栁澤純子がデビュー40周年ライブで「この奇跡に感謝」。祝福する西崎緑や向井浩二が爆笑エピソードも披露。
栁澤純子が3月16日、東京・渋谷区のミュージックレストラン「ラドンナ原宿」でデビュー40周年を記念したライブを開催し、最新曲「無人駅」のほか、栁澤がいま一番聴いてほしいと思うカバー曲などを披露した。またゲストには昨年、芸道60周年を迎えた西崎緑やシンガーソングライターの向井浩二が登場し、ライブを盛り上げた。
栁澤純子は作詩家 石坂まさをに師事し、1983年に「あなたに片想い」でデビュー。アイドル歌手全盛期のなか、“演ドル”として人気を博し、各種音楽祭で新人賞などを受賞した。また俳優としても活躍し、テレビ番組『暴れん坊将軍』などや映画にも出演。2022年には徳間ジャパンコミュニケーションズへ移籍し、「無人駅」をリリースした。プロデュースは境弘邦氏。堺氏は日本コロムビアで制作部長、宣伝部長を歴任し、美空ひばりの総合プロデューサーを務めた経歴の持ち主で、栁澤のデビューにも関わった。
「デビューして40周年を迎えさせていただき、『皆様にお会いしたいな』とお声かけさせていただいたら、こんなにも大勢の方に集まっていただきました。おひとりおひとりに感謝して歌いたいと思います」
「柳澤純子40th Anniversary Live」では、「皆さんに聴いてほしい歌を歌いたい」とカバー曲を中心にセットリストが組まれた。音楽家 向井浩二が率いる「KOZI Mukai & COS tonic」が演奏で支えるなか、栁澤は朱里エイコのヒット曲「北国行きで」で登場した。
赤いドレスに身を包んだ栁澤は、「時の流れに身をまかせ」(テレサ・テン)、「グッバイマイラブ」(アン・ルイス)、「別れの朝」(ペドロ&カプリシャス)へとカバー曲を紡ぎながらその時代の社会的な出来事を振り返り想い出話に花を咲かせていた。
「今日はこれまでお世話になった方がたくさんおいでくださり、まるで同窓会のようです」
2年ほど前から栁澤のボイストレーナーを務めているのは向井浩二だった。向井は著名なアーティストへの楽曲提供のほか、シンガーソングライターとしても2022年に「冬の月」でデビューしている。
ピアノを演奏していた向井は柳澤に花束を贈呈して40周年を祝福すると、「『無人駅』を出したころは『私はライブなんてやらない』って言っていたんですが、去年でした。突然、『私、ライブをやるわよ』って(笑)」と、柳澤からの告白に驚いたエピソードを明かしていた。
そんな向井は、栁澤からのリクエストでゲスト歌手として「Smile!Smile!Smile!」を熱唱すると、デビュー曲のカップリング曲「I am your singer」を聴かせた。
栁澤の40周年記念ライブにはたくさんの歌仲間も駆けつけていたが、ステージ上で栁澤を祝ったのが、もうひとりのゲスト、西崎緑だった。ミリオンヒット曲「旅愁」で知られる西崎は西崎流新宗家として日本舞踊の普及・発展に力を入れつつ、昨年は芸道60周年を迎え、記念曲「かもめ」を発売した。西崎は栁澤の憎めないエピソードを紹介して会場を沸かせた。
「純子さんで一番印象に残っているのは、千葉のお仕事でご一緒したときのことです。前日、一緒に移動したのですが、髪の毛を綺麗にセットされていたんですね。前日なのにですよ。なんて完璧な方なのかと思いました。ところが当日になると、着物の帯を忘れてきたって言うんです。聞けばこういうことは日常茶飯事だそうで(笑)。衣裳を全部忘れてきて(旅館の)おかみさんに着物を借りたこともあるそうです。真面目な部分とお茶目な部分がある純子さんです」
そんな西崎の暴露(?)にも動じず笑って聞いていた栁澤。ライブの終盤に向けて「真夏の夜の夢」(松任谷由実)などをカバーしていくと、家族からは歌手になることを反対されていた話を聞かせた。
石原まさを氏から「君は右脳が発達しているから歌手になれる」と言われた栁澤は、歌手への夢を見ることになる。元々、歌が大好きだった栁澤は中学校を卒業すると群馬県から上京。石原氏のもとで修行を積むことになった。家族にとっては青天の霹靂だ。
「石原先生は天才ですが、変わったところがありまして・・・。上京したばかりのころ、泡だらけの頭で走ってきた先生と遭遇しました。『今、床屋さんにいてシャンプーをしていたんだけど、いい詩を思いついたから家に向かっている』と言うんです。その話を家族にしたら、両親が迎えに来ました(笑)」
だが、デビューし、多くの音楽祭で新人賞を獲得すると、「純子は本当に恵まれているな」と父が喜んでくれたという。
「私は本当に人との出会いに恵まれてきました。たくさんの人の支えがあっての歌手生活です。支えを失うと引退せざるを得ない厳しい世界で、よく40年も歌って来ることができたなと思います。今日、この板(ステージ)の上に立たせていただいていることが奇跡です」
「皆さんとの時間が永遠に続くといいなと思っています」と、栁澤はオリジナル曲からテレビアニメ『陰陽大戦記』のエンディングテーマとなった「君に届くまで」、デビュー曲「あなたに片想い」、新曲「無人駅」を歌うと、アンコールに尾崎紀世彦の「また逢う日まで」を選曲した。
「一度しかない人生です。体力・気力が続くかぎり大好きな歌を歌っていきたいと思います」
2022年2月16日発売
柳澤純子「無人駅」
「無人駅」は恋を亡くした主人公が思い出の“無人駅”を訪ねる悲恋ソング。岡千秋氏の作曲作品に、鈴木紀代氏が歌詞をつけた。柳澤は鈴木氏がイメージした無人駅を実際に訪問し、そこで感じた思いを作品にぶつけて歌っている。カップリングの「赤・青・黄色の歌」は信号を題材に交通安全と人生の希望を歌った作品。