【連載】師匠と僕 村木 弾 第13回

「一年目を振り返って」

巨匠、故・船村徹先生の最後の内弟子である僕が、師匠との思い出の日々を紐解く。デビュー1年目も終わろうとしていたその時、船村先生の文化勲章受章の知らせが舞い込んできた。

 

60年を超える作曲家生活のなかで、5500曲以上の作品を世に残し、数々の賞を受賞されてきた船村 徹先生。歌謡曲の作曲家として初めて”文化勲章”を受章されたことに、みんなで喜んだ。そして、さすがうちの先生だなと、僕は思った。

親友・高野公男先生とともに苦労しながら創作活動を続け、26歳という若さでこの世を去った高野先生との別れ……。悲しみを乗り越え、一本道をずっと走り続けてきた船村先生。その努力が認められ、文化勲章というすばらしい章を受章した先生を誇りに思う。

授章式が終わり、先生の定宿である東京九段下・ホテルグランドパレスでお祝いの会を開くため、先生のご家族と内弟子が集まった。その時の先生の笑顔は、今でも忘れられない。モーニング衣装のままでグラスを傾ける先生は、とってもうれしそうだった。

文化勲章受章のお祝いの席にて、船村 徹先生と内弟子五人の会メンバーで記念撮影

デビュー一年目。2016年2月17日、「ござる~GOZARU~」で世に出た僕は、たくさんの人たちとの出会いがあり、大先輩・舟木一夫さんの大阪一カ月公演に出演させていただいて、大きな経験を積むことができた。全国キャンペーンでも多くのことを勉強させていただき、船村先生の演歌巡礼を継ぐ一員にも加えていただいた。

一人の唄い手がステージに立つためには、何十何百という人たちの支えがあって、初めて唄うことができているんだなと実感した。

「人に対して感謝の気持ちを忘れるなヨ」

楽想館で過ごした内弟子時代。船村先生が僕に毎日、そう言っていた意味が、やっと理解できたような気がした。

あっという間に過ぎた一年目であった。大きな怪我や病気もなく、”村木弾”としての最初の年が無事終わろうとしていた。そして、船村先生の文化勲章受章。僕にとって充実した、また、とてもうれしい一年であった。

 

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船村 徹氏
昭和7年、栃木県船生村生まれ。昭和24年、東洋音楽学校(現東京音楽大学)ではピアノ科に学ぶ。昭和30年、春日八郎のデビュー作「別れの一本杉」で作曲家デビュー。その後、数々の名曲を世に送り出し、作品数は約5000曲以上とも言われる。歌謡曲の作曲家として初めて文化勲章を受章。2017年〈平成29年〉2月16日永眠。

 

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2020年7月29日発売
酒場のギター演歌で勝負!
村木 弾「ほろろん演歌」

村木弾ほろろん演歌

「ほろろん演歌」
作詞/菅麻貴子 作曲/徳久広司 編曲/杉村俊博
c/w「男さすらい」
作詞/高田ひろお 作曲/徳久広司 編曲/杉村俊博
日本コロムビア COCA-17784 ¥1,227+税

「ほろろん演歌」は“望郷”と“酒”がテーマ。過去5作品とは異なる、酒場のギター演歌と言える作品。路地裏の酒場に昭和のギターの音色が流れるなか、都会暮らしに慣れても、時には故郷(くに)が恋しいくなる主人公の気持ちを歌っている。カップリング曲の「男さすらい」は、高田ひろお氏が山でも海でもなく、空をテーマに四行詩を書き上げ、徳久広司氏が三拍子のメロディーをつけた。雄大なメロディーに乗せて男の生き様を表現している。


INFORMATION
私設「村木弾ファンクラブ」(弾む会)ご入会案内

◆設立日:2018年4月18日(水)
・入会金不要
・年会費2,000円(税込) 毎年期間4月1日~3月31日
•新規ご入会の初年度は入会月により変動いたします。
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・再度ご入会の場合は入会月を問わず年会費¥2,000となります。

◆入会特典
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会報の発行(年間3回程度)
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私設「村木弾ファンクラプ」(弾む会)・事務局
TEL 090-8101-8196
〒256-0812神奈川県小田原市国府津2-2-3
萩原保子




Profile
村木 弾(むらき・だん)
1980年秋田県生まれ。鳶職、現場監督の仕事に従事していたが、2003年、歌手を目指して故・船村徹氏の最後の内弟子となる。2016年に、作詞&プロデュース・舟木一夫、作曲・船村氏による「ござる〜GOZARU〜」でデビュー。

日本コロムビア 村木弾ページ
村木弾 公式Twitter