蒼彦太が新曲「母ちゃんへ」で決意~感謝の気持ちを全身全霊で~
蒼彦太の新しいステージとなる作品が出来上がった。デビュー11年目となる彼が等身大で表現できる母への思いが綴られた「母ちゃんへ」だ。昨年は、記念コンサート「蒼彦太10周年記念わっしょいコンサート~さぬき男・夢の途中~」を成功させた蒼彦太がみせる新たなチャレンジと決意とは?
等身大の歌が来た!
——昨年10月にはデビュー10周年の集大成として、「蒼彦太10周年記念わっしょいコンサート~さぬき男・夢の途中~」を開催されました。
蒼 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで開催させていただいたんですが、楽しかったですねえ。記念コンサートでは、いろんなことに挑戦させていただいて、衣裳も5回か6回着替えました。一度のステージで、そんなに着替えたのは初めてでしたし、焦りましたね。「間に合うかな!?」みたいな(笑)。憧れの氷川きよしさんが着られるような王子様風の衣裳も作っていただきました。以降、なかなか着る機会がないですが(笑)。
ーーコンサートを終えて感じたことはありましたか?
蒼 オープニングは小学生の時から大好きだったSPEEDさんの「Body & Soul」から始めたんですが、歌は全部覚えていましたが、踊りがまったくで(笑)。最初、演出の方から「踊りながら歌うから練習しておいてね」と言われた時は、ドッキリかと思ったぐらい。猛練習して、本番では息切れするのを隠しながら必死に歌って踊りました。10周年記念コンサートを終えて、応援してくださっている方やスタッフの皆様のおかげでこの10年歌ってくることができたと感じました。同時に勉強不足も痛感し、反省点もありましたが、いろいろ勉強にもなったコンサートでした。次へのステップになったと思います。
——今年はデビュー11年目ですが、そんな蒼さんの新曲は「母ちゃんへ」。これまで歌ってきた作品とは世界観が違いますね。
蒼 「瞼の母」をカバーさせていただいたことがあって、その時の反響がすごくよかったんです。もしかしたら作詞家の久仁京介先生がそこからインスピレーションを受けて、この作品を書いてくださったのかなと、勝手に想像しています。
——“元気だしなよ 母ちゃんが ついとるでぇ”という歌詞で始まります。初めて歌詞をいただいた時はどんな印象でしたか?
蒼 等身大の歌だなって思いました。僕らしいなって。自分に当てはまる部分がたくさんありましたが、もしかして久仁先生のお母さんもそうだったのかなって思ったり・・・。普段、母親への感謝を思うことってなかなかないんですけど、ふとした時に「こんなことをやってくれていたんだな」と気づいた時に、「ありがとう」という気持ちになりますよね。そんな感謝にあふれた作品です。
——ちなみに、蒼さんのお母さんはどんな方ですか?
蒼 一言でいうと、肝っ玉母さん! 「母ちゃんへ」に登場するお母さんとめちゃくちゃ似ています。今思うと、本当によくやってくれていたなと思います。働いていたのに、家事も一生懸命でした。たまに僕が文句言ったりして、それで怒って「もう何もせん」って言いながらもいろいろやってくれました。昔は母親への感謝の気持ちというものが、当たり前すぎてわからなかった。離れてみて、初めてありがたみを感じました。
「あの子は言うこときかんけん」
——歌手を目指して、故郷・香川から上京して初めて気づいた?
蒼 ええ、上京して一人暮らしをして初めて、「ああ、全部やってくれていたんだ」って気づきました。そういった面では歌詞と重なる部分がたくさんあります。食事も当たり前のように出てくるから、いつも「ごはん、まだ?」って催促して、出てきたら出てきたで、「こんなごはん食べたくない」とか言ったりして(苦笑)。上京して後悔しました。一人暮らしの自宅には洗濯物が溜まってしまうし、洗濯しても雨が降ったら外に干せなくて、家の中に干していたら、生乾きで臭くなるし(笑)。上京直後は、経験したことのないことばかりで、本当に大変でした。
——自分の思いと重なる部分が歌詞にもたくさんある、ということですが。
蒼 とくに3番の始まりの歌詞です。“都会ぐらしに つまづいて もがいてる”。人には思い通りにいかないことがたくさんあると思いますが、でも一人で頑張らないといけない。でも頑張れないみたいな時ってありますよね。母親に電話して弱音を吐くわけにはいかないし、アルバイト仲間に相談してもこの気持ちをわかってもらえないだろうから、「やるっきゃないよね」って。3番の始まりの歌詞は、自分と重なっていてグッと来ました。共感できます。
——蒼さんは高校卒業後に上京されていますが、お母さんも心配だったでしょうね。
蒼 「高校卒業したら上京したい。歌手になりたい」とずっと話していたので、頑張れという気持ちと、不安な気持ちの半々だったと思います。だからある程度、覚悟はしていてくれていたと思います。ただ、行ってほしくないという気持ちはあったんじゃないかな。
——卒業式を終えて、どのぐらいで上京されたんですか?
蒼 3日後ぐらいです。母親は「あの子は言うこときかんけん」って。「言ってもどうにもならん」っていう感じでしたね。でも、最初はついてきてくれたんですよ。まったく何もわからないので、両親と一緒に上京して、身の回りのことを全部やってくれました。ただ、両親が帰る時は不安で寂しかった。
――いつも明るい蒼さんですが、笑顔の別れではなかった?
蒼 両親が香川へ帰る日、高田馬場で別れたんです。僕はそこから先生のところに行く予定があって、「じゃあね」って。両親が一万円をくれました。それまでは一万円なんて大金をもらったことがなかったんですが、両親は「じゃあ、頑張ってね」って送り出してくれました。
――泣けるシーンですね。
蒼 僕、振り向かなかったんです。振り向いたら涙が出てしまうと思ったんです。そうしたら後に、母親から「お金までもらって振り向きもしないで行ってしまった。薄情者だ」って言われました(笑)。肝っ玉母さんの小言を聞かなくていいので、「よ~し、ひとりで自由だ!」なんて最初は思っていましたが、誰もいない自宅に帰ることが段々寂しくなって、両親のありがたみを感じました。今思うと、東京まで来てもらって生活の準備を全部してもらったんですから過保護ですよね。
蒼彦太の新しい引き出し
——新曲「母ちゃんへ」はまさに等身大の歌になりましたね。レコーディングはスムーズに行きましたか?
蒼 等身大の歌詞ですが、デビューから歌ってきた作品にはない歌だったので、けっこう時間がかかりました。「ここは語って、ここは抑えて、ここは大きく歌って」と一応、自分なりに作り込んで臨みましたが、いざレコーディングしてみると、「抑えたりとか小さくしたりとか全部必要ない」と言われました。先生からは「全部前に出して」「朗々と歌って」と指導をいただきました。でも、不安にもなっていたら、先生から歌詞を朗読するするように言われて、10分間ぐらい朗読をさせていただきました。
――歌い込むのではなく、朗読?
蒼 結果的に自然と表現できるようになりました。変に作り込んでしまうと、作り込んだのが見えちゃって歌が伝わらないんですね。びっくりな体験でしたが、またひとつ学ばせていただきました。「母ちゃんへ」という作品に出合えて良かったなと思います。
——蒼さんもデビュー11年目ということで、久仁先生が新しい世界に挑戦させてくださった?
蒼 そうだと思います。久仁先生は3枚目のシングルからずっと書いてくださっていますが、「樹」から始まって「泥」「梲(うだつ)」「男ひとすじ」と、男の人生の応援歌が4作続いたんですね。それで今回、先生がおっしゃったのは、「次は応援歌書かないよ。もう4作やったでしょう」ということでした。久仁先生もどうしたら蒼彦太が売れるんだろうということを、すごく考えてくださっています。それで蒼彦太にある親への温かみや、人に対する温かみを表現させてみようと感じ取ってくださって、今作を作ってくださったんじゃないかと思います。
——3番の最後に”まだまだ俺は 帰れない 帰れない”という歌詞があります。
蒼 この部分は久仁先生からの応援メッセージだと思います。「お前はまだまだ。だから頑張れよ」という裏メッセージです。僕自身もこのままじゃ帰れません。もっともっと頑張って、名前と歌声を全国に広げたい。今は日本全国だけじゃなく、ネットで全世界に発信できる時代なので、夢は大きく持ちたい。
——新曲「母ちゃんへ」は今後、そんなふうに育っていくでしょうか?
蒼 母親に感謝の気持ちを伝えることって、恥ずかしくて普段できないですよね。だから、皆さんが母親に感謝の気持ちを伝えるきっかけの曲になってくれたらうれしいですね。この「母ちゃんへ」のCDをプレゼントしていただくのもいいですし、近くにお住まいなら「ちょっとカラオケしようよ」って誘って、「母ちゃんへ」を歌って感謝を伝えていただくのもいいと思います。そんな作品として育ってほしいですね。
——ファンの方々の声も楽しみですね。
蒼 本当に今までと違うタイプの作品なので、どのように受け止めてくださるのかなっていうのが楽しみでもあり、不安でもありますね。でも、蒼彦太の新しい引き出しを作っていただいたので、チャレンジの一曲だと思います。そして、今年はなるべく多くの皆さんに生の歌を聴いていただきたいですね。コロナ前は定期的にライブをさせていただきましたが、どこかでルーティンみたいになっていた部分があります。でも、ライブができなくなって、改めてファンの方への感謝の気持ちが湧きました。わざわざ時間を作ってライブ会場まで来て、僕の歌を聴いてくださっていたんだなって。ですので、今年は全身全霊で、皆さんに喜んでいただけるように歌っていきたい!
2022年4月27日発売
蒼彦太「母ちゃんへ」
2021年にデビュー10周年を迎えた蒼彦太が新曲「母ちゃんへ」で新しい世界へ挑戦。カップリング曲「まだ見ぬ君に」ではまだ見ぬファン、まだ見ぬ自分自身を思って歌い上げている。
蒼彦太 「まだ見ぬ君に」は「母ちゃんへ」とは対照的にロマンチックな作品です。一人で頑張っているけど、きっとこれから先、支えてくれる誰かが現れるんだろうな、その日まで俺は純真な思いでいる、という主人公が描かれています。たぶん僕のことを思って、久仁先生が書いてくださっているんじゃないかな。
レコーディングの時にディレクターさんがおっしゃったのは、「『まだ見ぬ君に』は、まだ見ぬファンに向けて歌ったらいいんじゃない?」ということでしたが、僕がこの作品をいただいた時に思ったのは、“まだ見ぬ君”というのは、自分自身のことかなと。まだ見ぬ自分に逢えるまで、純粋な心で頑張っていくぞっていう。ですから、いろんな捉え方ができる作品だと思います。ぜひ、皆さんの“まだ見ぬ君”を思い描いて聴いて、そして歌ってください。
2022年3月9日発売
蒼彦太「デビュー10周年記念 ミュージックビデオ全曲集」(DVD)
デビュー10周年を記念した蒼彦太初の映像作品集。デビュー曲「カラオケ流し」から最新曲「男ひとすじ」までのシングル表題曲、全9曲のミュージックビデオ。
収録曲
男ひとすじ/竜のごとく/梲(うだつ)/泥/樹/ねずみ小僧/八重洲の酒場/カラオケ情け~女将さん/カラオケ流し
※収録全曲の歌詞テロップ入りカラオケも収録
蒼彦太 これまでの作品が一枚にまとまっているというのは本当にうれしいですね。改めて全部のMVを見ました。でも、すごく順番が嫌だなって(笑)。最新曲の「男ひとすじ」からデビュー曲の「カラオケ流し」にさかのぼるので、見た目がどんどん若返っていくんですよ。収録の順番が逆だったら、「ああ大人になってきたね」ってなるんですけど、時代をさかのぼるので、「年取ってきたんだな」て(笑)。でも、すごく楽しんでもらえるDVDです。最近、僕のことを応援してくださるようになった方には、新たな発見もしていただける一枚になったと思います。カラオケも入っているので、映像を見ながら歌っていただくこともできます。
Profile
蒼彦太(あおい・ひこた)
1988年12月26日、香川県生まれ。2010年にテレビ番組『演歌がええじゃん』放送500回記念の新人歌手オーディションにて優勝。2011年「カラオケ流し」でデビューを果たす。コロナ禍前は月2回行っていたヒコタンライブや股旅ライブ、テンプルキャンペーンなど精力的に活動。その他テレビ番組『竹島宏の歌MAX』準レギュラーや、同じ事務所に所属する天野涼とのユニット「彦と涼一座」などでも邁進を続けている。2021年にデビュー10周年を迎え、今後さらなる活躍が期待される。趣味は音楽・映像編集。また、故郷・香川の名物讃岐うどんを手打ちするなど器用な一面も。
蒼彦太 公式ホームページ
蒼彦太 公式ブログ
蒼彦太 YouTubeチャンネル
徳間ジャパン 蒼彦太ページ