KANAが25周年のアニバーサリーコンサートを開催。女性デュオ ROSEの楽曲披露や、恩師 杉本眞人氏とのデュエットも実現し、「これからも真っ直ぐに!」
デビュー25周年を迎えたKANAが1月7日、埼玉・所沢市民文化センター ミューズ キューブホールでコンサートを開催。愛知、福岡と回ってきた記念コンサートツアー「Welcome To The 25th Anniversary Tour KANA’s Living Room」の出身地・埼玉での開催は豪華なステージとなった。
KANAは自らの音楽人生を凸凹(でこぼこ)と表現する。だが、そんな中で出会った大切な人たち人がゲストとして登場してKANAを盛り上げると、「これからも正直にやっていきます」と、25周年記念シングル「ラストシーン」や、恩師・杉本眞人(作曲家名/歌手名:すぎもとまさと)氏の作品をトリビュートカバーした「ハートブレイク・ダンディー」などを聴かせた。
また1998年、女性デュオ ROSE(ロゼ)としてデビューしたKANAの元相方、島崎ひとみもサプライズで登場し、デビュー曲「純愛」などを披露して会場を沸かせた。
凸凹の道だからこそ、いまがある
「25年、振り返ると様々なことがありました。決して順風満帆だったとは言えない凸凹だったこの道・・・」。
KANAによる影アナウンスによって『KANA’s Living Room』コンサートが開幕する。
凸凹だったからこそ、今、この場所にたどり着けた。その間にたくさんの愛にも恵まれた。KANAは感謝の気持ちを込めて、デビュー25周年記念シングル「ラストシーン」で登場した。
秋元康氏が作詞を手がけ、実兄であり、所属プロダクション社長でもある音楽家・小林宏和氏が作曲した作品だ。人生の中で出会い巡り会った人との“ラストシーン”。誰しも出会いがあれば別れがある。優しいメロディに乗せて歌うKANAの歌声に、聴く者は各々の“ラストシーン”を思い浮かべる。
音楽とともに歩んで来ることができた幸せを噛みしめながら、KANAも“ラストシーン”を思い浮かべていたことだろう。天国の父や、コーラスの大先輩・高橋ジャッキー香代子さん、作詞家・北村けいこさん・・・。
歌うだけ 私(あたし)は夢を追って 歩いて行く
いいんだよ 自分で 選んだ道さ
KANAは2曲目に「あばよ! Good-bye…」を披露すると、ラストのサビを地声でホールに響かせた。デビュー20周年記念シングル「愛は流れ星」に収録されたカップリング曲で、KANAの生き様を表現したような歌詞。作詞は北村けいこさんだった。
「デビューして25年が経ちました。3歳のときにデビューしまして・・・(笑)。25年はあっという間という気もしますし、長かったような気もします。その中には、本当に素敵な出会いがあり、悲しい別れがありました。それらを全部ひっくるめた25年でした」
多くの支えによって実現したステージ
バンド活動をしていた父や、歌が好きだった母の影響を受け、幼少期から幅広い音楽の環境の中で育ったKANAは1998年、島崎ひとみとのデュオ「ROSE」としてデビューした。
「演歌でもない。ポップスでもない。真ん中を行け! という思いが込められました。赤でも白でもない、ロゼです」
デビュー曲は「純愛」。作詞は岡田冨美子氏。作曲は浜圭介氏。ヒットメーカーによる作品だったが、当時のKANAは「今どき“純愛”なんて、嫌だ。歌いたくない」という思いが強く、嫌々歌っていたという。
「ROSE」としての活動は約3年で終わった。杉本眞人氏が提供し、ROSEとしての最後の曲ともなったサードシングル「恋の媚薬」ではNHKの音楽番組にも出演したが、そのときにはすでに解散が決まっていたという。
デュオ解散後は、新宿・歌舞伎町の会員制居酒屋でアルバイトも経験した。勤務は週2回だったが、あとの5日はおごってくれそうな人を見つけてタダ酒にありついていたと笑う。
ひとり暮らしの都内の自宅は西武新宿線の野方駅。酔っ払って電車に乗ると眠ってしまい、気がつくと乗り越しており、そこは埼玉県の航空公園駅だった。所沢の実家は航空公園駅からクルマで30分。よく父と母に迎えに来てもらったという。
ミューズ キューブホールは航空公園駅にほど近い会場だった。思い出(?)、因縁(?)の場所にあるホールの予約ができたものの、コンサート開催日までの時間は少なかった。KANAは多くの人の支えによって、この日を迎えていた。
女性デュオ「ROSE」の楽曲を披露!
「今日集まってくださったすべての皆様に感謝します」
三方が客席に囲まれたオープンステージにはベンチが置かれていた。自宅のリビングに見たてられたステージ「KANA’s Living Room」に多くのゲストが訪ねてくるという設定だ。
ピンポーン!
最初のゲストは兄でもある音楽家・小林宏和氏だ。
「小芝居が始まりますので、いま少しお付き合いください」
KANAが苦笑するなか、小林氏は主催者のひとりとして観客に挨拶すると、KANAの多くの作品を編曲し、この日はピアニストとして参加した佐藤和豊氏を紹介するようにKANAを誘う。
KANAは小林氏が作詞作曲した「永遠の月」を、佐藤氏のピアノ演奏で歌うと、冬弓ちひろ氏が作詞してくれた「微笑みを想い出すまで」へと歌い継ぐ。会場には冬弓氏の姿もあった。
ゲストとともに進行していくコンサート。サプライズゲストとして登場したROSE時代の相方、島崎ひとみとは10年ぶりの再会となったが、時間を感じさせない二人は「純愛」「恋の媚薬」を披露する。
「当時は歌いたくなかったけど、『純愛』、いま聴くといい曲だよね(笑)」
リハーサルなし。ぶっつけ本番となったが、二人は息もぴったりに歌いこなすと、間奏では互いに“OKポーズ”で讃え合っていた。
“すぎもとまさと”からの「花のように鳥のように」
もうひとりのサプライズゲストとしてステージに現れたのは、恩師・すぎもとまさと(作家名:杉本眞人)氏だった。
ROSE解散後、すぎもと氏に誘われ、同氏率いる すぎもとバンドのバックコーラスとしてメンバー入りしたKANA。「恋の媚薬」で出会った杉本氏から当時浴びせられた厳しいアドバイスにコンチクショーと思ったエピソードで会場を沸かすと、すぎもと氏は「ムカついて、俺とは口を聞いてくれなくなった(笑)」と、当時を懐かしんでいた。
二人は、2006年に発表されたすぎもと氏のアルバム『Bar Starlight』からデュエット作品「時間よ止まれ」(すぎもとまさと&KANA)などを披露すると、すぎもと氏は「花のように鳥のように」を歌った。
作詞・阿久悠氏、作曲・杉本眞人氏。桂銀淑のために書き起こされた作品だが、のちに“すぎもとまさと”としてセルフカバーした。
「KANAに捧げる歌です。一生懸命頑張っている人はいっぱいいます。100%の幸せでなくてもいい。幸せに近いことが素晴らしいと思います」
KANAが恩師にリクエストして、この日の歌唱が実現した。KANAもコーラスで参加した。
とにかく正直に歌っていきたい!
「25年やってきましたが、ようやく全国に応援してくださる方ができました。これからもいろんなことがあるかと思いますが、とにかく正直に歌っていきたいと思います」
KANAは杉本作品をトリビュートカバーした「ハートブレイク・ダンディー」を歌うと、ラストの曲として2020年の「ラビリンス~薔薇の蜃気楼~」を選曲した。
“スナックの女王”としてスナックのママさんたちにエールを贈った応援ソングで、MVではSALSAダンサーのNONNI(ノンニ)とともに、KANAが華麗なるダンスを披露している。ステージにはNONNIも登場し、妖艶に届けられた。
そして、もちろんアンコール。2009年、現在の“KANA”としてテイチクレコードから再出発したソロデビュー曲「ナイアガラ~マリリン・モンローの伝説~」。この曲がなければKANAのコンサートは終わらない。三方をオールスタンドアップのファンに囲まれたKANAは、ファンと一緒に拳を突き上げた。
皆様に、歌でご恩返しして生きたいと
心から思っています。
50歳、25周年、まだまだ
ワクワクドキドキしながら
KANAらしく、喜怒哀楽いっぱいで
真っ直ぐに!
この日の朝、KANAが「25年を振り返って」と題し、公式ブログに書き込んだメッセージだ。
「ありがとうございました~!」
ファンに囲まれて「ナイアガラ」を歌いきったKANAは、このあと1月21日の仙台、同月28日の大阪へと向かう。
INFORMATION
25th Anniversary Tour -Welcome To KANA’s Living Room-
1月21日 LIVEDOME STARDUST(仙台)
1月28日 朝日生命ホール(大阪)
問い合わせ:プリプロダクション(TEL:03-5790-9223)
2023年9月6日発売
デビュー25周年記念シングル
KANA「ラストシーン」
■各音楽配信サービスにて配信
URL: https://lnk.to/kana_D963