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大沢桃子

大沢桃子が2年ぶりに浅草公会堂でコンサートを開催。恩師を追悼し涙する場面も。「命の道 合唱バージョン」を全国へ

大沢桃子が2年ぶりに浅草公会堂(東京・台東区)のステージに戻ってきた。昨年はコロナ禍と、同公会堂の改修工事により開催中止となったが、6月8日に行われた通算9回目の浅草公会堂でのコンサートには北海道から九州まで全国から700名強のファンが応援に駆けつけた。

「大沢桃子コンサート エレキ DE 演歌2022~演歌の女神・今届けたい歌がある~」には大きなテーマがあった。一つ目は防災伝承歌として全世界に発信している新曲「命の道」をもっともっと大きな歌にすること。二つ目は2年ぶりの開催ということで、これまで通りに華やかに“桃ちゃんスマイル”のステージをスーパーピンクパンサーとともに届けること。そしてもうひとつが、女剣劇の第一人者である浅香光代氏と、“エレキの神様”寺内タケシの2人の恩師を偲ぶことだった。

大沢桃子

幕開けは大漁旗が掲げられた舞台に、獅子舞の“権ちゃん”が現れ、景気づけの舞を踊ってみせるなか、「権現ばやし」から「御祝(ごいわ)い大漁節」へとつなぎ、「どんとはれ」「すずらんの道」「みちのく平泉」と、故郷・岩手を舞台にした楽曲を聴かせた。

「今回のコンサートは、寺内さんの追悼でもあり、寺内タケシさん、そして踊りの師である浅香光代さんも天国で見守ってくれていると思います」

温かな拍手に包まれる中、大沢はファンに伝えた。2020年12月に浅香氏を、2021年6月に寺内氏と、大沢は立て続けに二人の恩師と死別しており、涙をこらえながら恩師の姿を会場に探していた。とくに浅草公会堂という大きな会場でコンサートができるようになった時、いちばん喜んでくれたのは浅香だった。そしてコンサートには毎年のように足を運んでくれていた。振り返れば思い出ばかりの浅草公会堂でのコンサートだった。

だが、道は明日へと続く。スーパーピンクパンサーによる加山雄三とザ・ランチャーズのGSメドレーで場面転換が行われると、走裕介が登場し、吉幾三が提供した「一期一会」、最新曲「恋懺悔」のカップリング曲「騎士(ナイト)」、走の代表曲の一曲「昭和縄のれん」を歌い上げる。大沢と走は共演をきっかけに共同で楽曲をつくることになり、昨年、「二人で乾杯」を発売している。

特別ゲストとしてステージに登場した走と、再びステージに戻った大沢は「二人で乾杯」をデュエットした。「リズムも楽しく、カラオケで歌っても盛り上がれる作品だ。

大沢桃子

これまで何度も同じステージを経験しており、大沢と走の息もぴったりに2曲を届けると、6月下旬に開催される走の故郷・北海道網走でのコンサートに、今度は大沢がゲストとして参加することも告知された。

第二部は「恩師・エレキの神様 寺内タケシ!! 追悼」と題して構成された。スーパーピンクパンサーによるギターサウンドで、寺内タケシとブルージーンズの初期の作品から「テリーのテーマ」や「娘炎節(じょうえんぶし)」などを演奏し、追悼する。「娘炎節」は寺内氏が20年ほど前に大沢のために書き下ろした作品で、第一部の始まりでは堪えられた涙も、ここでは抑えることができなかった。

さらに和ものが好きだった寺内が得意だった「旅姿三人男」~「名月赤城山」が演奏されると、大沢のダンスチーム“ももちゃんず”がステージに現れ、大沢桃子とスーパーピンクパンサーとして2016年に発表した「恋する銀座」、「命の道」と両A面の関係にある新曲「愛の魔法」を、大沢たちはダンスも楽しく歌った。

ここからはエレキ演奏で聞かせる「津軽じょんがら節」、そして懐かしい映画音楽から『ひまわり』と『慕情』のテーマソングが奏でられた。

ブルージーンズのメンバーでもあるバンドマスターの信田和雄は、寺内氏には大切にしていた二つの心があったという。ひとつは「日本の心」、もうひとつは「愛と平和」だった。『ひまわり』が撮影されたのは現在のウクライナであり、『慕情』は朝鮮戦争が題材になっている。2曲の映画音楽は、戦争のない世界を願っていた寺内氏の遺志を引き継ぐ決意の演奏だった。

また大喝采を受けた演奏を聴いた大沢は、師匠の薫陶を胸に、オンリーワンを目指して頑張っていきたいという決意を述べていた。

大沢桃子

コンサートを作り上げた同志たちと。手前はダンスユニット”ももちゃんず”。大沢桃子と走裕介の後方は、スーパーピンクパンサーのメンバーたち。

コンサートはフィナーレへと向かっていく。大沢はカバー曲や前作のカップリング曲「神戸しのび恋」を歌うと、ラストの曲として、いまもっとも力を入れている「命の道」を熱唱した。

故郷・三陸地方に伝わる“てんでんこ”という教訓が歌われた「命の道」。津波被害が多いこの地方では、津波が発生したら、大切な人が一緒にいなくても各自がてんでばらばら高所へ逃げて自分の命を守れという英知が引き継がれている。東日本大震災から10年経った昨年、大沢はこの作品を防災伝承歌としてつくった。

「命の道」を披露した大沢にアンコールを求める拍手が響く。大沢はコンサートでの定番曲である「夢ごよみ」「風の丘」を届けると、エンディングに「命の道」をコンサートバージョンとして披露した。

大沢は5月下旬、母校・大船渡高校の生徒 約100名の協力を得て「命の道 合唱バージョン」をレコーディングしているが、その合唱バージョンをコンサートアレンジで歌ったのだ。なお、「命の道  合唱バージョン」は7月13日に「命の道」の新装版として発売される予定となっている。

すべてのプログラムを終えた大沢は、応援し見守ってくれたファンに感謝しつつ、「命の道 合唱バージョン」が全国へと広がることを願っていた。全国から集まったファンが地元に大沢の願いを持ち帰ってくれることで、この「命の道」が少しでも人々の生活のなかに広がっていくようにと。

SPECIAL THANKS:ビーエスプロダクション(写真提供)

 

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2021年7月21日発売
通算21枚目の両A面シングル
大沢桃子「命の道/愛の魔法」
大沢桃子

「命の道」
作詞・作曲/仲村つばき 編曲/宮澤謙
「愛の魔法」
作詞・作曲/仲村つばき 編曲/宮澤謙
徳間コミュニケーションズ TKCA-91356 ¥1,350(税込)

「命の道」は、命を未来につなげていくために過去の教訓を後世に伝承し続けることを“道”にたとえた楽曲。“てんでんこ”の言葉がメロディーに乗せて歌われている。仲村つばきは、大沢桃子の作家名。2022年7月13日には母校・大船渡高校とのコラボで実現した合唱バージョンがリリースされる。

音楽配信サイト一覧
https://tjc.lnk.to/tendenko

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