水田竜子のそのわけは?~「そのわけは旭川」で明日へ生きる女心を表現~
来年歌手デビュー30周年を迎える水田竜子の新曲「そのわけは旭川」は、水田自身が実際に体験したエピソードから生まれた。そして、カップリングの「倉敷そだち」と共に作詞を手がけた水木れいじ氏、作曲の岡千氏、担当ディレクターの水川忠良氏が全員岡山出身という“岡山づくし”の作品となった。
一生懸命がんばらない!?
――今年は来年の30周年に向けての1年を過ごしておられると思います。歌に対する思いなど何か変化はありましたか?
水田 私はデビューした時から、とにかく「その時その時を一生懸命」という気持ちで歩んできました。性格なんですね。ずっとスポーツをやっていて、なんでも100%以上の力を出してやり切ってやるっていうのが、昔から私のやり方だったのですが、29年歌ってきて年齢を重ねてきた今、歌うことに関してはあえて100%以上の力を出さない方がいい時というのがあるんだと思うようになりました。今回の「そのわけは旭川」では、力を抜いて歌いました。歌う時に力を入れすぎないということが大切だということを、ここ何年かかけて学んで体に染みついてきたかなって思います。なんでもがむしゃらに歌うだけではなく、臨機応変に押したり引いたりするということが大切なんですね。
――新曲「そのわけは旭川」は、北海道・旭川(あさひかわ)で生まれた主人公の女性が、岡山県の城下町を流れる旭川(あさひがわ)を訪れるストーリーを歌っていますね。この作品が生まれたきっかけは何だったんでしょう?
水田 デビューした頃は、よくキャンペーンなどで岡山にお邪魔していました。私はお城が大好きで、一度“烏城(うじょう)”と呼ばれる岡山城に行ってみたいと思っていたので、仕事の合間にうかがいました。その時にお城の横を流れる川が「旭川」だっていうことを知って、私の故郷と同じ「旭川」だって思ったんですね。でも、地元の方からあの川は、“あさひかわ”じゃなくて、“あさひがわ”って濁点がつくんだよって教わったんです。もう20年近く前のことですが、そのことがずっと印象深く残っていて、「旭川(あさひかわ)で生まれた女性が、岡山の旭川(あさひがわ)に辿り着いて、同じ文字を見た」という歌ってどうでしょう? ってディレクターにお話ししました。それがきっかけになって、今回の曲づくりが始まりました。歌手の体験がきっかけになって、歌が生まれるなんてことは中々ないことなので、ちょっとうれしかったですね。
“そのわけは・・・途中下車した そのわけは”
――水木れいじ先生の歌詞はいかがでしたか?
水田 もう最初の歌詞の出だしの歌詞、“そのわけは・・・途中下車した そのわけは”にやられてしまいました。この一行に尽きるかなって思いました。水木先生は岡山出身ですが、岡山を題材にした曲を一度も書いたことがなかったそうですが、今回は「竜子ちゃんのためだったら、頑張って書いてみるよ」って言ってくださいました。そして出来上がった歌詞がこの出だしなので、感動しましたね。演歌・歌謡曲の歌い出しが “そのわけは・・・途中下車した そのわけは”という謎解きのようなフレーズで始まるなんて、とても斬新。なんて素晴らしいんだろうって思いました。冒頭にこの言葉を持って来られた水木先生の力は、やっぱりすごいですね。
――作曲の岡千秋先生も岡山出身だそうですね。
水田 最初に制作ディレクターの水川忠良さんにその話をした時に、「俺も岡山出身だし、こうなったら全員岡山出身者でつくろう」っていうことに! 岡先生は最初からノリノリで「いい曲書くから楽しみに待ってて!」とおっしゃってくださいましたが、本当に素晴らしいメロディでした。今回は、簡単なようで簡単じゃない、そんなメロディを考えてくださり、とってもオシャレでドラマティックな曲になりました。
ナレーション目線で歌う「そのわけは旭川」
――レコーディングはいかがでしたか?
水田 意外とスムーズでした。今回、岡先生から「練習してくるなよ!」って言われていました。私の良さをいちばん引き出すためには、歌い慣れしていない方がいいという考えです。歌手がいいと思って歌っていることが、必ずしもいいとはかぎらないんですね。私の何倍もの人生を曲づくりに費やしている先生方やスタッフの考えは勉強になるので、私は皆さんの考えをうかがって歌うようにしています。
――傷心の女心を歌っていますが、この主人公をどう演じましたか?
水田 主人公を演じるというより、一歩引いてナレーターぐらいの気持ちで歌う方がちょうど良いと思って歌いました。そう思っていても感情は入るものなので、この主人公はどういう人なのかなっていうのをナレーション目線で想像しながら歌っています。北の女性って結構強いイメージがありますが、北で生まれたしんぼう強い女性が「もう旭川にはいられない」と思うほどのつらい恋をして、旭川を捨てて旅に出ます。その女性が旅をしていく中で、ふと何かに迷ったのか途中下車をして、そこで目にしたのが旭川(あさひがわ)という文字でした。その文字に導かれるように、主人公は「もう一度旭川に帰ったら、あの人とやり直すことができるかもしれない」と考えます。水田先生は、未来に向けて一歩進んで行こうする女性を描いてくださったんだと思います。
――最後の歌詞の“明日(あす)へ旅立つ 始発駅”が印象的です。
水田 私の中では、ここで折り返して、今までの自分は忘れて新たに北へ向かって旅立とうという主人公の人生の“心の始発駅”なんだと思いました。
デビュー30周年へと続く道
――カラオケで歌う時のアドバイスをいただけますか?
水田 やはり感情を入れすぎずに歌うことですね。この作品は一つの短編映画のような流れになっているので、最初の歌い出しの“そのわけは・・・途中下車した そのわけは”の部分は、とくに力を抜いて語るぐらいの気持ちで歌うようにしてください。デビュー当時の私みたいに最初から飛ばし過ぎると途中で保たなくなってしまうので(笑)、飛ばし過ぎずバランスよく歌ってくださいね。
――ファンの皆さんへメッセージをお願いいたします。
水田 今回の「そのわけは旭川」は、私の思いが形になった作品ですので、とても思い入れの強い曲なりました。とく来年は30周年ですので、その道へ続く大切な一曲です。「そのわけは旭川」という曲をたくさんの方に生で聴いていただきたいですね。そして、私の生まれ故郷の「旭川」と岡山の「旭川(あさひがわ)」を知っていただき、行ってみたいと思ってもらえるように歌っていきたいと思います。
――30周年へ向けての今後の意気込みを教えてください。
水田 特別な何かということは考えず、2年ぶりに私のステージを観に来てくださるファンの皆さんの期待に応えたいと思っています。私自身もやりたいことがたくさんあるので、じっくりと内容構成を考えて30周年記念のリサイタルを開催したいですね。やっぱり私が楽しんでいる姿を見ていただき、楽しんで歌を聴いてくださることがいちばん。楽しく、活き活きがんばって歌う私を30周年のリサイタルで感じてもらいたいですね。「25周年の時よりも変わったね!」って言ってもらえるようこれからも頑張っていきます。
2022年8月10日発売
水田竜子「そのわけは旭川」
北海道・旭川(あさひかわ)で生まれた主人公の女性が、岡山県の城下町を流れる旭川(あさひがわ)を訪れる・・・2つの「旭川」が重なった時に主人公が思うこととは? 表題曲「そのわけは旭川(あさひがわ)」は、水田竜子のアイデアを元に曲づくりされた作品。しかも、作曲の岡千秋氏(岡山県備前市出身)、作詞の水木れいじ氏(岡山県岡山市)、制作ディレクターの水川忠良氏(岡山県倉敷市出身・倉敷観光大使)の制作陣が全員岡山出身という岡山づくしの作品でもある。カップリング曲の「倉敷そだち」も舞台は岡山県。倉敷出身の想い人に一目逢いたいと倉敷を訪れた女性の心情が歌われている。
「倉敷そだち」はどんな曲?
水田竜子 「倉敷そだち」もカラオケが好きな方なら絶対に歌いたいと思う作品です。岡先生の王道の演歌になっていて、そこに水木先生の倉敷の歌詞がマッチしています。歌っていて気持ちよくなる要素がすべて詰まっている作品だと思います。私自身、歌った時に本当に気持ちよくて、スカッとする感じでした。この機会に倉敷を訪ねて、じっくりと街を歩きたいと思わせてくれた作品です。
Profile
水田竜子(みずた・りゅうこ)
1977年1月4日、北海道旭川市生まれ。歌好きな母の影響から、幼少の頃からレッスンに通い、数々のカラオケ大会で優秀な成績を収める。1993年、NHK『のど自慢』のグランドチャンピオンを受賞。1994年、17歳の時、キングレコードより「土佐のおんな節」でデビュー。2018年には、東京・浅草公会堂にて25周年記念リサイタルを開催。着物姿に加えて、自身のスタイルを生かしたドレスでのパフォーマンスも評価が高いことから、演歌だけではなくポップスナンバーも今後は発表していくという。2023年にデビュー30周年を迎える。特技は料理。明るく朗らかな性格だが、本人曰く、「意外とネクラ」。愛猫は黒猫ジーナと16歳のミュウ。
水田竜子 公式ホームページ
水田竜子 公式ブログ
水田竜子公式Twitter
キングレコード 水田竜子ページ