【大介兄貴が逢いたい‼】北川大介×神野美伽(3)
大介兄貴が逢いたい!!
神野美伽×北川大介
神野さんは歌詞の大切さや、歌詞に書かれていないことを歌手として表現することの大切さを大先輩から教えてもらったと言います。今は亡き村田英雄さんや島倉千代子さんのお話は貴重です。
文=川原田剛
◎想像するのが好きだから、いつも考えながら歌っています・・・神野美伽
北川 美伽先輩は何でも器用にこなされます。歌はもちろんですが、料理も芝居も、日本舞踊にダンスに、少林寺拳法や韓国語までできます。普段からすごく努力をされていてお忙しいのに、後輩が楽屋に挨拶にいけば「元気?」と優しい言葉をかけてくれます。
神野 だって、いつまでも居座るから(笑)。ちょっといいですかとか言って、ずっといるよね(笑)。
北川 僕らにとっては先輩とお話しができる貴重なチャンスじゃないですか(苦笑)。
神野 私が楽屋での過ごし方を教わったのは、村田英雄さんなんです。私も先輩には、「最初と最後はきちっと挨拶をしろ」と教えられてきたので、今でもそうしているけど、タイミングが合わずに3回も4回もご挨拶にうかがったり、時には楽屋の外で待ったりすることもあるよね。
北川 ええ、タイミングが合わない時はありますね。
神野 村田先生は楽屋の部屋のドアをいつも開けていました。だから、中の様子が丸見え。でも、中がうかがえると挨拶がしやすいし、楽屋からも外が見えるから、先生が「おいッ」と声をかけやすい。かけられた後輩も「はいッ」と返事してうかがえばいい。コミュニケーションがとりやすいから、結果としていいお仕事につながっていくんだよね。村田先生はこうおっしゃっていました。「やっぱり俺がいれば緊張するだろうし、楽屋に入って来づらいだろう。でも、ドアを開けっぱなしにしていれば誰だって入って来ることができる」と。あの偉大な先輩が、後輩たちにすごく気配りをされていたんです。素敵だなと感激しました。私自身、村田先生と楽屋で過ごさせていただいた時間は本当に幸せだったから、できるだけ先生の真似しているのよ。
北川 最近はそういう礼節が失われつつあるような気がします。今は“看板”の方よりも先に帰ってしまう後輩もいます。
神野 それは芸能界だけじゃなくて、どの世界でも同じだよ。私たちの時代は教えてくれる人や叱ってくれる人がいた。私もある先輩から歌い方を厳しく教えていただいたことがあった。それが今でも忘れられない。
北川 どなたから教えていただいたんですか?
神野 島倉千代子さんです。デビュー5年目ぐらいの頃かな。そんなにお話しをさせていただいたことがない雲の上の存在ですが、NHKの『歌謡コンサート』の本番前の音合わせの時でした。「ちょっと座りなさい」と言われ、「今、歌を聴いていたけど、何を歌った?」と質問されたので、曲名を答えると、島倉さんは「何を歌っているのか、全然言葉が伝わってこなかった。もう一回、よく考えてごらん」と。自分ではちゃんとできていると思っていたので、島倉さんの言葉はショックだった。
北川 そんなことがあったのですか?
神野 島倉さんは叱るだけでなく、ちゃんとアイデアも伝えてくれました。「マネージャーさんや付き人がいるでしょう。リハーサルでの歌を毎回録音してもらって聴いてごらん。今、私が言っていることがよくわかるわよ」って。実際に録音した音を聴いてみると、言葉が流れていた。すごく大事なアドバイスしてくださったんです。
北川 今日、先輩にお会いする前に「美伽先輩はどんな人ですか?」と、オトカゼのスタッフに聞かれました。「日本語をていねいに歌われる歌手です」と答えたんですが、その背景には、そんなエピソードがあったんですね?
神野 最初に師事した市川昭介先生も、言葉に関しては細かく教えてくださいました。私は非常に活舌が悪くて、先生に最初に言われたのが、言葉が届かないということ。大阪で生活していたこともあったと思いますが、例えば「半端じゃないぜ」という“ぜ”の語尾が言えなかった。あと、言葉に関しては、とよひさ先生と生活していたことも大きい。とよひさ先生には「語尾を大事に歌え」と教えられたでしょう?
北川 よく言われました。
神野 語尾をどう表現するのか、それはすごく大事なんだよね。私たち歌手の仕事は、歌詞に書いていないことを歌うことだと思う。小説じゃないので、歌詞として作詞家が書ける文字数には限界があるけど、本当は小説ぐらいに書きたいはずなんだよね。その作詞家の思いをどう歌で表現して伝えるか? どう想像して表現するのか? 想像するのがすごく好きだから、いつも考えながら歌っています。
【連載】大介兄貴が逢いたい!!「神野美伽」①
【連載】大介兄貴が逢いたい!!「神野美伽」②
【連載】大介兄貴が逢いたい!!「神野美伽」④
2020年9月23日発売
大人の恋心を描くバラード
神野美伽「泣き上手」
神野美伽のシングル作品としては初めてのタッグとなる松井五郎氏と都志見 隆氏による意欲作。哀愁と温かみにあふれたラブソングで、「泣くのは上手さ 泣くのは平気さ」という歌詞が何度も登場する大人の恋心を描いたバラードとなっている。
「新曲の作詞は松井(五郎)先生にお願いしました。カップリングの「こころに灯す火があれば」は具体的にこんなふうにしてほしいとイメージを伝えましたが、新曲の「泣き上手」と「どうしてますか」は、100%、松井先生が閃いて書いてくださった曲です。松井先生と私は同世代です。仕事をご一緒するうえで、自分のことを理解してほしいという気持ちもあったので、いろいろとメールをさせていただき、今、自分が不安に思っていることや、こんなふうに生きていきたいという思いを伝えさせていただきました。それを松井先生が作品にしてくださいました」(神野)
【プロモーションビデオ】神野美伽『泣き上手』
キングレコード公式【インタビュー】神野美伽「泣き上手」
泣き上手~Piano Version~
2020年10月7日発売
「神野美伽全曲集2021」
【収録曲】泣き上手/男船/春夏秋冬屋形船/酔守唄/浮雲ふたり/男の海峡/帰れないんだよ/若狭の女/鴎を売る女/みさお酒/黒髪/おんなの波止場/愛のワルツ/冬の月/男節/あんたの大阪
Profile
神野美伽(しんの・みか)
1965年、大阪府生まれ。1977年、「東西対抗チビッコ歌まね大賞」(テレビ東京)に出演したことがきっかけでスカウトされ、1984年、高校卒業を待って「カモメお前なら」でデビュー。作曲家の市川昭介に師事し、デビュー3作目の「男船」(1985年)が大ヒット。1987年に「浪花そだち」で『NHK紅白歌合戦』に初出場。以降、ジャンルにとらわれず、幅広いフィールドで活動。海外でも精力的にライブを行っている。趣味も多彩で、少林寺拳法二段、書道二段、日舞名取(花柳糸美之)、ハングル能力検定3級、小型船舶操縦免許1級などの資格を持つ。
「私は人よりも探求心が旺盛で、やろうと思ったら、すぐにやらないと気が済まない。明日にできない性格なんです。でも、何を挑戦するにしても遅いということはないと思います。私がニューヨークで歌ってみたいと活動し始めたのは48歳の時です。今も必死になって英語を勉強しています。妹にはせっかちすぎる、姉ちゃんと一緒にいると疲れると言われますけどね(笑)」
神野美伽オフィシャルYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCIzN8X2kENyX2mzffq-nUDg/featured
神野美伽B面-MIKA SHINNO side-B-
http://bit.ly/2WN9Fx9
コロナ禍にあって神野美伽はB面side-B-チャンネル内に「お家de音楽会」というコーナーを設置。ピアニストの小原孝氏とのコラボや、R&Bシンガーとのセッションなどを公開している。
2020年10月7日発売
北川大介「星空のツイスト」
北川大介が60’sロカビリー歌謡に初挑戦! これまでのムード歌謡調のソフトな歌謡曲とは打って変わって、60’sを思い出させるツイスト調のライブ感覚のあふれる作品で新たな一面を魅せる。
10月7日発売 北川大介 新曲「星空のツイスト」のジャケット撮影シーンを大公開!
10月7日発売の新曲「星空のツイスト」レコーディング現場に潜入しました【 昭和 の 演歌 歌手 北川大介 の だいちゃんねる 】
2020年9月2日発売
「北川大介全曲集~倖せの隠れ場所・菜七子~」
【収録曲】倖せの隠れ場所/アカシアの女/おまえだけなのさ/前橋ブルース※/男と女/横濱のブルース/水芭蕉/おまえを連れて/横濱の踊り子/横浜ルージュ/菜七子/心の真んなか母がいる/君の住む町で/本当のしあわせ/噂の湘南漁師町/愛をありがとう
(全16曲) ※は新録
profile
北川大介(きたがわ・だいすけ)
1970年9月8日、神奈川県生まれ。1999年、「前橋ブルース」でデビュー。昨年は五木ひろし氏が作曲した「倖せの隠れ場所」をヒットさせた。2020年はYouTubeデビューし、「元気がでる だいちゃんねる」を開設。トークあり、歌唱あり、料理コーナーありと盛りだくさんの内容。また、10月7日に新曲「星空のツイスト」をリリース予定。北川自身、初挑戦となるテイストの作品で、“胸キュン”など、懐かしい流行語が歌詞に散りばめられている。