三橋美智也×福田こうへい~時を超えた夢のコラボ~。あの名曲が蘇った!
三橋美智也×福田こうへい
キングレコードが誇る、昭和と令和の大スターが時を超えてコラボレーションした。三橋美智也と福田こうへのデュエットが実現したのだ。三橋が残した名曲の中からデュエット曲として選ばれたのは、「星屑の町」「赤い夕陽の故郷」「おさらば東京」の3曲だ。懐かしい歌声と、濁りのない福田の真っ直ぐな歌声が折り重なり、長く後世に残したい昭和歌謡界の名曲を楽しむことができる。福田の10周年というアニバーサリーイヤーに彩りを添える作品になっている。
怖さもあり試練でもあった挑戦
以前から相談していたんです。演歌四人衆(春日八郎、三波春夫、村田英雄、三橋美智也)を知る世代の人がどんどん高齢化して、歌い継ぐならその世代の方々が生きている今しかないんじゃないかと。3年ほど前から構想を練り、今回ついに三橋先生の歌をデュエット曲としてリリースすることができました。
一文字シリーズのアルバムに三橋先生の歌を入れていますが、デュエットとなると、じつは少なからず怖さもありました。三橋ファンの方から、福田なんぞが一緒に歌うのかと言われてしまうかもしれないから。テレビで1回歌うのとはわけが違う、作品として残るだけに本当にいいものにしなければいけません。
そのうえで考えたのは、とにかく三橋先生の歌を崩さずに作品にするということ。先生の歌というのは、1曲の中に民謡調の独特の節が2、3カ所くらいか入っていないんです。あとは聴きやすく、だれもが歌いやすいように歌っています。どうも俺は(元々が民謡歌手なので)民謡により近く歌ってしまうので、それをできるだけ抑え気味に、自分本位にならないようにしました。
民謡出身の歌手であれば、三橋先生の歌を歌いこなすというのはある意味「試練」だと思います。それに挑戦することでどんな反応が得られるか、とても楽しみです。
三橋先生とは、17歳のときに一度だけお会いしました。おやじ(福田岩月)が日本武道館で行われた民謡の大会に出た時、審査委員長としていらしたのが三橋先生でした。そのとき俺は、まさかこの先自分が歌手になるとは考えもしなかったので、すごい人なんだろうなくらいしかわかっていませんでした。でも、ある時おじいちゃんが、三橋先生の「達者でナ」を歌ってみろというので人前で歌ったら、すごい拍手をもらった。皆さんが喜んでくれて、そこで初めて三橋先生の偉大さを実感したんです。
その「達者でナ」を今回の選曲の一つに入れたかったのですが、音源がありませんでした。今回の3曲は、オケ撮りの音源が残っていてデータ化されているもの、という条件の中から選ばれています。
「星屑の町」は、人生の先輩方がとても懐かしがるであろう曲。「赤い夕陽」「おさらば東京」も同様に、当時の人々の生き様や昭和の街のネオンが思い出されます。
そして、CDのジャケットにもご注目。昭和の雰囲気がしっかり漂っております。しかも、三橋さんの髪形がいつもの分け目と違うことにお気づきでしょうか。本来の分け目は逆で、よく右のほうに直したレアな写真が見つかったなと。オリジナルは白黒写真だったそうで、別の素材と合成しています。だから、俺の髪形も同じような感じに似せたんですよ(笑)。昭和チックなジャケットも、曲とともにぜひ楽しんでください。
(文=藤井利香)