北野まち子の“苦労七坂” 夫婦の絆~新曲「夫婦風ごよみ」が描くあなたとわたし~
今年の8月にデビュー35周年を迎える北野まち子。これまで様々な曲を歌ってきた北野だが、意外なことに「夫婦」とタイトルにつく作品は、今回が初めてだという。新曲「夫婦風ごよみ」は “夫婦 二文字 重なって”という歌詞の通り山あり谷ありの人生を、まさに一心同体となって生き抜いてきた夫婦の物語。北野まち子が届ける応援歌をどうぞ。
「夫婦風ごよみ」はともに歩む二人への応援歌
――「夫婦風(めおと かぜ)ごよみ」を最初にいただいたときの感想を教えていただけますか。
北野 今までいろんなことがありながらも、長年連れ添ってきた夫婦なんだろうなと思いました。歌詞の中に“苦労七坂”という言葉が出てくるんですが、つらいことや苦労を一緒に乗り越えてきた夫婦の絆って、すごく強くなると思いました。
――夫婦が歩んできた人生が頭に浮かぶ素敵な歌詞ですよね。
北野 そうですね。きっとこの二人は、70歳前後ぐらい、ご主人が定年になった頃のお話かなと、想像して歌っています。2番の歌詞に“黙っていても あなたがわかる 布団の中で かくした涙”ってあるんですが、とくに男性は家族のことを守らなきゃいけないっていう責任感を感じることもあるでしょうし、夜に布団の中でひとり、つらいなって思うこともいっぱいあるんだろうなって思うんです。それを乗り越えてきて、ひと段落ついたところで、これから二人、夫婦で第2の人生を歩んでいこうっていう年齢かな、なんて考えてます。
――とくに好きなフレーズはありますか?
北野 とくに好きだなと思ったのは、3番の「狭い所帯の 暮らしでも この世の春よりあたたかい」という言葉です。決して裕福な暮らしではないけれど、二人でいれば暖かく感じられるというのがいいですよね。普通、夫婦って年齢を重ねるとともに、だんだんとすれ違うことも多くなりそうですが、この二人は年齢を重ねるたびに仲が良くなって絆が深まっていく。その辺のところが、私は好きだなって思いますね。
「あなた」を思いやるように優しく
――北野さんのファンは、ご夫婦で応援してくださる方も多いそうですね。
北野 はい。ありがたいことに、ご夫妻で応援しにきてくださる方も多いんですよ。お食事会などでお会いして話すと、「今まで何度も夫婦の危機があった」っておっしゃる方がいらっしゃいます。その方々が、「これまでいろんなことがあったけど、今一緒にいてよかったね」ってお話されていたりして、レコーディングのときにはそういった方々のことを思い浮かべながら歌わせてもらいました。夫婦の絆という意味では、私の両親もそうです。父は早くに亡くなっているんですが、仕事で大変だった父を母が支えていたこともあって、そんな姿が一瞬ふと目に浮かんだりもしました。
――レコーディングで気をつけたことはありますか?
北野 作曲の徳久広司先生、作詞の石原信一先生からはいろんなアドバイスをいただきました。たとえば “あなたはわたしね わたしはあなた”とか、“あなたの命は わたしの命”とか、この歌には“あなた”という言葉がたくさん出てくるんです。その一つひとつの “あなた”を、やさしく、相手を思いやるような気持ちで大切に歌ってほしいと指示がありました。皆さんが歌われるときも、“あなた”という言葉は、目の前にいる人に向かって歌うように優しく語りかけるように歌っていただくといいと思います。
「雪ごもり」で美しい情景を
――カップリングの「雪ごもり」は、詩を読んでみるととても切なく感じられますが、曲はかわいらしい仕上がりになっています。
北野 この作品はずっと前に、岡千秋先生がメロディーをつくってくださっていて、そこに今回、石原先生が詩をはめてくださって完成しました。好きな人について行けず地元にひとり残った女性が、帰って来るか来ないかわからない相手をずっと待っているっていう、切ない気持ちを歌ったものなんですけど、曲調は悲しい感じというより、美しくきれいなメロディーになっています。
――カラオケで歌うときのアドバイスをいただけますか?
北野 真剣に歌うと、どんどん暗くなってきますけど、曲調が明るい雰囲気なので、「きっと希望がある。いつかきっと帰ってくるぞ」っていう思いで、ちょっと口角を上げて笑顔で歌ってもらうといいかと思います。それからこの曲は「夫婦風ごよみ」で描かれる二人よりも、もう少し若いイメージです。お年を召された方でも、ちょっと若い頃を思い出して歌ってもらえると、かわいらしい雪ごもりになるんじゃないでしょうか。「私は70歳だから歌えないわ」じゃなくて、乙女の時代を思い出して歌ってもらえたらうれしいですね。
――“春が来ないの あの日から”というフレーズがありますが、この女性に春は訪れるのでしょうか?
北野 この曲は3番までですけど、もし曲に4番があれば、好きな人が帰ってくるかも。でも演歌の世界って韓国ドラマなどと同じで、「最後どうなっちゃうの!?」っていう感じで終わることが多い気がします。その人の捉え方っていうか、見てる人、聴いている人の経験や、そのときの感情でまた違ってくるのかもしれないですね。ですので皆さんが帰ってくると信じれば帰ってくるし、多分帰って来ないんだろうなと思えば、そうなるのかもしれません。とはいえ、やっぱり女性としては帰ってくると信じたいですよね。
ファンの皆さんとの時間を楽しみたい
――2023年はどんな年になりそうですか?
北野 ここ3年、コロナ禍で制限されていた部分がたくさんあったんですが、やっぱり今年はコロナに気をつけつつも、ひとりでも多くのファンの方のお近くにお邪魔して、生で歌を聴いていただきたいですね。それから今年はデビュー35周年になる年でもありますし、多くの方にこの歌を覚えてもらって、いい節目を迎えられたらと思います。
――春のイベントも、今年は4年ぶりに開催を予定しているとか?
北野 そうですね。毎年3月に開催していたイベントでは、いつも抽選会やゲームを行っていたんですが、今年はマスクをつけながらでも開催できるのではないかと楽しみにしています。皆さんに新曲を覚えてもらえるような面白い企画も考えていますので、楽しみにしていてください! ファンの皆さんたちと楽しい時間をたくさん過ごせたら最高です。
(文=鳥嶋えみり)
○
A:コロナになってからずっと行けていなかったので、今年はマレーシアやシンガポールへ旅行したいです!
天気に恵まれたMV撮影
「ミュージックビデオ(MV)の撮影も最初は恥ずかしかったですが、今はだいぶ慣れました。とはいえ、撮影ではただ歌に口の動きを合わせるだけじゃなく、表情で演技をすることもありますし、そういう言葉のない演技ってものすごく難しいなと思います。今回のミュージックビデオは横浜で撮影したんですが、お天気に恵まれて、暖かい中とてもきれいに撮れました。撮影では小道具としてお酒を持ってみたり、折紙で鶴を折ってみたりいろいろ演技をしています。YouTubeなどで観てくださいね」(北野まち子)
2023年2月15日発売
北野まち子「夫婦風ごよみ」
「夫婦風(めおと かぜ)ごよみ」は、長年連れ添った夫婦の絆を歌った作品。苦労の中に小さな幸せを見つけながらともに歩んできた二人の物語が、北野によってドラマチックに歌われている。「この曲は夫婦を歌った歌ですが、夫婦に限らず、パートナーやお友達同士でも、お互いに支え合って頑張っている方々の応援歌みたいになればいいなって思います」(北野)。
カップリング曲の「雪ごもり」は、想いをよせる男性を待ち続けるひとりの女性が主人公。切ない歌詞とは裏腹な、爽やかなメロディーが印象的な作品となっている。
カラオケ・ワンポイントアドバイス
「夫婦風ごよみ」をカラオケで歌う際のワンポイントアドバイスは、しっかり押し込むところと語る部分のメリハリをつけることです。“苦労七坂 二人連れ” の部分は夫婦のかたい絆の様に強く堂々と歌い上げましょう。中盤の“齢を重ねる そのたびに”は浪曲調のリズムが特徴です。心地よく調子に合わせましょう。最後 “あなたはわたしね わたしはあなた”は優しく語り掛けるように歌ってみてください。
「雪ごもり」は、切ない恋の想い出を爽やかなメロディーに乗せて歌った楽曲です。切ない歌詞の内容とは裏腹なメジャー調のメロディーが特徴なので、歌う際には重たくならないようにリズミカルな歌唱を心掛けてください。美しい情景をイメージしながら爽やかに伸びやかに歌ってみましょう。
2023年4月5日発売
北野まち子『北野まち子ベストセレクション~夫婦風ごよみ~』
キングレコード KICX-5588~9 ¥4,100(税込)
【DISC1】夫婦風ごよみ/明日舟/冬酒場/立待月/雪ごもり/津軽おんな唄/恋々津軽/函館みなとから…/ほほえみ坂/丹後半島~夕日ヶ浦/いのち一代/包丁一代(ニューバージョン)/寿 祝い節
【DISC2】高瀬川慕情/あかね空/浮き世橋/こころの灯り/あなたがいたから/こころ花/ひとり止り木/面影の花/ひぐらし晩歌/をんな川/哀愁岬/女みちのく別れ旅/林檎の里
Profile
北野まち子(きたの・まちこ)
9月23日、青森県生まれ。幼少の頃から歌うことが好きで、地元の商店街などが主催するカラオケ大会によく出場していた。18才の頃 NHK「のど自慢」に出場し、鐘3つで合格。1989年、「『包丁一代』歌手募集コンテスト」で約7,000人の応募者からグランプリを獲得。同年8月2日、“北乃町子”名義で「包丁一代」を発表し、歌手デビューを果たした。芸名の名付け親は、「包丁一代」の作曲家でもある岡千秋。青森出身ということで、「北の町から来た子」という意味。1997年5月に発売した「しぐれ海峡」からアーティスト名を北野まち子に改名。2002年、ソニーレコードから現在のキングレコードに移籍。チャーミングで朗らかな人柄と、澄んだ歌声で多くの人を魅了し続けている。また島津悦子や若山かずさなどの歌手仲間と、2018年に「農業女子応援隊」を結成。「農業と演歌は日本の宝」をキャッチコピーに、農家の女性を支援する活動も開始。2023年8月にはデビュー35周年を迎える。
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