福田こうへい

【詳報】福田こうへい10周年記念スペシャルコンサート。「本物の歌手になりたい」と決意!

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福田こうへいが11月12日、大阪・新歌舞伎座で行っていた”10周年記念スペシャル”コンサートの千穐楽を終えた。コンサートツアー「福田こうへいコンサート2021」の中でも10周年を祝う特別なコンサートで、東京、故郷・岩手と開催されてきた。”10周年記念スペシャル”を無事成功させた福田は「これからもチームこうへい一丸となって精進してまいります!」(福田こうへいオフィシャル・ブログより抜粋)と書き込んだ。

「福田こうへいコンサート2021 10周年記念スペシャル」は、CS放送のTBSチャンネル1で岩手県民会館(10月12日開催)で行われた公演の模様が12月19日( 午後5:00〜午後7:00)に放送されるほか、映像作品化も予定されている。そこでオトカゼでも、”祝・福田こうへい10周年”として、東京公演の様子を詳報する。

「皆さんに恩返しがしたいという思いでいっぱい」

福田こうへいが10月7日、東京・港区のメルパルクホール東京で、「福田こうへいコンサート2021 10周年記念スペシャル」を開催した。コロナ禍で入場者数は50%に制限されたが、昼夜2公演で1500名(各回750名)が来場。まるで満席のような大きな拍手に包まれる中、10周年の宴を大いに楽しんだ。

2012年10月24日、「南部蝉しぐれ」で演歌歌手としてメジャーデビューした福田。民謡歌手時代を含めると22年歌ってきたが、とくにこの10年は「あっという間だった」と、振り返った。

「この10年で、親子2代ではなく、親子3代で来てくださる方も多くなりました。そんな皆さんに恩返しをしたいという思いがいっぱいでした」

10月5日にアルコール性肝硬変で亡くなった作詞家・里村龍一への追悼を込めて、10周年記念コンサートは里村が福田のために作詞し、2019年2月6日に発売された「男川」からスタートした。

本来は別の曲を歌う予定だったが、訃報を知り、コンサート当日に急きょ変更したものだった。福田は「男川」のレコーディングが行われた2018年12月に一度会ったきりだというが、里村が北海道出身、福田が岩手出身ということで、「北の人間同士、ちょっとお話させていただいただけで、意気投合したのを覚えています。今日は先生への恩返しの一曲として、感謝の気持ちを込めてこの歌でスタートしたいなと思って変更しました」。

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リクエスト・ベスト10! 圧巻の「イヨマンテの夜」

コンサートは2部構成で行われた。「この10年でたくさんの賞をいただきました」と、日本作詩大賞2018で作詩大賞を受賞した「天竜流し」、2020年の「輝く!日本レコード大賞」で最優秀歌唱賞を受賞した「筑波の寛太郎」の2曲を歌うと、昭和の名曲の中からファン投票で選んだベスト10曲をランキング形式で披露していった。第1部のメイン企画だった。

福田が演歌歌手としてデビューした当初は持ち歌が3曲しかなかった。コンサートでは先輩歌手の歌を借りるほかなかった。

「そこで言われたのは、(先輩歌手の名曲の)イントロが流れると、お客様が懐かしいなって思うから、その懐かしさをこうへいさんが表現すればいいんだよって。デビュー当時はそれを肝に銘じて歌っていました」

テレビやラジオの番組、CDなどで福田はこれまで1000曲以上をカバーしている。福田が歌うカバー曲は、不思議と福田色に染まり、隠れた名曲も福田によって新しい生命を吹き込まれる。5、6年前からストックしていたファンからのリクエスト曲を元に選曲した“ベスト10”だった。

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「およげたいやきくんが大ヒットした年に、俺生まれたんだよ(笑)」

今年45歳となった福田が2歳か3歳のとき、自宅のテレビで観て、いいメロディーだなと思った記憶が残っているという「およげたいやきくん」など、ベスト10として披露した曲には、ステージ初披露となった曲も多かった。なかでも「イヨマンテの夜」は大迫力で、観客からは思わずため息が漏れるほどだった。

「『イヨマンテの夜』はすごく怖い歌です。失敗のできない歌なので。でも、今日のために隠し球としてとっておいたんです。声出しちゃダメっていうのに出ちゃってましたね。歌手からすると拍手と歓声は最高のご褒美です。歌ってよかったなと思います」

ふるさの自然、そして父・岩月の背中を追いかけて

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最新曲「男の残雪」などを披露すると、ステージは第2部へと続いた。

「徳光さんにナレーションを入れていただきましたが、第2部はほのぼのとしたステージになりました。あの映像もよかったと思います」

福田が「南部のふるさと」を歌うと、ふるさと岩手の原風景がスクリーンに映し出された。おかっぱ頭だった幼い頃の福田や家族、民謡歌手として父の意志を継いだ頃の写真が挟み込まれ、フリーアナウンサー、徳光和夫が福田の生い立ちを語っていく。福田は徳光の語りを受けて、ハーモニカ演奏による叙情歌「おぼろ月夜」「里の秋」、三橋美智也の「夕焼けとんび」「おさげ花と地蔵さんと」を歌っていく。

「家族の写真やふるさとの風景写真をあそこまで出したことはありませんでした。苦労をかけた両親や家族への恩返しも兼ねて公開させていただきました」

どんなときも応援してくれた祖父母との写真が映し出される中、「大きな古時計」がハーモニカ演奏されると、客席からすすり泣く声が聞こえた。

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和装に着替えた福田は“民謡歌手・福田こうへい”として、岩手県の民謡「渋民荷方節」を歌うと、民謡歌手だった亡き父・福田岩月と「声もそっくりになっちゃった」と観客を和ませた。父と母の思い出の秋田民謡「本荘追分」を披露すると、引き続き徳光のナレーションで「父子鷹」、「かんべんナ」、「南部蝉しぐれ」と歌い継いでいく。「南部蝉しぐれ」は演歌歌手としてのメジャーデビュー曲であり、本来は亡き父が歌うはずだった曲だ。

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一回りも二回りも大きく。「本物の歌手になりたい」

ここで徳光がステージに登場する。元々は予定になかった演出で、「今日、来られるというのをつい最近、お聞きしました。まさにサプライズでしたね」(福田)。

徳光は福田が生まれて初めて握手した芸能人だった。

「有名な人だよって言われて。4歳のときでした。そんな方に自分の10周年に来ていただいて光栄です」

福田が喜び感謝すると、徳光は「10年間のこうへいさんを見ていますと、つねに先輩の歌手の皆さんを敬いますね。先輩歌手も素直に福田こうへいの実力を認めておりまして、細川たかしさんは『すごい』、吉幾三さんは『いいね』、北島三郎さんは『久しぶりに出た本格的な高音歌手』と言い、五木ひろしさんは『福田こうへいは深い』と絶賛しておりました」と、10周年にエールを送った。

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福田は照れながらも、「五木ひろしさんの場合は、たぶん松茸を贈ったからです」と笑っていた。「でも、1回贈ると、毎年贈り続けなければいけない」とぼやくと、徳光が「うちには届いていませんが」と催促する場面もあり、和気あいあいとした、10周年記念コンサートのひとときだった。

コンサートの終盤は、助六太鼓やねぶた笛も賑やかに、「アイヤ子守唄」「みちのく祭り唄」を熱唱し、福田自身が大太鼓にも挑戦するなど、熱い熱いステージとなった。全30曲、バラエティーに富んだ福田のコンサートが終わっても、ファンは席から立ち上がらなかった。心と体で“福田こうへい祭”を楽しんだファンからアンコールを求める大きな拍手が会場に沸き上がった。ファンは心から福田の歌声を欲していた。

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一度閉まった緞帳が開くと、福田は大漁旗をバックに、来年1月1日にリリースされる新曲「一番マグロの謳」を届けた。両A面シングル(「ふるさと山河/一番マグロの謳」)として発売される作品の一曲だった。福田が憧れている大間のマグロ漁師、第一八千代丸の熊谷義宣さんが作詞し、四方章人が作曲した作品だ。

福田こうへい

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「これからの10年、20年、全国の方には自分の歌で元気になってほしいですし、(東日本大震災の)被災地の方には、地元・岩手に戻ったときに、一回りも二回りも大きい歌手になって戻ってきたなと思ってもらえるようになりたいですね。本物の歌手になって、皆様に選んでもらえるように務めてまいりたいと思います」

決意を語る福田は、過去4回出場している『NHK紅白歌合戦』(2013年、2014年、2016年、2017年に出場)にも「ぜひ返り咲きたい」と意欲を燃やしていた。

福田こうへい

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コンサートを終えた福田こうへいは「一回りも二回りも大きい歌手になって戻ってきたなと思ってもらえるようになりたいですね。本物の歌手になって恩返ししたい」と話していた。


2021年9月15日発売
一文字アルバムシリーズ第9弾
福田こうへい『祝~祝い唄で泣き笑い~
福田こうへい

キングレコード 【初回限定盤】KICX-91139 ¥3,600(税込)
※初回限定盤にはブリーフケースと写真集がつく。

福田こうへい

キングレコード 【通常盤】KICX-1139 ¥3,100(税込)

収録曲(CDは初回限定版、通常盤とも共通)
1.門出
2.祝い船
3.夫婦春秋
4.涙のお立ち酒※
5.祝いしぐれ※
6.父娘坂※
7.祝い酒
8.関東一本〆※
9.娘よ※
10.寿三杯船※
11.祝い節
12.娘に…※
※は新録楽曲

初回限定盤と通常盤の2タイプあり、初回限定盤にはスリーブケースと写真集が付属する。「福田こうへいコンサート2021 10周年記念スペシャル」では、作詞・星野哲郎、作曲・吉幾三による「門出」を披露した。

2021年7月14日
10周年記念曲第2弾
福田こうへい「男の残雪」
福田こうへい

「男の残雪」
作詞/坂口照幸 作曲/四方章人 編曲/南郷達也
c/w「女舟」
作詞/麻こよみ 作曲/花笠 薫 編曲/南郷 也
キングレコード KICM-31027 ¥1,400(税込)

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