新世代歌謡デュオ「マリオネット」素敵にデビュー~奇跡の物語のはじまり~
10歳ごろからダンスを踊っていたミナミは高校生の時、モダンダンス(創作ダンス)と出会い青春を捧げていた。全国大会で優勝を狙う強豪校で、2012年には第65回全国中学校・高等学校ダンスコンクールで3位に入るほど。そんな彼女は宝塚歌劇団が好きで、舞台への憧れを抱くようになる。
「体で何かが表現できたらいいな。舞台では歌うこともあるから、歌の勉強もしてみようかな」
2017年、ミナミは徳間ジャパンコミュニケーションズとラジオ日本が主催した「演歌・歌謡曲 新人アーティストオーディション」に応募する。
「面白そうだなと思って、スマホで歌を吹き込んでデータを送りました。そうしたら2500人の応募者の中から10名のファイナリストに残って公開オーディションに臨むことになりました。人前で歌ったのはその時が初めてでした」
ミナミの歌声を聴いた現在の事務所から「歌手をやらないか」という声がかかる。歌は好きだったが、どうしても歌手になりたいという思いを抱いたことはなかった。だが、2017年の終わり、ミナミは歌の世界に飛び込むことを決めた。
マオは物心がついた頃から歌手になりたいと思っていた。小学生の時にはテレビ高知が主催した「歌って走ってキャラバンバン」で優勝するほどの実力者でもあった。高校を卒業すると故郷・高知市を離れて上京。大学に通いながら、歌のレッスンに励んだ。
「父親からは一握りの人しかデビューできない。99.9%、歌手になるのは無理だと言われました」
だが、娘が歌手に憧れていたことを知っていた父親は期限付きで歌手を目指すことに理解を示す。マオはシンガーソングライターとしてソロ活動を開始し、ピアノの弾き語りでポップスを歌った。いつかプロの歌手としてCDデビューを果たしたい。高知の両親は約束の期限が過ぎてもプロデビューできない娘を見守り続けてくれたが、チャンスはなかなか巡ってこなかった。
歌の世界に飛び込んだミナミもまた足踏みをしていた。歌の基礎を学びつつ、昭和歌謡やオールディーズの楽曲をカバーし、経験を積むためにショッピングセンターなどで歌っていたが、相方が見つからなかったのだ。じつはミナミはソロではなく、デュオとしてデビューすべく相方を探していた。しかし何人もの候補者と歌声を合わせてみたものの声質が合わず、あっという間に一年が過ぎてしまった。
そこに現れたのがマオだった。“もしかしてこれはチャンスかも”。関係者を通じて声がかかったマオはミナミと会うことを決める。
打ち合わせはなかった。とにかく一度歌ってみようと、あみんのヒット曲「待つわ」を一緒に歌ってみた。二人はお互いに驚いた。声質がぴったりと合ったのだ。
「それまで一人で歌ってきたので、二人で歌を合わせるのは得意ではなかったんです。でも、打ち合わせもなく歌ったのに、自分の声が倍増して聞こえました。あっ! これは!!って」
ミナミはマオとの声の重なりに驚いた。
「ソロとして活動していた時にも、いろんな人と一緒に歌うことはありましたが、声がひとつになるという感覚はありませんでした。でも、ミナミちゃんと初めて合わせた時に、あっすごい!! 倍音じゃないの?って。不思議な感覚でした」
倍音歌手の最高峰に位置するのは、美空ひばりだと言われているが、ミナミとマオが一緒に歌うことで、個性的で心地良い歌声が生まれた。
「ミナミちゃんとなら、もっともっといいものを出していける!」
マオはそう確信した。新世代歌謡デュオ「マリオネット」としてデビューするまで、1年と少し前の出来事。運命の歯車が動き出した瞬間だった。
運命の出会いを果たしたミナミとマオは、昭和歌謡やオールディーズのナンバーをカバーする女性デュオとして「えむ2えむ(エムツーエム)」を結成、本格デビューを目指してショッピングセンターでの歌唱やライブ活動で経験を積んでいく。だが、本当にメジャーデビューできるかどうかはわからなかった。そこに現れたのが作曲家・浜圭介だった。
Q 運命的な出会いを果たしたミナミさんとマオさんは2019年初頭から「えむ2えむ」として歌手活動を開始されます。
ミナミ 二人で練習を重ねてカバー曲を一曲一曲仕上げていく作業を続けました。ただ、自分たちのCD(オリジナル曲)を持っていなかったのもあって、最初は足を止めてくださる方がすごく少なかったですね。ですから、MCを頑張ってみたり、ビンゴ大会やジャンケン大会をしてみたりして、その地域の方に自分たちのことを覚えてもらおうと頑張りました。印象的なステージを残そうって。
マオ それが自分たちをすごく成長させてくれました。ステージを重ねるごとにお客さんがどんどん増えていって、立ち見が出ることもありました。そんな中でコロナ禍になってしまって、お客さんの前で歌えなくなったのは残念でしたが、今度は「マリオネット」としてお会いできるのを楽しみにしています。
Q マオさんは、ソロ活動時代はポップスを歌っていましたよね?
マオ ソロ時代から応援してくださった方は、全然違うジャンルの歌を歌うようになった私に最初は驚かれましたが、今もずっと応援してくださっています。本当にありがたいです。
Q 女性デュオとして歌うまでは、演歌や歌謡曲、オールディーズは未知でしたか?
ミナミ いいえ、ずっと興味はありました。祖父母がレコード好きで、子供の頃から演歌や歌謡曲を自然と聴いていました。でも、まさか自分が歌うことになるとは思っていなかったので、歌手を目指すようになってからは一から勉強しました。
マオ ソロ時代は主にポップスをカバーして、自作曲もポップスでした。でも、祖父が詩吟をやっており、演歌も歌っていたので、演歌・歌謡曲は耳に馴染んでいましたね。日本での演歌・歌謡曲には伝統的な芸術の側面があると思います。自分が歌い手として、演歌・歌謡曲を歌うことで学ぶことも多かったです。表現の幅が広がるといいなと思っています。
ミナミ 演歌・歌謡曲には美しい日本語が使われています。この綺麗な世界をどう表現していくかを考えています。
Q 「えむ2えむ」として活動しメジャーデビューを目指す中で、作曲家の浜圭介さんに見い出されました。
ミナミ 事務所の関係者を通じて、浜先生にお目にかかれることになりました。でも、曲を作っていただけるかどうかはまったくわかりませんでした。ドキドキしながら二人で歌ったんですが、浜先生がパッと笑顔になられて。弘田三枝子さんが歌われた「砂に消えた涙」を歌わせていただいた時に、「こういう曲の世界観に合っているね」って言っていただけました。
マオ 「僕は君たちを育てたい」っておっしゃってくださいました。「僕も頑張るから君たちも頑張ってね」って励ましてくださったんです。
ミナミ 最初は怖い先生かなと思ってビクビクしていましたが、「浜ちゃんが応援するからね」って(笑)。すごく心強かったです。
マオ 先生が作曲された「街の灯り」も歌ったんです。でも、「俺のはいいよ。無理矢理歌わなくていいよ」って(笑)
ミナミとマオの透明感のあるビジュアルと声質を見抜いた浜圭介。「石狩挽歌」や「舟唄」など多くのヒット曲を生み出してきた大御所は、この2人を育てたいと思った。運命の歯車はさらに動き、新世代歌謡デュオ「マリオネット」の誕生に向けて動き出す。
Q 歌手デビューが決まった時の気持ちはいかがですか?
マオ 浜先生や事務所のスタッフさんが私たちのデビューに向けて準備をしてくださっていたので、まずはその思いに応えたいなと思いました。今まで応援してくださった人にも頑張る姿を見せたいという気持ちがあったので、コロナ禍で不安もありましたが、前向きな気持ちが大きくなりました。
ミナミ 自分たちがうれしかったのはもちろんですが、応援してくださっていた方に“デビューできるよ” “CDが出るよ”って言えることがうれしかったですね。
Q 幸運な出会いから女性デュオを組むことになったミナミさんとマオさんですが、お互いの印象について教えてください。
マオ 一見、おしとやかに見えるミナミちゃんですが、難しいことにもどんどんチャレンジしていくところが、すごく素敵だなと思います。SNSに動画を上げる時も、自分たちで音源を作ったり、動画を編集したりするんですが、まずは自分で調べてやってくれます。最近は一緒にいる時間も長くなって、今、何を考えているのかがわかるようになってきました。二人で助け合いながらやっています。
ミナミ 最初に会った時の印象はあまりしゃべらない人かなと思ったんですが、しゃべっているうちにどんどんやんちゃな部分も見えて(笑)、面白いことを言ったり、モノマネしたり。ライブでもアシカの鳴き声をよく真似ています(笑)。ずっとポップスを歌ってきたのに切り替えも早くて、どんなジャンルの歌でも歌いこなせるのは尊敬します。歌い方の相談をすることもありますし、すごく助けてもらっています。
Q デビュー曲「マリオネットの恋」ができあがってきた時の印象は? 作詞は田久保真見先生、作曲はもちろん浜先生です。あやつり人形(マリオネット)のように大人の恋を求める歌ですね。
マオ (メジャーデビューに向けて)それまでは歌謡曲やオールディーズを歌ってきましたが、歌詞もメロディーもそれらとは違ったので、最初はどう表現すればいいかわかりませんでした。でも、先生方は「自分たちが思うままに歌っていいよ」とおっしゃってくださったので、私たちの考える「マリオネットの恋」が表現できたと思います。カバー曲と違ってオリジナル曲ではお手本がないので、自分たちで作品を作り上げていく過程は難しかったです。
Q レコーディングはどんな感じでしたか? また前日はどんな気持ちでしたか?
マオ これがデビュー曲の音源になるんだと思うと、ドキドキしました。ミナミちゃんと待ち合わせして、「ドキドキするね」って話しながらスタジオへ向かいました。
ミナミ 関係者の方からは緊張しなくていいよ、リラックスしてって言われていましたが、録音したものが一生残るかと思うと緊張感に包まれた前夜でしたね(笑)。
Q 眠れました?
ミナミ ボチボチ(笑)。レコーディングは別々じゃなく、マイクを2本並べて、最初から最後まで二人一緒に歌いました。普段のステージと同じように、アイコンタクトを取りながら。
マオ たくさん練習を重ねてきたので、いい緊張感を持ちながら、いつもの二人の歌を歌おうと思いました。
ミナミ 最初から完璧を求めすぎてしまうと、いつもとは違う歌い方になってしまうと思ったので、最後は多少失敗してもいいぐらいの気持ちでした。浜先生からは、「マイクが壊れるぐらいの気持ちで歌ってね」と。それぐらいの勢いで声を届けるようにアドバイスをいただきました。
デビュー曲「マリオネットの恋」。デュオ名も「マリオネット」に決まった。2021年5月12日、2体のあやつり人形が動き出した。単なるあやつり人形ではない。ミナミとマオを応援するすべてに人に支えられたあやつり人形だが、意志を持ったあやつり人形だ。
Q 浜先生からはどんな指摘を受けましたか?
マオ 浜先生によく指摘されたのは、「歌詞の意味をよく理解して歌うように」ということでした。そのためには、そこに至るまでにいろんなことを感じながら来ないといけないというのを、すごくおっしゃってくださって、大切にしないといけない教えだと思いました。
ミナミ 「マリオネットの恋」はすごくリズミカルな曲です。1番の歌詞の最後に「kissは甘いの? どうなの? しょっぱいの?」という箇所があって、メロディーにしっかりとついていかないといけないんですが、ただ突っ立ったまま歌うのではなく、「踊るように歌いなさい」って言われました。ですので、レコーディングではメロディーにしっかり体を乗せるようにして歌いました。
Q デビュー曲「マリオネットの恋」はお二人にとってどんな曲になっていってほしいですか?
ミナミ たくさんの方に歌ってほしいとは思いますが、自分たちの声で歌った時がいちばんハマる曲であってほしい。そういう思いで歌っていきたいと思っています。
マオ 私も同じ思いですが、やっぱり多くの方にこの曲を知ってもらいたい。そのためにも大切に、しっかり歌っていきたいですね。
Q ところで、デュオ名が「マリオネット」になった経緯は? 曲名からいただいた?
ミナミ はい、曲からいただきました。覚えていただきやすいと思います。自分たちが考えていた名前よりも気に入っています。
マオ 花の名前がいいかなって図鑑を買ってみてみたり、花言葉を調べてみたりしていたんですよ。女性デュオとして大活躍されたザ・ピーナッツさんみたいに、“対”になる名前を二人で探したこともありましたが、インパクトのある名前をいただけたと思います。
Q ザ・ピーナッツの名前が出ましたが、目標とする歌手はいますか?
マオ ザ・ピーナッツさんのように時代を超えて皆さんに知ってもらえる歌手には中々なれないですよね。ですから、ザ・ピーナッツさんのような歌手になれたらいいですね。目標です。
ミナミ ザ・ピーナッツさんは双子の姉妹です。私たちは血がつながっていません。でも、しっかりと重なる私たちの歌声に神秘性を感じていただきたいと思います。CDショップで知らない曲が流れていても、「この曲はあの人の歌かな」ってわかる歌手の人っていますよね。私たちがそうなれればうれしいですね。
インタビューを受ける二人の息もぴったりだった。ミナミが話せばマオが補足する。またその逆もしかり。相づちは二人同時に打つ。笑うタイミングもツボも同じ。血はつながっていないが、まるで一卵性双生児のように息が合っている。プライベートの服装も事前の打ち合わせなどなく、色味などがそろうようになったとも。新世代歌謡デュオ「マリオネット」のミナミとマオ。奇跡の出会いが今後、どんな歌声を届けてくれるのか? 楽しみ以外ない。
2021年5月12日発売
奇跡の出会い。新世代女性デュオ・デビュー!
マリオネット「マリオネットの恋」
「マリオネットの恋」は作曲家・浜圭介に見い出されたマリオネットのデビューシングル。田久保真見が手がけた作詞には、“私は あなたのお人形” “手取り足取り 教えてね”など刺激的な言葉が並ぶ。山口百恵が「ひと夏の経験」(1974年)で、“女の子の一番 大切なものをあげるわ”と歌った時を思い出させるような歌詞だ。メジャーデビューに向けて、昭和歌謡やオールディーズを歌ってきたマリオネット(「えむ2えむ」の“みなみ”と“まお”として)ならではのデビューシングルとなった。田久保からは「映画のト書きのように。変に考えすぎるとダメだから、今の二人の純粋な気持ちのままで歌ってほしい」(マオ)と言われ、レコーディングに臨んだ。
カップリング曲の「涙のアクアリウム」は女性の切なく寂しい心の内を歌っている。
ミナミ「『マリオネットの恋』より落ち着いた曲です。最初は失恋の曲かな思って歌っていたんですが、歌っているうちに、失恋だけではなく、すごく大切な人を失ってしまったり、自分の大事な存在をなくしてしまったりなど、いろんな解釈ができる歌だなと思うようになりました。意味の解釈を広げていける曲です」
マオ「私も最初にいただいた時は、一人の女性がいて、大切な人が自分の元から去っていった恋愛の曲としてとらえていました。でも、こういう状況って恋愛だけじゃなく、いろいろあるなと思いました。聴いてくださる方がいろんな解釈をしてくださったらいいですね」
profile
マリオネット
2021年5月12日、「マリオネットの恋」でデビューしたミナミとマオによる女性デュオ。デュオ名はデビュー曲のタイトルから名付けられた。歌手としての目標は、ザ・ピーナッツ。透明感のあるビジュアルと声質を作曲家・浜圭介に見い出された。
ミナミ(写真右)
12月5日、埼玉県生まれ。10歳の頃からダンスを習っており、高校生の時には全国中学高校ダンスコンクールで3位となる。見た目の印象とは異なり、心根は体育会系とのこと。宝塚歌劇団の舞台観劇、ヨガ、水泳が趣味。2017年、「徳間ジャパンコミュニケーションズ×ラジオ日本 演歌・歌謡曲 新人アーティストオーディション2017」に応募し、2500名の中からファイナリスト10名に選ばれスカウトされる。2019年、マオと「えむ2えむ(エムツーエム)」を結成し、CDデビューを目指して活動。2021年5月、ユニット名を新世代歌謡デュオ「マリオネット」と改め、日本クラウンからメジャーデビュー。
デビューが決まった時、ご家族は?
「うちの家庭は、本当にどこにでもある一般家庭です。芸事に秀でた家族がいたわけでもありませんでした。両親にデビューできるみたいって報告したら、『突然変異だね。うちの遺伝子からまさか歌手が出てくるなんて』って(笑)。誰の遺伝子なんだと騒がれましたが、お祝いをしてくれました」
マオ(写真左)
4月2日、高知県生まれ。小さい時から歌手になるのが夢だった。小学生の時には地元のテレビ局が主催した「歌って走ってキャラバンバン」(テレビ高知)で優勝。高校卒業と同時に、上京。大学に通いながら歌のレッスンを受け、シンガーソングライターとして歌手活動を開始する。2019年、ミナミと「えむ2えむ(エムツーエム)」を結成。2021年5月、ユニット名を新世代歌謡デュオ「マリオネット」と改め、日本クラウンからメジャーデビュー。趣味は写真を撮ること、神社巡り、お香を焚くこと、ショッピング。大学時代に韓国留学の経験があり、韓国語能力試験4級、韓国語能力評価試験5級の資格を持つ。
デビューが決まった時、ご家族は?
「父親からは歌手になるのは『99.9%、無理だ』と言われていましたが、デビューが決まって両親がすごく喜んでくれました。『おめでとう』って。私は東京で、家族は高知なんですが、みんなで焼肉を食べに行ってお祝いしてくれました(笑)。これまで家族の支えがあってつかめたデビューなんだから、恩返ししてよ、とも(笑)」。
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