中村美律子が約9カ月ぶりに単独コンサート。「人情と根性でコロナをぶっ飛ばせ!」

中村美律子が11月21日、東京・新宿区の新宿文化センター 大ホールで約9カ月半ぶりに単独ステージ(※)に立った。「中村美律子コンサート2020~#唄う~」と銘打ったコンサートを開催し、「人情と根性でコロナをぶっ飛ばせ!」と、元気を届けたのだ。

同会場でのコンサートは当初、10月12日に予定されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一度中止にし、今回、あらためて感染対策を万全にして開催にこぎつけた。

開演前、中村は「コロナで営業やコンサートが立て続けに中止や延期となり、一体いつになったらステージで歌が歌えるようになんのか。今回も会場が決まってからも、ほんまにやれるんやろかというのがてんこ盛り」だったという。

しかもテレビや新聞のニュースでは、新型コロナウイルスの感染者数が増えていることを連日報道していた。直前になって、コンサートへの参加を見合わせる観客もいた。

「今日もフタを開けてみないと、どれだけの客さんが来てくださっているのかわかりません。でも、私は1人のお客さんになっても歌います。そやないと大阪へよう帰らん」

※営業を除く一般向けの有料単独コンサートとして。2020年2月11日の群馬・太田市での公演以来、284日ぶり。

▲「#唄う」と副題がつけられたコンサートには、約600名の観客が詰めかけてくれた。「だんじり」からコンサートは幕開け

 

不安と決意の中で挑んだコンサート。キングレコード移籍第1弾のシングルで、2007年のヒット曲「だんじり」で、“男は燃えろ 女も燃えろ”と歌いオープニングを迎えると、観客は拍手で中村を歓迎する。

「皆さん、こんにちは。ほんまにようこそお越しくださいました。心配していたんです。今日はちゃんとやれるやろか。お客さん来てくだはるやろかて。『中止になりました』って言われるかと思ってドキドキしていました。(今日の開催が)決まった時から覚悟を決めて、一生懸命ジムに行きました。週3行っているんです。頑張っているでしょう? それもこれもお越しくださった皆さんに喜んでいただけるように体力をつけるため。元気をためて、ためて、ためて、ためて。今日はパワー全開でお届けしたいと思います」

ステージ上でもソーシャルディスタンスを保つため、バンド演奏はなく、カラオケでの歌唱となったが、大きなステージをひとりで務めていく中村。女唄の「大阪情話」「下津井・お滝・まだかな橋」を聴かせると、今度は男唄である「華になれ」と「無法松の恋」を熱唱する。

▲会場はシーンと静まり返り、中村が届ける「瞼の母」に聴き入る。最後に中村演じる番場の忠太郎が「おっ母さ~ん」と叫ぶと、すすり泣く人も。

 

最初の大きな盛り上がりは、中村の十八番である長編歌謡浪曲「瞼の母」を演じ歌った時。久しぶりの演目に気が散るといけないからと、ペンライトでの声援をNGにしての真剣勝負。語り、忠太郎、母、娘、そして歌のひとり5役をこなして約20分のステージを終えると、会場はひと際大きな拍手に包まれた。

後半はアコースティックコーナーから。カラオケだけじゃ寂しいと、ギター2本による演奏を取り入れ、「ギターで楽しんでもらえるものをやりましょう」と、瑛人が歌って話題の「香水」に挑戦したり、自身の「島田のブンブン」をレゲエアレンジで歌ったり。

▲ギター2本による演奏で、「酒場ひとり」「香水」「島田のブンブン」「今夜はいい気分」の4曲を届ける中村。

 

そして、コロナ禍でキャンペーンができなかったという今年の新曲「鬼の背中」、来年2月24日に発売予定の新曲「あんずの夕陽に染まる街~ニューバージョン~」を歌って行く。来年発売の新曲は2010年にリリースした「人生一度」のカップリング曲。同窓会の知らせを受けた主人公が、当時好きだった人との再会に胸をキュンとときめかす作品だが、歌詞の一部とアレンジを変えたニューバージョンとして再録音したという。

「学園ソングじゃないけど、青春時代に戻ったような曲です」と、この日、初お披露目した。

▲早替えで上袖姿で登場した中村。キャンペーンができなかった今年の新曲「鬼の背中」、来年2月発売の新曲「あんずの夕陽に染まる街~ニューバージョン~」、中村の定番曲「浪花しぐれ」「壺坂情話」を歌う。そしてフィナーレは「河内おとこ節」。“この歌を聴かないと、中村のコンサートじゃない!!”

 

1986年8月25日、「恋の肥後つばき」でデビューした中村は来年、35周年の節目を迎える。

「35周年らしい何かをやりたいという思いはいっぱいあります。だけど、コロナが収まってくれないと……。敵(新型コロナウイルス)がいる間は何ができるか見えません。皆さんにはコロナに打ち勝っていただいて、新しい年を元気に迎えていただきたい」

 “人情と根性でコロナをぶっ飛ばせ!”と中村。「河内おとこ節」で会場を熱気に包む込むと、ステージから観客に呼びかけた。

「久しぶりのステージやから。自分ではさんざん練習したつもりやけど、いざとなったらところどころミスもあって。でも、皆様のおかげで無事にコンサートができました。こんなうれしいことはありません。また元気に皆様とお会いできることを楽しみにしています。来月、大阪もあるんですけどね。新歌舞伎座。よろしければ来てください! ありがとうございました!」


 

~コンサート直前~
中村美律子 Q&A


Q
リハーサルを終えて、本番を迎える今の気持ちは?

中村:とにかく、ずっとコロナで営業が全部、中止・延期の連続でした。この日に復活しましたという連絡があっても、またキャンセルということになって、一体、いつになったらステージで歌えるようになんのか。今回、この会場が決まってからも、ほんまにやれるんやろかという思いがてんこ盛りでした。とりあえずやるという前提で、私自身がまず元気を出さなとあかんと思いまして、ジムに詰めていました。2年前から通っていますが、この頃は週3回、ジムに通っています。とにかく元気を皆様に持って帰っていただきたい。

Qジムではどんなトレーニングを?

中村:背筋、体幹、足……体全部です。ただ、ムキムキになっては困りますから。何を売りにしているのかわからなくなるので(笑)。美しい状態で筋肉がついていってくれたらいいですね。

Q新型コロナウイルスの感染者数が増えているというニュースは心配?

中村:今日、来場を予定されていたのに、急きょ取りやめた方もたくさんいらっしゃいます。家族が危ないから行ったらあかんと言うんよってね。みっちゃんごめんね、行かれへんよ。顔も見たい、声も聞きたいのに残念やって。そんなもん、元に戻ったら来れることやから、今回は辛抱して。私一生懸命歌ってくるからって。そう言いましたけれども、ちゃんとコンサートができるかどうかという不安はありました。やっぱりやめますってなったら、私、これから先、どうしようかと思いました。今日はフタを開けてみないと、どれだけのお客さんが来てくださっているのかわかりません。でも、私は1人のお客さんになっても歌います。そやないと大阪へよう帰らん。

▲ソーシャルディスタンスを保つ必要性からバンド演奏が入れられなかったため、中村ひとりで大きなステージに立った。だが、駆けつけてくれた約600名のファンと、中村は楽しい時間を共有した。

 

Qどんなコンサートになりそうですか?

中村:やれるかどうかというのがまずあったので、真剣に中味を考えるところまでいけなくて。でも、リハーサルはやっぱり気持ちよかったですわあ。最高! 今日のためにうちは頑張ってきたんやなって。お客様が入られた前で歌う時はさらにその気持ち強くなって、高揚すると思います。

Q緊張していますか?

中村:昨日の方が緊張していましたね。やれるかなという不安がありましたから。でも、大丈夫です。やることはやりました。今やから(コロナ禍だから)こそ、皆さんに持って帰ってもらいたいものを提供できれば。それは何って言われたら、元気やと思うんですよ。何があっても負けないという根性です。

Q今日、会場へ駆けつけてくださるファンの方への思いは?

中村:うれしいです。本当は握手してハグして、許されるならチューして(笑)。目いっぱい私のできる範囲のサービスをしたいなあと思っています。でも、あれもダメ、これもダメで、逆にマスクしなさい、手洗しなさいという縛りのほうが多くて、申し訳ないという気持ちが大きいです。ですから、気持ちはそう(握手してハグ)したいですよ、というのを伝えたいですね。

Qアコースティックコーナーでは瑛人の「香水」を歌われるそうですね。

中村:ドキッ!? 事務所の社長が歌えって言ったんです(笑)。なんで? 私、そんな歌、歌っても似合わへんし、無理やと思うわって。でも、美津子さん、だからやるんですよ。チャレンジ・チャレンジって言われて。そう言われたら、嫌って言えないです。プライドがありますから。よし、やったろうやないか、という気持ちです。

Q若者を中心に話題となっている「香水」ですが、ご存じでしたか? また歌ってみていかがでしたか?

中村:何気に聴いたことはありました。子ども(孫)が口ずさんでいたりしたので。結構、忙しい歌やね。リズムも演歌と違うし、間奏も普通じゃないし。出るとこ(歌い出し)も最初はようわからへんかった。後半の部分は高音なんですよね。繰り返しのところは、(息が上がって)ヒーヒー言ってしまいます(笑)。

Q来年、35周年を迎えられます。

中村:とりあえずはコロナが収まってくれないと。ワクチンができそうですが、まだ見えない状態なので、敵がいるうちは何ができるのか見えません。35周年らしい何かをやりたいという思いはいっぱいあります。だけど、こればかりはフタを開けて、世の中を見てみないと何とも言えないです。とにかく皆さんにはコロナに負けないように、新しい年を元気に迎えてもらいたいと思っています。

 


INFORMATION
2020年12月4~5日
「中村美律子コンサート2020 ~今こそ、今だから~」

会場=大阪・新歌舞伎座
時間=15:00~(両日とも)
チケット詳細は新歌舞伎座ホームページで確認ください。
https://www.shinkabukiza.co.jp/perf_info/s20201204.html
 

2020年12月21日
「中村美律子 クリスマスディナーショー」

会場=大阪新阪急ホテル  2階「紫の間」
住所=大阪府大阪市北区芝田1丁目1番35号
時間=食事11:30~ ショー12:45~
料金=30,000円(ショー、食事、フリードリンク、サービス料、消費税込み)

問合せ/チケット予約=デカナル
https://www.dekanalu.com/cart/index/L2NvbmNlcnQvdmlldy80MQ

TEL= 06-6362-7610
(受付=10:00~18:00 定休日=土曜・日曜・祝日)

 


2020年2月26日発売
中村美律子「鬼の背中」

「鬼の背中」
作詞/紙中礼子  作曲/花岡優平 編曲/南郷達也
c/w「笑い神」  
作詞/紙中礼子  作曲/花岡優平 編曲/南郷達也
キングレコード KICM-30964 ¥1,273 + 税

 


中村美律子 公式ホームページ
http://www.goldenmusic.co.jp/mitsuko_nakamura.html
 

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