藤原浩

藤原浩が魂のレコーディング。「命の限り ニューバージョン」で凜としたスケール感を!

デビューから28年、ますます歌に円熟味を増した実力派演歌歌手の藤原浩が「命の限り ニューバージョン」を発売した。2019年に発売した「北のさすらい」のカップリング曲として収録された「命の限り」だったが、根強い人気に応え、歌詞もアレンジも新たに、魂の再レコーディングを行った。3年間、ステージでもエンディングに歌い続けてきた人生の歌を、ニューバージョンとして世に放つ。

「命ある限り信じて歩き続ける」をメッセージテーマに!

――新曲「命の限り ニューバージョン」は2019年にリリースされた「北のさすらい」のカップリング曲として収録された作品です。今回、表題曲となりました。

藤原 コロナ禍の中で一年以上が過ぎ、秋が来たら新曲を出させていただくお話でした。ただ、こんな時勢の中なので、何かお客様にアピールできないかと考えました。通常の演歌を歌ってもお客様に響かないんじゃないかと。ふと浮かんだのが、3年前に出した「命の限り」のことでした。皆様に当てはまるような人生観を歌っているので、この曲をA面としてもう一度出したいと提案させていただきました。この曲は私自身の人生観を書いていただいた作品でしたが、現代の「マイウェイ」のような作品にしたいと思い、歌詞の中の一人称を「俺」から「私」に変えました。女性の方々でも感銘して聴いてくれる、歌ってくれると思ったんです。それで作詞家の円先生に了承していただき、新たにレコーディングすることができました。

――ご自身のことをテーマに円香乃先生に依頼した歌詞だそうですね。

藤原 もう10年ぐらい前に僕が自分の人生の歌を書いてほしいとお願いし、できた歌詞でした。ただ、その時は作品として採用されなかったんですが、3年前に「北のさすらい」をリリースする時、私から自分の人生観を歌った歌、そしてショーのエンディングに相応しい歌を出したいと希望したところ、円先生の方から、あの詞はどうかと提案があり、カップリング曲に採用されました。念願が叶っての作品だったので、私も3年前に初めて、作品としての歌詞を目にした時は、とてもうれしかったですね。自分そのままの人生観が書かれていました。円先生とも長いお付き合いなので、私のことをよく理解してくださっていたのだと思います。創造の世界の歌詞ではありません。本当にジーンと来ました。この歌は、いつ歌っても母のことを思い出しますし、別れた人のことも思い出します。自分の人生の歌なのですが、皆様にも共鳴してもらえる内容です。

――ニューバージョンとしての再レコーディングでは、アレンジも壮大ですね。

藤原 アレンジの伊戸のりお先生が、表題曲になるなら、前回のシンセサイザーを使ったホルンの音ではなく、生のホルンを入れてもっと壮大なアレンジにしようと言ってくださいました。伊戸先生のアレンジャーとしてのこだわりとして、楽器を使うことで温かく、かつ壮大な音になるからと提案され、作曲の徳久広司先生も共感してくださりレコーディングに挑むことになりました。二人の生ホルンの音が入った今回のニューバージョンと、前回の曲を聴き比べてみると、この3年間の自分の思いや人生観なりが新たにこの曲に凝縮されて詰まっていると感じました。でも、あまり入れ込みすぎて歌ってしまうと、ひとりよがりの歌になってしまうので、そこは気をつけて抑えながら歌うようにしました。今回、歌詞も少し変わり、アレンジも変わり、歌も3年前の歌い方とはまた変わりました。そんな「命の限り」のニューバージョンです。こんな時代だからキャンペーンもできず、皆様に届けるのも大変なのですが、多くの方に聴いてもらいたいですね。

藤原浩

ファンに支えられたからこそのニューバージョン

――2020年には還暦を迎えられましたが、「命の限り」という作品が自分に追いついてきたと感じましたか?

藤原 そうですね、今までは本当に地に足が着いていないまま20数年歌って来て、浮き沈みもあり、人に裏切られたり、悔しい思いもしたりしました。歌をやめようかと思ったこともありました。そんな私を励まし支えてくれたのがファンの方々です。そんなに大きなヒット曲もないまま28年も歌手を続けられているので、いろんな思いが交錯しています。「命の限り」までは自分が歩んできた人生を振り返るような歌をオリジナルとしては歌っていなかったので、とてもうれしいですね。徳久先生も、私の年齢にあったメロディーを書いてくださいましたし、今回はニューバージョンとして、本当にのびのびと歌えました。

――カラオケでもぜひ、歌いたいという人も多いと思います。

藤原 この曲の前半の部分は自分の歩いてきた道を振り返っているので、サビに至るまでは「語り」のように歌ってほしいですね。最初は抑えて歌って、作り過ぎないように。前半の部分は言葉を丁寧に、嚙みしめるように置いていく。そしてサビからはスケールを大きく大らかに歌ってみてください。

――カップリング曲の「学生時代を聴きながら」についてもお聞かせください。「学生時代」は1964年(昭和39年)にペギー葉山さんが歌われました。

藤原 カップリングは、思い切り自由に楽しくやろうということで作っていただきました。以前にも円先生に「早稲田松竹」(2010年「北国の赤い花」のカップリング。東京の学生街にある名画座をタイトルにした作品)という、学生時代のあの時の恋を振り返る女性目線の作品を書いていただいたのですが、「学生時代を聴きながら」は、男性目線の作品です。「昭和感の漂う懐かしいフォーク調にするから」と、徳久先生から作曲してくださいました。私もデモを聴いた時から自分なりの想像を膨らませて、ノスタルジックな昭和感を出して歌いました。多分、この曲が好きというファンの方も多く出てくるかなと思っています。自分のファン層は、ご年配の方々が多いので、きっと気に入っていただけるはずです。

――そんなファンの皆さまへひと言お願いします。

藤原 「命の限り」をニューバージョンとしてリリースさせていただきました。前回とは違う内容になっています。長く続く苦しいコロナの日々の中、この歌で少しでも前向きな人生を歩んでいただき、“命の限り”頑張って進みましょう、という思いで歌った人生の応援歌です。ぜひ自分の人生観と重ね合わせて聴いていただけたら本望です。

(文=小西康隆)

 

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2021年12月8日発売
藤原 浩「命の限り ニューバージョン」
藤原浩「命の限り」

「命の限り ニューバージョン」
作詞/円香乃 作曲/徳久広司 編曲/伊戸のりお
c/w「学生時代を聴きながら」
作詞/円香乃 作曲/徳久広司 編曲/伊戸のりお
キングレコード KICM-31042 ¥1,400円(税込)

「命の限り ニューバージョン~」は、ひたすらに歩いてきた人生の道のりをふと立ち止まって振り返った作品。ひさすらに歩いてきて、気がつけば何度も季節は流れていってしまったが、“命ある限り信じて歩き続ける”というメッセージを伝える。人生の応援歌的世界観を内包し、凛としたスケール感の心地よさに深く魅了される。カラオケ愛好家には、その日を締めくくる一曲、そして明日への一曲として歌っていただきたい楽曲だ。カップリング曲の「学生時代を聴きながら」は、かつてペギー葉山が歌った「学生時代」を聴きながら、青春時代の友、ラジオから流れていた流行歌、憧れのあの娘など、昭和時代をふと思い浮かべながら振り返る青春フォーク。抒情的で物語的。あの日の風がもう一度吹き抜けるような懐かしさと温かさに包まれる作品になっている。


Profile
藤原 浩(ふじわらひろし)
1960年6月23日、岡山県生まれ。20歳の時、長距離トラックのドライバーとなり、家計を支える。23歳の時、作曲家・遠藤実氏が主催する「日本円か道場認定会」に出場。遠藤氏から「東京に出て歌手にならないか」とスカウトを受けるが、一家の大黒柱であったため、決心がつかず断念。やがて生活環境も一人暮らしとなったことで、歌手へ夢を叶えるために遠藤氏に弟子入りを志願する。「今から来ても遅い」と断られるが、約一年間、遠藤氏の門を叩き続け、1991年、30歳の時に内弟子を許される。男性としては一節太郎、千昌夫に続いて3人目で、最後の内弟子となった。1994年、33歳の時にソニーレコードより「真情」でデビュー。ソニーレコードでは5枚のシングルを発売し、2002年、現在のキングレコードに移籍。2018年、「藤原浩デビュー25周年記念リサイタル~感謝の心を込めて~」を開催」。趣味は読書、ゴルフ、ラジコンカー。

藤原浩 公式HP
藤原浩 公式ブログ
キングレコード 藤原浩ページ

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