北野まち子の「ほほえみ坂」~笑顔でいればきっといいことがある~
2月24日に発売になった北野まち子の新曲「ほほえみ坂」がいい。どんなに苦しい時もほほえみを絶やさず、ひたむきに……。笑顔を忘れがちな昨今ではあるが、その大切さを改めて教えてくれる、そして太陽のような北野の笑顔を彷彿させる、温もりあふれる作品だ。
カップリング曲「面影の花」では、歌手生活32年目にして歌謡曲の世界に初挑戦した意欲作。それぞれの作品への思いなどを聞いた。
今こういう世の中だからこそ笑顔でいたい
Q およそ一年ぶりとなる新曲「ほほえみ坂」が発売になりました。タイトルも明るくてほほえましい二人の姿が目に浮かぶような素敵な作品ですね。
北野 そうですね。前作は「浮き世橋」。今回は「ほほえみ坂」ということで「橋」と「坂」、どちらも越えなくちゃいけないっていうのは同じですね(笑)。つらいことや苦しいこと、いろいろなことがある人生ですけれど、笑顔でいればね、きっと幸せが訪れるよというような一曲です。今こういう世の中だからこそ笑顔でいたいな、という思いで歌っています。ほほえましく支え合って、時には手を差し伸べてくれる男性像が浮かびますよね。
Q 「笑顔」という言葉がたくさん歌詞の中に出てきますね。最初この作品を手にされた時の印象はいかがでしたか?
北野 11月の末くらいに次の曲をそろそろというお話をいただいて、どんな曲になるのかな? とドキドキして待っていました。いつもまず歌詞を見て、自分の中のイメージで“こんな曲かしら? とか想像して、徳久先生が歌ってくださっているデモテープを聴かせていただきますが、今回はそのデモと私のイメージがとてもピッタリ!でした。今回もとってもあったかい楽曲をいただいたなと、うれしかったですね。
Q 徳久広司先生とはレコーディングまでに何か細かいやりとりはされましたか?
北野 そうですね。レコーディングも同席していただきまして、キー合わせでは今回はとても勉強させていただきましたね。
Q 具体的にはどんなところですか?
北野 高音でキンキンして頑張って歌うよりは、低い方が温かさを感じられるのではないか……ということで、今回はいつもよりも半音くらい低いキーで歌っています。私の得意とする高音がないな~という思いはあるんですけれど、がんばって力強く歌うという歌ではないので、低いなりに優しく言葉を置くように歌うということを教えていただきました。
Q それでも北野さんの声の美しさは引き立っていらっしゃいますよね。とても魅力的です。
北野 自分の声は正直あんまり好きじゃないので……。こういう声だったらよかったのに、とか思っていたりしますよ(笑)。
Q 小さい時から歌はお上手だったんですか?
北野 そうでもなかったと思いますけれど、歌は大好きで、ブラシなどを持ってよく歌っていました。演歌ではなくて、当時は松田聖子さんや中森明菜さんとかアイドルのまねごとをしていた感じでしたね。でも、母が民謡の手踊りをやっていたので、家の中ではけっこう演歌が流れている環境ではありました。その練習によく付き合ったりして聴いていましたけど、まさかでも自分が演歌を歌うようになるとは思わなかったですね、その時は(笑)。
この曲を聴いてあったかい気持ちになってほしい
Q 「ほほえみ坂」を歌う際のワンポイントアドバイスを教えてください!
北野 やっぱりこの曲は力まずに歌うということと、歌詞の中に「笑顔」という言葉がたくさん出てきますので、口をたてに開けて歌うというよりはちょっと笑顔になるように横に開いて歌った方が柔らかさが出るかもしれないですね。それと、「涙があるから」というところの“あ”のところが十六分音符なんですね。なので、この十六分音符をしっかり捉えていただけると後はバッチリかなと思います!
涙があるから 笑うのよ
笑顔をあなたに あげたくて
(「ほほえみ坂」1番歌詞より)
Q 一方のカップリング曲「面影の花」では、初めての歌謡曲に挑戦されていますね。
北野 はい。本当にこういったタイプの曲は初めてでしたね。ガロさんの曲のような、フォークでもなければポップスとか演歌とか、そういう括りがない時代の歌謡曲の感じとでもいうのでしょうか。昭和を思い出すような懐かしい一曲です。30年ずっと演歌ばかり歌ってきたんですけれど、たまにはこういう歌謡曲的な曲もいいんじゃないかな~というところからピッタリの作品をいただきました。
Q 花がモチーフになっているとても切ない曲ですが、色を感じる曲ですね。
北野 そうですね。バラの赤、ゆりの白、藤の青。遠くへ行ってしまった人を花にたとえて思っている気持ちを歌っています。今まで百合も藤もただ普通に綺麗だなって見ているだけだったんですけれど、この曲をいただいてから“そういえば百合ってうなずいているように見えるよね”とか“藤は揺れていて踊っているみたい”とか、気づかされたことも多かったですね。
Q これからは綺麗な花が咲く季節ですから、花を眺めながらこの曲を思い出しそうです。
北野 そうですよね~!私も散歩の時が楽しみです。やっぱり花って可憐なもので、切ないながらも心を和ませてくれる何かがあるんですよね。そういうところもこの曲を聴いていただいて感じ取っていただけたらうれしいですね。
Q 最後に、北野さんの新曲を心待ちにされているファンの皆さんやオトカゼ読者にメッセージをお願いします!
北野 今回とってもあったかい楽曲をいただきました。まだまだこの状況の中で皆様の前で歌える機会が少なくて残念ですけれど、たくさんの皆様にこの曲を聴いてあったかい気持ちになっていただきたい。“笑顔でいればきっといいことがある”。そういうふうに思わせてくれる一曲ですので、ぜひぜひ聴いてください。そして私もこの歌で笑顔を全国に届けたいと思っています。「ほほえみ坂」そして「面影の花」と色の違うタイプの曲ですので、どちらも皆様に楽しんでいただけるといいな。どうぞよろしくお願いします!
2021年2月24日発売
温もりと希望を乗せて
北野まち子「ほほえみ坂」
シングル30作目となる新曲「ほほえみ坂」は、いろいろある毎日や人生の中でもほほえみながら寄り添って一歩ずつ歩んでいこうという二人の姿を描いた温もりあふれる作品。「CDの中にある歌詞カードにQRコードが入っていまして、それを読み込んでいただくと動画で私のワンポイントレッスンをご覧いただけます。ぜひお買い上げいただいて覚えて、またその動画を観て練習していただけたらうれしいです!」(北野)。カップリング曲「面影の花」は、薔薇・百合・藤の花に旅立ってしまった愛する人の面影を重ねて語りかける、切ない思いが綴られている一曲。九州在住の作家陣による、北野自身初挑戦の歌謡曲。2作品とも、北野の美しい歌声で彩られており聴きごたえがある。
Profile
北野まち子(きたの・まちこ)
1968年9月23日、青森県生まれ。祖父や両親の音楽好きの影響で幼い頃から身近に音楽のある環境で育つ。学生時代に友人と慰問で訪れた老人施設で演歌を披露した際に、とても喜んでくれたうれしさが忘れられず、歌うことに魅せられる。18歳の時、NHK『のど自慢』に出場し合格。1989年に「包丁一代歌手募集コンテスト」に応募し、約7,000人の中から見事グランプリを獲得。同年、“北乃町子”名義で「包丁一代」でデビューを果たした。今年歌手生活32年目。その美しい高音と明るい笑顔とキャラクターで多くのファンを魅了する。島津悦子や若山かずさなど歌手仲間と「農業女子応援隊」を結成。「農業と演歌は日本の宝」をキャッチコピーに、農家の女性を支援する活動も行っている。