-1200x1800.jpg)
KANAの新曲「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」ー自分らしく妖艶さを歌うー
KANAの新曲「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」は“恋”という名の迷宮に迷い込んだ女性がユラユラと彷徨う様を描写している。どこか懐かしく、妖艶さを感じるサウンドが魅惑的だが、自由なスタイルでKANAらしく歌っている。
恋に落ちた女性の心理をミステリアスに描く「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」
「今回の新曲は、バラード調が多かったこれまでのイメージとちょっと違い、リズムがあって踊れる曲になりました!」
11枚目のシングルとなる約1年ぶりの新曲「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」について、まずはこうコメントしたKANA。エキゾチックな雰囲気漂うダンサンブルなナンバーで、恋の迷路(ラビリンス)に迷い込んだ女性が、これは夢なのか現実なのかと、その狭間で揺れ動く女心を歌った作品だ。いい意味で“熟女”にさらに磨きのかかったKANAならではの、妖艶でミステリアスな世界が味わえる。
「作曲した兄(小林宏和)に言わせると、『江戸川乱歩』のイメージだと。ちょっとエロイ感じの謎の美女が出てきて(笑)、恋に落ちた女性の微妙な心理を小説的な詞で描いてほしいと、作詞の冬弓ちひろ先生にお願いしたそうです。完成したミュージックビデオの中にも謎の美女が登場しますが、なかなかに魅力的な作品ができあがったんですよ。制作過程もすごく楽しかったです」
終盤、ガラリと曲調が変わる一節がある。歌詞でいうと“星は流れ この世の果て 千年先も 心のままに”の部分だ。ここはそれまでの「江戸川乱歩の世界」から抜け出して、空がパーッと開け、華やかな恋を予感させる聴かせどころの一つだ。KANA自身も気に入っているという。
「ここは前後とまったく異なるイメージで、爽やかに、艶やかに歌いたいですね。皆さんがカラオケで歌う場合も、そこを意識して挑戦していただけたら。あとはポイントとして、ラテンやスパニッシュのリズムを体で感じながら、まずはそのビートに乗ること。そして、キーワードで『ラビリンス』という言葉が何度か出てくるので、それぞれニュアンスを変えて歌うといいですね。吐息で切なく、または「ラ・ビ・リ・ン・ス」と区切って歌うなど、自分なりの色をつけると味わいも深くなると思います!」
「カンパイ!ネオン★ランデビュー」はパーティーソング
表題曲「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」と異なり、思わず冒頭から手拍子したくなるノリのよさがあるのが、カップリングとして用意された「カンパイ!ネオン★ランデビュー」だ。
KANAが飲み友達でもある作詞家のRIEさんと一緒につくったという詩は、“化粧のノリもいまいち 今日も目覚めの胃薬” “蝶よ花よの時代も・・・ あたし今じゃ男前”など、そうそう! と思わず頷いてしまいそうな楽しいセリフが続く。その詩に兄が曲をつけ、バンドメンバーである佐藤和豊が編曲を担当。大勢で歌ったらなお盛り上がる、明るいパーティーソングとなっている。
「女性って年を重ねるといい意味でたくましくなり、年下から慕われる存在になりますよね。そんなスナックのママさんと、私たちふたりの姿を思い浮かべながら詩を考えました。みんなが前向きに、元気になれる曲です。全日本スナック連盟の会長は赤坂でスナック玉ちゃんを開いている玉袋筋太郎さんですが、この曲を全日本スナック連盟の推奨ソングにしてもらいたいなと勝手に思っているところです(笑)」
コロナ禍で、多くのスナックが苦しい経営を強いられている。スナックで飲むことが好きで、昨年は“夜キャン”と称して全国のスナックをキャンペーンで回った“スナ女”(スナックの女王)のひとりとして、スナックを元気にしたいというKANA。何の遠慮もなくみんなで声をそろえて歌える日が来たら、堂々歌いたい一曲だ。
※その後、実際に全日本スナック連盟推奨ソングに選ばれた。
「2021年は年女。自分を素直に出せるのはこれから」
来年は年女となるKANA。もともと節目にはこだわらず自然体で過ごしてきたというが、歌い手としてのキャリアはすでに20年以上となる。
「振り返るとその間、いろんなことに肩ひじ張って生きてきた気がします。歌では本来ロックをやりたかったのに歌謡曲のジャンルでデビューすることになり、しばらくはそのギャップに正直心が追いつかなくて、ずい分ともがきました。しんどいなと思うことも多々ありましたね」
そんな自分を変えたのが、作曲家・杉本眞人氏との出会いだった。KANAは1998年、女性デュオ「Rose」としてデビューしているが、デュオ時代の2000年に杉本氏が作詞・作曲した「恋の媚薬」という作品を歌っている。説明する必要もないが、杉本氏といえばヒットメーカーとして数多くの演歌や歌謡曲を手がけているほか、“すぎもとまさと”として歌手活動も行っている。
「先生の歌う演歌がものすごくカッコよかったんです。その時、曲も大事だけれど、もっと大事なのは人。誰がどういうふうに歌うかによって、同じ曲でも全然違うんだと気づかされました。衝撃を受けて、その後『すぎもとバンド』に入りバックコーラスを担当させていただきました。先生の個性的で独特の間の取り方など、背中を見ながら学ぶものがたくさんあって、この経験が自分を成長させてくれました」
ジャンルにこだわり続けていた己を恥じ、その後は肩の力が自然に抜けた。背伸びすることもなく自然体でいられるようになったという。
「だから、今すごく楽なんです。四十路の私ですけど、自分らしさが出せるのはむしろこれからじゃないかと。ジャンルという枠を取っ払い、もっと自由なスタイルで歌える歌手でありたいですね。今回の新曲も『今までと違っていいね』とたくさんの人に喜んでもらえたら本当にうれしい。そして来年は年女ですから、ワクワク感をもってさらに自分を進化させていけたらと思います」
文=藤井利香
2020年11月18日発売
恋に落ちた女性の心理を
妖艶さを感じるサウンドで表現
KANA「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」

「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」
作詞/冬弓ちひろ 作曲/小林広和 編曲/佐藤和豊
c/w「カンパイ!ネオン★ランデブー」
作詞/KANA&RIE 作曲/小林広和 編曲/佐藤和豊
テイチクエンタテインメント TECA-20064 ¥1,227+税
エロティシズムな恋に落ちた様子をミステリー小説のような世界観の中で描写した「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」。KANAにとって約1年ぶりの新曲は、冬弓ちひろ氏が作詞を手がけ、KANAの兄でもある小林広和氏がスパニッシュで、ラテン的なメロディーをつけた。カップリング曲「カンパイ!ネオン★ランデブー」は全国スナック連盟推奨ソング。スナックの女王であるKANAらしい歌。KANAと盟友である作詞家のRIE氏と共同で作詞し、“心はずませ 扉を開けて みんなでカンパイ!ランデブー”など、楽しいフレーズが並ぶ。
▲夜キャンで訪問したスナックのママを「姐御烈伝レディース応援隊」に認定し、KANAから認定証とステッカーを授与。2020年1月14日には、「スナック玉ちゃん赤坂本店」で延べ100店舗目(100人)を達成し、オーナーの玉袋筋太郎さんを“兄貴応援隊メンバー”として認定した。
KANAの夜キャン~姐御烈伝レディース応援隊100人できるKANA?!~
KANAは2019年2月にリリースした「ドライな貴方を飲みほして」「潮風の街」のキャンペーンとして、その後、数カ月にわたり全国のスナック(JOYSOUNDで歌えるお店)を巡っている。“夜キャン”と称して延べ100軒の店に足を運び、その場で顔を合わせたママや常連客との交流は、どんな受入れ方をしてくれるのかと緊張感もあったが、終わってみればとても貴重な体験になったという。
「とにかく、1年前でよかった! コロナに見舞われた今を思うと信じられない光景で、込み上げるものがありますね。ママのタイプによってお店の雰囲気もそれぞれ異なるんですが、私のようにとことん酒好きというよりも(笑)、最近のお客様は全体的に飲み方がスマートだなと感じました。最初は私との間に1枚壁があり、ちょっと身構えている感じ。でも時間とともにフレンドリーになって、最後は心を通わせている。そんな交流が数多くできました」
体力的にきつい時もあったが、精力的にトライした結果、この交流を通じてKANAの歌声を楽しみにしている人も確実に増えた。現在、その時の動画を順次配信中で、その映像には親しみやすい彼女の人柄が余すことなく映し出されている。
そして、「夜キャン」を通じてママからリクエストを募り、できあがったのが2020年4月リリースのカバーアルバム「KANA COVERSONG COLLECTION-姉御肌-」だ。「駅」「恋人よ」「ロックンロール・ウィドウ」など昭和を代表する名曲、全15曲が収録されている。
「私のキャラをわかってくれているなという選曲が多く、うれしかったです。またこの中に収録されている『Mr.サマータイム』では、1人で4声を担当しています。コーラスを長くやっていたので1人コーラスをやってみたいと常々思っていて、それを実現すべく背中を押してもらえたようで、作品づくりはとても楽しかったです。完成後はコロナ禍の関係で満足に宣伝活動ができなかったのが残念ですが、あらためて多くの人に聴いていただけたらと思います」
2020年4月15日 発売
KANA初のカバーアルバム
「KANA COVERSONG COLLECTION -姐御肌-」

テイチクエンタテインメント TECE-3580 ¥2,818+税
【収録曲】駅/ボヘミアン/TAXI/恋人よ/ラヴ・イズ・オーヴァー/Mr.サマータイム/あゝ無情/ロックンロール・ウィドウ/夢見る少女じゃいられない/かもめはかもめ/限界LOVERS/たそがれマイ・ラブ/想い出ぼろぼろ/裏窓/酒場にて
夜キャンで訪れたスナックのママたちに、KANAに歌ってもらいたいカバー曲をリクエストしてもらい、その上位15曲を収録した。“スナックの女王” KANAが歌う、初のカバーソングアルバムとなっている。JOYSOUNDのカラオケ音源を使用しており、“KANA流 カラオケ・ガイド”としても聴ける。
profile
KANA(かな)
1973年 5月13日、埼玉県生まれ。1998年、女性デュオ「Rose」としてデビュー。2002年、ソロ歌手「可奈」として「ムーンライト・ホテル」でインディーズデビュー。2005年、すぎもとまさと率いる「すぎもとバンド」のバックコーラスとして参加。2009年、KANAとして、シングル「ナイアガラ~マリリン・モンローの伝説」でメジャーデビュー。レコーディングやコンサートでは、五木ひろし、石川さゆり、小林旭、西郷輝彦、坂本冬美、天童よしみ、氷川きよし他(演歌・歌謡曲)、長渕剛、中村あゆみ、矢島美容室、mihimaruGT、大沢樹生(J-pop)、音楽番組では、平井堅、JUJU、ジュンス、MINMI、EXILE、稲垣潤一、広瀬香美のバックコーラスとしても幅広く参加。2019年2月には9作品目となるシングル「ドライな貴方を飲みほして」をリリースし、「KANAの夜キャン~姉御烈伝レディース応援隊100人できるKANA?!~」を実施。約1年をかけて全国のスナックを延べ100件回った。