藤井香愛が羽ばたく!~5thシングル「夢告鳥」で全世代に歌姫の歌声を~
前作の「一夜桃色」に続き、幸耕平氏と及川眠子氏というヒットメーカーがタッグを組んだ藤井香愛の新作「夢告鳥」が発売された。今年デビュー5年目を迎える藤井は、2022年度の日本レコード大賞「日本作曲家協会選奨」を受賞し、令和の歌謡ディーヴァ(歌姫)として確実に実力をつけている。そんな彼女が女性の自立や強さ、夢に向かって羽ばたいていく様などを歌った楽曲。藤井に新曲への想いを聞いた。
夢を告げる鳥
――今回の新曲「夢告鳥」はどのような曲でしょうか?
藤井 今作の主人公は、好きな男性から愛で守られたり、縛られていたりするだけが幸せじゃないと気づいた、強い女性の自立していく歌です。「夢告鳥(ゆめつげどり)」というタイトルは、作詞の及川眠子先生がつけてくださいました。ウグイスのことを春告鳥とも呼ぶようですが、「夢告鳥」は主人公が自立して夢に向かって羽ばたいていくことからつくられた造語だそうです。
――素敵なタイトルですね。
藤井 ありがとうございます。でも、このタイトルだけを先にファンの皆さんにお知らせしていた時には、「演歌だと思った」っていう声が多かったですね。漢字3文字って、少し演歌っぽくもありますし、路線変更したのかと思われていたみたいです(笑)。
――実際はかっこいいロックテイストな歌謡曲に仕上がっていますね。
藤井 前作「一夜桃色」などは、フワッとしたかわいらしい女性がイメージの曲だったんですけど、今回は、鳥が夢に向かって自立して、強く羽ばたいていくというイメージです。歌い方もちょっと強さを出して、かっこよく歌えるよう、幸耕平先生にレッスンしていただきました。
主人公の姿に共感しました
――その前作「一夜桃色」に続いて、今回も幸耕平さんと及川眠子さんのタッグとなりました。
藤井 幸先生、及川先生は、今までにもヒット曲をたくさん書かれている方で、より多くの人に愛される(売れる)曲を第一に曲づくりをされているという印象です。特に幸先生には3年以上レッスンをしていただいているんですが、先生の曲づくりを間近で見ていると、どうしたらヒット曲ができるのかっていうことを常に考えておらるのがわかります。演歌・歌謡曲だけじゃなくて、King Gnuさnやヒゲダン(Official髭dism)さんのようなポップスも聴かれて研究されています。なおかつ、今の私の年齢や、レッスンをしていただくなかでできてきた私の声に合うような、今ベストに歌える曲っていうのをつくっていただけていると思います。
――藤井さんと言えば、低音が魅力の1つでもありますが、この曲ではのびやかな高音も印象的でした。
藤井 たとえば、サビの「私じゃなくてもいいのなら」の部分などは、かなりキーが高くて大変でした。少しキーを下げて歌ってみたりもしたんですけど、「やっぱりなんか違うんだよね」と言われて。少しの違いでも、イメージが変わってしまうみたいです。だから今回も自分としてはすごく高い音まで使ってるなと思いますね。歌い込んでいくうちに、もっとよく聴こえるようにたくさん勉強したいと思ってます。大変だったところと言えば、この曲はテンポが速くリズム感のある曲なので、リズムを感じながら歌うところ。すごく難しかったですね。
――この「夢告鳥」で、好きなフレーズはありますか?
藤井 いっぱいあるんですけど、ちょっと衝撃を受けたのが、2番のAメロにある「いつの間に忘れてた 傷つく自由さえ」っていう歌詞です。「傷つく自由」ってなんだろうって。でも、この歌の主人公が飛び立っていく前の状態、つまり好きな人に束縛されているような、相手に合わせちゃうような部分には、自分自身にも共感できるところがあるなと思って。
――何かを言われても、これは自分のために言ってくれてるんだって考えてしまうような?
藤井 そうですね。そういったことが、「傷つく自由さえ」っていう言葉につながってくるのかなと思いましたし、そこにちょっと共感できました。それから、主人公が自分の夢を追っていきたいっていう気持ちで、恋人から離れていくというシチュエーションにも共感できました。ここまで強く、自分は思えないかもしれないけど、だからこそこの主人公はすごくかっこいいと思いますし、女性として尊敬できますね。
詞と曲のマリアージュ
――カップリング曲の「ラストノート」についても聞かせてください。
藤井 この「ラストノート」という言葉なんですが、これは香水の一番最後に香る香りのことなんです。つけたての最初の香りが「トップノート」、その後に変化してきた香りが「ミドルノート」、そして最後の消えかけてくる香りが「ラストノート」というんです。
――この作品は香水の香りをモチーフにした歌なんですね。
藤井 前作の「一夜桃色」も、及川先生に書いていただいたんですけど、実はこの曲は「一夜桃色」の続きというイメージで書いてくださったとうかがいました。「一夜桃色」の主人公は、初めての恋ではないけれど、新しく恋をした時は、初恋の気持ちであなたの色に染めてほしいという歌だったんですね。それで、その初恋の時のように燃え上がった2人のその後が描かれています。
――あの曲の2人は今も幸せを感じている?
藤井 そうなんです。歌詞にも、「あの昨日までのつらい片思いまるで嘘みたい」とか、今までの2人の歴史が感じられる歌になっています。ただ、詞を初めて読んだ時は、なんというか大人の世界といった感じの内容だったので、衝撃を受けましたね。どういうふうに歌ったらいいんだろうって。
――2番の「シーツの海のなか 綺麗なサカナになって」など、とてもきれいですが、セクシーですね。
藤井 本当に衝撃的でした。でも、歌詞を全部読んだ後に、幸先生からのデモの音源を聴かせていただいたら、それが本当にすごくかわいらしくて、優しいメロディーでした。アダルティな感じが強く迫ってこない。まるで子守唄みたいにすーっと聴けて、曲と詞のマリアージュ(フランス後で結婚)って言うんでしょうか、本当にすごいなって思って。優しいメロディーに、こういう歌詞が乗るからこそ聴きたくなるんだと思います。
――ちなみに藤井さんにとってのラストノート(残り香)はどんな香りですか?
藤井 爽やかな香りですかね。あんまり甘ったるいという感じではなく、割と爽やかな…ファブリーズとかで、よく青空の香りみたいのあるじゃないですか。
――香水じゃなく、消臭・除菌剤・・・!?
藤井 確かに(笑)。なんだろう、消臭剤や柔軟剤につけられた香りっぽい、青空のような優しくて爽やかな香りっていう感じですかね。最後の歌詞にありますが、彼氏が帰った後の残り香を抱いてひとりで笑っているシーンとか。すごくかわいいですよね。
――レコーディングはいかがでしたか?
藤井 「ラストノート」は、自分の歌い方の癖をいっさい封印して、しつこく聴こえないように歌うことを意識しました。ストレートに、かつかわいらしい女性に聴こえるように、声質なども「夢告鳥」とはまったく違う声で歌うように心がけました。
――実際に聴かせていただきましたが、「夢告鳥」とはまったく違った表現で驚きました! ワンポイントレッスンをいただけますか?
藤井 幸先生からはあまり歌いすぎず、1人で呟いたり、彼に話しかけてるように歌うということを指導していただきました。たとえば歌い出しの「ほのかにまだ部屋に残る」という部分。ゆったりした曲調なので「ほのかにーまだ部屋にー残るー」って伸ばして歌いたいところですが、「それだと長い。普段、そんなふうに伸ばしながら話さないでしょう」と指摘されました。本当にポツリポツリと呟くような感じで歌うといいと思います。
未来へ向かって大きな一歩を
――2018年7月に「東京ルージュ」でデビューされて、5年目となりますが、昨年末には日本レコード大賞の日本作曲家協会選奨を受賞されました。おめでとうございます。
藤井 ありがとうございます。事務所から受賞の連絡をいただいた日、私はちょうどオフの日で、父とソファに座りながらYouTubeで落語の動画を見てたんです。電話が来た時は本当にうれしくて、すぐ真横にいた父に報告したら、「おめでとう」って握手してくれました(笑)。その時ちょうど出かけていた母にはLINEで報告したんですが、「踊りたい! 乾杯したい!」ってすごく喜んでくれました。
――藤井さん自身はいかがでしたか?
藤井 もう夢みたいです! でも、あとで日本作曲家協会のホームページに掲載されている、日本レコード大賞各賞の内容を見ると、日本作曲家協会選賞は、次世代を担うと期待されている歌手に贈られると書いてありました。この賞をいただけたからゴールじゃなくて、ここからまたさらに頑張っていかなきゃいけないなっていう気持ちが強くなりました。
――最後に今年の抱負を聞かせていただけますか?
藤井 いつもは小股でもいいから一歩一歩確実にというタイプなんですが、今年は5周年なので、歌手としてもっと大きく一歩を踏み出していけたらいいなと思います。それから、デビューした当初から同年代の方や若い世代の方にも聴いていただける歌謡曲を歌いたいと思っていたので、今まで応援してくださったファンの方はもちろんですが、同年代、同世代の方にもたくさん聴いてもらえるような歌手になれたらうれしいなと思います。
(文=鳥嶋えみり)
2023年1月11日発売
藤井香愛「春告鳥」
作曲家・幸耕平氏と、作詞家・及川眠子氏という2大ヒットメーカーがつくる、藤井香愛の新曲「夢告鳥」。愛という鳥かごに閉じ込められていた1人の女性が、自分の羽で飛び立ってゆくまでを描いたロック調の一曲だ。しびれるようなエレキギターの伴走に乗せた藤井の歌声は、往年の山口百恵や中森明菜を彷彿とさせる。カップリング曲は「ラストノート」。一転して、ゆったりと流れるメロディーで描かれるのは、まっすぐに相手を想う、女性のかわいらしい恋心だ。前作「一夜桃色」の続編として描かれた作品。
Profile
藤井香愛(ふじい・かわい)
1988年7月26日、東京都生まれ。小学2年からダンスや歌のレッスンを始める。高校時代には読者モデルを経験。2008年には東京ヤクルトスワローズ公認パフォーマンス・アーティスト「DDS」に参加。公認サポーターソングを歌うユニット「DAD’ S」ではメインボーカルを担当。2017年、「徳間ジャパン×ラジオ日本オーディション 歌姫、歌彦を探せ!!」に挑戦。ファイナリストとなったことがきっかけで、2018年、「東京ルージュ」で念願のソロデビュー。キャッチコピーは”新時代“令和の歌謡歌姫(ディーヴァ)”。2020年に「日本作曲家協会音楽祭・2020」奨励賞を受賞。2021年7月には地元である東京・中野区の野方区民ホールで「デビュー3周年記念ファーストコンサート~中野より愛を込めて~」を開催。2022年は4枚目のシングル「一夜桃色」を発売。同年5月に地元の「なかのZERO小ホール」でセカンドコンサート「藤井香愛コンサート~中野より愛を込めて~第二章」を開催。年末に「第64回 輝く! 日本レコード大賞」の日本作曲家協会選奨を受賞。
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