あらゆる出会いに支えられ、服部浩子はさらなる高みを目指す

王道演歌を軸に、これまで数々の名曲を世に送り出してきた服部浩子が、「呉(く)れない情話」を9月16日に発売した。
デビュー31年目にして、その歌手人生に新たな風を呼び込み挑んだ快心作。円熟した歌唱力と圧倒的な表現力でカラオケファンの心をつかみ、さらなる高みを目指す。

 

“ケ・セラ・セラ” 歌えることの幸せを新曲に込めて

 

幼い頃から、服部浩子は歌が大好きな女の子だった。親戚が集まると歌を披露しては喜ばれ、とくに演歌を歌うと叔父も叔母もみんなが笑顔になった。

「自分では覚えていないんですが、3歳ぐらいから歌っていたって両親から聞かされています。そうしているうちに、“演歌は特別なモノ。みんなが笑顔になる不思議なモノ”と子どもながらに思うようになったんですよね」

以来ずっと歌を愛し、歌い続けてさまざまなコンテストに出場しては輝かしい成績を収め、小学5年生の時に出演したテレビ番組ではグランプリに輝いた。

そして今年、デビューしてから30年あまり。前作「風花港」まで王道演歌を歌い続けてきた服部が放つ新作は、歌手人生31年目の“挑戦”とも言うべき意欲的な作品となった。

作曲は、服部が13歳の時にレッスンを受けていた作曲家・聖川 湧氏のもとで出会った「10コ年上のお兄ちゃん」、兄弟子のムロ マサノリ氏。兄妹のように日々を過ごし、心を許せる仲であるムロ氏による楽曲を服部が手にした時は、ちょうどコロナ禍による自粛期間中だった。

レッスンなど外出して歌うことはできなかったが、自宅で過ごす間に鼻歌で口ずさみ覚えてしまえるほどすんなりと体に馴染み、緊急事態宣言後に行われたレコーディングはとても順調に進んだ。

「今までとは異なるカラーの作品でしたが、戸惑うことなく素の自分で歌の世界に溶け込むことができました。女性の切ない気持ちを歌っていますが、今までにないノンジャンルとでも言いますか、演歌ではないですね。詞の内容からいろいろな情景を思い浮かべることもできるし、皆様に何か新しい風を感じていただけるのではと思います。私にとっても新鮮な作品です」

この春からのコロナ禍でステージもプロモーションもキャンペーンもすべてキャンセルとなり、これだけ歌えなかった期間は人生で初めてだったという。その期間に、服部は数多くの楽曲を積極的に聴いて過ごした。

「こんなに長く歌えない状況が続くとは思っていなかったですしね、歌えない日々が続くことでストレスも感じていました。そうすると、とにかく何かしたい、何かしなくてはと思うようになって、いろんな方の作品を聴いていました。とくに、往年の名シンガー、イーディ・ゴーメ(※1)のアルバムは何度も何度も聴きましたね。昭和のアイドルや、最近のJ-POPなど、これまでに時間がなくてあまり聴くことができなかった曲も、幅広く聴きました」

ジャンルにこだわらずたくさんの作品に触れて過ごしていたことは、今回の新曲「呉(く)れない情話」の作品づくりにとっても、プラスに働いたのではないだろうか。

「私が今日まで歌い続けることができたのは、本当にいろんな出会いがあってのこと。自分の力ではどうにもならない運、不運もあるし、できないこともたくさんありました。それでも好きな歌を歌い続けてこられたのは、“時の流れに身を任せ”ではないですけれど、皆さんの支えがあってのこと。つい先日も母親と話をしたんですけれど、“ケ・セラ・セラ”。なるようになる、ですよね。この言葉、私大好きなんです」

服部浩子は、朗らかな表情でそう語った。

自身をさらに成長させるためにも、「呉(く)れない情話」で新境地に挑んだ服部。厳しい環境下での31年目のスタートとなったが、一日も早く世情が好転し、ライブステージで彼女の生歌を披露する日が待ち望まれる。

※注1)
イーディ・ゴーメ(Eydie Gome、1928-2013)
ニューヨーク生まれのポップス・シンガー。1961年と1967年にグラミー賞を受賞している。1957年に歌手のスティーブ・ローレンスと結婚。夫妻でのデュエット作品も数多く残している。1963年に「恋はボサノバ」(原題:Blame It on the Bossa Nova)が大ヒット。スペイン語が流暢であったため、ラテン系の楽曲も数多く発表している。1995年、米国ソングライターズ・ホール・オブ・フェイムに、夫とともに殿堂入りした。

 


2020年9月16日発売
新風を巻き起こす意欲作
服部浩子「呉(く)れない情話」

「呉(く)れない情話」  
作詞/本橋夏蘭 作曲/ムロ マサノリ 編曲/猪俣義周  
c/w「月酒場」 
作詞/北爪 葵 作曲/ムロ マサノリ 編曲/猪俣義周  
テイチクエンタテインメント TECA-20031 ¥1,227+税

“兄弟子”ムロ マサノリ氏の作曲(表題曲、c/w曲とも)による今作は、服部自身「ダブルA面にしても良かった」という快心作。表題曲の「呉(く)れない情話」は、これまで王道演歌を歌い続けてきた服部浩子とは一線を画す抒情的な楽曲。「構えずに、自然体の自分でレコーディングに臨みました。出だしの16部音符が並ぶところと、サビの部分でメジャーに転調するところが、この作品のポイントですね。カラオケで歌っていただく際には、冒頭部分は早口にならないように、転調する部分は明るく笑顔で歌っていただければと思います」(服部)。c/w曲の「月酒場」は二胡の伴奏が印象的な作品。「幻想的で大陸的な雰囲気。とても気持ちが落ち着く一曲になったと思います」(服部)


Profile
服部浩子(はっとり・ひろこ)
1971年5月29日、東京都町田市生まれ。幼少期に神奈川県秦野市に転居。1982年に日本テレビ系の番組「日本ちびっこ歌謡大賞」でグランプリを獲得。第一プロダクションの誘いを受け、作曲家・聖川 湧氏に師事する。1990年に「御神火月夜」でデビュー。その年の各種新人賞を受賞。1994年にリリースした「海峡わかれ町」が40万枚のセールスを記録。またラジオパーソナリティとしてTBSラジオの長寿番組「いすゞ歌うヘッドライト」で1992年から1997年までの5年間、金曜日を担当していた。昨年、デビュー30周年を迎え、ますます精力的に活動を続けている。