秋元順子が思い出深い会場でバースデーコンサート。2年ぶりとなる開催に「ワクワク、ドキドキ」
今年7月でメジャーデビュー17年目を迎える秋元順子が、6月30日、東京・江東区のティアラこうとう 大ホールで「秋元順子 バースデーコンサート~昭和ロマネスク」を開催し、会場に駆けつけたファンはその歌声に酔いしれた。
「この状況下にようこそお越しくださいました。本当にありがとうございます。このティアラこうとうでのコンサートは3年ぶりとなります。やっと皆様にお会いできてとてもうれしゅうございます。ワクワク、ドキドキ。スタッフもメンバーも今日のこの日をどれだけ待っていたか……。今日も私の命のある限り舞台を務めさせていただきます。一生懸命歌わせていただきます」
秋元は、自身の誕生日(6月21日)に合わせてこの会場で毎年バースデーコンサートを行ってきたが、一昨年は所属事務所を移籍し東京・渋谷区のJZ Brat(ジェイジーブラット)で、そして昨年は新型コロナウイルスの影響でコンサートは中止になっていた。今年は11回目となったが、恒例となっていた思い出の場所での3年ぶりの開催に心躍らせた様子で、大ヒット曲「愛のままで…」(2008年)をはじめ、5月26日発売のニューシングル「いちばん素敵な港町」など全13曲を熱唱した。
「誕生日が来るごとに、私は宝物が増えていくと思っています。今年もまた素晴らしい宝物が増えました。ひとつは今日ここで歌わせていただいていること自体が素敵な宝物です。歌を歌うということでたくさんの方と出会い、今歌いました『愛のままで…』も宝物のひとつです」
笑顔でそう話すと、第一部は6月23日に発売になったばかりの昭和歌謡をカバーしたニューアルバムのタイトルと同じ「昭和ロマネスク」と題し、その中から「別れのブルース」(オリジナル/淡谷のり子)や「かもめはかもめ」(オリジナル/研ナオコ)「暗い港のブルース」(オリジナル/ザ・キング・トーンズ)など昭和の名曲の数々を、生バンドの豪華なサウンドに乗せてオリジナリティー豊かな歌唱で聴かせた。
そして一部の最後に、新曲「いちばん素敵な港町」をバンドバージョンで披露した。
第二部は、バンドによるクラシックのコンサートでもおなじみの楽曲「リベルタンゴ」の素晴らしい演奏で幕を開けた。
「第二部は、”順子ワールド”でお届けしたいと思います。お色直しをしてまいりましたが……このドレス、ドーレスか(どうですか)?(笑)。本当に今日は3年ぶりで……これが言いたかったんです(笑)。今までもこのコーナーではファッションショーをさせていただいていたんですけど……。パリで行われるのがパリコレ、ミラノで行われるのがミラコレ。わたくしはデザイナーの先生とアレコレ、ドレコレ、ソレコレ(笑)。先生とお話をしてこのようなデザインと色に決まりましたの。いかがですか?それでは、ファッションショースタートです!」
昨年、メジャーデビュー15周年を迎えた秋元。昭和の名曲で育ち、平成に歌手デビューを果たして、令和になってもその歌声は衰えることを知らず、多くのファンを魅了している。音楽とともに歩んできた人生は、数えると54年にもなると話す。
「デビューして16年になりますが、充実した幸せな16年です。そして、色々なところで色々なジャンルの曲、音楽に携わってからはもう54年になるんですね。他人事のようなんですけど、そんなに歌を歌ってきたんだなと思っています」
スタンダードジャズを中心にハワイアン、シャンソン、ラテン、カンツォーネなどをジャズアレンジして歌ってきたが、その当時から応援してくれているファンも、この日客席から秋元を熱く見守っていた。そんな幸せを噛みしめながら、秋元はスタンダードナンバーをメドレーで歌った。
そして、ここからはエンディングに向け”順子ワールド”全開。大ヒットとなり長く音楽ファンに愛され続けている名曲「愛のままで…」を生んだ花岡優平氏が手がけた「哀しみのコンチェルト」(2018年)、喜多條忠氏と杉本眞人氏のコンビによるメジャーデビュー15周年記念の第一弾として発表した「たそがれ坂の二日月」(2019年)、15周年記念の第二弾作品で愛する人との別れに切ない想い出を重ねる大人のラブバラード「帰れない夜のバラード」(2020年)、そしてラストソングは新曲「いちばん素敵な港町」のカップリング曲「なぎさ橋から」(2021年)。渾身の力を注いで歌い継ぎ、ステージを後にした。
しかし、鳴り止まないアンコールを求める大きな拍手に後押しされ、秋元は再びステージへ感無量の表情で舞い戻る。
「ありがとうございます。なんだか今日は胸がいっぱいで……。この大きな拍手をいただけるということがなんと幸せなんだろうと、本当に改めて気がつきました。生の歌声を聴いていただけることがこんなにうれしいことなんだと。それがコロナの前は当たり前だと思っていたんですね。でも、まだしばらく続くかと思うんですが、今まで当たり前だと思っていたことが特別なことになっているんだということにも気がつきました。皆様とぜひまたお目にかかれますように。ではもう一度、オーケストラバージョン(CDバージョン)で新曲『いちばん素敵な港町』を聴いていただきたいと思います。喜多條先生のお作りになられた歌詞には、差別のない温もりを感じられる日々が一日も早くやってくるようにという思いも込められたのかもしれません。そして、カモメは私たちのたとえですが、港から港に自由に飛べるように、そんな日がくることを願って、歌わせていただきたいと思います」
そのパワフルでドラマチックな歌声に、いま一度会場中が感動に包まれた。
秋元順子 Birthday Concert Gallery
2021年5月26日発売
肩を寄せ合い生きる男と女の物語……
秋元順子「いちばん素敵な港町」
デビュー15周年記念シングル第1弾「たそがれ坂の二日月」、第2弾「帰れない夜のバラード」に続き、円熟のラブソング職人・喜多條忠氏作詞、杉本眞人氏作曲による大人の二人の人生と愛をおおらかな視点で綴ったバラード。「最後のハーフの部分は語るように歌ってください。ご注意ポイントは、サビに入る「笑顔の人の」(1番)と「わたしはカモメ」(2番)はチョットだけ歌い方が変わっているんです。そして、最後の「みんなはカモメ」というところ。よく聴いていただけるとおわかりになると思います」(秋元)。カップリング曲の「なぎさ橋から」は、実際に神奈川県・逗子にあるなぎさ橋を舞台に、大人の二人の切ない別れのシーンを描く。「この二人のシチュエーションは様々な解釈があると思います。皆さん読み解いて、いろいろ想像しながらこの歌を覚えて歌っていただきたいですね」(秋元)
2021年4月7日発売
アルバム『秋元順子 ベストセレクション』
収録曲
【DISC1】帰れない夜のバラード/たそがれ坂の二日月/哀しみのコンチェルト/夢のつづきを・・・/ティ・アモ~風が吹いて~/ROSE/愛鍵/メリーゴーランド~涙の贈りもの~/24時の孤独/枯れない花/その花は・・・~変わらぬ愛~/一枚の写真/黄昏Love again
【DISC2】愛のままで・・・/雨の旅人/マディソン郡の恋/横濱(ハマ)のもへじ/ワルツの猫/明るい表通りで/Autumn Leaves(枯葉)/東京ブギウギ/遠い思い出/わかって下さい/あまり突然だから/夜明け前/Mrs.シンデレラ
2021年6月23日発売
明日への宝物。“良き時代の佳き歌”を!
秋元順子『昭和ロマネスク』
時代を越えて愛される“昭和の浪漫主義”に根ざした佳き歌たちを、秋元順子の芳醇な歌声で届ける。文学性豊かな歌詞、日本のポップスの流れを辿りながら、昭和を代表するヒット曲から時代の波に埋もれた佳作までが収録された一枚。
収録曲
別れのブルース/暗い港のブルース/港町三文オペラ/水色のワルツ/黒の舟唄/マロニエの木蔭/公園の手品師/芽ばえて、そして/誰もいない/かもめはかもめ/いちばん素敵な港町
Profile
秋元順子(あきもと・じゅんこ)
1947年6月21日、東京生まれ。OL時代より会社のハワイアンバンドに参加し歌手活動を始める。結婚を機に活動を一時休止していたが、家族の支援もあり再開。洋楽を中心にライブ活動を行っていた2004年に、インディーズ盤「マディソン郡の恋」を発売。この曲が評判となり、翌年の2005年、58歳の時に同曲でメジャーデビュー。その後、2008年に発表した3作目の「愛のままで…」が大ヒットし、暮れの『NHK 紅白歌合戦』に出場。最年長初出場歌手(当時)となる。2014年にはデビュー10周年を記念して、全20カ所全23公演を成功させる。現在もその円熟した独特のハスキーボイスでファンを魅了し、精力的に活動を行っている。
秋元順子 公式HP
キングレコード/秋元順子
秋元順子 公式ブログ