蒼彦太、歌ひとすじの10年でたくましく成長! 新曲「男ひとすじ」で新たな一歩

蒼彦太は今年歌手デビュー10周年を迎える。23歳の青年だった蒼も、この10年で歌手として男として、大きくたくましく成長した。歌に捧げたひとすじの人生。さらなる活躍を予感させる新曲「男ひとすじ」で、33歳の等身大の男像を堂々と歌い上げる。

 

「強いばかりが男じゃない」。新たな視点を得て変わった歌

Q 一年前に発売された「竜のごとく」の時にもインタビューをさせていただいて、これから「竜のごとく駆け上っていきたい!」とおっしゃっていた直後のコロナ禍でした。

 そうですね。発売したら下町キャンペーンから始まってショッピングモールなどで歌わせていただいたりするんですけど、軒並み中止になってしまいました。これからって意気込んでいた時だったので、まずこれは困ったことになったなと。ステイホームで家にいなくちゃいけないし、でもこのままじっとしているわけにもいかないし、その中で何ができるかなと考えました。そこでやっぱりネットしかないなと思って、じゃあネットを使って何ができるんだろう?という模索が始まりましたね。自分でいろいろ勉強して、調べて、手探り状態でしたけど、何かしないと、という思いで過ごしていました。

Q  歌うことができない時間が長かったじゃないですか。その間、歌に対するモチベーションを保つのは結構大変だったりとかしました?

 そうですね。でも時間ができたことで冷静になれる部分もあって、自分の歌と向き合ったり発声を見直したり、改めて見つめ直すことができました。歌は1日練習したから良くなるということはないじゃないですか。今までも練習やボイストレーニングで自分のクセを正していく練習はしていたんですけど、その間に仕事が入ってくると軌道修正してもやっぱりクセの方が強く出てきてしまったりしちゃうんですね。お仕事で歌う期間が少なくなったぶん、クセを直せる時間が増えたという意味では良かったかな。歌に関してはゴールがないので、いろいろ試すことができる時間でした。

Q その中でたとえば新たに気づいたことや挑戦したことはありましたか?

 気づいた点で一番大きいことは、力を入れないということですね。僕は結構緊張するタイプなので、歌う時に割と力が入っちゃうんです。必要なところには必要なんですけど、必要ないところにまで力が入っていたのでどうしても声がかたくなってしまう。なので、お寺の鐘みたいに力を抜いて響くような感じをイメージしたり、家でもできるヨガや柔軟体操などに挑戦して本当に力を入れないということを意識してみたりしました。

Q そういったことが今回の新曲「男ひとすじ」に生かされていると思うのですが、いかがですか?

 そうですね。これまで「樹(き)」から始まった「泥」「梲(うだつ)」の三部作で男の世界を歌っている時に、自分でもちょっと構えて歌っているなと思うところがあったんです。でも今回は、少し柔らかい部分も入れつつ芯のある男像を歌えているなという感じはしますね。

Q それは詞においてですか? メロディーも?

 両方含めてですね。今回レコーディングの時に作詞の久仁京介先生から、“寅さんをイメージして歌って”と言われたんですね。「蒼彦太という32歳の男が歌うんだから、まだこの世の中のことをわかっているようでわかってないだろう。たぶんこうなんだろうなという感じでいいからイメージしながら歌ってごらん」と。その時に、“あ、そういう解釈があるんだ”と思ったんです。歌い手としてプロとしてやってる中で、この世界観を絶対どうにか伝えないといけないという思いがこれまでずっとあったんですよ。でも久仁先生のお話を聞いて、新たな視点を見つけたんですね。

Q  これまではちょっと背伸びして歌っていたところもあったんですか?

 そうですね。等身大でいいんだと、肩を張らずに今の僕で歌える歌を歌えばいいんだと。それでよかったんだって、気づきました。ちょうど「樹(き)」を歌わせて歌わせていただいていた時が28歳くらいだったと思うんですけど、28の男がわかったようなフリして歌っても「本当はわかってないだろう?」って思われるんじゃないかという葛藤がありました。だからそう思われないようにちゃんと歌わないとって、結構肩肘張っていたところもありましたね。

Q 「樹(き)」から始まった「泥」「梲(うだつ)」の三部作に「竜のごとく」と、蒼さんより少し大人の男らしい世界観の作品が続いていましたね。

 はい。でも今回その視点をいただいて、「あ、ちょっと力抜いてもいいのかな」って思ったんです。今回は出だしからガンと男の世界観を歌ってるから強くいかないとって思ったんですけど、強いばかりが男じゃないんですよね。弱いところもあれば優しいところもある。なので、今回の曲はちょっと最初は優しい感じで入ってるので、今までの曲とはちょっと違う部分を感じていただけるんじゃないかなと思います。解釈で歌がガラッと変わるんだなってすごく思いましたね。

Q  先生からこれまでにそういうお話をされたことはなかったんですか?

 そうですね。その頃はあんまりそういう話はしなかったかもしれないですね。話してもわかる年齢になったと少しは思ってくれたのかな? 若い時って、言われても「そうなのかな〜」みたいなわかるようでわからないところがあると思うので、ようやくわかるようになってきたのかな……そろそろ言おうかなって思ってくださったのかもしれませんね。

Q  ずっと見守ってくれていたけれど、蒼さんも10周年。そろそろって思われたのかも……。

 かもしれないですね。10年経ったんだから、どこかこれまでと違うところを出さなきゃダメだよっていう先生からのメッセージでもあると思っています。

Q 10年歌手として歌の道ひとすじに一生懸命歩んできて、そういうのを先生が見てこられた。私は最初歌詞を見た時に、蒼さんへのプレゼントなのかなと……。

 そういう部分も中にはあるかもしれませんね。でも僕が思うのは、僕の等身大で歌える歌でもあるんですが、歌われる時にお孫さんとかお子さんとかに向かって歌ってもいい歌じゃないかなと思ったりするんです。すべてが力強く「がんばれよ!」っていうんじゃなくて、「こういうこともあるけどさ、まぁまぁ……がんばろう!」みたいな(笑)。この曲が聴いたり歌ってくださる方の応援歌になったらいいなって。こういう世の中で大変なことがたくさんあるんだけれども、諦めずに一緒にがんばろうって。一生懸命頑張っても無理なことは無理。だからできることをやっていこうよ、っていう応援歌になったらいいなと思っています。

 

初挑戦の弦メロディーに感動。「ヒットさせたい」

Q 今回弦哲也先生の作品は初めてですよね。メロディーを初めて聴かれた時はいかがでしたか?

 キャッチーだなと、すごいいい曲をいただいたと思いました。感動しましたね。これが弦先生のメロディーか!と……。10周年ということでどの先生にお願いしようかとなった時に、記念曲だし弦先生にお願いしては、というお話をいただいて、「え、いいんですか!?」って。うれしかったです。まさか弦先生に書いていただけるなんてとても光栄でした。ヒットさせるぞと、と気を引き締めています。

Q 蒼さんがメロディーでとくに好きなところはありますか?

 メロディーは、これだけ盛り上げてくださるところを作っていただいたのは本当にうれしいです。一番はサビですね。

過去は 過去はのりきる ためにある
(「男ひとすじ」一番歌詞より)

Q 歌っていて気持ちいい?

 はい。歌っていて気持ちいいところに入るんです。聴いているだけでもそうだと思うんですけど。歌いたくなるメロディーですよね。カラオケファンの皆さんにもぜひ歌ってほしいですね。

Q とくに難しかったところはありますか?

 Bメロの「二度や三度のしくじりで」のところが、ちょっと弾むような感じになってるんですよ。そこがちょっと音程も下の方なので、下の方で弾むってすごい自分の中で難しかったですね。レコーディングの時に弦先生にも「もっと弾んでほしいから、ちっちゃい“っ”を入れてみようか」って。「にっどや 三度の しっくじりで」って、「っ」を入れると弾むんですよ! はぁぁ!と思って。なんとか乗り越えました(笑)!

Q カラオケで歌う際のワンポイントアドバイスはありますか?

 典型的ですけれど、最初は優しい気持ちで歌っていただくのが一番いいんじゃないかな。優しく入っていただいて、Bメロに入った時にちょっと弾んでいただく。そこから、優しさも少しけずりながらすこし芯を現しつつ、サビに向けてだんだん盛り上げていただければと思います!

 

念願の合いの手を入れられる曲。早く皆さんに言ってほしい!

Q  c/w「この世はどっこい」はリズミカルでまた違う趣の曲ですね。

 ずっと氷川きよしさんに憧れていたんですけど、「き・よ・し」という合いの手をファンの方が入れられる作品があるじゃないですか。デビュー当時から「ひ・こ・た」とか、ファンの方に一緒に掛け声を入れていただけるような曲がほしかったんですね。それがようやく!10年目にして!! 念願の掛け声をかけていただける歌をいただきました(笑)!!! 「この世はどっこい」のあとに「この世はどっこい」って言っていただけるんです!

Q 「ひ・こ・た!」じゃなくていい?(笑)

 いいんです、「ひ・こ・た!」じゃなくて(笑)。まだ皆さんに掛け声を言っていただいていないので楽しみです。早く言ってほしいです。生で早く歌いたいですね!

Q 色々あった10年だったと思いますが、この10年を振り返られて何かご自身で成長したなとか、変わったなと思うところはありますか?

 僕は意外とマイペースで直感型なんです。これと思ったらこれだし、違うと思ったらいやだし。でもそれじゃいけないなと、昔は全然人の話も聞かなかったけど、10年経って一歩引いてみたらこういうこともあるよな、とか色々な視点で見え始めてきたところはありますね。少しは成長したのかな。年齢を重ねると見えてくるものって変わってくるんですね。デビュー当初は歌うことで精いっぱいで周りが見えてなかったけど、今はちょっと落ち着いて歌うことができます。あとはやっぱり自分ひとりで動いているんではなくて、本当に周りの方に支えていただいて歌わせていただいているなというのはすごく感じるようになりました。それは大きな変化ですね。いろんな方に支えられてステージに立たせていただいている。だからその分、僕がステージに立たせていただいた時にはその感謝を返さないと、というのをすごく思っています。

Q 節目を経て、また新たな一歩を踏み出されますが、最後に今後の抱負と、ファンの皆さんへのメッセージをお願いできますか。

 はい。今はファンの皆さんに楽しんでいただけるような何かを、もっともっと発信したいなと思っています。まだ足りないところがあるなと感じていて、何かできないかなとずっと考えています。大変な時期ですが色々な楽しみがあると思います。その中のひとつで歌を聴いたり、歌ったりされる時に僕の新曲「男ひとすじ」を加えていただけたらうれしいです。聴いても歌ってもストレス解消!になる曲です。そしてライブとかできるようになったら、ぜひ会いに来て僕の歌を聴いていただきたいなと思います。1日も早く明るい未来が来ますよう、僕も祈りながら歌い続けますので応援をよろしくお願いいたします!


2021年3月24日発売
デビュー10周年記念曲
蒼彦太「男ひとすじ」

「男ひとすじ」
作詞/久仁京介 作曲/弦哲也 編曲/南郷達也
c/w「この世はどっこい」
作詞/久仁京介 作曲/中島薫 編曲/石倉重信
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91334  ¥1,227+税

 

Profile
蒼彦太(あおい・ひこた)
1988年12月26日、香川県生まれ。2010年にテレビ番組『演歌がええじゃん』放送500回記念の新人歌手オーディションにて優勝。2011年「カラオケ流し」でデビューを果たす。コロナ禍前は月2回行っていたヒコタンライブや股旅ライブ、テンプルキャンペーンなど精力的に活動。その他テレビ番組『竹島宏の歌MAX』準レギュラーや、同じ事務所に所属する天野涼とのユニット「彦と涼一座」などでも邁進を続けている。今年デビュー10周年を迎え、今後さらなる活躍が期待される。趣味は音楽・映像編集。また、故郷・香川の名物讃岐うどんを手打ちするなど器用な一面も。