水森かおりが伝えたいこと(1)~ 新曲「鳴子峡」は悲しいだけの歌ではない~

NHK紅白歌合戦に18年連続出場を果たした水森かおりが放つ2021年の勝負曲は「鳴子峡(なるこきょう)」だ。宮城県の鳴子峡を舞台に最愛の人を失った女性の悲しい恋がつづられた作品で、歌い出しからインパクトのある歌詞とメロディが一気に作品の世界に引き込む。

水森は昨年の7月に愛する父親を亡くしており、「自分にとって大事な父を亡くした悲しさが、どうしても歌に乗ってしまいます」と語るが、ただ悲しいだけでなく、どこか力を与えてくれる作品となっている。名曲になりそうな予感。新曲「鳴子峡」について、水森が語る。

文=川原田 剛

いい曲と出合いました!

新曲の「鳴子峡」をいただいた時、本当にいい曲だと思って、昨年からスタートしたYouTubeの“水森かおりチャンネル”の中でも報告させていただきました。ファンの皆さんもすごく期待してくださっていて、「いい曲です」と言わずにはいられませんでした!!

大切な人を失って悲しくて切ない歌ですが、ただ悲しいだけではなく、亡くなってしまった大切な人が、主人公の近くで寄り添ってくれています。それが伝わるというか、滲み出てくる曲なんです。だから私自身、歌っていてもすごく勇気や力をもらえます。

昨年の7月に父を亡くしたのですが、歌詞と心情がすごく重なります。いつもご当地ソングを歌う時は、自分が主人公になるのではなくて、なるべく聴いてくださる方が主人公になってほしいという気持ちがあります。だから私は主人公の気持ちや風景を伝えるという、第三者的な立場で歌うことを心がけています。

▲持ち歌に悲しい歌が多い水森かおり。感情移入し過ぎず、歌の中の物語を浮かび上がらせるように歌って来た。しかし、「鳴子峡」では自身の気持ちと重なる部分が多く、自然と感情がこもったという。

「鳴子峡」でも基本的に、そのスタンスで歌っていますが、どうしても自分の気持ちが自然に乗っかってしまいます。でも、自分の心の中からナチュラルに感情が出てきて、曲に乗るというのはいいことだと思っています。

新曲の舞台となる宮城県にも特別な思いがあります。私は2010年に「松島紀行」をリリースして、松島町観光親善大使にも任命していただき、宮城県の皆さんには本当に暖かく応援していただいていました。でも、その翌年の3月11日、東日本大震災が発生しました。ずっと応援していただいた方々が被災し、大変な思いをしている中で、自分ができることを考えながら、皆さんとの交流をこれまで続けさせていただきました。

水森は2010年4月に「松島紀行」を発売し、同年6月22日に松島町観光親善大使に任命されている「瞳を閉じれば思い出す、松島の風光明媚な街並。これからも歌を通して皆様に松島町の素晴らしさを伝えていきたいと思います!」と語っていた。

しかし、翌2011年3月11日。大地震により東日本大震災を引き起こした。多くの著名人が被災者に寄り添うために被災地を訪問したが、水森も2カ月後の5月、松島町を訪問している。

こんな時だからこそ、笑顔で遠まわり

2021年は東日本大震災から10年という節目を迎えます。私自身、あらためて皆さんに歌で恩返しをしたい。心の支えになるご当地の歌を聴いていただきたいという思いがあります。今回、カップリング曲として宮城を舞台とした「秋保(あきう)大滝」「牡鹿(おしか)半島」、サンドウィッチマンとのデュエット曲「笑顔で遠まわり2021」を収録させていただいたのも、そういう意味があります。

▲2019年7月、「高遠 さくら路」の新タイプが2種類リリースされ、都内でのキャンペーンで、タイプCに収録されたデュエット曲「笑顔で遠まわり」を披露する水森とサンドウィッチマンのふたり。ぜひ、3人による「笑顔で遠まわり2021」の歌唱を宮城県で実現してほしい。

「笑顔で遠まわり」は2年前にリリースした「高遠 さくら路」(タイプC)のカップリング曲として収録した人生応援歌です。“サンド”のふたりには「姉さん、あの歌、全然ヒットしないじゃないですか」とか冗談で言われるのですが(笑)、本当にいい曲なんですよ。

サンドウィッチマンは地元の宮城を大事にしているので、震災からの復興応援歌としてあらためて聴いていただきたいという思いがあります。「笑顔で遠まわり」での“サンド”のふたりの朴訥とした歌い方はジーンときます。それは、ふたりの歌声に嘘がないからですね。私はふたりみたいにシンプルに歌えないので、すごく勉強になりましたね。

彼らはこれまで10年間、継続して被災地を応援する活動をしています。“サンド”のふたりとは今でもちょこちょこ連絡を取り合っていて、私自身も何か手伝えることがあれば、一緒にやっていこうと話しています。また3人で生歌を披露する機会があればいいなあと思っているんですよ。

 

決意

父の教えを胸に、これからも一生懸命歌い続けていく

水森かおりは昨年、多くの大切な人との別れを経験した。編曲家の前田俊明氏や、丸山雅仁氏、またデビュー当時から水森作品を手がけたレコード会社のディレクター、そして最愛の父との別れだ。84歳で亡くなった父との別れはとてもつらい出来事だった。水森は当時、自身の公式ブログに父親との思い出の写真を掲載し、「お父さんの娘になれて幸せだったよ! 愛情いっぱい育ててくれてありがとう」と書き込んでいた。

「これまで父は私にとって支えでした。下町育ちの江戸っ子で、子どもの頃は自営業で黙々と仕事する姿をよく見ていました。でも、晩年はかわいくて面白いお父さんでしたね。一生懸命に働いて私たち家族を支えてくれたんだなと思います。甘やかすというわけではないですが、欲しいといえば何でも買ってくれましたし、いろんなところに連れていってくれ、さまざまな経験をさせてもらいました。不自由なことは何ひとつなかったんです。

私は悩んだり、迷ったりした時には、何でも家族に話すのですが、父が言ってくれた言葉は今でも大事にしています。NHK紅白歌合戦の出場が決まった時も、父は手放して喜ぶという感じではなく、「よかったなあ。おめでとう」と短く言った後に、「紅白に出場できる歌手の人数は限られている。お前がそこに入ったということは、外れた人がいる。光があれば影がある。お前も今後どうなるのかわからないので気を引き締めて、緩めるなよ。浮かれないで一生懸命に頑張れ」と言葉をかけてくれました。

18年連続で紅白歌合戦出場という数字を見れば、すごいことだと思います。私自身、もちろんうれしいし、毎年、紅白を目標に死ぬ気で頑張っていますが、出場が約束されているわけではありません。一年一年が勝負だと思っています。だからこそ出場が決まるとうれしいですし、また来年も頑張ろうと思えます。そういう危機意識をつねに持つことを父に教えてもらっていますので、本当に感謝しかありません。新曲『鳴子峡』を発売する2021年も父の教えを胸に、一生懸命、頑張っていくつもりです」(水森)

 

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2021年1月19日
“空から私がみえるでしょうか”
悲しい恋を切々と綴る

水森かおり「鳴子峡」

「鳴子峡」(Aタイプ)

「鳴子峡」 
作詞/かず 翼 作曲/弦 哲也 編曲/伊戸のりお  
c/w「秋保大滝」 
作詞/かず 翼 作曲/弦 哲也 編曲/南郷達也 
ボーナストラック「笑顔で遠まわり 2021」  
作詞/かず 翼 作曲/桧原さとし 編曲/竹内弘一  
水森かおり&萬みきお(サンドウィッチマン・伊達みきお)with 富澤たけし(サンドウィッチマン ) 
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA 91321 ¥1,227+税

「鳴子峡」(Bタイプ)

「鳴子峡」  
作詞/かず 翼 作曲/弦 哲也 編曲/伊戸のりお 
c/w「牡鹿半島」 
作詞/麻こよみ 作曲/弦 哲也 編曲/南郷達也 
ボーナストラック「笑顔で遠まわり 2021」 
作詞/かず 翼 作曲/桧原さとし 編曲/竹内弘一  
水森かおり&萬みきお(サンドウィッチマン・伊達みきお)with 富澤たけし(サンドウィッチマン ) 
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA 91322 ¥1,227+税

デビュー26年目を迎えたご当地ソングの女王が送る新曲「鳴子峡(なるこきょう)」は、宮城県の同地を舞台にした悲しい恋の歌となっている。愛した人の写真を胸に、ひとり淋しく鳴子峡を旅する女性を、空から見守るあの人。“風が 風が 風が 風が”と、インパクトあるメロディーのサビから入る演出に、水森の歌声が独自の世界観を作り出している。A・Bタイプのカップリング「秋保(あきう)大滝」と「牡鹿(おしか)半島」も歌の舞台は宮城県。東日本大震災から10年目となる2021年に、復興を目指す被災地を応援したいという制作陣の意図が込められている。ボーナストラックとして両タイプに、サンドウィッチマンとの応援ソング「笑顔で遠まわり 2021」が収録される。

 

 


2020年12月16日発売

水森かおり ミュージックビデオ・コレクション
私の成長の記録です!!

1995年のデビュー曲「おしろい花」をはじめ、これまでに歌って来た楽曲のミュージックビデオ(MV)から選りすぐりの14曲を抜粋した作品集がリリースされた。ボーナス映像に「高遠 さくら路」(タイプA)のカップリング曲「信濃路恋歌」のMVを加えたコレクションとなっている。水森は、デビュー当時の映像を観るのは「恥ずかしい」と照れるが、歌手としての成長を観てほしいと言う。

◇ ◇ ◇

「デビュー曲の『おしろい花』を歌っていたのは22歳の時。今、自分で当時の映像を見ると、初々しすぎて恥ずかしいですね(笑)。それこそ『おしろい花』の時はレコーディングもビデオ撮影も初めてで何もわからなかったのですが、とにかく必死にやっていました。今見ると、“頑張っているなあ”って。ファンの方には、そこからキャリアを重ねていく私の姿を見ていただきたいですね。また最近、私のことを知ってくださった方もいらっしゃると思いますので、歴史をさかのぼって観てほしいです。コロナ禍ということもあり、なかなか気軽に外出することができない状況が続いています。字幕入りのカラオケも収録されていますので、歌いまくって、観まくってほしいです」(水森)

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKBA-1300 ¥4,000+税

水森かおり ミュージックビデオ・コレクション
収録MV

1.「おしろい花」(1995) ※デビュー曲
2.「北夜行」(1997)
3.「かりぞめの花」(1998)
4.「竜飛岬」(1999)
5.「心う・ら・は・ら」(2001)
6.「鳥取砂丘」(2003)
7.「五能線」(2005)
8.「ひとり薩摩路」(2007)
9.「安芸の宮島」(2009)
10.「庄内平野 風の中」(2011)
11.「伊勢めぐり」(2012)
12.「大和路の恋」(2015)※20周年記念曲
13.「早鞆の瀬戸」(2017)
14.「高遠 さくら路」(2019)
・ボーナス映像 「信濃路恋歌」(2019)

※( )内はリリース年
※全曲の字幕入りカラオケミュージック・ビデオを収録。

 


profile
水森かおり(みずもり・かおり)
8月31日、東京都生まれ。1995年9月25日、「おしろい花」でデビュー。2002年の「東尋坊」が大きく注目されると、その翌年、「鳥取砂丘」と出合い、『NHK紅白歌合戦』に初出場。以来、18回連続出場中。2020年はデビュー25周年を迎え、北海道・東京・大阪・愛知・福岡の5大都市で「水森かおり25周年記念 メモリアルコンサートツアー」を開催予定だったが、コロナ禍で中止に。しかし、デビュー日の9月25日には初のオンラインコンサートを行い、25周年を祝った。また2020年4月にはYouTubeに「水森かおりチャンネル」を開設し、YouTuber 水森の人柄の良さが伝わる、楽しい動画がアップされている。


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▲2020年11月、ユーチューバー・水森は「水森かおりチャンネル」でリモート行脚『25周年記念全国行脚』を実施。25日連続で25カ所・25人の人をリモートで訪問した。上記は1回目の全国行脚動画。昨年の新曲「瀬戸内 小豆島」でお世話になったという小豆島「銀四郎麺業」の三枝さんと思い出話で盛り上がっている。

 


SNS
水森かおりオフィシャルブログ
https://ameblo.jp/kaori-mizumori/

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