【連載】師匠と僕 村木 弾 第7回

「初レコーディング」

巨匠、故・船村徹先生の最後の内弟子である僕が、師匠との思い出の日々を紐解く。第7回目は、デビュー曲「ござる~GOZARU~」の初レコーディング。

 

2015年11月9日、都内のスタジオでデビュー曲のレコーディングが行なわれた。先輩達のレコーディングで先生に何度も同行し、何度も来たことのあるいつものスタジオだ。

だが、やはりこの日は今まで味わったことのない雰囲気であった。いつもであれば、先生の表情や動きを見て飲み物を出したり、葉巻や灰皿を準備するために動いていた自分が、今日はマイクと譜面台が置かれた静かな部屋に一人立っているのである。イヤホンからはさまざまな楽器が音合わせする音、ミキサールームで打ち合わせする声などなど……。少し大袈裟だが、波が荒れ狂う海岸の崖っぷちに一人ぽつんと立たされたような感覚だった。

船村 徹先生、舟木一夫さん、先生の奥様、日本コロムビアのスタッフの方々が見守るなか、レコーディングは始まった。バンドを指揮していただいたのは、船村先生御子息であり、作・編曲家の蔦 将包先生である。

船村先生(右)、舟木一夫さん(左)とデビュー曲のレコーディング時に撮影した貴重な3ショット

何度も先生、舟木さんからアドバイスをもらい、レコーディングした音源を聴いたり、歌いなおしをするなどして、約3時間ほどでレコーディングは終了した。

正直、その際、どのようなアドバイスだったか、どんなことを言われたかの記憶がない。それほど時間があっという間に過ぎ、ひたすらに唄っていたのだと思う。ただ、帰り際、舟木さんから「弾らしく、気持ちよく歌えばいいヨ」と声をかけられた。この“弾らしく”という舟木さんからの言葉は、デビューから3年たった今でも、常に心がけていることである。こうして生まれて初めて、村木 弾としてのレコーディングが無事終わった。

このレコーディングの数日後、私は船村先生との最後の旅となった北陸金沢へと出発する。

 

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船村 徹氏
昭和7年、栃木県船生村生まれ。昭和24年、東洋音楽学校(現東京音楽大学)ではピアノ科に学ぶ。昭和30年、春日八郎のデビュー作「別れの一本杉」で作曲家デビュー。その後、数々の名曲を世に送り出し、作品数は約5000曲以上とも言われる。歌謡曲の作曲家として初めて文化勲章を受章。2017年〈平成29年〉2月16日永眠。

 

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2020年7月29日発売
酒場のギター演歌で勝負!
村木 弾「ほろろん演歌」

村木弾ほろろん演歌

「ほろろん演歌」
作詞/菅麻貴子 作曲/徳久広司 編曲/杉村俊博
c/w「男さすらい」
作詞/高田ひろお 作曲/徳久広司 編曲/杉村俊博
日本コロムビア COCA-17784 ¥1,227+税

「ほろろん演歌」は“望郷”と“酒”がテーマ。過去5作品とは異なる、酒場のギター演歌と言える作品。路地裏の酒場に昭和のギターの音色が流れるなか、都会暮らしに慣れても、時には故郷(くに)が恋しいくなる主人公の気持ちを歌っている。カップリング曲の「男さすらい」は、高田ひろお氏が山でも海でもなく、空をテーマに四行詩を書き上げ、徳久広司氏が三拍子のメロディーをつけた。雄大なメロディーに乗せて男の生き様を表現している。


INFORMATION
私設「村木弾ファンクラブ」(弾む会)ご入会案内

◆設立日:2018年4月18日(水)
・入会金不要
・年会費2,000円(税込) 毎年期間4月1日~3月31日
•新規ご入会の初年度は入会月により変動いたします。
・継続更新時(毎年4月1日)は年会費¥2,000(税込)となります。
・再度ご入会の場合は入会月を問わず年会費¥2,000となります。

◆入会特典
会員証の発行・入会記念ポートレートプレゼント
会報の発行(年間3回程度)
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◆私設「村木弾ファンクラプ」(弾む会)ご入会ご希望の方
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私設「村木弾ファンクラプ」(弾む会)・事務局
TEL 090-8101-8196
〒256-0812神奈川県小田原市国府津2-2-3
萩原保子




Profile
村木 弾(むらき・だん)
1980年秋田県生まれ。鳶職、現場監督の仕事に従事していたが、2003年、歌手を目指して故・船村徹氏の最後の内弟子となる。2016年に、作詞&プロデュース・舟木一夫、作曲・船村氏による「ござる〜GOZARU〜」でデビュー。

日本コロムビア 村木弾ページ
村木弾 公式Twitter