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秋元順子

“神サマに選ばれた”秋元順子が表現する究極のラブソング~新曲「プラトニック」をマチュア世代へ!

円熟味を増した大人のためのラブソングを、“神サマに選ばれた”声を持つ秋元順子が歌っている。田久保真見氏が作詩し、田尾将実氏が作曲。編曲の伊戸のりお氏がジャジーでオシャレなアレンジに仕上げた「プラトニック」だ。音楽評論家であり、音楽プロデューサーの小西良太郎さんが最後のプロデュース作品として残した遺作は、秋元のシルキーボイスと相まって、ザワザワと聴く者の心に語りかけてくる。

男と女の間に友情は芽生えるか?

~いつも人生は さりげなく終わる
短編小説 みたいなもの~

こんなフレーズで終わる秋元順子の新曲「プラトニック」。男女の恋の駆け引きと行方、濃密な瞬間が描かれている。

「熱く燃えた恋愛でも、す~っと終わる恋もありますが、その熱く燃えた恋愛の時期を、過去の思い出としてとっておきたい。そして、これからはあなたと私は友人として、友情を育んでいきましょう。その時間を楽しく過ごしていきましょうという歌です」

精神的な恋愛を意味する “プラトニック・ラブ”という言葉があるが、秋元の新曲「プラトニック」は究極のラブソングを指す。

「田久保(真見)先生が私をイメージして書き上げてくださいました。“プラトニック・ラブ”という言葉を辞書で引くと、純粋で清らかな恋愛というような意味が出てきますが、それだけでは、この歌の本質がどういったものなのかわからないと思います。作品では、女性の方から、今までの激しい恋は過ぎてしまった過去よ、と言っています。でも、過去のことでもあなたと別れることはできない。だって、あなたのことを愛してるからと。愛には激しい愛もありますが、『プラトニック』では、男と女の友情の芽生えを、“愛してる”と表現しています。昔から男女間の友情は芽生えないと言われていますよね。ですけど、男女の友情ってあります。私にもそういう経験があります。ただ、“愛してる”と表現した田久保先生がすごいなと思いました」

秋元順子

「先生、ジャズコードなど散りばめてください」

秋元とは初タッグとなる田尾将実が作曲し、伊戸のりお氏がジャズテイストのラブバラードに仕上げた。

「曲を書いてくださった田尾先生と、アレンジをしてくださった伊戸先生に作品を書いていただいたのは初めてでしたが、おふたりとも洋楽が大好きなんです。伊戸先生には、キー合わせの時に小さな声で、『先生、ジャズコードなど散りばめていただきたいんです』とお願いしました」

自立して輝いているマチュア世代へ

2005年7月、58歳でキングレコードからメジャーデビューする遥か以前から、ハワイアンやジャズなど洋楽を歌ってきた秋元。『プラトニック』は、官能的なシルキーボイスの秋元順子でなければ歌えない作品となった。

「大きな意味合いでは、マチュアミュージック。マチュアとは成熟した、円熟味を増したという意味ですが、以前の事務所の社長が、私が歌う曲は『マチュアミュージックというジャンルに入る』と、ずっと話されていました。演歌歌謡曲やJ-POPSという、誰もが知る音楽ジャンルの中に、“マチュアミュージック”というジャンルを確立させるのは難しい部分があります。でも、『プラトニック』は成熟し、自立して輝いて生きている方のための作品になりました。誰しも年を重ねていけば、マチュア世代になるわけですから。こういう作品をつくっていきたいなと思ってきましたが、今回の作品がまさにそうでした!」

“マチュア世代”の人とは、一般的に50代以上の成熟した、活動的な人を指す。

「マチュアミュージックにぴったり合った先生方が作品をおつくりくださって、そこにぴったりな私が歌っています。田久保先生がおっしゃっていました。『中学生の頃って好きな人がいても大恋愛にはならない。あれがプラトニックよね。でも、年齢を重ねていくと、またプラトニックに帰ると思いませんか?』って。私のファンの方は、まさにマチュア世代の方なので、この作品をどう受け取ってくださるのか楽しみです」

秋元順子

神サマに選ばれた秋元順子

こうしてできあがった究極のラブソング「プラトニック」だが、そこには小西良太郎さんの存在があった。スポーツ紙の記者としてキャリアをスタートさせた小西さんは、のちに音楽評論家・音楽プロデューサーとして活躍。「雨の慕情」や「夜桜お七」など多くのヒット曲をプロデュースしてきたが、残念ながら今年5月13日、膵がんによって逝去した。享年86だった。

小西さんは、『週刊ミュージック・リポート』で連載を続けてきたコラム『新歩道橋』の第1145回(2023年3月20日付)の中で、秋元順子に触れ、“神サマに選ばれた”人だと書いている。

「秋元が60才を過ぎてからでもブレークしたのは、あの声の持ち主だったせい。そういう意味では彼女は、神サマに選ばれた一人だろう。もともとプロの歌手は、そんな独特な声の持ち主に限られる職業。しかし、神サマに選ばれる稀有の才能はごく少ししか居ない」(同コラムより抜粋)

全文は小西良太郎公式サイト「~歌謡曲だよ 人生は~酔々独歩」でも読むことができる。

小西良太郎さんの一言で年齢を暴露!?

「小西さんに出会ったのは、10年ぐらい前なんです。音楽紙で2時間ぐらいの対談をした時に、『そろそろ年を出してもいいんじゃないの?』って言われました。私は年齢を隠すつもりはなかったのですが、それまでは年齢不詳でやってきました。だけど、この時初めて小西さんに『公表してもいいんじゃないか』と言われて、年齢を暴露(苦笑)! 発表しました。当時の社長も、小西さんから言われたら仕方がないって」

小西さんは近年、秋元作品にも携わり、喜多條忠氏と杉本眞人氏コンビによる秋元作品「たそがれ坂の二日月」(2019年)、「帰れない夜のバラード」(2020年)、「いちばん素敵な港町」(2021年)、「なぎさ橋から」(2022年)を手がけてきた。

「もう本当にご縁としか・・・。美空ひばりさんから始まって、八代亜紀さん、ちあきなおみさん、坂本冬美さんなどたくさんの方の曲をつくられている中では、私なんか、本当につい最近と言っていいくらいの出会いですが、いろいろ力をいただきました。年を重ねてからのデビューだったので、励ましてもいただきました。『年、言っちゃおうよ』とかって言いながら、『でも、本当は年のことなんて考えてないだろ』とか。本当に力になる言葉をいただいてきました。もう少し、ご一緒にできたらよかったなと思います」

秋元順子

小西良太郎さん最後のプロデュース作品

結果的に「プラトニック」が、小西良太郎プロデュース作品の遺作となった。

「去年2月に小西さんにプロデュースしていただいた『なぎさ橋から』がリリースされたので、しばらくこの曲を歌っていくものと思っていました。ところが、その年の10月にご縁があって、ラジオ深夜便とのタイアップ曲『一杯のジュテーム』を出させていただきました。ですから、その時期は小西さんと作業することはなかったのですが、今年になって今回の新曲の話になり、また一緒に作品づくりをさせていただきました。お会いすると、おつらそうな時もありましたが、誰しも80歳を過ぎれば、膝が痛いとか足が動かないとかありますよね。まさか膵臓がんだということは存じ上げなかったので、訃報を聞いてとても残念でした」

「お忙しい方だったので、仕事以外でご一緒することはほとんどなかったのですが、何かの打ち上げでもんじゃを一緒に食べたことがあります。『ナンジャモンジャですね』って言いながら(苦笑)。『プラトニック』のキー合わせの時に、どんなアレンジにしようかという話になり、田尾先生と伊戸先生が『秋元さんはヨーロッパの、洋楽の雰囲気だよね』と話されているのをニコニコしてうなずいていらしたのが印象的でした。レコーディングには体調が悪いということでお見えいただけなかったんですが、トラックダウンなど節目節目で音源を聴いていただき、『よく歌えているね』という連絡がディレクターさんのほうに届いていました。私もその言葉を聞いてホッとしていました」

秋元順子

「プラトニック」の誕生は偶然と偶然が重なって

新曲「プラトニック」が発売されたのは6月21日。小西さんが亡くなって1カ月と少しが経っていた。だからこそ、秋元はこの曲を「大ヒットさせたい」と力を込める。

「素晴らしい曲をいただいて本当に感謝しています。不思議ですよ。本当に偶然と偶然が重なってできた曲です。思い出深い作品になりました」

そして、最後にこう付け加えた。

「小西さんって辛口なんですが、その裏にはすごく温かみがあります。私も小西さんの言葉を全部、素直に受け入れて自分の中に取り込んできました。私は自分が持っているものは、最大限表現して天国へ行きたいなと思っています。まだ、出していないものがいっぱいあります!」

成熟し、輝いて生きている人のための“マチュアミュージック”。秋元順子という神サマに選ばれた歌い手が、今はまだ馴染みがないかもしれない音楽ジャンルを牽引していく。その突破口を明けるのがジャジーでオシャレな究極のラブソング「プラトニック」だ。一度、聴けば、心がザワザワとする。この曲を聴かずに、生きていけるか!

 


2023年6月21日発売
秋元順子「プラトニック」
秋元順子

「プラトニック」
作詞/田久保真見 作曲/田尾将実 編曲/伊戸のりお
c/w「引き潮」
作詞/田久保真見 作曲/田尾将実 編曲/伊戸のりお
キングレコード KICM-31106 ¥1,500(税込)

「プラトニック」は秋元順子ならではの成熟した大人の作品。秋元はこの作品のジャンルを“マチュアミュージック”と表現する。究極のラブソングを、ジャズにブルースのスパイスがブレンドされたメロディーで歌っている。

「作品では、女性が “プラトニックでいましょうね”と歌いますが、上から目線で言っているような感じでは歌ってほしくないですね。聴いていただければわかりますが、1番と2番の最後の “プラトニックでいましょうね”という歌詞は、消え入るように優しく歌っています。力強く歌うと、ドラマにならないですから。本当はプラトニックじゃなくたっていいのよ、という思いが半分込められているような、そんな歌い方です。そして、いちばん最後の “~いつも人生は さりげなく終わる 短編小説 みたいなもの~”のところは歌い上げる。そこでトドメを指しています(笑)」

 

宝塚の男役のように・・・
カップリング曲「引き潮」は、2013年、当時66歳だった湯原昌幸が発売したシングル「ないものねだり」のカップリング曲として収録されていた作品。「プラトニック」と同じ作家陣の作品を、伊戸のりお氏が秋元順子の歌声が生きるように、ヨーロッパの風景がイメージできるようなアレンジに仕上げた。

「『引き潮』は湯原昌幸さんがお歌いになっていた作品のカバーになります。作品を聴かせていただいた時に、『わぁ~、いい歌だな』って。湯原さんの作品への感情の込め方、その言葉の表現の仕方や間の取り方が、私は大好きです。でも、同じように真似することはできません。真似して男っぽく歌うのは無理がありますから。でも、かといって、女っぽく歌ってしまったら、この曲はつまらなくなってしまいます。そこで宝塚歌劇団の男役のような感じで歌いました。別れの歌ですが、自分で聴いていて、涙が出てきちゃった。なんて素晴らしい歌詞なんだろうと。“お前と めぐり逢えたから それだけでいい”なんて、なかなか言えませんよね。『引き潮』は私にとってはカバー曲になりますが、自分のオリジナル曲のように歌わせていただきました」(秋元)


秋元順子

Profile
秋元順子(あきもと・じゅんこ)
1947年6月21日、東京生まれ。OL時代より会社のハワイアンバンドに参加し歌手活動を始める。結婚を機に活動を一時休止していたが、家族の支援もあり再開。洋楽を中心にライブ活動を行っていた2004年に、インディーズ盤「マディソン郡の恋」を発売。この曲が評判となり、翌年の2005年、58歳の時に同曲でメジャーデビュー。その後、2008年に発表した3作目の「愛のままで…」が大ヒットし、暮れの『NHK 紅白歌合戦』に出場。最年長初出場歌手(当時)となる。2014年にはデビュー10周年を記念して、全20カ所全23公演を成功させる。2019年9月には15周年記念曲・第一弾「たそがれ坂の二日月」を、2020年6月には第二弾「帰れない夜のバラード」をリリース。2021年は5月に「いちばん素敵な港町」(カップリング「なぎさ橋から」)を発表。2022年は2月には前作のカップリング曲を表題曲とした「なぎさ橋から」を、10月にはシンガーソングライター・おかゆによる「一杯のジュテーム」を発売。2023年6月にリリースした最新曲「プラトニック」は、音楽プロデューサー・小西良太郎さん最後のプロデュース作品。成熟し、円熟味を増したマチュア世代へ届ける。

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