秋元順子

秋元順子が狂おしく歌うラストシーン~「なぎさ橋から」であなたに手を振る~

秋元順子が昨年発売したシングル「いちばん素敵な港町」とそのカップリング曲「なぎさ橋から」がAB面を入れ替えて再登場した。この2曲は作品としての評判が高かったことから、今回、アレンジを変え、それぞれ生まれ変わった。斬新な発想から生まれた最新シングル「なぎさ橋から」は、サビのリフレイン部分が印象的で、ファンからも高い支持を得ている。

喜多條氏の思いを貫き、歌詞も一部変更

「昨年制作したとき、私自身この『なぎさ橋から』をとても気に入って、両A面にすることは無理だろうかとお願いしたくらいでした。スタッフも同じ思いを持ってくれていたようでしたが、『いちばん素敵な港町』で皆さんが住む港町の写真を募集するといったイベントを実施する関係など、さまざまな理由からカップリング曲になりました。

私が感じていたことは、ファンの方も同じだったんですね。「すごくいい」とたくさんの方がカラオケで歌ってくださって、そんな声を受けてアレンジを変更し、今年の新曲として発売することが叶いました。アレンジが変わるとまるで別の曲になります。前作とはまた違った魅力ある曲に仕上がりました」

昨年11月に74才で亡くなった喜多條忠氏による作詞で、なぎさ橋は静岡県伊東にある実在の橋だ。昨年発売の「なぎさ橋から」は舞台が神奈川県逗子で、2番の歌詞にも「江の島あかり」と入っている。しかし、喜多條氏がよく足を運び、気に入っていた風景は今回の伊東のほうだったという。

「ミュージックビデオの撮影でそこに立ちましたが、大きな橋でその向こうには相模湾が広がります。もしもこの曲がA面に入るなら、この場所を舞台にしたいねと喜多條先生が生前おっしゃっていたんです。そこで“江の島あかり”とある個所を“漁火ほらね”に変更。この歌は主人公の女性が久しぶりに愛する男性と会って、最後に別れを惜しむ切ないストーリーです」

「あなたに手を振る 何度も何度も・・・」

さよならのKISSをしたポストの陰から、バスに乗って去って行く男性を見送りながら、何度も何度も手を振るシーンが「なぎさ橋から」のクライマックスだ。

「昨年リリースした『なぎさ橋から』では、また会いたいと願う女性の気持ちを乗せていたが、表題曲となった今回の『なぎさ橋から』では、もう会わない、会えないという覚悟の気持ちに詞の解釈が変更になりました。私の歌い方もそのように変わっていますので、ぜひその違いを両方聴き比べて味わっていただきたいですね」

喜多條氏に新たな作品を聴いてもらいたかったと、そう漏らす秋元。サビの部分の「あなたに手を振る」というフレーズは何度も繰り返されるが、その都度、歌い方を変えて主人公の思いを表現している。

「リフレイン的に3度繰り返されるサビを大中小に分けると、最初の『あなたに手を振る』は、まだ会えるかもしれないという気持ちで小さく、柔らかめに歌っています。でも次は、やっぱり無理だわという思いを抱きながら中くらいの強さで。お互い子どもみたいに手を振り合って、すごく切ないですね。そして最後に、あなたのことが見えなくなるまで手を振るけれど今日でもう会わない、さようならと、ここで強く言い切っています。カラオケで歌われる方には、そんな思いをぜひ表現して歌っていただき、また過去のたくさんの恋愛の中でどなたかを思い出しながら、気持ちを重ねて歌うのもいいかと思います」

秋元順子

ピアノバージョンの「いちばん素敵な港町」

「いちばん素敵な港町」も前作とアレンジが変更し、今回はピアノバージョンとなっている。ピアノを担当するのは、ディナーショーやコンサート、イベントなどで共演しているピアニストの中村力哉氏だ。

「中村さんのピアノは、歌い手に寄り添うピアノです。デビュー以来ずっと支えてもらってきました。ピアノ1本で歌うというのは難しいことですが、私はジャズをやっている時代からピアノだけでどんなジャンルの歌も歌ってきましたので、何の心配もありませんでした。カラオケ通の方はピアノだけで歌いたいという勇敢な方も多く、喜んでくださるのではないでしょうか」

こころを石に変えないで
やさしさにまた逢えるから
みんなはカモメ おんなじカモメ
いちばん素敵な港町
(「いちばん素敵な港町」の歌詞)

2ハーフのハーフ部分の歌詞は、秋元自身が最初、歌詞を読んだときに涙したほどだが、前作のレコーディングの際に喜多條氏からアドバイスされたように、「語るように歌ってほしい」と秋元はいう。

「これまで人生いろいろあった。迷惑もたくさんかけたけれど、これからはお互いを思い合い、労わりながら生きていこう。この歌詞は噛みしめれば噛みしめるほどほどグッときますね。ピアノの音色がまたそれを引き立たせています」

将来的にはライブなどで、この曲を前半ピアノバージョン、後半はバンド演奏を入れてとアレンジしながら披露することも考えているそうだ。毎年行う予定の6月29日のバースデーコンサートが、まずは最初のターゲットとなるだろう。

「私は音楽に携わって早54年。私の追っかけでいちばん古い人は50年以上になるんです。コロナ禍で今回レコーディングができたということだけでも幸せですが、CDを聴く以外にステージにも可能であれば足をお運びいただき、生の声を聴いてより深く曲を味わっていただけたら本当にうれしいですね」

(文=藤井利香)

from 秋元順子
生き生きと暮らす毎日のために、免疫力を上げましょう。
自称“ダジャレー夫人”こと秋元順子は素敵に年を重ねているが、健康が第一だという。そして、そのためには免疫力を上げることが大事だと、心がけ10か条を教えてくれた。

【免疫力を上げましょう】
1.大きな声で笑う
2.太陽を浴びる(15~30分)
3.たっぷり睡眠
4.適度なストレスや運動を。散歩
5.ゆったり湯につかる(38℃~40℃。15分~20分)
6.バランスのよい食事。特に大豆製品
大豆製品(味噌、豆腐、納豆、醤油、豆乳等)
7.海藻類(わかめ、のり、昆布等)
8.にんにく、しょうが
9.温めたヨーグルト
10.食後、2時間後の腹式呼吸!!

秋元順子

「私はいつも39℃のお風呂に20分はつかります。熱すぎるお湯は厳禁。ゆったり、入ってくださいね。食べ物の中ではニンニクが一番。ニンニクは蒸すか茹でるかすると匂いが抑えられ、醬油づけは自作で毎日食べています。ヨーグルトは冷たいままでなく少し温めてください。乳酸菌が活発に働く温度は20℃〜45℃なので、ほんの少し(電子レンジで)チンすれば大丈夫。飲み物もそうですが、体を冷やさないことが大切なのです。冷たいものよりも、やはり温かい食べ物、飲み物ですね。コロナと背中合わせの生活も丸2年、感染を防ぎ元気でいつづけるには自分自身で賢く、工夫して暮らすことだと思います。10か条をぜひ参考にして、心身ともに健康で過ごせるようにいたしましょう」

 

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2022年2月23日発売
秋元順子「なぎさ橋から」
秋元順子

「なぎさ橋から」
作詞/喜多條忠 作曲/杉本眞人 編曲/佐藤和豊
c/w「いちばん素敵な港町」
作詞/喜多條忠 作曲/杉本眞人 編曲/宮崎慎二
c/w「いちばん素敵な港町(ピアノ・バージョン)」
作詞/喜多條忠 作曲/杉本眞人
キングレコード KICM-31058 ¥1,400(税込)

今回、表題曲となる「なぎさ橋から」は、昨年亡くなった喜多條忠氏が実在する“なぎさ橋”を回想して作詞した作品。「いちばん素敵な港町」のカップリング曲として収録されたが、楽曲のクオリティの高さ、サビのキャッチーなリフレインが話題となり、AB面を入れ替えて発売された。「いちばん素敵な港町」はピアノバージョンが収録された。

 

INFORMATION

2022年4月6日発売
『秋元順子 ベストセレクション2022』
収録曲
【DISC1】
1.なぎさ橋から
2.いちばん素敵な港町
3.帰れない夜のバラード
4.たそがれ坂の二日月
5.哀しみのコンチェルト
6.夢のつづきを…
7.ティ・アモ~風が吹いて~
8.ROSE
9.愛鍵
10.メリーゴーランド~涙の贈りもの~
11.24時の孤独
12.枯れない花
13.その花は… ~変わらぬ愛~(ニュー・バージョン)

【DISC2】
1.一枚の写真
2.黄昏Love again
3.愛のままで…
4.雨の旅人(シングルバージョン)
5.マディソン郡の恋
6.忘れもの
7.夕なぎ ~私の時間~
8.紅いブルース
9.ノラ
10.別れのブルース
11.かもめはかもめ
12.港町三文オペラ
13.I’ll Wait For You(シェルブールの雨傘)


秋元順子

Profile
秋元順子(あきもと・じゅんこ)
1947年6月21日、東京生まれ。OL時代より会社のハワイアンバンドに参加し歌手活動を始める。結婚を機に活動を一時休止していたが、家族の支援もあり再開。洋楽を中心にライブ活動を行っていた2004年に、インディーズ盤「マディソン郡の恋」を発売。この曲が評判となり、翌年の2005年、58歳の時に同曲でメジャーデビュー。その後、2008年に発表した3作目の「愛のままで…」が大ヒットし、暮れの『NHK 紅白歌合戦』に出場。最年長初出場歌手(当時)となる。2014年にはデビュー10周年を記念して、全20カ所全23公演を成功させる。2019年9月には15周年記念曲・第一弾「たそがれ坂の二日月」を、2020年6月には第二弾「帰れない夜のバラード」をリリース。2021年は5月に「いちばん素敵な港町」(カップリング「なぎさ橋から」)を発表。同年6月に2年ぶりとなるホールコンサート「秋元順子 バースデーコンサート~昭和ロマネスク」を開催する。円熟した独特のハスキーボイスでファンを魅了し、精力的に活動を行っている。

秋元順子 公式HP
キングレコード/秋元順子
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