金嶋昭夫

「夢から新しい希望へ」。カラオケの元祖、金嶋昭夫が新曲「新宿しぐれ」で夢だった歌手デビュー

カラオケブームの先駆けの存在であり、都内を中心に「カラオケ747」を経営する金嶋昭夫が、8月25日に自らの半生の舞台でもある”新宿”を題材にした「新宿しぐれ」で歌手デビューを果たした。20歳で出逢った妻をはじめとするいくつもの素晴らしい出逢いに恵まれ、ここまで生きてきた。「運命は切り拓ける」。その言葉を胸に、数々の夢を実現させてきた金嶋の、幼い頃からの夢のひとつが歌手だった。

「僕にとって歌手になることは、新しい挑戦というよりも新しい”希望”です」

Q 8月25日にデビュー曲「新宿しぐれ」でデビューされました。今のお気持ちはいかがですか。

金嶋 感動しましたね。僕は今76歳なのですが、この歳でも夢は叶えることができる。わが社の従業員もみんなお祝いをしてくれました。マイクを持ってね、歌っていると「あぁ歌手になったんだな」とテンションが上がります。

Q  改めて少し金嶋さんのお話しをうかがいたいのですが、歌手になるのが夢のひとつだったそうですね。

金嶋 そうですね。実は僕の父は働かずに朝晩とお酒を飲んでいるような人だったので、母が子ども6人を育てているというような環境で育ちました。一度小学3年生の頃にあまりにひもじくて道路で落ちている飴玉を拾って喜んで食べたらナフタリン! そういう思い出もあります。父はお酒ばかり飲んで若くして他界しました。私は大学進学を諦め、それより商売をして「母を幸せにしたい」「一日も早く母に楽をさせたい」という思いを一番に、商売に取り組んできました。ですので、自分にとって歌手とは雲の上の人がなるものだと思っていましたね。

Q  演歌も小さい頃からお好きだったとか。そのきっかけは?

金嶋 一番は三橋美智也さんが僕に火をつけたのではないかと思います。小学生くらいの頃、ラジオから流れてくる三橋さんの美しい声が大好きですごく胸に響きました。それから演歌がものすごく好きになりました。演歌って人生の縮図じゃないですか。男と女のこともあるし人生そのもののことを歌っているものもあります。それが綺麗な詞になって、凝縮され歌になっている。演歌を歌うと心にグッときますね。

金嶋昭夫

Q そして、歌手として本格デビューされましたが、「新宿しぐれ」は作詞を石原信一先生、作曲は岡千秋先生が手がけられています。どのような曲でしょうか。

金嶋 私は20歳の時に自分で独立して商売を始めました。一旗あげようと思って新宿に出てきまして高級クラブを経営し、そして昔はカラオケルームと言ったのですが、今のカラオケボックスを始めました。カラオケルームは私が元祖です。そんなふうに新宿でビジネスをして50年くらいになります。新宿に来てからたくさんの方のお世話になって今日がある。ですので、ぜひ“新宿”を題材にして歌を作っていただけませんか、とお願いして完成した曲です。そして特に今でも鮮明に覚えているのですが、高級クラブを経営している時に働いてくれていた女性との思い出が一部分描かれています。その頃の僕はまだ若くて、何もしてあげることはできなかったのです。その思い出を石原先生が詞にしてくれました。歌っていると、”彼女たちはどうしているだろうか”と思い出すこともありますね。

Q 今回カップリング曲には村田英雄さんの名曲「夫婦春秋」が収録されていますが、その経緯について教えてください。

金嶋 これは石原先生が選んでくださいました。僕は妻を題材とした作品も歌いたいと思っていました。妻への思いとこの曲の内容がそっくりで、最適だと思いました。

Q  まさに奥様との思い出そのものなんですか?

金嶋 本当にそっくりですね。20歳の時に妻と知り合いまして、大恋愛でした。妻に出会っていなければ僕はビジネスはやっていなかったかもしれない。「この女性を社長夫人にしたい」という思いで、会社を辞めて独立しました。「夫婦春秋」と同じで、妻は気丈で最初は仕事も手伝ってくれました。そして家庭を守ってくれました。でも数年前に妻が病気を患いまして、手術をして今は元気でいてくれているのですが、それ以来妻に対しての慈しみというか、今まで空気みたいにいるのが当たり前という感じでしたが前と違った妻の存在の大切さをすごく感じるようになりましたね。

Q 運命の出逢いですね。

金嶋 人間というのはそんなものです。宿命じゃなくて運命。運命とは切り拓いていくもの。妻がいなかったら今日の僕はいません。そして、ビジネスを始めて多くの方にお世話になり今の私があることもやっぱり運命。僕はその運命に感謝しないと、といつも思っています。

Q  歌手になるという夢を叶えられて、これからの抱負をお聞かせください。

金嶋 歌手は僕にとって新しい挑戦というよりも、僕の人生に新しく加わった希望です。今は若い時に歌手にならなくてよかった、事業を起こしてよかったと思っているんです。多くの人にお世話になって、無一文からここまで事業をやってこられました。ここまでになれば、今度は自分が社会貢献できる。そして、歌を通じてまた色々なところで「人生は必ず光が差すから頑張ろう」と自分の過去の経験から僕の人生哲学、経営哲学などの話ができます。人間は希望がないと生きていけません。これからは、多くの皆さんに歌を通じて社会貢献ができるのではないかなと胸が弾んでいます。

金嶋昭夫

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2021年8月25日発売
金嶋昭夫「新宿しぐれ」

「新宿しぐれ」
作詞/石原信一 作曲/岡千秋 編曲/伊戸のりお
c/w「夫婦春秋」
作詞/関沢新一 作曲/市川昭介 編曲/山田良夫
日本コロムビア COCA-17908 ¥1,350(税込)

金嶋昭夫

Profile
金嶋昭夫(かねしま・あきお)
1945年6月12日、茨城県生まれ。6人兄弟の次男に生まれる。幼少期から演歌が大好きで、特に三橋美智也の歌声に魅せられよく歌っていた。歌手とは雲の上の人がなるものと思い、貧しかったため1日でも早く働き母を助けないといけないという思いから大学進学も諦め、20歳の時に知り合った妻と商売をしながら事業を拡大していく。辛い時には演歌を歌うと勇気があふれ、事業を伸ばすことができたという。その後、日本で一番最初にカラオケルームを池袋で開店。続けて新宿・渋谷・原宿・五反田・新橋など30店舗をオープンして、好きな演歌を歌い続ける。ある音楽事務所の社長にひとりでカラオケを歌っているところをスカウトされ、このたび異色の歌手として「新宿しぐれ」で歌手デビューを果たした。