西川ひとみが恒例のディナーショーを開催し、作曲家・岡千秋氏からのサプライズに涙。最新曲「女郎花」で「仕事が増えました~」
西川ひとみが10月22日、東京・文京区のホテル椿山荘東京で恒例のディナーショーを開催、力強い歌声を聴かせた。ゲストの三里ゆうじ、金沢賢一、一塁あやのがステージに花を添え、西川の新曲「女郎花」の作曲家 岡千秋氏も歌を披露し、さらにはサプライズも!!
浪曲師の一人娘として熊本県八代市に生まれた西川ひとみは、1994年のデビュー(当時の芸名は西村妃都美)から様々な活動・経験を経て、2020年には作曲家の岡千秋氏と初めてタッグを組み、シングル「玄界灘に春が来る」を発売。今年5月には、通算17枚目のシングル「女郎花(おみなえし)」を発売した。同曲は30数年前、岡氏がアルバム収録曲として発表し、根強く人気だった作品。西川の新境地としてカバーした。
岡宏&クリアトーンズ・オーケストラの演奏により、「玄界灘に春が来る」から披露した西川は、続いて新曲「女郎花」を披露すると、ファンとの再会を喜びながら会話を楽しんだ。
「いろいろ話したいことがありましたが、忘れました。とにかく歌います」と話す西川は、「父娘のうた」、「海峡冬つばめ」「絶唱・・・北岬」へと歌い継ぐ。
歌手になりたいと家出をした経験を持つ西川は、「売れるまで故郷には帰らない」と決意していたという。「父娘のうた」はそんな西川と父との物語をモチーフにした作品だった。また「絶唱・・・北岬」は2021に発売された岡千秋氏との2作目のタッグ作品で、夫を亡くしながらも子供たちに支えて生きる女性を描いた作品。セリフ入りの楽曲で、最後はステージに倒れ込む切ない演出で表現した。
ゲストコーナーを挟み、着物から白のドレス姿に着替えた西川は、沢田研二の「勝手にしやがれ」をスタンドマイクで披露すると、客席ラウンドを通じてファンと身近に触れ合う。
この客席ラウンドでは「寄り添い花」「母恋たより」「蒲田風情」などを歌唱。愛してはいけない人への恋心・未練を雨にたとえた「ゆうずけ雨情」では、相合い傘でファンと寄り添いながら歌声を聴かせた。
そして再びステージに戻ると、国民的ソング「天城越え」を熱唱。演歌だけではなく、様々なジャンルの作品を歌う西川ならではのロックアレンジでの披露だった。
西川の歌声を聴いていた岡千秋氏は、「ひとみちゃんらしい。個性があっていい」とエールを送った。西川はその言葉に感謝しつつ、「先生にも歌ってほしい」とおねだりする。
岡氏は2015年に千花有黄の再デビュー10周年記念シングルとして手がけた、昭和の香りと異国情緒なメロディが響く「名前はリラ・・・」を歌うと、ここでサプライズ。突然、「一緒に『女郎花』を歌おう」と西川に提案したのだ。
まったくの予定外。驚く西川だったが、岡氏と同じステージで一緒に歌えたことに感動し、曲終わりでは涙する場面もみせた。
ディナーショーの終盤は浪曲から唸った。
西川の亡き父は浪曲師 松平円十郎。父に連れられ、3歳の頃からお寺の境内や老人ホーム、介護施設などで『岸壁の母』を歌っていた。「浪曲師 西川ひとみ」としてステージに登場すると、岡千秋氏のヒット曲「包丁一代」の世界を節と啖呵で披露した。
浪曲師から演歌歌手へと戻った西川は、「容姿が似ていると言われることがある」と、三沢あけみの「島のブルース」を届けると、新曲「女郎花」のカップリング曲「ふるさとの・・・星」の紹介に入る。
「今回、『女郎花』という宝物をいただきましたが、そのカップリングがものすごく評判がよくて。私は毎朝、欠かさずやっていることがあります。母も父も亡くなりました。一人っ子なので一人ぼっちになりました。だけど、毎日、母の写真、それと岡千秋先生の写真、そして私がこよなく愛している大谷翔平先生の写真にお願いしています。今日もお願いしました。ディナーショーがんばってくるよ。無事に終わりますように。そしてたくさ~ん、ご祝儀がもらえますように~!」
口上で観客を沸かせると、西川は「ふるさとの・・・星」をやさしい声で届ける。故郷の夜空に光る星に亡き母を思う作品。一人っ子ゆえ、母の介護に歌手活動を中断していたこともある西川だけに、母への思いがひしひしと伝わってきた。
ラストは「女郎花」だった。女郎花(オミナエシ)とは山上憶良によって万葉集で読まれた秋の七草のひとつ。“女郎”という文字には遊女がイメージされるが、本来は貴族の令嬢や令夫人を称する敬語だったようだ。黄色い花を咲かせるオミナエシには、女性らしさがたとえられる。
西川の新曲「女郎花」は、三重県の伊勢志摩国立公園内に位置するハートの形をした小さな渡鹿野島を舞台にした一夜限りの恋の物語となっている。同島は大自然が満喫でき、「オノコロハートアイランド―日本最古の恋人島・わたかのじま」として、恋人の聖地に認定されているが、かつては遊郭街として栄えた歴史がある。
オリジナル歌手は岡千秋氏。アルバム収録曲の人気作品で、西川もイベントやキャンペーンなどで歌って来たが、今回、伊戸のりお氏によるアレンジで新たな作品として誕生した。
「この作品のおかげで仕事が増えました~」
あまり多くは語らずに、この日、3度目となる「女郎花」を聴かせた西川は、アンコールに「お祭り小町」と「祭り列島ひとり旅」の2曲を選曲。この日の出演者全員に、観客の飛び入りも加わり、最後は陽気に盛り上がった。
2023年5月24日発売
西川ひとみ「女郎花」
三里ゆうじ、金沢賢一、一塁あやのが西川ひとみと共演
「2023 西川ひとみディナーショー」では三里ゆうじ、金沢賢一、一塁あや乃がゲストとして登場し、歌声を聴かせた。
まず、テレビ番組『西川ひとみと三里ゆうじの歌日和』で西川ひとみと共演する三里ゆうじは、今年3月にリリースした新曲「夕時雨」とそのカップリング曲「哀しいピエロ」を披露。「夕時雨」はしっとりとした演歌となっている。三里は小林旭の「ごめんね」、ニック・ニューサの「サチコ」などもカバーして聴かせた。
トレードマークのハットを被って登場したのは、金沢賢一。父親が日本人、母親が韓国人という出自を持つ金沢は、日本での生活がまもなく丸40年になるという。日韓の架け橋になりたいと、今年4月にリリースした新曲「愛の架け橋」とそのカップリング曲「故郷の風になれ」のほか、韓国出身のチョー・ヨンピルと羅勲児(ナフナ)の作品をカバーした。
憧れの歌手 西川ひとみの付き人でもある一塁あや乃は、2019年のデビュー曲「夜明けのバス」とそのカップリング曲の「泪女(なきむし)みれん花」、西川の作品から「野菊いちりん・・・」などを歌唱した。「夜明けのバス」は約束を交わした男のもとに、不安を募らせつつも夜行バスに乗って訪ねてゆく女性の心情を描いた作品となっている。