夏木綾子 

癒やしの声を全国へ~夏木綾子、「北旅愁(ニューバージョン)」で31年目の新たな一歩を~

昨年、デビュー30周年を迎えた夏木綾子の新たな一歩は、ファンの間で温められてきた作品「北旅愁」だ。愛する人を忘れるために旅に出る女性の歌だが、20年の時を経て、ニューバージョンとして生まれ変わった。

 

感謝・感謝の30周年を経て感じた絆

福岡県を拠点に活動する夏木綾子は昨年、デビュー30周年を迎え慌ただしい時間を過ごした。地元・九州で行った記念イベントには遠方からもファンが誘い合って参加してくれ、感謝の一年だったと振り返る。

「本当に感謝・感謝。皆さんに支えられた30周年だなと思います。いろんな機会にファンの方が“30周年”を盛り上げてくださいました。デビュー当時からつながってるファンの方もたくさんいらっしゃいます。コロナ禍でなかなか会えないときも、LINEやメール、ハガキでつながっていました。歌手になったことで、たくさんの方と出会いがあって、絆をいただきました」

夏木は1993年、自身の母との絆を描いた自伝演歌「浪花の母」でデビュー。この作品が20万枚を超えるヒットを記録し、以来、一歩ずつ歩いてきた。昨年はデビュー30周年記念曲として、第1弾「海峡の雪」、第2弾「夢花」と2作品をリリースした。

「周年ごとにいろんなことがありました。竹をイメージすると、節目節目に夏木綾子としての新しい作品をいただいて、その作品をファンの皆さんが育ててくださっての42作。竹もだいぶ大きくなりましたが、皆さんのおかげです。ファンの人との絆は、竹のように縦にも横にも広がっています」

夏木綾子 

「まったくの新曲をいただいたという気持ちです」

そんな夏木の31年目の新たな勝負曲として送り出されたのが、新曲「北旅愁(ニューバージョン)」だ。

「デビュー30周年作品の『海峡の雪』は未だに皆さんがカラオケで歌ってくださっていますので、その流れを組む作品として、北の港をテーマにつくっていただきました」

「北旅愁は」は2003年にリリースしたアルバムに収録されていた作品だが、ファンの間では根強い人気があり、これまで2度、アルバムに再収録されている。

「アルバムには譜面がついていないので、事務所に譜面を送ってほしい、という電話もよくかかってきていまし、YouTubeで『北旅愁』を歌っている方もいて。シングルカットもされていないのに、どこで覚えたのかなって思っていました(笑)」

「北旅愁」は北にある海辺の町を舞台に、ひとり恋忘れの旅に出る女性の物語を3連のメロディーに乗せて、力強くドラマチックに描く作品だ。夏木綾子、31年目の勝負曲としてリアレンジされてニューバージョンとなった。

「アルバム収録曲の『北旅愁』からはキーも落としました。前回はキーが高い分、若々しい雰囲気がありましたが、ニューバージョンではより大人の雰囲気の作品となっています。歌詩の一部も変更され、ツーハーフの作品に生まれ変わりました。私の中ではまったくの新曲をいただいたという気持ちです」

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「北旅愁(ニューバージョン)」は油断大敵!?

夏木自身もこの作品が大好きで、「いつかシングルカットされるかな」と思っていたそうだ。だが、その機会はなく、20年の時を経て夏木綾子、43作品目の大切なシングルとなった。

「アルバム収録曲はコンサートでもあまり歌う機会がありませんよね。この『北旅愁』もレコーディングの時に歌って、あとは1回ぐらい歌っただけでした。ところが、カラオケ大会で歌っている方もいて、『私が歌っていないのに・・・』って(笑)。シングル化が決まったときは待ってました! とうれしかったですね」

「ド演歌でデビューして、そのあとは頑張り演歌。『おんな夢街道』などからは舞台を走り回って歌うような作品を歌ってきました。でも、『越冬譜』(2000年)という作品から女性の心を歌う王道演歌をいただくようになりまた」という夏木。オシャレでスピード感のある『北旅愁』のような作品も大好きだという。歌詩にも注目してほしいそうだ。

「愛する人を忘れるための旅をする歌ですが、詩の世界が映像のように浮かんできます。イカ釣り船の漁り火が、“沖にチラチラ 明かりが揺れる”とか情景を想像しやすいんです。言葉も大好きですね。 “春の名のみの 北旅愁”というフレーズがありますが、“春の名のみの”という言葉は現代ではなかなか使う機会がないですよね。もう春なのに自分の心はまだ寒い、というイメージで歌っています」

カラオケでの人気も爆発しそうだ。

「『北旅愁』はカラオケに入っていましたが、今度は本人映像のカラオケになります(笑)。語りから入りますが、あまりしんみり入るとすごく暗い歌になってしまうので、ハマり込みずぎないように入って、歌い尻は気持ち込めて歌ってください。そうすることで、語りの部分も生きてくると思います。あとは油断大敵です。優しく語りから入って、サビに向けてどんどん高くなっていくのですが、高くなったと思ったら、また高くなります(笑)。最後の最後までずっと押していくので、まずはワンコーラスにチャレンジしてください。フルコーラスを歌うのは大変かもしれませんが、一生懸命チャレンジしてください。歌いきったときの達成感はすごくあると思います!」

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この歌、大好き! カップリングは「TONBORIとんぼ」

待ちに待ったシングル化がニューバージョンとして、まったくの新曲として誕生した「北旅愁」。カップリング曲として収録されるのは「TONBORIとんぼ」だ。大阪・道頓堀を舞台に、移り気な男性を「私がいないとダメなのよ」と、一途に慕う女性の心情が歌われている。

「どうしようもない男性の歌ですが、カッコいい歌です。あっちへ行ったりこっちへいったりと好き放題やって帰って来ない、浮気性の男のことを関西方面では“とんぼ”って言いますが、『北旅愁(ニューバージョン)』と同じぐらいに喜んでいただける作品をいただくことができました」

夏木が「カッコいい歌」というように、「TONBORIとんぼ」はピアノ演奏で入るイントロから引き込まれ、ギターの音色が響く哀愁漂う作品となっている。この曲がまたいい。

“道頓堀”をローマ字表記で“TONBORI”と表現するのもオシャレ。作詩・作曲を手がけた岸本健介氏は、誰もがよく知る『道頓堀人情』(天童よしみ)と差別化したかったという。「大阪とんぼ」というタイトル案もあったそうだが、“TONBORI”と表記することで大阪っぽさを打ち消し、スマートになった。

「演歌をずっと歌って来ましたが、デビュー前は演歌じゃない曲を歌っていました。ですので、たまに岸本先生がこういう作品をつくってくださるのですが、いただいた時に『この歌、大好き』って(笑)。アレンジもよくて、オケ(演奏)を聴いているだけで最高でした」

ちなみに、「TONBORIとんぼ」に出てくる女性のイメージは?

「作品の中の女性はひとりでだいぶ稼ぐ人だと思います(笑)。ぐうたらでどうしようもない男の人ですが、私がいないと帰る場所も面倒をみてくれる人もいない。何よりも好きだから仕方がないねえ、という女性ですね。 “あんた・・・あんた・・・”と歌うところがありますが、これ、溜息なんです。ですから、諦めも入っています。強さと優しさ。どちらも兼ね備えている女性です。私の作品に出てくる男性はいつもそうなんですが、どうしようもない男性でも、女性はその男性を憎んでいません。『TONBORIとんぼ』でも、女性は男性のことをいろいろ言いますが、悪口じゃないんですよね。惚れてる私が悪いねんって。なんて言うのかな。そういう女性って綺麗に見えますよね」

夏木は「こういう女性って大阪だけじゃなく、全国にいらっしゃるかと思います」と言うが、ドラマのエンディングに流れてくると、ぴったりだなと思える作品となっている。

30周年を経て、新しい一歩を踏み出した夏木綾子。彼女の癒やされる歌声が評価されてきた。

「自分では言いにくいのですが、ファン同士でおしゃべりされているの小耳にはさむと、『声が好き』という方がいらっしゃいます。自分ではガラガラで、決して美声はないと思うんですけど、『綾ちゃんの歌って、癒やされるんだよね』とか『すごく優しい歌声』って言ってくださるから、いい歌が歌えているのかなと、逆に自分が癒やされています(笑)」

夏木の恩師でもある音楽家の岸本健介氏は、夏木の声を唯一無二の声だと評価する。彼女の歌がUSEN(有線)から流れてくると、すぐに夏木綾子の歌だとわかるという。

そんな唯一無二の癒やしの声を全国へ。ここ3~4年に比べればコロナ禍も落ち着き、イベントに呼ばれることも多くなってきた。『北旅愁(ニューバージョン)』では、積極的に全国をキャンペーンで回りたいと、夏木は意気込んでいる。

「たくさんの方に応援していただいていますが、感謝・感謝の31年目に入ります。ドラマチックな新曲『北旅愁(ニューバージョン)』をぜひ覚えて歌ってください!」

 

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夏木綾子さんがデビュー31年目の勝負曲として「北旅愁」を8月23日に発売されます。アルバム収録の人気曲をニューバージョンとして!


2023年8月23日発売
夏木綾子「北旅愁(ニューバージョン)」
夏木綾子 

「北旅愁(ニューバージョン)」
作詩/岸本健介 作曲/岸本健介 編曲/伊戸のりお
c/w「TONMORIとんぼ」
作詩/岸本健介 作曲/岸本健介 編曲/伊戸のりお
キングレコード KICM-31108 ¥1,500(税込)

 


夏木綾子

profile
夏木綾子(なつき・あやこ)
福岡県出身。1993年7月21日、本人と母との絆を描いた自伝演歌「浪花の母」でデビュー。恩師・岸本健介氏から1000軒キャンペーンを目標とするように託され、全国へ。「レコード店からの仕事で、漁師さんが集まる番やへお邪魔したら、皆さん漁に出てしまっていて3名しかいなかったりということも(笑)。でも、何度もお店に呼んでくださり、何枚もCDを買っていただくこともありました。ファンの方が別のお客様へつないでくださったり」。最終的に延べ2000軒のお店などを周り、20万枚のロングセラーヒットを達成。ダイヤモンド・ヒット賞を受賞した。2022年にはデビュー30周年を迎え、周年記念曲として1月に「海峡の雪」、10月に記念曲「夢花」を発売。2023年8月に通算43枚目となるシングル「北旅愁(ニューバージョン)をリリース。

夏木綾子 公式HP
キングレコード 夏木綾子ページ

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