モングンらしさが凝縮。日本デビュー15周年の集大成。新曲「昔のひと」でロマンを歌う。

力強い歌唱が特徴だったモングンの新曲「昔のひと」はロマンをテーマにしたバラードだ。前作「秘恋」から続く、新しいモングンの才能が光っている。一方、カップリング曲「おんな 恋風・港町」は、汗をかきながら歌ったというほどパワフルに熱唱。一粒で二度おいしい。モングンの魅力がつまった15周年記念シングルに迫る。

与えられたテーマは“ロマン”

――日本での歌手デビュー15周年、おめでとうございます。

モングン ありがとうございます。韓国から何もかもわからず体ひとつで日本へ渡ってきた私を、15年間も歌っていられるように、全国のたくさんの皆様が支えてくださっていることに感謝申し上げます。15周年を通過点として、一回り成長したモングンを見せたいですし、そうなれるよう頑張りたいと思います。

――記念シングル「昔のひと」は、かつて恋した相手と再会してしまった時の女性の心情、ロマンを歌っています。

モングン 前作「秘恋(ひれん)」から続く、ムードのあるバラードの曲です。歌詞も、前作から続くような内容です。2作続けて歌謡バラードをいただきましたが、これまでのモングンの歌のイメージは、“力強い”“パワフル”でした。でも昨年、「秘恋」を歌わせていただいたことで、「モングンさん、ずいぶんイメージが変わりましたね」と言われるようになりました。新しいファンの方も増えました。

――ここ最近の曲は朝比奈京仔先生が作詞、徳久広司先生が作曲した歌を歌われています。

モングン 両先生から作品をいただくのは今作で4作目です。1作目の「黒の漁歌」(2018年2月)、2作目の「北海じゃんじゃん節」(2019年2月)は海の歌。すごく男らしさがありました。でも、2作目のカップリング曲「雪の音色」は歌謡バラードで、女性の気持ちを表現した歌でした。「モングン、こういう歌も歌えるんだね」って。お客様からの評判が良くて、「秘恋」のリリースにつながりました。

――「秘恋」は昨年11月下旬に発売された曲ですね。

モングン はい。新しいモングンが表現できた歌に出合い、評判も広がっていたと思います。ところが、これからという時に新型コロナウイルスが社会問題になって……。すごくがっかりしました。

――そんな中で、新曲「昔のひと」と向き合いました。

モングン 自分自身の(経験の)ためにも歌謡バラードを歌っていきたいと思っていました。「昔のひと」とカップリング曲の「おんな 恋風・港町」の2曲をいただきました。雰囲気の違う2曲ですが、「一度で二度おいしい作品を作ろう」と、徳久先生が考えてくださいました。表題曲とカップリング曲で二つの色を楽しんでいただけることになり、感動しています。先生を信じてきましたし、新しい歌をレコーディングする度に勉強させていただいています。

モングン「昔のひと」MV撮影

新曲「昔のひと」のミュージックビデオ撮影に挑むモングン。この作品のテーマはロマン。

――カップリングの「おんな 恋風・港町」は港町を舞台にした力強い海の歌ですね。

モングン どちらも曲が良すぎて、モングンが歌うのはもったいないな(笑)、という思うほどです。

――最終的には、前作「秘恋」のイメージを引き継ぐ形で、「昔のひと」が表題曲となりました。「ムード歌謡を歌うモングン、いいね」という声がたくさんあったとか。

モングン 女性の気持ちになって、深く考えながら歌うという経験はこれまでありませんでした。主人公のような、か弱い女性ならこんな気持ちになるのかなと、歌いながら少しずつ勉強しているところです。でも、ありがたいです。新しい経験が新鮮です。緊張しながら歌っています。

自分らしさ、個性を磨きたい

――韓国には、叶わない恋や切ない恋を、日本の歌謡バラードのようなメロディーに乗せて歌う歌は少ない?

モングン 韓国でも悲しかったり、寂しかったりする恋愛をテーマにした歌は多いんですが、雰囲気が違いますね。韓国では踊りながら歌っているけど、歌詞を聴いたらすごく悲しい歌だったり。韓国で歌っていた時は、リズム的に明るい歌は「踊りたいな」と思ってもらうように歌っていたので、詞の世界を今ほどは深くは考えませんでした。日本の本格的なムード歌謡を歌うようになってから、歌詞の内容を勉強しながら歌うようになりました。最初は難しい作業でしたが、それは正しかったですね。

――歌唱について、先生からはどんなアドバイスなどありましたか?

モングン 自分の中ではケジメをつけたはずの昔のひとに、ある日、再会していまい、まだ諦められていなかった自分の揺れ動く気持ちを切なく表現した歌なので、冒頭からサビまでは感情を抑えて、ゆったり大きく歌うことが大切だと指摘されました。後半のほうがより切なさがあるので、後半はすすり泣くような歌い方をイメージしました。

――「ゆったり大きく歌う」ことが大切なんですね。

モングン はい。毎回、すごく勉強させていただいています。やっぱり誰もがうまく歌いたいから、自分の持っているものを全部出そうとします。僕もそうでした。でも、先生からはたくさんのいいものを全部並べようとするのではなく、自分のいいところを一つだけ磨いていくようにと言われました。そこを磨いて、さらにまたひとつ足していけばいいと。

――モングンさんの磨いていきたいひとつは?

モングン 自分らしさです。やっぱり個性じゃないかと思います。

――カップリング曲「おんな 恋風・港町」はいかがですか? 漁に出た男性を、港町で待つ女性の歌です。

モングン 本当はずっと一緒にいたいけれど、夜が明ければ男性を乗せた船が出てしまいます。毎日帰ってきてくれるなら大丈夫ですが、一度、海に出てしまうと、半年は会えない。すごく寂しさを感じる歌です。

――歌唱については?

モングン 力強く歌いました。最初、歌った時に先生から「モングン、何パーセント出した?」と聞かれました。僕が「70%ぐらい出しました」と答えたら、「もっと出せ。この歌はガンガン歌いなさい」と。それでガーッと力を出して歌うと、「そうだ、そうだ。でも、もっと出せ。この歌は優しく歌うとダメだ」って。何かもう汗かきながら、ガーッって歌いました(笑)。

――サビの歌詞で「So long… So long…」と歌うところがありますが、とても耳に残ります。

モングン 「So long」は“じゃあね”とか”さようなら“とか“またね”とか。人によっていろんな意味が含まれる言葉です。聴く人、歌う人それぞれの「So long」を思ってもらうといいと思います。

 

歌を通じて言葉、文化を覚え、人と出会った

活動の拠点を日本に移し、日本で歌手デビューを果たしたのは2006年。モングンにとって今年は15周年の節目の年になる。そんなモングンが新曲発売と同時に、初めてのアルバム「サランエノレ ~愛の歌~」をリリースする。作品への思い、歌手としての決意など、15年目の心境を歌手・モングンに聞いた。

――15周年の記念シングル「昔のひと」と同時に、集大成とも言えるアルバムもリリースされます。

モングン 初めてのアルバムが15周年記念プレミアムアルバム「サランエノレ ~愛の歌~」となりました。今まで応援してくださった方々に喜んでいただける16曲が、韓国民謡から日本の演歌まで幅広く入っています。

――レコーディングはいかがでしたか?

モングン すごくドキドキしながら歌いました。都はるみさんの「千年の古都」や三波春夫さんの「雪の渡り鳥」などをカバーさせていただき、韓国民謡の「セタリョン」やTVドラマ『天国の階段』の主題歌「ボゴシップダ」など韓国の歌も歌っています。「ボゴシップダ」は初挑戦の曲で難しかったですけれども、すごく楽しみながら歌いました。ファンの方からリクエストいただいた曲に挑戦したので、自分のステージでは歌ったことがない曲もたくさん入っています。ぜひ、皆様に聴いていただきたいと思います。

――デビューして15周。振り返るとどんな月日でしたか?

モングン 本当にあっという間でした。本当に何もわからないところへ渡ってきて、歌を通じて言葉を覚えました。歌を通じて皆様と巡り会いました。歌を通じて日本の社会、文化を知りました。もちろん、生活していく中で一から覚えたこともあり、それはすごく楽しかったですね。

――日本で歌手として歌っていくと決意した一番の理由は? 不安もありましたよね?

モングン もちろん不安もありましたけれど、僕の意思で(日本で)デビューしようとはまったく思っていませんでした。日本で歌う機会があり、支援してくださるファンの方がいらっしゃって、ご夫婦でしたが、ある3組の方が「私たちがあなたをね、日本の歌の世界にデビューさせるから頑張りや」と、デビューを後押ししてくださいました。

――家族の反対はなかったのですか?

モングン (チャングンとして活動した兄も歌手を辞め)兄弟姉妹はすべて結婚して家庭を持っていました。僕だけが独身でした。だから、比較的自由でしたし、両親も「自分が選んだ道だから頑張れ」という感じでした。双子の兄も同じでした。ですから、僕自身は不安より、新しいことに挑戦するという、うれしさの気持ちが強かったですね。自分を信じてやって来たことが、15周年につながったと思います。

「モングンの歌を聴きたい」。そんなファンの応援があったからこそ、今の活動につながっている。

日本での15年はあっという間だった。これからもモングンらしさを磨いていく。

――韓国へ帰ろうとは、一度も思わなかったですか?

モングン なかったですね。日本に来てよかったと思うことのほうがずっと多かったです。日本で生活してみることで、なんて日本は素晴らしい国だと思いました。日本に来てすぐの頃、こんなことがありました。電車で大阪へ行きました。父が韓国で果樹園をやっていたので、剪定バサミを買って送ってほしいと頼まれたのです。「日本の剪定バサミはすごくいいから」と。でも、大阪のどこへ行けば買うことができるのかわかりません。

――それでどうされたのですか?

モングン 知り合いの方に書いてもらったメモを持って出かけました。でも、お店の近くまではたどりつけましたが、そこからがわからなくて周辺をうろうろしていました。まだ、日本語があまりわからない時期です。なんとか、「すみません。このあたりで剪定バサミを売っているところはありますか?」と、あるところで尋ねました。僕の言葉を聞いて、すぐに外国人だとわかったのだと思います。「どこから来たの?」と聞かれ、「韓国です」と答えたら、「説明してもわからないと思う」と、そのお店まで連れて行ってくれました。くねくねした道をあっち回って、こっち回って。結構な距離がありました。しかも、ちゃんと帰れるように段取りまでしてくださったんです。あの時はすごく感動しました。

――いい思い出ですね。

モングン はい、いい思い出です。剪定バサミを父に送ったらすごく喜んでくれて、「うちの息子が素晴らしい剪定バサミを買って送ってくれた」と、周りの農家の方に自慢していたみたいです。父は他界してしまいましたが、ひとつでも親孝行ができてよかったと思います。本当は歌の世界でもっともっと頑張っている姿を見せたかったですけどね。

僕の人生、ずっと日本で歌っていく。

――モングンさんが生まれ育ったのはどんな町だったんですか?

モングン 韓国の中でも田舎でした。ホントに田舎なんですよ。未だにコンビニへ行こうと思ったら山を越えないといけないほどです。

――出身地の慶尚北道(キョンサンプクト)は歴史のある地域ですよね。

モングン ええ、でも住んでいたところは山の奥の、奥奥奥(笑)。人もあまり住んでいません。じつは、そんな山奥にも日本の方が嫁いで来られました。そのお嫁さんを、父はすごくかわいがっていたと聞きました。自分の息子が日本にいるからと。今考えると、不思議な縁ですね。

――今後もずっと日本で歌っていくつもりですか?

モングン はい、韓国には帰る場所もありません。家族は住んでいますが、みんなそれぞれ家庭を持っています。まあ兄弟は兄弟の人生、親戚は親戚の人生だしね。僕は僕の人生だから。

――ちなみに、ステージでは韓国での歌手時代に歌った曲も歌われるのですか?

モングン 歌ったことはありますが、ほとんど記憶にないぐらい歌いません。韓国語の歌は歌います。日本の方がご存知の歌を中心に。でも、「これが韓国の僕の歌です」と歌っても、皆さん知らないですから。まずは、しっかりモングンという人間として、歌手としての名前を多くの方に知ってもらうことが大切です。いつか、堂々と皆さんの前で(韓国時代の歌を)歌えることを夢見ています。

――そうなるといいですね。

モングン そのためには向上心がないとやっていけないと思います。「もっと頑張ろう」とか「私は負けない」とか「もっと上へ行きたい」とかですね。向上心があったから、今まで15年、歌って来られたと思います。今後はこの15年の経験をもっと強く、もっと太くしていきたいと思います。でも、時々はあまりにも大きな壁を感じることもあります。日本で生まれて、日本で育って、日本のすべてを知っている人はたくさんいます。僕にはまだ言葉の壁もあります。

――日本で生まれて日本で住んでいなかったからこそ、日本のよさに気づくこともあるんじゃないですか?

モングン そう思ってやって来たところもありますし、そこは自信につながった部分でもあります。何もわからなかったから、何でも聴いて、何でも手探りでやってきました。現実の壁にぶつかると、がっかりしてしまうこともありますが、日本を愛して、ずっと日本で歌手として歌っていきたいと思っています。

【閑話休題】
モングンはおばあちゃん子だった!

「僕の上にお姉さんが3人いて、一卵性双生児の兄貴と僕がいます。おばあちゃんが僕たちを本当に下に置いたことがないぐらいかわいがってくれたみたいです。僕が覚えている記憶でも、高校生の時までずっとおばあちゃんと一緒に寝ていました。言うことを聞かないと、お母さんがムチを持って怒るんですよ。昔の田舎では、みんなそうでした。そんな時は、おばあちゃんのスカートの中に隠れるんです(笑)」(モングン)

 

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2020年9月2日発売
15周年記念曲
モングン「昔のひと」

「昔のひと」
作詞/朝比奈京仔 作曲/徳久広司 編曲/矢田部正
c/w「おんな 恋風・港町」
作詞:朝比奈京仔 作曲/徳久広司 編曲/矢田部正
日本クラウン CRCN-8353 ¥1,350(税込)

バラードの楽曲「昔のひと」と、パンチ力のある楽曲「おんな 恋風・港町」という2曲が収録された15周年記念シングル。モングンの魅力の両面を感じることができる。今作のテーマはロマン。「昔のひと」は過去のつらい恋の相手に再会してしまった時の女性の心を描いた作品だが、この曲の主人公の空想であり、願いであり、悲劇的なロマンに満ちた作品となっている。カップリング曲「おんな 恋風・港町」は漁の戻りを待ち焦がれる女性を主人公にしたダイナミックな曲だ。


2020年9月2日発売
デビュー15周年記念プレミアムアルバム
モングン「サランエノレ ~愛の歌~」

日本クラウン CRCN-41345 ¥2,818+税

【収録曲】
1.生きてる限り
2.涙の雨が降る
3.ひとつ星
4.流れ星
5.黒の漁歌
6.赤い枯葉
7.北海じゃんじゃん節
8.雪の音色
9.おまえに惚れた(美空ひばり)
10.BOGO SIPDA〈ボゴシップダ〉(キム・ボムス)
11.雪の渡り鳥(三波春夫)
12.蜩(長山洋子)
13.J YE KYE〈ジェイ・エゲ〉(イ・ソニ)
14.そばにいてね(大川栄策)
15.SAE TA RYUNG〈セタリョン〉
16.千年の古都(都はるみ)
( )内はオリジナル歌手名

日本デビュー15周年を迎えるモングンの集大成のアルバム。日本クラウンから発売されたシングル曲8曲に加え、韓国民謡から日本の名曲まで幅広いジャンルをカバーした8曲を収録。ボゴシップダは韓国ドラマ「天国の階段」の主題歌。セタリョンは韓国民謡。


モングン

名前の頭文字”M”を表現するモングン

profile
モングン
9月28日、韓国・慶尚北道(キョンサンプクト)生まれ。生涯2500曲以上を手がけた作曲家の朴椿石(パク・チュンソク)氏にスカウトされ、一卵性双生児の兄と一緒に「チャングン・モングン」として歌手デビュー。芸名は師匠の朴氏がつけてくれた。「韓国将棋では、王手のことを“チャングン”と言います。“チャングン”された相手は自分を守ります。それを“モングン”と言います。攻めると守るで、勝負にならない。丸く収まる=平和を意味します」(モングン)。
兄のチャングンが歌手活動を引退したため、単独で歌手活動を続ける中で、日本で歌う機会が増え、2005年、活動の拠点を日本に移す。2006年、「じょんがら夫婦節/男の泪」で日本デビュー。2008年、韓昇龍(ハン・スンヨン)に改名。2011年、モングンに再改名し、日本クラウンから「生きてる限り」をリリース。2020年、日本での歌手活動15周年を迎え、9月2日に、記念曲「昔のひと」および記念アルバム「サランエ ノレ ~愛の歌~」をリリース。好きな食べ物は「桃が好きです。あと、らっきょうや梅干しも好きですよ」(モングン)。