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西川ひとみ

【インタビュー】西川ひとみの新曲「霧島連山 風が哭く」は、燃え盛る情念を壮大なスケールで描く愛の極致!

昨年は後輩歌手・一塁あや乃とのデュエット曲「似たものどうし」で新たな世界を体験した西川ひとみ。今年はがらりと雰囲気を変え、情念演歌「霧島連山 風が哭く」に挑戦した。近年の彼女を支える演歌界のヒットメーカー 岡千秋氏が作曲を手がけた壮大な一曲に、西川はどのように向き合ったのか。制作秘話からプライベートな(?)野望まで語ってもらった。

西川ひとみ

令和の「天城越え」を作ろう。作曲家・岡千秋氏からの挑戦状?

「霧島連山 風が哭く」は作詞・円香乃、作曲・岡千秋、編曲・伊戸のりお。この盤石の布陣が九州・霧島連山の雄大な自然を舞台に、一人の女性の壮絶な愛を描き出す。

岡氏が紡ぐメロディは、一度聴けば心に刻まれる力強さと、日本人の心の奥底に響くような切なさを併せ持ち、伊戸氏による編曲は、霧島連山の荒々しくも美しい情景と、主人公の燃え盛る感情を壮大なスケールで表現する。

そして、円氏の歌詞が凄絶だ。「からくに岳」「高千穂」「新燃岳」と、実在の山々を巡りながら逢いたい人を探す旅路は、さながら愛の巡礼のようである。

――昨年の明るいデュエットから一転、すごい曲が出来上がりましたね。

西川 そうなんです。制作の始まりは、まず岡先生から「風が哭(な)く」というテーマをいただいて、そこに事務所の社長が「霧島連山」を付けよう、と。そうやって先に「霧島連山 風が哭く」というタイトルが決まったんです。

――タイトルが最初だったのですね。

西川 はい。そして岡先生が、「よし、今度の歌は『天城越え』の現代版を作ろう!」と宣言されて。円(まどか)先生も、「西川さんには情熱的な女の歌を歌わせたい」という思いを持ってくださって、あの強烈な歌詞が出来上がりました。

西川ひとみ

――「天城越え」に勝るとも劣らない情念の世界です。

西川 詞の内容は本当に情念そのものですよね。ただ、岡先生が歌っておられるデモ音源が届いたら、全然「天城越え」ではなかったんです(笑)。先生が男性だから声が力強いですし、すごく独特なメロディで、「この歌、私に歌えるのかな?」って、最初は正直不安になりました。

――その不安を乗り越えて、素晴らしい作品になったわけですね。

西川 伊戸先生が、モンゴル草原のような雄大なイメージでアレンジしてくださったんです。これには私も感心しました。というのも、歌詞の舞台である霧島連山は何度も行っていますが、あの壮大な雰囲気はどこかモンゴルの景色と似ているんですよ。だから、このアレンジを聴いた時に「なるほど!」って。伊戸先生の感性は本当にすごいなと思いました。

――アレンジはまるで映画音楽のようです。

西川 イントロでは風が哭く音が入り、演奏にも中国の楽器を使ったとおっしゃっていました。モンゴルの雄大な自然を感じられる楽器だそうで、伊戸先生は独自に“モンゴルフルート”って呼んでおられました。

――歌詞には韓国(からくに)岳や高千穂峰、白鳥山、新燃岳などの登山やハイキングでも有名な山々が登場します。霧島連山は西川さんにとっても馴染み深い場所ですか?

西川 ええ、私は熊本の生まれですが、遠足だったり、仕事だったりで何度も行っています。九州の人間にとって霧島連山といえば一番の山ですから、すごく身近な存在です。円先生がよく知られた山々をすべて歌詞の中に入れてくださったのがうれしいですね。ただ、今ちょうど新燃岳が噴火していまして・・・。地元の知人から「今度の歌、大丈夫?」なんて心配の電話もいただきました(苦笑)。火山灰がすごくて地元の皆さんは大変だと聞いて、私も心を痛めています。

――偶然にも、歌の舞台が今まさに大変な状況にあるというのは、何とも言えない気持ちになりますね。

西川 本当にそうですね。この歌に「命引きずり 逢いに来た」とあるように、逢いたくても逢えない、行きたくても行けないというもどかしさが、今の霧島の状況と重なって、より一層切実な歌になったように感じます。だからこそ、まずはこの歌の世界で霧島連山の雄大な景色やドラマを旅してもらって、いつか噴火が落ち着いたら、ぜひたくさんの方に足を運んでほしいですね。この歌を聴きながら現地の景色を見たら、きっと何倍も心に響くと思います。私もそのお手伝いができればうれしいです。

西川ひとみ

岡千秋先生からの衝撃のダメ出し!? 「お前、経験ないだろ!」

――レコーディングに向けての岡先生のレッスンはいかがでしたか?

西川 この歌を歌う時は、これまでのこぶしコロコロの演歌とは違って、とにかく響きを大事に、言葉をはっきり立てて歌うように指導されました。2番の「ひと夜抱かれたら もうひと夜 ただ狂おしく 咲き乱れ」という歌詞のところでは、先生から「お前、何にもこういう経験ないんだな」って言われちゃって(笑)。「その通りです!」って答えたら、「よし、俺が教えてやる!」って(笑)。「結構です」ってお断りしました(笑)。

――岡先生の熱血指導ですね(笑)。

西川 岡先生がおっしゃったのは色気なんですね。ただ、あまり色っぽく歌うと嫌らしくなるかなと思って、結果的にはサラッと歌っています。カラオケで歌われる皆さんはどんどん色気を出してください!

――発声についても指導があったと伺いました。

西川 岡先生からはいつも「100%で歌うな。100%で歌ったら、その歌は届かないんだ」って言われるんです。今までは「行け! 出せ!」って感じで、力いっぱい歌うことが多かったんですけど、そうじゃないと。大事なのは、声を「響かせる」ことなんだって。

――響かせる、ですか。

西川 以前、歌手仲間の山口ひろみさんに薦められて、「力抜きのレッスン」に通っていたことがあるんですが、そこではでんぐり返しをしたり、馬鹿になったつもりで「あ゛〜」って声を出したり(笑)。最初は「これ、宗教じゃないの?」って疑いましたけど(苦笑)、本当に力を抜くと声が出ることを体感しました。岡先生がおっしゃっているのも抑えるところは抑えて声を響かせないと伝わらないよ、ということなんです。今回の新曲「霧島連山 風が哭く」と岡先生の指導のおかげで、また一枚、皮がむけた感じです。

西川ひとみ

目標はロス移住!? 大谷翔平選手への愛が止まらない!

――この情熱的な歌を歌う西川さんの、今の情熱の源泉は?

西川 それはもう、大谷翔平選手です! 結婚すると聞いた時はショックで熱が出ましたから。仕事に行っても声は出ないし、歌は上ずるし…。真美子さん(奥様)が出てきてからは、もう大変でした(笑)。大谷選手のお母様とはお話しさせていただいたことがあるんですが、あの時にもっとアピールしておけば良かった(笑)。

――すごい熱量ですね(笑)。

西川 だから、来年は1年間、歌手活動をお休みしようと思ってるんです。

――どういうことですか!?

西川 (所属するドジャーズの本拠地)ロサンゼルスに行きたいんです。大谷選手のそばに。それくらいのファンで、シーズン中ずっと見ていたいんです。

――レコード会社や所属事務所が許してくれますか?

西川 今、交渉中です! 彼がバッターボックスに立つ姿って、私がマイクを持ってステージに立つのと同じ。真剣勝負でしょう? その気迫を近くで感じたくて。

――すごい計画ですね!

西川 本気ですよ! だから、その分、今年はこのCDをたくさん売って、会社を説得しないと! 周りが異常というぐらい、私はキャンペーンをやります。今年も体を壊すくらい頑張ります。でも、そうやって全国の皆さんと触れ合えるのが、私にとって一番の宝物です。

――では、今年の西川さんは例年にも増して大忙しですね!

西川 はい! まずは8月11日に都内で新曲発表会をやらせていただいて、そこから全国を回ります。9月には九州にも行きます。皆さん、ぜひ会いに来てください! そして、私がロスに行けるように応援してください!(笑)

 

西川ひとみ

「おんな恋挽歌」― 静かな哀愁、セリフに滲む恋の終わり

カップリング曲「おんな恋挽歌」は過ぎ去った恋の情景を優しく、そして切なく彩る作品。しっとりとしたメロディに乗せて歌われている。

「こちらは作詞の三里こうじ先生と、作曲の作山健先生の作品です。作山先生はご自身で音楽事務所をされていて、カラオケ大会も主催されているのですが、毎回、大会にゲストとして呼んでいただくので、いつもステージで『先生の作品を歌いたいです!』って宣言していたんです。それが今回、こうして実現して本当にうれしいですね。

この歌の一番の聴かせどころは、『さようなら… お別れね』という部分だと思うんですけれど、実はこれ、私からの提案でセリフにさせていただきました。作山先生からいただいたデモ音源では、ここはメロディに乗せて『さよなら〜〜』と歌われていたんですが、これをセリフにした方が、より聴く人の心に気持ちが届くのではないかと思ったんです。

感情的に歌い上げるよりも、ポツリとつぶやくように言うことで、かえって切ない余韻が残るんじゃないかなって。私なりの解釈で挑戦させていただきました。まさに昭和の残り香が漂う、じっくりと聴かせる一曲なので、こちらもぜひカラオケで挑戦してみてください」(西川ひとみ)

 


2025年8月6日発売
西川ひとみ「霧島連山 風が哭く」
西川ひとみ

「霧島連山 風が哭く」
作詞/円 香乃 作曲/岡 千秋 編曲/伊戸のりお
c/w「おんな恋挽歌」
作詞/三里こうじ 作曲/作山 健 編曲/伊戸のりお
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91641 ¥1,500(税込)

【Amazon】西川ひとみ「霧島連山 風が哭く」

 


西川ひとみ

profile
西川ひとみ
9月14日、熊本県八代市生まれ。浪曲師・松平円十郎の一人娘として生まれ、物心ついた頃から歌の素養を育む。歌手を志して上京し、1994年2月に「別府航路」(芸名:西村妃都美)でデビュー。1998年に4枚目のシングルをリリースするが、その後、母の介護のため一時歌手活動を中断する。しかし、歌への情熱は絶えることなく、2005年に再デビュー。2007年6月には、心機一転「西川ひとみ」へと改名し、本格的に再出発を果たした。2017年には現在の徳間ジャパンコミュニケーションズへ移籍。
演歌の心髄を突く確かな歌唱力と表現力には定評があり、情熱的な王道演歌から、聴く人を笑顔にするポップなデュエット曲まで、幅広い楽曲を歌いこなす。2020年にはヒットメーカー・岡千秋氏と初めてタッグを組んだシングル「玄界灘に春が来る」をリリース。近年は“岡千秋メロディ”の歌い手として、新たな魅力を開花。温かく気さくな人柄でファンから愛されいる。

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