島 あきのに聞いた。「海峡わかれ宿」に込める思い

演歌・歌謡界を代表する歌手、北島三郎にその歌声を見初められ、歌手になるという夢をかなえた島 あきの。しかしその先の人生は、自分の力で切り拓いていかなくてはならない。

「いつか、北島先生へ恩返しを・・・」

師匠の厳しくも温かい導きと眼差しを背に受けながら、島 あきのは3年目を、新たな決意で歩き出す。

 

「“海峡シリーズ”といったら島 あきのだよねって言われるように」

新曲「海峡わかれ宿」は、デビュー曲「津軽海峡」、2作目の「ハマナス海峡」に続く“海峡シリーズ”第3弾。今作も雄大な海原に響きわたるような島の張りのある歌声が、より楽曲に深みを与え、彩りを添える。

Q 今作も島さんの故郷である北海道を舞台にした作品で、タイトルに「海峡」がついていますね。
 海峡に佇む宿で、愛する人を失い悲しみにくれる女性の心情を歌った作品です。まだCDは3枚しか出していないけれど、いつかは「“海峡もの”といったら島あきのだよね」と言われるように、この“海峡シリーズ”をずっと大切に歌っていきたいです。

Q そして、師匠である北島三郎氏の作詞作曲、全面プロデュース作品ということですが、歌われてみていかがですか?
 本当に本当に、すごく幸せなこと、ありがたいことだと思っています。出だしの音を聴いただけで「北島先生の曲だな」ってわかるくらい、三拍子の「ザ・北島三郎」という曲調は、歌っていてもとても気持ち良くて気合が入ります。これまでの2曲も“勝負曲”だと思って歌ってきましたが、この曲にはこれまで以上にその思いが強いです。

Q デビューから2年が経ち、日々歌ううえで、自分自身成長したなと思うところはありますか?
 デビューしたての頃はただ“歌うこと”に一生懸命でした。でも今は、歌を「こう歌わなければならない」から「こう歌ってみよう」とか、少し冷静に歌と向き合えるようになってきました。私はデビューするまでに下積みの経験がなかったので、まだまだ勉強している最中です。

Q まだまだなだと思うのはどんなところですか?
 技術面もそうですが、歌に艶や色気などがほしいです。人生経験も豊かじゃないし、恋愛もそんなにしていないので想像だけだと限界があるけれど、今から恋愛するぞ!っていう気にもならないし、どうしようかな……(笑)。映画やドラマを観ながら、女性らしさとか感情の表現の仕方とかいろいろなイメージトレーニングはしています。妄想は得意なので(笑)! 少しずつでもいいから、もっと歌を理解して表現できるようになりたいです。

Q 最後に改めて、これからの抱負や夢を聞かせてください。
 とにかく、私を見出してくださった北島先生に恩返しがしたい。それは、いただいた作品を大切に歌い、ヒットさせて世に広めていくことだと思うんです。北島先生とは地元がいっしょなので、この歌で北島先生にも、そして大好きな故郷にも恩返しができたらと思っています。それと、北島先生のように、いつか「北海道出身の歌手といえば島あきの」って言われるような、北海道を代表する歌手のひとりになりたいです!


 

「島あきの」の思い

「ご縁と運には恵まれてきた。でも、それだけでは終われない」

 

私は北海道出身です。演歌界の大先輩、尊敬する北島三郎先生のプロデュースで2018年にデビューさせていただきました。

きっかけは、北島先生の生まれ故郷が私の母と同じ“知内町(しりうちちょう)”だったことです。北島先生は私が物心つくずっと前から、毎年お盆になると知内町に帰ってこられて「サマーカーニバル」という無料の野外コンサートを、故郷の町民のために開かれていました。

北島先生は私たちのヒーローです。そのコンサートで、北島先生や有名な演歌歌手の皆さんの歌を生で聴き、毎回とてもワクワクしていました。演歌が好きになったのは両親の影響もありますが、年に1回この夢のようなコンサートを観ることができる環境だったことも大きいでしょうね。

地元で働きながら歌うようになってから、ご縁があり北島先生にごあいさつをさせていただいた時、先生が「サマーカーニバルで歌ってみないか」と言ってくださいました。恐れ多くもうれしくて、大好きな島津亜矢さんの「独楽(こま)」を思い切り歌ったことが、この道へのターニングポイントになりました。

そこから本当に夢を見ているかのように話が進んで、今、歌手としてステージに立っている。「うれしい! 幸せ!」という言葉では足りないくらい、幸せです。

デビュー曲「津軽海峡」は、“島 あきの”の名刺代わりの曲です。無事に歌入れが終わった後、「ご両親に真っ先に聴かせてあげなさい」と先生が。すぐに両親に聴かせたら、二人ともめちゃくちゃ泣いていました。ほんの少しだけど、親孝行ができたのかなと感じた瞬間でした。忘れられません。

そして、2018年7月4日。歌手・島 あきのは誕生しました。北島先生をはじめとするたくさんの皆さんに支えられ、ようやく3歳を迎えたばかりです。まだまだ未熟ですが、私は本当にご縁と運に恵まれてきました。

でも、それだけでは終われない。

「大きなフェスに、演歌歌手として出演したい!」「テレビにもたくさん出たい!」
抱えきれないくらい、夢があります。“私だけの味”を見つけて、磨き上げて、きっとかなえてみせます。

(文=夏見幸恵 写真=村上庄吾)



2020年7月22日発売
島 あきの「海峡わかれ宿」

「海峡わかれ宿」
作詞・作曲/原 譲二 編曲/遠山 敦
c/w「倖せ かくれんぼ」
作詞/菅 麻貴子 作曲/西 つよし 編曲/猪股義周 日本クラウン CRCN-8342 ¥1,227+税

彼女を見出した北島三郎の全面プロデュースによる“海峡シリーズ”第3弾。北海道の海峡を舞台に、別れに未練を残す切ない女の心模様が描かれている。今作は作詞作曲も北島が手がけ(原 譲二名義)、デビュー前から島をプロデュースしてきた北島ならではの感性で、「歌手・島あきの」の新たな一面を引き出した。女性として、人間として、歌手として、日々成長していく島の魅力を堪能できる作品。デビュー3年目の勝負曲だ。


 
Profile
島 あきの(しま・あきの)
9月12日、北海道亀田郡生まれ。子どもの頃から「絶対歌手になる」と公言していた。たまたま島の歌声を聴いた北島三郎が「この子の声には悲しさがある」と絶賛。同氏のプロデュースで2018年「津軽海峡」でデビューを果たす。好きな食べ物は、たちポン、牡蠣、エイヒレと酒のつまみに最適な故郷・北海道の珍味。好きな場所は実家のトイレ。トイレのなかでよく歌っていたそう。