塩乃華織

塩乃華織、愛を走らせ希望を届ける~新曲「きのくに線」~

塩乃華織が歌う「きのくに線」がいい。前作「七尾線」は発売直後のコロナ禍で多くの人に届けることができず歯がゆい思いをしたが、その分、新曲への情熱も強くなった。地元である関西の海沿いを走るきのくに線にその情熱を乗せて、塩乃は今走り出す。

 

前作「七尾線」をバージョンアップ。よりダイナミックに!


Q
 新曲「きのくに線」は、前作「七尾線」の発売が2019年11月でしたから約1年半ぶりの新曲発売となりました。

塩乃 「七尾線」を発売して4カ月くらいはキャンペーンなど行うことができましたが、その後はコロナ禍で活動ができませんでした。すごく悔しくて、コロナが収束したらもう少し「七尾線」で頑張りたいという気持ちだったのですが、そんな時に次の作品のお話をいただき、作家の先生方から、『「七尾線」の匂いを少し残しつつバージョンアップした曲で次に進むのはどうかな?』というご意見をいただいてお任せしてこの曲をいただきました。

Q 今回、新曲「きのくに線」を初めて聴いた時の心境はいかがでしたか。

塩乃 作品を聴いた時、本当に「七尾線」が思い浮かんですっと曲の世界に入れました。同じ匂いは残っているけれどよりダイナミックに、自分の気持ちも盛り上がるような作品をいただいて、本当に今はドキドキワクワクしています。

Q 「七尾線」は実際に石川県を走る路線です。そして今回の「きのくに線」も和歌山の路線ですが、鉄道系の曲ってわりと失恋系の歌が多かったりしますよね(笑)。でもこの曲は未来があるというか、彼のもとに行ってみないとわからないけれども希望が残っているストーリーですよね。

塩乃 そうですよね。前作はとても悲しい歌で、愛する人と別れて未練と一緒に列車に乗る、という感じだったんですけれど、今回は前向きな感じで、彼の大切さを知って列車に乗ってまた彼に会いに行くというストーリー。でもマイナー調なのでメロディーだけ聴くと失恋しているような雰囲気なんです(笑)。そのギャップがとても面白い曲です。明るい未来を感じる歌詞なのですが、離れてから3年経っていますからね。ちょっと不安もあったんですけれど(笑)、作詞の内藤先生の中では最後はちゃんと元に戻る、結ばれるという設定で書いてくださったとお聞きして安心しました!

きらら きらら 春の海
あなたの街へ 愛を走らせ
きのくに線

(「きのくに線」歌詞より)

Q 一番最後のところの「きらら きらら」という歌詞はとても素敵ですよね。トンネルを抜けたら海がキラキラ光って見えたというような明るい未来を予感させるフレーズですね。

塩乃 ここは歌う時にとても悩みました。同じメロディーで1番や2番の歌詞「あなた あなた」は、すごく彼を追いかけている感じなんですが、「きらら きらら」って擬態語なのでその表現がわからなくて……。まずメロディーやアレンジを聴く前に、『優しく歌った方がいいでしょうか』と内藤先生にお話ししました。その後アレンジを聴いたら、結構低音のインパクトのある音が入っていたので、『これは優しかったら負けてしまう!』と思って明るさも持ちつつ、負けないような勢いでいこうと思って歌いました。

Q 今回の詞には「煩悩」とか「人世(ひとよ)」など、歌の詞にはとょっとありそうでないような鋭い言葉がありますね。それに、和歌山県を走るきのくに線の実際にある駅名が出てきますね。

塩乃 内藤先生はこれまでたくさんの女心を書かれてこられましたけれど、「煩悩」という言葉は、先生が使いたいって思っていらっしゃったそうです。きのくに線は白浜など有名な駅もありますが、この曲に入っていることであまり知られていない駅も皆さんに注目されたらいいね、という先生の思いもお聞きして。それで私すごく気になって、ひとりでふらっと歌詞に出てくる「和深(わぶか)」という駅を訪ねてきました。

Q 実際に駅に降りられていかがでしたか?

塩乃 無人駅なので誰もいなくて。でも、降りて歩いていたら優しいおじいさんが話しかけてくださって、『ひとり?』って驚かれて『何もないよ、ここは』って(笑)。だけどせっかくだと思って『私、「きのくに線」という歌を歌うんです!』とかPRしながらお話しました(笑)。温かい方でした。列車に乗って風景を楽しむことを改めてしてみると、列車っていいなと気づくこともあって、この歌にきっかけをもらってひとり旅をしてみて本当に良かったなと思いましたね。

Q  特に歌われていて塩乃さんが共感したり思いが入るところはありますか? 経験したことはありますか? とはお聴きできないので……(笑)。

塩乃 そうですね~(笑)。追いかけられる女性でありたいとは常に願望はありますけれど(笑)。歌っていて、「あなた あなた」と呼びかけるところは自然にぐっと気持ちがいくような感じはありました。あとは、やはりタイトルの「きのくに線」の言葉ですね。タイトルなのでやっぱりインパクトを残したいし、レコーディングの時も歌い方に納得いかなくて、最後にもう一度挑戦させていただきました。ここをぜひ皆さんに聴いていただきたいですね。

Q  毎回新しい作品と向き合う時は、やっぱりいろんな苦悩がありますよね。

塩乃 そうですね。私がいただいてきた曲はバラエティーに富んでいる作品ばかりなので、悩んだりもすごくしましたが、逆にこれだけバラエティーに富んだ曲を歌わせていただいているということが自分の宝物で、私のアピールできるところなのかなと今は思います。初めは『どれが塩乃華織なんだ』というようなことも言われたこともありました。だけど、『これがそうです、全部がそうです』と言えるように作品を重ねていくことで思えるようになりました。今回も、「七尾線」で成長させてもらえたのでこの歌に向き合うことができたと感じています。

塩乃華織

家族に支えられて歩んできた歌手人生。「すごく愛を感じます」


Q
  一方のカップリング曲「しあわせの隣り」ですが、こちらはとても温かい曲ですね。80年代の青春の時を思い出して懐かしいと思いました。僕らの年代になると、こういう曲を聴くと力が湧いてくるんですよね。

塩乃 家族愛の歌です。以前私の両親と話をした時の印象が、内藤先生にとても残っていらしてこの曲を書いてくださったそうです。

Q  塩乃さんのご家族がモチーフの作品なんですね。

塩乃 母は仕事をそばで手伝ってくれていて、父はファンの皆さんといつも歌を聴きに来てくれるという感じで応援してくれています。大阪に住んでいるので、会える距離にいますし自粛期間中もずっと一緒にいました。その中で、歌えることも当たり前じゃないということ、そして家族の支えがあるから歌を歌ってこれたんだということにも気づきました。それだけ支えられてこれまでやってきたんだということを近くにいてよりいっそう感じました。兄も二人いるんですけど、兄たちもすごい応援してくれていて、すごく愛を感じます。本当に幸せですね。

Q 「しあわせの隣り」というタイトルも素敵ですよね。塩乃さんが一番グッとくるところは?

塩乃 そうですね。

しあわせの隣りにいる
それが 母へのさりげない プレゼント

しあわせの隣りにいる
それが 父へのいちばんの プレゼント
(「しあわせの隣り」1・2番歌詞より)

塩乃 この二行は、歌っていてうるっときちゃう時があるんです。何もプレゼントや恩返しをできていないと思っている自分がいたので……。そこがすごくグッときますね。

Q  ご両親は塩乃さんからたくさんのプレゼントをもらっていると思いますよ。

塩乃 えー! そうですかね。そうだとうれしいです。

Q  最後に、新曲への意気込みを聞かせてください。

塩乃 今、ひとりで過ごす時間が多かったり、皆さんが集まれる場所が少ないので、だからこそ音楽が支えになれる場面があると思うんです。私もたくさん支えられているので、皆さんにも私の歌はもちろん!なんですけれど、音楽を聴いて、笑ったり泣いたりしていただきたいな。それもひとつの楽しみ方だと思うので、その皆さんが楽しめる曲に新曲の「きのくに線」が加われば最高なことです。私もコロナ禍でどこまでできるかはわかりませんが、明るい希望のある歌なので、それを届けられるように頑張っていきたいなと思っています。「きのくに線」のように、愛を走らせたいと思います!

 

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2021年5月12日発売
愛を走らせ、あなたのもとへ
塩乃華織「きのくに線」
塩乃華織

「きのくに線」
作詞/内藤綾子 作曲/西つよし 編曲/猪股義周
c/w「しあわせの隣り」
作詞/内藤綾子 作曲/西つよし 編曲/猪股義周
日本クラウン CRCN-8400  ¥1,350(税込)

忘れられない愛する人の元へ、実際に和歌山県の海沿いを走る「きのくに線」に乗ってはやる気持ちを抑えながら向かう主人公の心情を、塩乃が表現力豊かに情熱的に歌い上げる。カップリング曲「しあわせの隣り」では、愛情たっぷりの家族に身守られて歌い続けてきた塩乃の実話のエピソードからインスパイアされ内藤綾子氏が作詞を手がけたという温かな作品。

塩乃華織Profile
塩乃華織(しおの・かおり)
3月24日、大阪府生まれ。3歳の頃より祖母の影響で歌うようになり、テレビなどに出演を重ね様々な大会や発表会に出場する。大学生の時に歌手活動をスタートし、インディーズ時代を経て、2011年「陽だまりの花」でメジャーデビュー。以降、シングル5作品を発表。2021年、6作目となる「きのくに線」を発売。美しい声を生かしCMソングや社歌、ナレーションなどにも起用され幅広く活躍する。好きな言葉は「継続は力なり」。「どんな形であれ歌手として歌い続けてきたことで、本当に素敵な出会いや作品をいただいてきました。私の宝物です」(塩乃)

塩乃華織オフィシャルブログ

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