
沖田真早美の決意~新曲「残雪平野/東京ヶ丘」は二度泣ける~
沖田真早美の両A面となる新曲「残雪平野」と「東京ヶ丘」には、ちょっとした仕掛けが隠されている。他に類を見ないその斬新で面白いアイデアは、歌い続けて27年目を迎える娘をいつも近くで見守り、二人三脚で歩んできた母の愛が生み出したもの。「その愛に応え、必ず実を結ぶ」。沖田がこの作品に懸ける決意、思いを語ってくれた。
母が考えた斬新なアイデアに賛否両論
Q 1年8カ月ぶりとなる両A面シングル「残雪平野」、そして「東京ヶ丘」。聴かせていただいて驚きました! 新しい試みをされていますね。
沖田 驚きました?(笑) 実はこの2曲は同じメロディーなんです。「残雪平野」は演歌、そして「東京ヶ丘」は歌謡曲調のバラードと、まったく違うテイストの作品にできあがりました。アレンジも全然違いますし、同じ曲とは思えないですよね。
Q 作曲は初めてとなる岡千秋先生ですが、同じメロディーで2作品を作ろうということになったきっかけは何だったんでしょうか?
沖田 ある日の夜、担当ディレクターさんから「今岡千秋先生とお会いしているんだけど、真早美ちゃんにいい曲だと思う曲をいただいていくよ」とお電話があったんですね。その後、ありがたいことにこの曲に合わせた詞がたくさん届きました。その中でも「残雪平野」と「東京ヶ丘」の詞が頭から離れなくて、どちらか選べなかったんです。悩んでいたある時、母が寝ながら考えたらしくて、朝起きたら急に「このメロディーは演歌にも歌謡曲にもどちらにもなると思うから、同じメロディーで2曲作っていただいたらどうかしら?」と言い出したんです(笑)。
Q お母様から生まれたアイデアだったんですね。
沖田 それを聞いた時、たしかに誰もやってないぞ!と思ってディレクターに話したら「面白いね」と言ってくださったのですが、決定するまでには賛否両論がありました。でも、やってみなきゃわからないじゃないですか。私は「思ったことはやりなさい」と育てられてきたので、ダメでもともと精神なんです。母が寝ながら考えてくれたアイデアでもあるし(笑)、これがヒットしたら親孝行にもなるし、反対の方もいましたけれど、幸いプロデューサーとディレクターが面白いと言ってくれたので思い切ってやらせてもらうことにしました。
Q 実際に2曲ができあがってきたのを聴いた時はいかがでしたか?
沖田 私もできあがるまではどういう感じになるんだろう?ってドキドキワクワクしていました。そしてオケ録りでアレンジを聴いたら、それぞれ全然違う曲になっていて、どちらもとても素晴らしくてびっくりしたし感動しました。アレンジは多くの作品を手がけていただいている猪股義周先生がしてくださったのですが、本当に先生はすごい方だなと改めて思いました。
Q 「残雪平野」も「東京ヶ丘」も幸田りえ先生の作詞ですね。
沖田 たくさんいただいた詞の中から私たちの頭に残った2つとも偶然にも幸田先生の歌でした。今までも何曲か歌わせていただいているのですが、幸田先生の歌の世界に登場する女性って強い女性なんだけど劇的に悲しい女性というか、激しい感じなんですね。先生と世界観が似ているというか、私もそういう女性の歌が好きなんです。
岡 千秋から授けられた新しい引き出し
Q そして2曲とも愛する人を失った女性が主人公ですが、歌われてみていかがですか。
沖田 幸田先生がおっしゃるには、ただの失恋ではなくどちらも相手の方が亡くなってる設定で書かれたようです。でも、両方とも愛する人が亡くなっているのも寂しいなと思って、私の中では「残雪平野」はどこかで生きていてほしいなという思いで歌っています。
Q 「東京ヶ丘」の方はいかがですか。
沖田 正直初めは「東京ヶ丘」という題名がどういう意味なのかわからなくて。ずっと考えていたら、そのうちに「東京ヶ丘」という言葉に愛着が湧いちゃったんですよ(笑)。意味はよくわからないですけど斬新ですし、唯一無二な感じでね。レコーディングで幸田先生にお会いした時に「どういうことですか?」とお聞きしたら、”ヶ丘”とつくと、ちょっと小高い丘の上の温かい家庭というイメージがあると。東京に住んでる夫婦やカップルが、仲睦まじく暮らしていたのに相手が亡くなってしまって、残された女性の悲しさや苦しい心情が描かれている。愛の温かさを出したかったっておっしゃっていました。
Q どちらも切ない物語ですが、主人公の女性のタイプは異なりますね。
沖田 そうですね。「残雪平野」は愛する人の故郷を訪ねて旅をする強くて情熱的な女性。「東京ヶ丘」はその反対で、ひとり愛する人との思い出を胸に抱いて暮らしている女性。私はどちらかというと好きになったら一途で、まっしぐらなタイプなので(笑)、そういう意味では「残雪平野」の主人公と似通っているのかなという気もしますね。今までは結構ドラマティックで“私あなたがいなきゃダメなの!”みたいな歌をずっと歌ってきて、前作の「葉桜しぐれ」で“私はあなたがいなくてもひとりで生きていけるわ”という大人の女性になったんですよ。でもまた“私はあなたがいなきゃダメなの”という情熱的な女性に戻っちゃいました(笑)。
Q レコーディングはどのような感じでしたか?
沖田 岡先生から「もっと超特急のように、腹の底からドンとくる感じで歌え」とアドバイスをいただいた時、そんなに力強く歌っちゃっていいのかなという不安もありましたが、終わってみたら幸田先生も岡先生も「胸にズンときた」って言ってくださいました。その後「東京ヶ丘」をレコーディングする時に、これも同じメロディーだから同じように歌うのかな?と悩んだんですが、「これは今まで歌ってきたように歌えばいい。俺はお前の歌声を聴いて泣いたんだから」と言ってくれて。自分らしく歌いました。
Q 岡先生とは初めてのレコーディングでしたよね。
沖田 はい。岡先生とは初めてでした。「三連っていうのはこうやって歌うんだよ」などたくさん教えていただきました。今回、もちろんアレンジもですけれど、歌い方によって全く違う曲になるんだなということがわかりました。完成した作品を聴いた時、岡先生にまたひとつ新しい引き出しを作っていただいたと思いました。
歌い続けて27年目。「これからも私は歌っていく」
Q 今年の11月で歌手生活27年目を迎えられます。これまでを振り返られて思うことはありますか。
沖田 私が歌手になるって言った時、父が最初大反対だったんですね。『5年間だけ、家出したと思って許してください』とお願いしたら、条件があると。「家から通うこと」「母がつくこと」。それから母を巻き込みまして(笑)、ずっと母に支えられながら二人三脚でやってきました。そこからデビューして10年しない頃に、父が心臓の大動脈解離で突然亡くなりました。今みたいに当時はメジャーな病気ではなかったので、周りの人からあることないことをいろいろ言われて……二人で10年くらいかな、すごい落ち込みました。
Q いろんなことがあっても、ステージでは明るくて元気な自分を演じなくてはいけなかったり……。人間だから辛い時もありますよね。
沖田 ですよね。でも、10年経って何かの拍子で「私、ステージの上だと笑っていられる」と気づいて、ようやく長いトンネルから出ることができました。今は元気です。母にも苦労をかけてしまっているので、とにかくこの曲をヒットさせて親孝行したいですね。今は色々と難しい状況もありますが、ここまで手探りできましたし、これからもやるしかないかなと思っています!
Q お父様もきっと見守られていますね。
沖田 父との約束が5年だったので、そのわがままがずっと続いて27年。応援してくださる皆さん、両親に見守られて本当にここまで頑張ってくることができました。ここまできて一番思うことは、やっぱり私は本当に歌うことが好き。一時期本当にどん底にいて、そこからようやく光の元へ出られたので、これからも私は歌っていく。悔いだけは残らないように。この新曲は、私にとって決意の曲ですね。……かっこいいな、私(笑)。
Q 最後に、オトカゼの読者やファンの皆さんへメッセージをお願いします!
沖田 いつもありがとうございます! 今回の新曲は、ひとつの曲で“泣ける演歌”と“泣けるバラード”というすごい面白いことをやってみましたので、とりあえず皆さん一度「残雪平野」「東京ヶ丘」を聴いてみてください。そして、どちらか1曲歌っていただくと、もれなくもう1曲も自動的に歌える曲ですから(笑)、ぜひたくさんカラオケでも歌っていただければうれしいです。頑張りますので、今後とも応援のほどどうぞよろしくお願いします!
INFORMATION
2021年5月27日
沖田真早美「残雪平野」「東京ヶ丘」新曲発表会
日時:2021年5月27日 開場11:00~/14:00~(2回開催。入れ替え制)
チケット:¥3,850(税込)
特典:参加者全員に新曲CDプレゼント
会場:スタジオベルソー
神奈川県茅ヶ崎市共恵1-8-20 5F(JR茅ヶ崎駅南口徒歩3分)
申し込み&問い合わせ:TEL.0467-54-2080(オフィス・エムツー)
詳細はこちら▶
PRESENT
沖田真早美 特製エコバックを3名様にプレゼント
オトカゼ読者のために、沖田真早美さんデザインのエコバッグをいただきました! 3名様にプレゼントします。沖田さん特性エコバックを希望される方は奮ってご応募ください。沖田真早美さんへのメッセージのほか、オトカゼへのご意見・ご要望などコメントを添えていただけると幸いです。
プレゼント希望の方は以下からご応募ください。
※応募は2021年5月30日23時59分まで。
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【プレゼント】沖田真早美 特製エコバックを3名様にプレゼント
2021年5月19日発売
ひとつの曲から生まれた”泣ける演歌”と”泣けるバラード”
沖田真早美「残雪平野/東京ヶ丘」

「残雪平野」
作詞/幸田りえ 作曲/岡千秋 編曲/猪股義周
「東京ヶ丘」
作詞/幸田りえ 作曲/岡千秋 編曲/猪股義周
ボーナストラック「凌霄花~のうぜんかずら~」
作詞/幸田りえ 作曲/桧原さとし 編曲/猪股義周
徳間ジャパンコミュニケーションズ TCKA- ¥1,350(税込)
CDにはこれまで沖田の全曲集にしか収録されていなかった「凌霄花~のうぜんかずら~」がボーナストラックとして収められている。コンサートやカラオケでもファンからのリクエストが多かった人気作品で、この曲には沖田のある思い出があるという。「ちょうどこの曲をいただいた時に好きだった人と別れてしまったんですが、その人が凌霄花の花のことを教えてくれたんです。幸田先生に自分の恋愛話をしたわけではないんですけれど、なんでこの曲がこのタイミングで私の元に来たんだろうと思って驚いた思い出があります(笑)。私も大好きな曲で、隠れた名曲だなと思っています」(沖田)
Profile
沖田真早美(おきた・まさみ)
12月29日、神奈川県生まれ。カラオケ大会に出場した際に、スカウトされ1994年「風笛」「夢咲きすみれ」で歌手デビュー。2004年に徳間ジャパンに移籍し、「宵化粧」を発売。2019年に歌手生活25周年を迎え、記念曲「葉桜しぐれ」発売。これまでにシングル14枚、アルバム3枚、DVD1枚を発売。また、地元である神奈川県のFM放送局・レディオ湘南では、長年ラジオパーソナリティーとしても活躍。現在は『沖田真早美の月の輝く夜に』を放送中。PCは苦手だという沖田だが、今年に入りYouTubeにて『まさみさまチャンネル』をスタート。「とりあえず今年の正月に新年の挨拶から始めてみました(笑)。来たくても今は来れない方も多いですから、江ノ島散歩をして観光案内的なことをやってみたりしています。ぜひご覧ください!」(沖田)