“艶っぽいファルセットの歌姫”野中さおりからの応援歌

2月3日発売の「陽だまり坂」は、明るく澄みきった野中さおりの歌声が“あなたの背中をそっと押す応援歌”。人生を長い坂道にたとえて、“励ましあって歩きましょう”と呼びかける内容は、先の見えない今だからこそ歌いたかったのだという。前作の購入者応募イベントで決定した古賀あゆみさんとの、初めてとは思えないほど息の合ったデュエット曲「デュオ女友達」誕生のエピソードなども朗らかに話してくれた。

 

「こんな時だからこそ笑顔で、お互いに励ましあえるような歌を歌いたいですね」

 

――節分の日に新曲のリリースですね。おめでとうございます!

野中 ありがとうございます。私は1989年の8月デビューで、新曲の発売はこれまでいつも暑い時なんです。ちょっと遅れても9月頃が多かったので、寒い時期のリリースは初めてなんですよ。MV(ミュージックビデオ)やジャケットの撮影が寒い時期なのも初めてで、すべてが初めてづくしでしたね(笑)。自宅待機期間に自分でYouTubeを撮影してアップしていたんですけれど、それも初めての体験でした。たいしたことはできないし、一番苦手な分野なのでどうしようって思いましたが、私の過去の代表曲を、エピソードを話しながらマイクなしの生の歌声でお届けしたところ、ファンの皆さんにとても喜んでいただけました。着物ではない姿で歌うこととか、普段のおしゃべりの雰囲気なども知っていただけたので良かったなと思っています。

 

――新曲「陽だまり坂」を初めて聴かれた時は、いかがでしたか。

野中 昨年、今回の新曲の話が出た時に、「今は恋や愛の歌よりも、大変な状況の中でも頑張っている皆さんの気持ちを応援するような、一緒に頑張りましょうって寄り添えるような歌を歌いたいです」と、私から先生方にお話をさせていただいたんですね。この曲はそうして作っていただいた曲なんです。3番の歌詞に「雨が降るから 虹が出る」とありますが、この歌詞を手にする2日前の早朝、すごく大きな虹を見たんですよ。ブログやTwitterにアップしたら、「早朝の虹ってめずらしいですね」というコメントがついて。その後でいただいた歌詞だったので、なんとなく胸にグッと来るものがありました。いままで歌手として32年間歩んで来た道とも重なり合って、私自身も頑張らなくちゃいけないなっていう思いがすごく強かった年でしたしね。

 

――万城先生も徳久先生も、野中さんの思いをしっかりと曲に込めて作ってくださったのですね。

野中 万城先生にはこれまでに、「雪国恋人形」や前作の「夏雪草」も作っていただきましたし、徳久先生には13年間ずっと続けて曲をいただいています。万城先生との出会いは、私がまだ13歳の頃。地元の栃木のカラオケ大会に審査員として先生がいらしていたんです。惜しくも優勝を逃した私に、「今日は残念だったけど、歌手になれるといいね。東京で待っているからね」と声をかけてくださった、その言葉がすごくうれしくて……。万城先生も、ステージ袖で母親と二人で立っていた私の姿が印象的でずっと覚えていてくださったそうです。そんな先生自身の思いや、いろいろな意味を込めながら書いてくださった歌詞。先生の気持ちも読み取れて、余計にグッと来たのだと思います。

 

――“陽だまり”という言葉は、激しくはないけれど、穏やかで寄り添うような暖かさを感じさせます。恋愛だけではなく、究極の愛の歌でしょうか。

野中 そうですね。思いやりや愛情があるからこそ“一緒に歩みましょう”と言えるので、“好きです”とか“愛してます”という言葉がなくても、ちゃんと愛が見える。胸がほんわかと温まる感じがして、“そうそう、私が言いたかったこと、歌いたかったことはこれなのよ”って思いました。最初は「よいしょ よいしょ」と2回の繰り返しだった歌詞も、徳久先生がメロディーをつけながら「もうひと押し!」って3回にしてくださったら、よりキャッチーになりました。私自身が歌っていて元気や励みをもらえる歌なので、聴いてくださる方にも元気や勇気や希望を、少しでも感じてもらえるような歌にしたいなと思っています。

 

「今年は、私にとって“333”のスペシャルな年なんです」

 

――カップリングの「デュオ女友達」は、めずらしい女性同士のデュエットですね。どのような経緯で生まれたデュオなのですか?

野中 去年、「夏雪草」の購入者応募イベントで、新曲のカップリングの“デュエット相手オーディション”を開催したんです。そこで優勝したのが、佐賀県の古賀あゆみさん。年齢、性別、プロアマ問わずの大会だったので、お相手は女性と決まっていたわけではありませんでした。全体的に見て「雪国恋人形」を歌う男性が多かったかな。決勝大会に進んだ17名は、どなたがお相手でも全然OKと言えるくらい、レベルが高い方ばかりでした。優勝した古賀あゆみさんは、聴いていただけばわかるんですけど、私と声質がすごく似ているんです。一緒に歌っていても違和感がなくて、パート分けを見ないで聴いたら、私がひとりで歌っているのかなって思われそうなくらいですよ(笑)。

 

――古賀さんにとっては、初めてのレコーディングだったんですか? 初デュエットとは思えないくらい、息の合った歌唱ですね!

野中 初めての経験だったようですが、緊張をまったく感じさせないくらい、本当によく頑張ってくださったんですよ。オケ録りをして、2時間後にはもう歌を入れなければならなくて。私も初めてだったことに、歌入れは別のスタジオに車で移動して行われたんです。あゆみさんが緊張しないよう、レコーディング中も移動中も、先生方がいつも場を和ませてくださいました。お昼を食べる時間がなかったので、徳久先生が「俺がちょっと買ってくる」って、パンを買いに走ってくださったり。デュエットと言っても、ソーシャルディスタンスを保つために別々のブースで歌いました。でもちゃんと目を合わせられる位置で、アイコンタクトを取りながらでしたね。あゆみさんは音が鳴った瞬間、普段カラオケで聴いている音とは圧も雰囲気も全然違うので「はぁ、すごぉい」って、心の声がダダ漏れになっていました(笑)。

 

――「陽だまり坂」と「デュオ女友達」をうまく歌うコツがあれば教えてください。

野中 「陽だまり坂」は力を入れて頑張って歌ってしまいがちな歌なんですけども、とにかく力を抜きながら、笑顔で歌っていただくのが一番です。「よいしょ よいしょ よいしょ」のタイミングがズレると、全体的にズレて聴こえてしまうので、かけ声の「よいしょ」のリズムはしっかりと合わせて歌ってくださいね。最後の「陽だまり坂を」のところは、大きく歌い上げずに少し抑えていただくと、歌詞の内容が伝わってくるのかなと思います。「デュオ女友達」は、今までありそうでなかった女性同士のデュエット。重たくならずに、ちょっと相談するような感じでね。カラオケに遊びに行った時なんかでも、女性同士のほうが歌のお相手が見つかりやすいし、たまには女友だちとデュエットするのも楽しいですよね!

 

――世の中はまだまだ落ち着く様子がありませんが、2021年はどんな年にしたいですか?

野中 今年は私は歌手デビュー33年目、そして令和3年なので、“333”! これはスペシャルなので、本当は一昨年の夏くらいから、3月3日の3時スタートでコンサートでもと考えていたんです。が、今のこの状況では何も決められなくなってしまいましたね。2月3日の発売記念イベントはかないませんが、世の中が落ち着きを取り戻すことを願って、秋あたりには皆さんに喜んでいただける何かができたらいいなと思っています。

 

(文=夏見幸恵)


 

〜レコーディングを終えて〜
古賀あゆみさんより感動と感謝のメッセージをいただきました!

「さおりさんと一緒に歌いたい!!」。その一心で応募したオーディション。まさかグランプリをいただけるなんて本当に信じられない気持ちでいっぱいで、うれしくてうれしくてたまりませんでした。
さおりさんとはご縁を感じています。私が12歳の時、「度胸人生」(1990年)の全国大会、14歳の時には「火振り酒」(1992年)の全国大会にも出場させていただきました。その当時からさおりさんはとっても素敵で、私にとって憧れの存在でした。そんなさおりさんとデュエットさせていただけるなんて、本当に夢のようです。すばらしい機会を与えていただいたことに心から感謝しています。
レコーディングでは、初めて尽くしの経験ばかりで大変貴重な勉強をさせていただきました。歌の録音の時には「ちゃんと歌えるかな」という緊張がピークに達しました。それと同時に、さおりさんと一緒に歌わせていただける喜びで胸が震えました。
立ち会ってくださった先生方をはじめ、さおりさん、ディレクターさんなど皆さんがとても温かく接してくださったおかげで、本番は楽しく歌わせていただくことができました。録音が終わり歌声を聴かせていただいた時には、感激であふれる涙を止めることができませんでした。
さおりさんの歌声のすばらしさ、温かいお人柄、優しさに触れ、ますますさおりさんのファンになりました。
今回は夢のような経験をさせていただき、本当に本当にありがとうございました。この経験を糧に、これからも大好きな歌を歌い続けていきたいと思います。


2021年2月3日発売
野中さおり「陽だまり坂」

「陽だまり坂」 
作詞/万城たかし 作曲/徳久広司 編曲/南郷達也  
「デュオ女友達」 
作詞/万城たかし 作曲/徳久広司 編曲/南郷達也 
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91319  ¥1,227+税

 
「陽だまり坂」は万城たかし(作詞)、徳久広司(作曲)の両氏が、野中のドラマチックな世界観を余すところなく盛り込んだ王道演歌作品。“よいしょ よいしょ よいしょと歩きましょう”というキャッチーなフレーズが印象的な人生の応援歌が出来あがった。カップリングの「デュオ女友達」は、前作「夏雪草」購入者応募イベント“デュエット相手オーディション”でグランプリを獲得した古賀あゆみさん(佐賀県在住)とのデュエット曲。


Profile
野中さおり(のなか・さおり)
12月11日、栃木県宇都宮市生まれ。中学生で「スターは君だ!ヤング歌謡大賞」第14回チャンピオンなり、1989年「やらんかい」でデビュー。1994年リリースの「雪国恋人形」がカラオケファンの絶大な支持を得て15万枚を超える大ヒットとなる。1991年に日本・スペイン友好親善「セビリア・フィエスタ」、2000年に北京・紫禁城での「世界遺産を守ろうコンサート」、2001年「第一回北京歌謡祭」に参加など海外でも活動。2006年「郡上恋唄」で演歌チャート1位を獲得した。ナチュラルで艶やかな“ファルセットの歌姫”。趣味はアロマテラピー、特技は日本舞踊。
 

記事の感想を送る