤へ差しかかり、再び西川がステージへ登場。娘と父親との絆、愛を歌った、西川自身の父との実話ともいえる「父娘うた」(2018年)、続けて母への感謝の思いを語りかけるように歌う「母恋たより」(2009年)をしっとりと聴かせた。
そして、これまでとは趣を変え、「今から歌う歌は演歌ではありません。松山千春さんの『大空と大地の中で』に挑戦させていただきます」と話すと、マイクスタンドを両手でつかみダイナミックに熱唱した。
つづけて出身地・熊本が舞台の「球磨の女(ひと)」、凍てつく冬の海峡で愛する男性への一途な想いをつばめに託す女ごころを描いた「海峡冬つばめ」(2019年)、最新曲「玄界灘に春が来る」のカップリング曲で、祭りをテーマにした明るく粋な「お祭り小町」でエンディングを迎えた。
「今日は皆さんありがとうございます!うれしいです!」
昨年のコロナ禍で苦しい思いもしたと話していた西川だが、この日は志を同じくする歌仲間とともに最後まで会場中に力強い歌声を響かせ、元気に再会を果たしたファンとの絆をより深めたコンサートとなった。
2020年4月1日発売
西川ひとみ「玄界灘に春が来る」