
松前ひろ子が新曲「居酒屋 夢あかり」のお披露目会。松前自身の人生を彷彿とさせる作品に「感激でいっぱいです」。55周年に意欲も!
松前ひろ子が5月10日、東京・港区のライブレストラン青山で新曲「居酒屋 夢あかり」の発売記念イベントを開催、「小さな蕾でも花を咲かせられるよう頑張ります」と、新曲にかける情熱を語った。
「居酒屋 夢あかり」は夫婦二人で苦労して営んできた居酒屋を、夫の亡き後もひとり切り盛りする女将の姿を描いた作品。おしどり夫婦でも知られていた松前本人と、亡き夫で作曲家の中村典正さんの二人を歌ったような楽曲となっている。
今年9月に歌手人生54年目を迎える松前は、この日発売となったばかりの「居酒屋 夢あかり」を歌って登場すると、「夫が亡くなったあとも残されたお店を守っていかなければならないという作品の世界は、(作詞の)かず翼先生が考えてくださったのだと思います。本当に、この歌を歌う度に身につまされる思いです。頑張ろうという心と、情けなくなる心の両方があります。スタッフからは『今日はいつもより感激しているようですが、大丈夫ですか?』と声をかけられました。感激でいっぱいです」と、その思いをはき出した。
松前は歌手としてだけではなく、芸能事務所「ミイガンプロダクション」の社長として、また今年デビュー15周年を迎えている三山ひろしの師匠としての顔も持っている。

左から「居酒屋 夢あかり」を作詞したかず翼氏、松前ひろ子、「待雪草」を作詞したさくらちさと氏。
そんな松前に、会場に駆けつけていたかず翼氏は「ディレクターから作品の相談を受けた時、お亡くなりになった典正先生が、お空の上からミイガンプロダクションのことや松前さん、三山さんのことを見守っているというイメージが沸きました。そこで“居酒屋”という場所を借りて、ミイガンを見守ってくださる典正先生のことを僭越ながら書かせていただきました」と、作品の背景を明かしていた。
サプライズもあった。松前には内緒で、「居酒屋 夢あかり」の作曲家、弦哲也氏がビデオメッセージを寄せたのだ。
「松前さんは歌手として紆余曲折を経験しておられますが、常に歌に対する情熱を持ち続けている方です。最近はとくに、松前さんの歌に対する情熱をヒシヒシと感じています。今回の新曲は、居酒屋の女将が主人公ですが、まさに松前さんの人生にダブるような世界です。松前さんのような女将がいる居酒屋があったら、毎晩のように通っちゃうな(笑)」
北島三郎の盟友である弦哲也氏。その北島と親戚の関係にある松前ひろ子。弦氏は「松前さんとは北島三郎さんを通して長い間のご縁をいただいていますので、親戚のような感じです」と話していたが、松前は従兄弟でもある北島から「俺の歌じゃないけど、ひろ子、頑張れって(笑)」とエールをもらったことを明かしていた。
▲カップリング曲「待雪草」を作詞したさくらちさと氏(左)と松前ひろ子。「待雪草」は男性目線の夫婦演歌で、松前自身、こちらが表題曲でもいいと思ったほど大好きになった作品だ。だが、2番の歌詞だけは同意できないという。呑んだくれて朝帰りをする夫を待つシーンが描かれいるのだが、「私なら離婚します!」とにべもない。
さくら氏は「松前さんからレコーディングの時、『どうして? こんなことウチでは一度もなかったわ。こんな人いるの?』って言われまして、私も離婚するとは思いますが(苦笑)、男性の方には共感してもらえるのではないでしょうか」と、男の身勝手さを描いたと語っていた。
この日の松前は、杖をついていた。三山ひろしが大阪・新歌舞伎座で行った15周年記念公演のリハーサルを見学した際に、誤って花道の段差で転んでしまったのだという。
「暗転の時に花道を渡ろうとして、30センチぐらいの段差を踏み外して転倒してしまいました。肩と膝を怪我しましたが、顔だけは守りました(笑)」
楽しいエピソードに変えて話していたが、「もし気が弱ければ鬱になっていたかも」とも吐露。杖をつかないと歩けないようになり、7月に手術をするのだという。
「ドクターはちゃんと綺麗に直して、55周年を迎えさせてあげるよと言ってくださっているので、今は前向きです。そんなに長くは歌ってはいないでしょうが、55周年は全国ツアーをさせていただけるよう頑張りたいと思います」
松前は、夫である中村典正さんが作曲してくれた自身の大ヒット曲「祝いしぐれ」(山口ひろし名義)、カップリング曲「待雪草」を披露すると、新曲「居酒屋 夢あかり」のカラオケ大会を開催すると報告した。
「この3年間はコロナ禍で大きなことはできませんでしたが、今年は以前のように7月、8月、9月の3回、カラオケ大会を開催します。そして、歌って歌いただく方の力を借りながら、小さな蕾でも花になれるように私も力いっぱい頑張りたいと思います」

松前ひろ子に呼ばれステージに上がった俳優の工藤宏二郎。現在、NHK大河ドラマ『どうする家康』に出演している。この日は照明担当の裏方として松前の新曲発表会を支えていた。▶工藤宏二郎 公式Twitter
松前はもう一度、「居酒屋 夢あかり」を披露すると、ミイガンプロダクションの社長としての顔も見せ、所属する歌手・三山ひろし、俳優・工藤宏二郎への支援も訴えていた。
2023年5月10日発売
松前ひろ子「居酒屋 夢あかり」

「居酒屋 夢あかり」
作詞/かず翼 作曲/弦哲也 編曲/竹内弘一
c/w「待雪草」
作詞/さくらちさと 作曲/弦哲也 編曲/竹内弘一
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91515 ¥1,400(税込)
大人のための演歌を歌える実力派として、全国のカラオケファンから熱狂的な支持を受けている松前ひろ子。表題曲の「居酒屋 夢あかり」は夫婦で営んできたお店を、夫亡きあとも一人で切り盛りする女性が描かれた作品。三連のリズムが心地いい。カップリング曲「待雪草」は健気な女性を支える男性目線の夫婦演歌。こちらが表題曲となる可能性もあったほど、ファンにも人気だという。