松川未樹「私らしくて」~等身大の私~

松川未樹の新曲「私らしくて」は作詞家としてのデビュー作ともなった。松川自身が日誌に綴ったフレーズが作曲家・杉本眞人氏の目に触れ、曲となった。「誰かに見てほしくて書いたわけでない」という松川の言葉はストレートで、心に響いた。新曲は歌手・松川未樹の生きる力でもあった。

 

まずは、松川未樹が古伊志(こいし)のペンネームで作詞した「私らしくて」の公式MVを聴いてほしい。

 

――新曲「私らしくて」は演歌ではなくポップスよりの曲ですね。ご自身で作詞もされていらっしゃいます

松川 まさか自分の詩が曲になるなんて考えていませんでした。今作の作詞は偶然なんです。書くことは好きでいつも日誌をつけていたところ、その一部がたまたま杉本先生に渡ったことが縁で曲をつけてくださいました。初めに聞いた時は自分の言葉に命が吹き込まれるんだとうれしかったですね。

――「泣いても いいよ 男の涙も悪くない」とか「明日が見えない 世の中だから」など、誰もが背負っている人生を感じますし、コロナ禍でもある今の時代にもぴったりなフレーズも並びますね。

松川 キャンペーンで全国を回っていると、最近は女性が男性を励ます様子を結構見るようになりました。男性も弱さを見せてもいいんじゃないかなあと思っていました。ですから「明日が、見えない」のフレーズはたまたま時代にマッチした感じですね。そして、本当に残念なのですが、今年の5月に大好きだった祖母が亡くなってしまいました。おばあちゃんとの思い出の言葉や、最後まで自分らしく生きた祖母の生き方、その日の父の涙のことを日誌に書いていたところ、『その言葉、未樹らしくていいね』と、杉本先生におっしゃっていただき、「私らしく」ができあがりました。タイトルは先生につけていただいたものです。

――松川さんのおばあ様はどのような方でしたか?

松川 多くの人に慕われていて、脳梗塞で倒れても病室で家族に『ありがとう』と言って旅立っていきました。脳梗塞の病棟では自分の体が思うようにならない患者さんに、看護師さんが『いいんだよ、いいんだよ』と声をかけていました。その言葉が温かくて心に響いて、祖母もきっと最後まで自分らしく生きたんだなあと思いました。ですから、歌詞では“素直に生きて、いいじゃない”と、そんな思いが込められています」

――ワンハーフの作品となっています。とくに曲の後半は、「私らしくて・・・」という言葉が繰り返されます。人にはそれぞれ人生がある、という思いを感じさせられますし、人生の応援歌にも聴こえます。

松川 ゆったりとしたテンポが余計にそのように感じさせるのかもしれませんね。今まで歌ってきた演歌と違って自分の思いをストレートに表現しているので、歌い方も毎回少しずつ変わってもいいのかなとさえ思います。私にとっては新しいチャレンジです。

松川の等身大の思いが綴られた「私らしくて」。松川は”あたしらしくて”と歌っているが、松川が歌手人生を重ねる中で、その時その時の「私らしくて」を聴けそうだ。この曲がどんなふうに変化し、味が加わり、聴く人に勇気を与えてくれるのか? その熟成も楽しめそうだ。

(文=高橋真里)

 


2020年10月7日発売
等身大の言葉に元気がもらえる

松川未樹「私らしくて」

「私らしくて」
作詞/古伊志(こいし) 作曲/杉本眞人 編曲/川村栄二
c/w「あんな男なんて」
作詞/Kaori 作曲/杉本眞人 編曲/川村栄二
c/w「祭りだ!和っしょい」
作詞/荒木とよひさ 作曲/杉本眞人 編曲/川村栄二

松川未樹が初めて作詞に挑戦した「私らしくて」は、日々の気づきや思いを綴った日誌から生まれた。男が泣いたっていいじゃない。夢が叶わなかったっていいじゃない。信じた夢に向かって自分らしく生きたらいいじゃない。そんな思いが松川自身の言葉で綴られている。ぜひ、歌詞にも注目してほしい。

古伊志(こいし)は、松川のペンネーム。恩師である岡 千秋氏に、今作の報告にうかがったところ、岡氏から名前をいただけることになったという。「最初は違う名前が候補にあがったのですが、奥様が岡先生のお家の家系図の中に“古伊志”というおばあさんの名前があって、“おしゃれだな”って思ったことを覚えておられて。最初、先生は「そんな名前、あった?」 っておっしゃっていましたけど(笑)、ご先祖様のお名前をいただくことになりました。私もとても気に入っていまして、漢字もそのまま使わせていただきました」(松川)。

カップリング曲「あんな男なんて」は、Kaori名義で香西かおりが詞を提供し、杉本眞人氏が作曲した。少しお調子者で、涙もろくて、笑顔が素敵な男に未練がありつつも、別れを決意した女性の叫び“あんな男なんて”を歌う。もうひとつの「祭りだ!和っしょい」は昨年リリースした作品。“YOSAKOIソーラン祭り”の総踊り曲として、子どもから大人までが楽しく踊れるお祭りソングとなっている。ちなみに総踊りとは、YOSAKOIソーラン祭りのフィナーレに、参加チームや観客の区別なく、そこいる全員が参加して踊ること。


INFORMATION

松川は昨年「祭りだ!和っしょい」を引っ提げて全国のYOSAKOIソーラン祭りを回った。今年はコロナ禍により全国で祭りが中止となっているが、松川は再び、YOSAKOIソーラン祭りの総踊りで、「祭りだ!和っしょい」が歌える日を待っている。

“YOSAKOIソーラン祭り”総踊り曲「祭りだ!和っしょい」DVD 希望者全員プレゼント
みんなで踊ろう! “YOSAKOIソーラン祭り”総踊り曲「祭りだ!和っしょい」の、一般向け振付の映像を収録したDVDを希望者全員にプレゼント中。
申し込み方法などの詳細は日本コロムビアの公式HPまで
https://columbia.jp/artist-info/matsukawamiki/info/72349.html
 

 
 


profile
松川未樹(まつかわ・みき)
1980年12月15日、埼玉県生まれ。祖父の影響から3歳の時に「氷雨」を歌い、将来、歌手になることを夢見る。1988年から日本テレビ音楽学院へ通い、歌、ダンス、演技の勉強を行う。1990年、ミュージカル『アニー』のペッパー役に抜擢。1998年、作曲家の岡 千秋氏と出会い、レッスンを受けるようになる。2007年7月、「おんな浜唄」でデビュー。同年の日本有線大賞・新人賞を受賞。2009年、「松川未樹ファーストコンサート2009」を全国6カ所で開催する。2016年、デビュー10周年記念アルバム「未樹の歌の旅…」が日本レコード大賞・企画賞を受賞。2019年5月、令和元年記念として「祭りだ! 和っしょい」を発売。YOSAKOIソーラン祭りの総踊り曲となり、全国のYOSAKOIソーラン祭りを回る。2020年、「私らしくて」をリリース。古伊志(こいし)のペンネームで初めて作詞に挑戦した。松川は文章を書くことが好きで、長年、日誌や日記をつけている。「私らしくて」は松川が日誌にしたためた文章が作曲家・杉本眞人氏の目に留まり、曲となった。