
望月琉叶、演歌歌手としてデビュー。「世界に演歌を!」
アイドルユニット「民族ハッピー組」で活躍する望月琉叶が、演歌歌手としてデビューした。単なる企画として演歌を歌うわけではない。子どもの頃に美川憲一の「柳ケ瀬ブルース」に衝撃を受け、ずっと演歌が好きだったのだ。聞けば、歌手への思いは祖父~母、そして娘へと引き継がれた夢でもあった。
そうだ、世界に演歌を!!
――アイドルユニット「民族ハッピー組」(※)の一員でもある望月さん。まず、アイドルとしてデビューされることになったきっかけについて教えてください。
望月 きっかけは、今の事務所の社長にスカウトされたことです。母が若い頃、演歌歌手になりたいという夢を持っていたということもあって、小さい頃からよく演歌を聴いたり歌ったりしていました。母は残念ながら夢をかなえることはできなかったのですが、その夢を私が引き継いだというか……。母のお父さん、私から言うとおじいちゃんが演歌歌手の方の弟子をしていたことがあって。でも、歌手にはなれずに戦争で亡くなってしまいました。その意思を母が引き継いでいたんです。
※民族ハッピー組
https://mfi-inc.tokyo/talent_all/hpp/
――その意思を引き継ぐ形で、望月さんも歌手を目指すようになったんですね。
望月 はい。私も音楽が好きでした。ボイストレーニングに通って、高校から大学、就職活動期間中も、ずっといろいろなオーディションを受けていました。「グラビアとかアイドルやりませんか?」とか「ここのグループどうですか?」というお話は何度かいただいたのですが、私は演歌歌手になりたかったので、ちょっとなんか違うな~って思ってお断りしていました。じつは、もう就職も決まっていたんです。
――その就職を蹴って、スカウトの話を受けたんですか!?
望月 最初は「めちゃあやしい人!」と思って(笑)。でも、その時に社長から「演歌女子ルピナス組やってるねんけど」って言われて。「えっ? 演歌? ちょっと話を聞きたい」って思って、母を交えてお話をさせていただきました。そこで“演歌女子”っていう響きに惹かれて、思い切って加入することにしました。
――ソロで演歌歌手として歌いたいという思いとは別に、グループでのアイドル活動になったんですよね。最初どんな感じだったんですか?
望月 全然慣れなくて。ほんとに。正直、“ザ・アイドル“になりたいわけじゃなかったので、「向いてない」って思っていました。だんだん慣れてきて、今では私も“ザ・アイドル“をさせていただいているんですけど(笑)。もともとはそういう性格ではなくて、子どもの頃からわりとクールなほうなので、最初はアイドルとして活動することが恥ずかしかったですね。でも、演歌女子ルピナス組としてがんばって、キャッチフレーズのように、「そうだ、“世界に演歌を”だ!」って思いながら活動していました。
――しかし、4年半続けてきた“演歌女子ルピナス組”は、2019年8月に“民族ハッピー組”という名前に改名されました。
望月 そうなんです、演歌じゃなくなってしまいました(笑)。今度は“世界の民族をハッピーにする”っていうキャッチフレーズに変わりました。でも、私はこれまでの“演歌を世界に”という思いを引き継ごうと思っています。

小さな時から演歌が好きだった望月。アイドルとしてスカウトされたが、演歌が歌えるとわかり「演歌女子ルピナス組(現・民族ハッピー組)に加入。最初は慣れないアイドル活動だったが、今ではファンが「『ありがとー!』『だいすきー!』って喜んでくれるのがうれしい」と言う。
「失恋慕情」は悲しいけど、すごくきれいな歌です。
――将来はソロとして活動したいなという気持ちは思いは消えなかった?
望月 はい、消えませんでした。いつも自分のデモテープを持ち歩いていましたし、社長にも聴私の意思はお伝えしていました。それで、アイドルソロクイーンコンテストというのに何度か出させていただきました。
――2014年から開催されている日本各地のソロアイドル日本一を決定する大会ですね。踊りは0点だったのに、歌唱得点のみでファイナリストに選ばれたこともあるとか。
望月 そうです(笑)。頑固だったんです。だから、ずっと演歌歌手への思いは持ち続けていました。ソロの話が決まった時はとてもうれしかったですね。
――そして今回、「失恋慕情」という曲でソロデビューという形になりました。どんな曲でしょうか?
望月 「失恋慕情」の主人公は、自分のせいで好きだった男性が出ていってしまって、帰ってこなくて「私のせいだ、私のせいなんだ」ってひたすら一年一年ずーっと悩み続け、嘆き悲しんで後悔している……。ひと言で言うと、とても悲しい歌ですね。
あの日の私を恨みます
今でもあなたが欲しいままです
(「失恋慕情」より)
――望月さんはこの曲を歌われる時、自分の年齢層をイメージされましたか? それとももう少し年配の方ですか?
望月 どの年代であっても起こりうる内容の歌詞だと思いますが、自分にも置きかえながら、想像の部分は正直ありますけど、自分の等身大の感情+イメージを膨らませて歌っている感じですね。
――最初にこの曲をもらった時、どんな印象でしたか?
望月 私がこんなきれいな素敵な歌を歌っていいのかなって。もったいないかな、ってちょっと思いました。民族ハッピー組では、名前はハッピーなのにけっこうダークで闇深い曲が多くて(笑)。なので、「すごいきれいな歌だ! いやあ、もったいないな」と思いながらも、「よっしゃ!」ってうれしい気持ちが大きかった!
――ちなみにメンバーには聴かせたんですか?
望月 はい。「いいじゃん、いいじゃん!」って言ってくれました。昨日も先輩のメンバーで帰りの仕度をしてる時に、「この花は君のようだねと・・・♪」とか聴こえてきて(笑)。あ、メンバー歌ってるって。すごくうれしかったです。
――お母様には?
望月 母も、「いい曲だね。すごいいいじゃない! 100枚買うわ」って。本当に買ってくれるかな(笑)。でも、そんな感じで喜んでくれて、すごくよかったです。
――娘の望月さんの人気が出れば、歌手になりたかったお母さんが、どこかで歌うことも……。
望月 あるかもしれないですね(笑)! 本当に母は私より上手なんですよ。でも機会とか運が……。 今後のために、ちょっとエステに行かせます(笑)。

所属レコードの先輩である村木弾、門松みゆきと歌謡番組に出演。演歌歌手としてソロ活動したい、という夢を叶えた。芸名の「琉叶」は、母がつけてくれた。
人の人生にきっかけを与えられるような歌手になりたい。
――これまでを振り返った時に、あの曲があったから今の自分があるな、という曲はありますか?
望月 美川憲一さんですね。小学校の頃に美川憲一さんの「柳ヶ瀬ブルース」を聴いて、そこで演歌にハマりました。
――どこにいちばんハマったんですか?
望月 歌い方と、美川憲一さんの品のある雰囲気が大好きでした。「柳ヶ瀬ブルース」も心にとても響いたんですよね。小学生だったので、歌の世界のような経験(雨の降る夜に、好きな人との別れを悲しむ)とかないじゃないですか。だから、大人の世界だなって、そこに惹かれたんだと思います。
――ご自身でもよく歌いましたか?
望月 小学生の時にカラオケで歌ったら、友達が「いいじゃーん! おもしろいじゃーん!」って。ワーって盛り上がってくれたこともあります。なんかウケてる、みたいな(笑)。快感になって、「演歌ってすごいな」って思ったんですよね。
――美川さんにはお会いしたことあるんですか?
望月 まだお会いしたことがなくて……。でも、この演歌でのソロデビューもそうなんですが、私、信じていれば絶対かなうっていう謎の自信があって。美川さんにもきっといつか会えるって信じています!

演歌歌手としてデビューした望月琉叶に、多くのメディアも注目。じつはクールで理論派の彼女。まだ25歳になったばかりだが、自分の将来のこと、演歌のことをしっかり考えている。今後の活躍に大いに期待したい。
――望月さんは今後、どういう歌手人生を歩んでいくでしょうね?
望月 そうですね……。アイドル活動があってこその今でもありますし、民族ハッピー組は世界に視野を広げているアイドルグループでもあるので、今の活動もがんばりたいですね。でも、『NHK 紅白歌合戦』に出場して、日本中の方々に名前を知っていただくことがいちばん大きい目標です。そして、私にとっての美川さんじゃないですけれど、私の曲を聴いて人生が変わったとか、誰かの人生をいい方向に変えられるような歌手活動をたくさんしていきたいなって思っています。
――最後に、「グラビアができる演歌歌手」とプロフィールにもありましたが……。
望月 もちろん演歌歌手なんですけれども、グラビアの活動でも多くの皆さんにおもしろいことしてるなーって、興味持って楽しんでいただけたらうれしいです!
2020年7月22日発売
望月琉叶「失恋慕情」

「失恋慕情」
作詞/小林元 作曲/樋口義高 編曲/周防泰臣
c/w「小夜時雨」
作詞/小林元 作曲・編曲/大野ヒロ
日本コロムビア COCA-17787 ¥1,227+税
「あの日の私を恨みます 今でもあなたが欲しいままです」。「あの時、自分がもっとこうしていたら……」と、自分のもとを去ってしまった愛する男性への未練とともに激しい後悔、自責の念に駆られる主人公の心情を、想いを込めて望月が歌い上げている。発売初週のオリコン演歌週間シングル・歌謡ランキングで初登場1位(8月3日付)を獲得。「感情を大事にして歌う曲になっています。悲しい恋を歌っていますが、とてもきれいな曲です」(望月)。
カップリングの「小夜時雨」は、万葉集から引用した美しいフレーズがちりばめられている切ない曲だが、アップテンポな楽しい気持ちになれる一曲。「こちらも悲しめの歌なんですけど、テンポはすごいノリノリ(笑)。ファンの方に踊ってほしいですね。けっこうハードですがこの曲を歌っていただければ、悲しいことがあっても、歌い切るとすっきりすると思います!」(望月)

Profile
望月琉叶(もちづき・るか)
1996年7月15日、神奈川県生まれ。小さい頃から親戚に演歌歌謡を聴かされて育ち、何気に歌った演歌に心を打たれ、母の夢でもあった演歌歌手を志すようになる。学生時代はボイストレーニングに通い、数々のオーディションに参加。デモテープをつねに持ち歩き、代官山を歩いていた時、現在の事務所の社長にスカウトされ、アイドルグループ「演歌女子ルピナス組」に加入する。2019年、グループ名が「民族ハッピー組」に改名。ソロライブでは演歌を歌い、ファンからも大きな評判を得ている。2020年、念願かなって「失恋慕情」で“グラビアができる演歌歌手”としてソロデビューを果たした。子どもの頃からクールで冷静。感情より理論派だと自己分析する。望月琉叶は芸名。「母が気持ちを込めてつけてくれました。自分でも可愛い名前だなと思っているので、すごい気に入っています!」(望月)