
藤井香愛が感謝と涙。5周年コンサートで新しい歌世界を披露し、ファンが「一生ついていく!」と声援
藤井香愛が6月17日、東京・港区の草月ホールで「藤井香愛 5th Anniversary Concert〜感謝祭〜」を開催。デビュー5周年の感謝の気持ちを多彩な歌で届けた。
藤井は2018年7月に新時代の歌謡歌姫(ディーバ)としてデビューしたが、この5年間、活動の半分はコロナ禍で制限された。しかし、ようやくコロナ以前の状態に戻りつつある中での記念コンサート。ファンからの声援に胸が熱くなり、アンコールでは涙を見せ、「皆さんが支えてくれたから歩んでくることができました。まだ5周年ですが、これから10周年、20周年と長く歌っていけるよう頑張ります。応援よろしくお願いします」と呼びかけた。
感謝の気持ちは歌で恩返し
「デビューしてから丸5年が経ちました。節目の年に皆様の前でコンサートを開催させていただくことを本当に幸せに思います。デビューしたのが2018年。半分以上がコロナ禍でしたが、2年前には3周年コンサートを開催することができました。私にとって初めてのコンサートでした。そして昨年には4周年コンサートを開催させていただき、こうして毎年コンサートを行うことができるのは本当にありがたいことです。今日のコンサートには“感謝祭”というタイトルをつけました。この5年間の感謝の気持ちをファンの皆様に、いつも支えてくださる皆様のお届けできたらいいなと思っています」

デビュー5周年コンサートの開演前、藤井香愛は感謝の気持ちを歌で伝えたいと話していた。
開演前、そう語っていた藤井香愛。初めてのコンサートではタップダンスを、セカンドコンサートでは早替えに挑戦した。だが、サードコンサートとなる今回は、歌うことに集中するという。
「感謝をいちばん伝えられるのは何かと考えました。それは歌でした。今回は徹底的に歌を聴いていただきたいと思い、作曲の幸(耕平)先生に数カ月間、これでもかいうほどレッスンをしていただき、さらに歌に磨きをかけられるように頑張ってきました。皆さんには私の歌に集中して聴いていただきたいと思います」
雨女から晴れ女に
満員御礼。約500名のファンが詰めかけた草月ホール。会場の明かりが落ちると、藤井自身による開演を知らせる影アナウンス。昨年の「第64回 日本レコード大賞」で日本作曲家協会選奨を受賞した「一夜桃色」から感謝のコンサートがスタートした。
黒とグレーのグラデーションで構成されたワンピースの衣裳は、夢だった日本レコード大賞の舞台で着用したものだった。「その時の気持ちを思い出しながら『一夜桃色』を歌わせていただき、同じ衣裳を選ばせていただきました」と、ファンと喜びを分かち合った。
「皆さんのお顔を見て、本当に胸が熱くなりました。普段は雨女の私ですが、今日はこんなに暑い日は久しぶりかと思うほどの晴天です。雨女から晴れ女になれたような気がします。お天気だけでもこのコンサートが大成功したような気持ちです(笑)」
軽口でファンを和ませると、前半は密度の濃いレッスンを続けてきたカバー曲を披露していく。
歌手人生のスタートとなったデビュー曲「東京ルージュ」を挟み、女性の切ない気持ちを歌ったドラマティックな歌世界からテレサ・テンの「別れの予感」や髙橋真梨子の「for you・・・」などをしっとり聴かせると、女性ヴォーカルの歌世界から今や世界的に人気となっている80年代のシティポップ「夢で逢えたら」(鈴木雅之)、「真夜中のドア~stay with me」などを歌唱し、藤井の新しい歌世界を積み上げていく。
今回のために編成された女性だけのバンド「藤井香愛スペシャル歌姫バンド」との息もぴったりに、藤井はペンライトや手拍子、声援で彼女を盛り上げるファンと時間や空間を楽しんでいた。「フフフ、うれしい」「本当に幸せ」。藤井は時々、心の声を漏らしていた。
真っ赤なドレスに込めた思い
このコンサートのために真っ赤なドレスで再登場した藤井は、Winkの「淋しい熱帯魚」、小林明子の「恋に落ちて-Fall in Love-」などを披露。「淋しい熱帯魚」ではWinkの振り付けを真似て、ファンを楽しませた。
真っ赤なドレスはこの日のために新調したものだった。開演前にこう明かしていた。
「デビューした時は20代だったんですが、今は30代。ちょっと大人っぽさの中にもかわいらしさのある衣裳をつくっていただきました。デビュー曲『東京ルージュ』の衣裳も赤でしたので、初心を思い出せるようなドレスとなりました。デビューから応援してくださるファンの皆さまにもこの5年間の成長を感じていただけると思います」
ステージではクルリと回り、ドレスの前後を披露し笑顔をみせた藤井。コンサートの終盤はオリジナル曲を届けていく。
まずはサードシングル「その気もないくせに」。藤井がレッスンを受ける幸耕平氏の作曲作品で、観客との手拍子による掛け合いも楽しい楽曲だ。
「幸先生との出会いは早いもので、もう4年になります。先生と出会って、私の歌の世界がグッと広がりました。歌の奥深さも感じることができています」
「みんな大好きなこの曲です」と呼びかけて披露した「その気もないくせに」で会場を盛り上げた藤井は、「先生には大切な歌をいっぱいいただいています」と、歌う機会が少ないカップリング曲から「シャボン玉」(3rdシングルc/w)、「鳴かない鳥」(4thシングルc/w)、「名残りの恋」(5thシングルc/w)、そして「ラストノート」(最新シングルc/w)の4曲を、「少しでも多くの曲を聴いていただきたくて」とメドレーで披露した。
ファンのためーー。今届けたい歌
「背中を追いかけていきたい先輩です」。幸耕平作品から市川由紀乃の「懐かしいマッチの炎」をフルコーラスで届けると、いよいよ最後の曲となった。藤井が選んだのは、松田聖子の「瑠璃色の地球」だった。
彼女が産休中の1986年にリリースした13枚目のアルバム『SUPREME』に収録された一曲だったが、根強い人気曲となり、生きる勇気や希望を与え続けている。藤井はこの曲をファンのために歌いたいと選曲し、準備してきた。
「生まれて初めて観にいったのが松田聖子さんのコンサートでした。まだ小学生でしたが、ステージで輝く松田聖子さんを観て、私もいつか大きなステージで大好きな歌を歌いたいなと思いました。『瑠璃色の地球』はもちろん好きな一曲でもあるんですが、1番の中に “悩んだ日もある 哀しみに くじけそうな時も あなたがそこにいたから 生きて来られた”というフレーズがあります」
カラオケでは歌ったこともあったという「瑠璃色の地球」。幸耕平氏のレッスンを経て、ファンの前で披露するのは初めてだった。
「まだ短い歌手人生ですが、自分なりに悩んだこともありました。でも、こうして歩んで来られたのは、応援してくださる皆さんがそばにいてくださったからです。その思いは『瑠璃色の地球』の歌詞そのままでした」
「胸がすごく熱くなっています」
藤井は感謝を込めて歌唱すると、ステージは暗転した。歌に集中した全19曲。藤井香愛の感謝祭はフィナーレを迎えた。
拍手が会場から沸き上がる。アンコールの要求だ。コンサートのお約束でもあるが、ファンが心から藤井の再登場を欲していた。会場に響く力強い拍手の音がそれを証明していた。
新曲「夢告鳥」の衣裳でステージに戻ってくると、藤井は「短いようで、私の中ではとっても長い5年間でした」と話し始めた。
「簡単ことばかりではありませんでしたが、皆様がいなければ藤井香愛は歌手としてやって来られませんでした。10周年、20周年とこれから先もずっと大好きな歌を歌っていけるよう精いっぱい頑張ります」
大きな声援が送られると、藤井は涙をみせた。
「普段、あんまり泣いたりしないんですが、皆さんの思いが届いて・・・、胸がすごく熱くなっています」
ファンも応える。
「ありがとう!」
「頑張って応援するよ!」
「一生ついていくよ!」
笑顔を取り戻した藤井は、デビュー5周年を記念して制作されたロックテイストな歌謡曲「夢告鳥」を届けると、ファンに「これからも心を込めて歌っていきます」と約束した。
“中野より愛を込めて”。地元・中野にこだわり、小規模ホールの「野方区民ホール」からスタートしたアニバーサリーコンサート。目標は地域最大、2200人規模の中野サンプラザでソロコンサートを開催することだったが、この7月に閉館。新しい施設へと生まれ変わる。
「2028年に完成予定で、7000人規模のアリーナができるんですが、なんとその年は私の10周年になります。今は、そこを新たな目標にしています」
山は高いが、藤井香愛は新たな気持ちで6年目をスタートする。

アンコール曲「春告鳥」を含む全20曲を披露した藤井香愛。すべての曲を歌い終えた藤井は、女性だけで構成された「藤井香愛スペシャル歌姫バンド」のメンバー全員と観客に手を振った。

最後にステージに残った藤井香愛は、観客からの声援に笑顔で応えていた。「ありがとう。これからも心を込めて歌っていきます」
2026年6月14日発売
デビュー5周年記念映像作品集
藤井香愛『ビデオ・シングルス~夢告鳥~』

徳間ジャパンコミュニケーションズ TKBA-1365 ¥3,000(税込)
藤井香愛デビュー5周年記念! これまで一部しか公開してこなかった藤井香愛のミュージックビデオの全貌が分かるファン待望の映像作品集。
01.夢告鳥(メイキングPART1) 02. 東京ルージュ 03. TOKYO迷子 04. その気もないくせに 05. 鳴かない鳥(リリック・ビデオ, 1コーラス) 06. 一夜桃色 07. 夢告鳥(メイキングPART2) 08. 夢告鳥 09. 夢告鳥(30秒スポット) 10. 夢告鳥(15秒スポット)
藤井香愛のすっぴん初披露! ギャップ萌え(?)のメイキング映像は必見!
「これまでのミュージックビデオはフルコーラスで公開されていませんでしたので、今回、この映像集で素敵なシーンを観てもらいたいですね。この5年間の成長を、見た目も歌も観てもらえたらなと思っています。
このDVDでしか観られない『夢告鳥』のメイキング映像は必見だと思います。素の私が見られます。すっぴんもそうですけど(笑)。『歌っている時とギャップがあるね』って普段よく言われます。ミュージックビデオの撮影時は、トークをしていてもけっこう自分の真面目さが出ていました。そんなところも見所です(笑)」(藤井)
2023年1月11日発売
藤井香愛「春告鳥」

「夢告鳥(ゆめつげどり)」
作詞/及川眠子 作曲/幸耕平 編曲/坂本昌之
c/w「ラストノート」
作詞/及川眠子 作曲/幸耕平 編曲/坂本昌之
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91485 ¥1,400(税込)
作曲家・幸耕平氏と、作詞家・及川眠子氏という2大ヒットメーカーがつくる、藤井香愛の新曲「夢告鳥」。愛という鳥かごに閉じ込められていた1人の女性が、自分の羽で飛び立ってゆくまでを描いたロック調の一曲だ。しびれるようなエレキギターの伴走に乗せた藤井の歌声は、往年の山口百恵や中森明菜を彷彿とさせる。カップリング曲は「ラストノート」。一転して、ゆったりと流れるメロディーで描かれるのは、まっすぐに相手を想う、女性のかわいらしい恋心だ。前作「一夜桃色」の続編として描かれた作品。