秋元順子が歌う大人のためのバラード

15th Anniversary
Junko Akimoto

秋元順子が新曲「帰れない夜のバラード」で、大人のラブ・バラードを聴かせる。

 

メジャーデビュー15周年記念の第二弾として、ニューシングルを発売した秋元順子。前作「たそがれ坂の二日月」と同じ作家陣による「帰れない夜のバラード」だ。失恋のあとの切ない思いを、誰よりも豊かに人生を生きる秋元ならではの世界観で、哀愁を漂わせながら歌っている。

「作詞の杉本眞人先生に、いつかバラードを書いていただきたいとお願いしていたところそれがかない、とてもうれしく思っています。愛した人との突然の別れに、表面上はスパッと割り切りながらも、本当はふたりで暮らしたあの部屋に彼の姿があったらいいなと思う、そんないじらしい女性が主人公です。私にも似たような記憶があるなと、過去を懐かしく思い出しました」

曲調は決して暗くなく、女性の心に寄り添うようにしっとりと流れていく。誰にでも歌いやすく、気持ちを乗せやすい曲なので、レパートリーのひとつに加えたい女性ファンが増えそうだ。

カラオケで歌うなら前半は優しめに歌い、サビにつながる後半部分は「流して歌わないほうがいい」と、秋元はアドバイスする。1番の歌詞では「男と 女の夜の道」というフレーズで始まるが、“お・と・こ・と お・ん・な・の”と、スタッカートに近いイメージで歌唱すると雰囲気に変化が出る。また重要なのがラストの「帰れない 帰らない ひとりのあの部屋に」(1番歌詞)のフレーズだ。新曲「帰れない夜のバラード」は2コーラス半の曲だが、「帰れない 帰らない」で始まるフレーズが3カ所あり、この曲のポイントになっている。

「最初の『帰れない』は、自分に言い聞かせるように切なく、優しく。続く『帰らない』は、つらいけれど、もう後戻りしないという決意を込めてしっかりと、強く歌っています。どんな経験も人生の肥やしになり、生かされる時がきます。そんな思いを込めて歌っていただきたいですね」

 
カップリング曲は、ユニークな歌詞が印象的な「横濱(ハマ)のもへじ」だ。曲の中のもへじは、ペラペラのアロハを着て、前歯が2本しかないが、愛嬌があって一度会ったら忘れない。人とは違う生き方が魅力で、そんな男の一生を、懐かしんで回顧するストーリーとなっている。

「お酒が大好きな、もへじという名の男がモチーフで、それを私がこんな人なのよ、と歌いながら説明する、今までにないタイプの曲になっています。私にも人に好かれ、温かみを感じる歌のイメージとぴったりな方がいました。デビューしてすぐに亡くなってしまいましたが、皆さんも身近に“こんな人いるいる」と、楽しんで聴いていただけたらいいですね」

コロナ禍によるステイホーム期間中は、これまで時間をかけられなかった料理や掃除を徹底的にやったという秋元。6月恒例のバースデーコンサートは中止になったが、「毎年誕生日は来ます!」と気持ちは超前向きだ。4月には「秋元順子 ベストセレクション2020」(2枚組 26曲収録)を発売しており、バーで撮影した今回の新曲のプロモーションビデオも「ステキな仕上がり」と自信たっぷり。まずはこれらを楽しみながら、2020年後半の活動は「ただ今、模索中」という秋元の、生の声に出合える機会を待ちたいものだ。


 

2020年6月10日発売
大人のラブ・バラード
秋元順子「帰れない夜のバラード」

「帰れない夜のバラード」
作詞/喜多條忠 作曲/杉本眞人 編曲/矢野立美
c/w「横濱(ハマ)のもへじ」
作詞/喜多條忠 作曲/杉本眞人 編曲/矢野立美
キングレコード KICM-30987 ¥1,273+税

表題曲は前作「たそがれ坂の二日月」の喜多條氏と杉本氏のコンビが引き続き楽曲を手がけた。秋元が待ち望んでいたバラード作品でもある。カップリング曲「横濱のもへじ」は、誰もに愛された、名もなき男の面影を歌っている。


幻のお店“Bar Junko”がオープン

 
「帰れない夜のバラード」のリリースを記念して登場した、秋元順子の幻のお店“Bar Junko”。コロナ禍により、ファンに生歌を届ける機会が少なくなったことから、秋元のオフィシャル・ブログの中で時々登場する架空のお店“居酒屋順子”のスピンオフ企画として生まれた。免疫力を上げる発酵食品のひとつ、みそ汁にすりごまと牛乳を入れるレシピを紹介したり、ファンからの切実な質問に答えたり。「大豆製品がダイズ」「冬食べてもナッツ」など、順子ママによるダジャレ・トーク満載の楽しい時間が流れる。順子ママによる新曲の紹介も。


2019年9月4日発売
15周年記念曲・第1弾
秋元順子「たそがれ坂の二月月」

「たそがれ坂の二日月」
作詞/喜多條 忠 作曲/杉本眞人
編曲/川村栄二
c/w「ノラ」
作詞/ちあき哲也 作曲/徳久広司
編曲/中村力哉
c/w「ふしあわせという名の猫」
作詞/寺山修司 作曲/山木幸三郎
編曲/中村力哉
キングレコード KICM-30938 ¥1,364+税

こちらは2019年9月に発売された秋元順子の15作品目となるシングル「たそがれ坂の二日月」。15周年記念として制作されたアルバム「令和元年の猫たち ~秋元順子 愛をこめて~」からシングルカットされる形で連続リリースされた、大人のラブストーリー。30人近いオーケストラと同時録音を行った。



profile

秋元順子(あきもと・じゅんこ)
1947年6月21日、東京生まれ。洋楽を中心にライブ活動を行っていた2004年に、インディーズ盤「マディソン郡の恋」を発売。この曲が評判となり、翌2005年、58歳の時に同曲でメジャーデビュー。2008年に発表した「愛のままで…」が大ヒットし、暮れの『NHK紅白歌合戦』に出場。最年長初出場歌手(当時)となる。2014年にはデビュー10周年を記念して、全20カ所全23公演を成功させる。2019年9月、15周年記念曲・第一弾「たそがれ坂の二日月」を、2020年6月、第二弾「帰れない夜のバラード」をリリース。