
芸能活動40周年を飾る、伍代夏子の壮大な作品「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」
「声が出にくくなる」という喉の病気と闘っている伍代夏子がデビュー記念日となる7月21日、壮大な物語となる作品「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」を発表した。同作品は昨年リリースした、詩情あふれる純愛物語「雪中相合傘」を長編物語として生まれ変わらせたものだ。誕生のきっかけは伍代に届いた一枚のハガキだった。
イメージがたくさん広がる
■7月21日に芸能活動40周年を迎えられました。喉のジストニア(けいれん性発生障害)の治療を続けながら大きな節目を迎えることになりましたが、今の思いをお聞かせください。
伍代夏子 40年ってすごい年月ですよね・・・、でも不思議なことに長かったとは思わないです。とにかく演歌歌手になりたくて、憧れの先輩方に少しでも近づきたい一心で頑張ってきました。「頑張ったね!」(※)と自分に言ってあげたいです(笑)。
喉のジストニアになってしまった時は、自分でも信じられなくて、「まさか自分が・・・」という思いで、なかなか受け入れることができませんでしたが、この病気と向き合うことでこれまで気づかなかったことに気づくことができたりもしましたし、自分自身を見つめ直す機会が持てたと思います。
今もまだ体調の良し悪しも自分ではコントロールが効かず、仕事面ではまだまだ不安が残りますが、その時々のコンディションと向き合いながら無理なく自分のペースで頑張っていきたいと思っています。
※2015年に刊行された、伍代夏子自叙伝「『人生めぐり愛』~今がいちばん幸せ」(KKベストセラーズ)には、下積み時代の苦労などが詳しく書かれている。この自叙伝を読むと、その思いがよくわかる。電子書籍としても読める。
■「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」は壮大な物語になっています。長編大作を作ることになった経緯や、長編大作に取り組んだ思いは?
伍代夏子 新しい曲作りの話も出ていたのですが、私の中には、コロナ禍により昨年1月にリリースした「雪中相合傘」を披露する機会が減ってしまったことと、デビュー当時からお世話になっているレコード店の方から「良い曲なのにプロモーションができなくて残念だね」という一枚のハガキが届いていたことがずっと心に引っかかっていました。
それで担当のプロデューサーやディレクターに相談したところ、バージョンを変えて新しい作品を作りましょうということになりました。
いざ制作するとなったら自分の中でイメージがたくさん広がったので、それを具現化してもらうべく脚本家の先生と何度もやりとりをさせていただき、納得のいく作品ができ上がりました。
■「雪中相合傘」は作詞の池田充男先生と作曲の弦哲也先生によるタッグで完成した、奥深い情愛の世界を描いた作品でした。
伍代夏子 もともと曲の世界に入り込める歌が好きなのですが、「雪中相合傘」は小説や映画のワンシーンを切り取ったような詩を・・・と私からお願いして作っていただいた作品でした。歌詞を読みながら、その前後の物語を想像し、創造するという、私にとってとても深く、そして楽しく入り込めた作品です。
■「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」を製作する過程での苦労などはありましたか?
伍代夏子 時代背景やこの男性はいったいどうして追われているのか? どこを負傷しているのか? どうして二人は逃げなくてはいけないのか? どこまで言葉にして、あるいは言葉にはせずに聞き手に読み取ってもらうか・・・など、相当時間をかけて何度も談義を重ねました。雪の深さや吹雪(乱吹)の強さ、二人の心情や現状を表現するために、効果音やSE(サウンドエフェクト)にもこだわりました。
■「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」のレコーディングはいかがでしたか?
伍代夏子 良いものを作りたい思いがあっても、喉の筋肉が応えられるかなという不安を抱えながらのレコーディングでした。歌もセリフ部分も何度も何度もテイクを重ね、今の自分の中では納得のいく作品に仕上げることができました。
■完成した作品についての達成感はいかがですか?
伍代夏子 私にとって新しい挑戦でしたが、表現したかったものができ上がり、満足度は100%です! 11分38秒という長編作品で1曲通しての物語となっていますので、ぜひ全編ノーカットでお聴きいただきたいです。
常に100パーセントの力を
■ 物語を感じるジャケット写真となっています。どのように撮影されましたか?
伍代夏子 今回のCDジャケットは小説本の表紙のようなデザインにしようと話し合い、これまでの歌手・伍代夏子のジャケットではなく、この物語の主演女優・伍代夏子をイメージしてデザインをお願いしました。
撮影は長時間、雪の上に横たわって撮影されました。本物の雪ではなく、スノーパウダー(人工雪)なんですけどね^^
最初に私が横たわって、あとからスタッフ総出で私の周りにきれいに雪を敷き詰めてくれました。私はただ横たわっていているだけで、いつものようにポーズを変えるわけではなかったのですが、ずっと横になって動けずにいたので途中で眠くなってしまいました(笑)。
■発売日に公開となったミュージックビデオ(MV)も素敵ですね。
伍代夏子 MVはなんと今回、初めて自分でコンテを作ってプロデューサーに提案しに行きました。レコーディングが終わって、この曲ができ上がった時に自分の中で作りたい映像が具体的に頭に浮かんだので、ぜひやらせていただきたいなと思いました。私のイメージを映像スタッフの方々が具現化してくださり、とっても素敵なMVが完成しました。
「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」は私の喉の調子をみながら、これまでよりも時間をかけての制作だったので、録音も、撮影も急ピッチで進めなくてはいけない状況にもなったりしましたが、それに応えてくれたスタッフの方々に感謝しています。
■「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」のCDには、同作品のカラオケ音源が収録されています。長編作品で科白もありますが、歌唱アドバイスをいただけますか?
伍代夏子 劇中の歌以外の部分は「セリフ」というよりも「朗読」のイメージに近いのかなと思います。物語を少し俯瞰から見ると、冷静にセリフが言えます。そのぶん歌は情熱的に(!)お願いします。
■「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」は、まるで大河ドラマの最終回のような長編大作ですが、「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」を生で演じられる伍代さんを見たい、という欲望が抑えられません。
伍代夏子 このバージョンは音楽と映像がセットで完成だと思っていますので、長編ですがどこもカットできないし、テレビで演じることはなかなかできないのではないでしょうか。もちろんいつかステージで演じてみたいとは思っています。もしやるとすれば、ステージに映像を流しながらの歌唱かなぁ・・・。これから構想を練ってみますので、ぜひ楽しみにしていてください。
■40周年を迎えられ、新たな試みにも期待しています。
伍代夏子 60歳で40周年なので、60と40を足した数字の「100」にこだわります! 舞台やステージはもちろん、どんな活動にも常に100パーセントの力で、より精力的に活動していきたいです。今はアルバムの制作も企画中です。
■最後にオトカゼの読者にメッセージをいただけますか?
伍代夏子 いつも応援していただきありがとうございます。今作は11分38秒の長尺で、ラジオドラマのような世界を作り上げました。物語の世界に引き込まれて、そんなに長くは感じないと思います(笑)。聴いていただくのはもちろん、カラオケでもこの物語の主人公になりきって演じ、歌いきっていただければと思います。ぜひお楽しみください。
みなさまに素敵な音楽をお届けしていけるよう頑張りますので、これからも応援のほどよろしくお願い致します。

「いつも応援していただきありがとうございます」とオトカゼ読者にメッセージをくれた伍代夏子さん。写真は「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」の科白部分の収録に臨んだ時のもの。
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伍代夏子の❝健康❞幸せレシピ
○
2021年7月21日発売
乱吹の中に咲いた、ひとつの命の傘・・・
伍代夏子「歌謡劇 雪中相合傘-科白編-」
CD

「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」
原作/池田充男 脚本/杉崎智介 音楽/飯田俊明 主演/伍代夏子
劇中歌「雪中相合傘」 作詞/池田充男 作曲/弦哲也 編曲/飯田俊明 歌/伍代夏子
c/w「雪中相合傘」
作詞/池田充男 作曲/弦哲也 編曲/南郷達也
ソニー・ミュージックダイレクト MHCL-2910 ¥1,300(税込)
カセット

「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」
原作/池田充男 脚本/杉崎智介 音楽/飯田俊明 主演/伍代夏子
劇中歌「雪中相合傘」 作詞/池田充男 作曲/弦哲也 編曲/飯田俊明 歌/伍代夏子
c/w「雪中相合傘」
作詞/池田充男 作曲/弦哲也 編曲/南郷達也
ソニー・ミュージックダイレクト MHSL-43 ¥1,300(税込)
2020年1月にリリースされた「雪中相合傘」は切なく、そして燃え上がるほどの強い愛に生きる女心を艶やかに歌った作品。揺れ動く女心の描写の描写に定評がある池田充男が作詞を担当し、弦哲也がメロディーをつけた。
「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」は詩情あふれる純愛物語の中に、劇中歌として「雪中相合傘」が歌われる。物語は、池田の作詞を原作として、映画監督や脚本家、放送作家、作詞・作曲家とマルチに活躍する杉崎智介が脚本化。クラシカル・クロスオーバーを軸に多彩なジャンルの音楽を手がけるピアニスト&作・編曲家の飯田俊明による壮大なメロディーが流れる中、伍代が物語を紡いでいく。約11分半におよぶ長編大作だ。
CDおよびカセットには「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」のインストゥルメンタルも収録されているので、伍代のように歌謡劇を演じることもできる。
サブスク&ダウンロード
「歌謡劇 雪中相合傘―科白編―」ダウンロードはこちら
https://smdr.lnk.to/vl9pqX
Profile
伍代夏子(ごだい・なつこ)
1961年12月18日、東京生まれ。3~4歳の頃から歌が好きで、母方の祖母の家でよく歌っていた。しかし、人前で歌っていたのはその頃まで。鍵っ子だった小学生の時は好きな歌を自宅の押し入れで歌うのが楽しみだった。その頃の憧れは八代亜紀。転機は高校生の時、渋谷でスカウトされたこと。「夢は演歌歌手!」と伝え、ボイストレーニングへ。1982年7月21日、星ひろみとして「恋の家なき子」をリリースする。しかし、ひとりでキャンペーンに回ることもあり、ある時は、実際に行ってみると工事現場の飯場でのクリスマスパーティーの宴会要員だったことも。
1987年9月21日、伍代夏子として「戻り川」でCBSソニーレコード(現ソニー・ミュージックレコーズ)からデビュー。35万枚を超すヒット曲に恵まれ、1988年には「第21回日本有線大賞」と「第21回全日本有線放送大賞」の最優秀新人賞を受賞。両新人賞の同時受賞は、演歌歌手としては快挙だった。1990年、3枚目のシングル「忍ぶ雨」で、『NHK紅白歌合戦』に初出場。以来、演歌界を牽引する歌手のひとりとして活躍。2015年、自叙伝「『人生めぐり愛』~今がいちばん幸せ」(KKベストセラーズ)を発売。歌が好きだった子どもの頃の話や、下積み時代、結婚のことなどを書いた。
2020年1月、「雪中相合傘」を発売し、7月には親友である藤あや子とのデュエット曲「いつもそばにいるよ/オンナノハナミチ」をリリース。11月にはスーパーベスト盤となる「伍代夏子 全曲集2021」を発売。2021年3月、声帯の筋肉が異常な緊張を生じることによって、声が出にくくなる病気「喉のジストニア(けいれん性発生障害)」であることを公表。2021年は7月21日、デビュー記念日に通算37枚目のシングル「歌謡劇 雪中相合傘-科白編-」をリリース。
夫である杉 良太郎とともに社会貢献に熱心に取り組む一方、趣味のカメラでは、“なっちゃん”名のInstagram(@godai725_official)で日々作品を公開している。
Instagramで新アカウント開設
伍代夏子は喉のジストニアを公表後、同じ病気で苦しむ方のために新しいInstagramのアカウント(@ho_oponopono725)を開設している。「喉のジストニアを公表して以来、同じ病気で苦しむたくさんの方からメッセージやお便りをいただいています。おひとりおひとりに返信するのは難しいのですが、辛い気持ちが分かり合える場所を…と思い、新しいアカウントを作りました」(伍代)
https://www.instagram.com/ho_oponopono725/
▼「そうだ!伍代さんが発声練習できる部屋をスタッフ一同で作ろう!!」。喉のジストニアの治療を続ける伍代夏子のために「発生練習部屋」をプレゼントすることになったスタッフ。だが、伍代のこだわりが炸裂!? 果たして、無事、発声練習部屋は完成するのか! 伍代夏子公式YouTubeで絶賛公開中!!
伍代夏子 公式HP
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