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千花有黃

【ライブレポート】20年の感謝を歌声に乗せて・・・。千花有黃が愛と涙のラブソング・ライブでエレキギターも披露

千花有黃(ちはな・ゆき)が6月29日、東京・港区のマリーグラン赤坂でラブソング・ライブを開催。関東も梅雨が明け真夏日となったが、会場に詰めかけたファンは千花の温かい歌声と心のこもったもてなしに酔いしれた。

ライブの幕開けは意表を突く選曲だった。ベン・E・キングの不朽の名曲「Stand By Me」。驚きはそれだけではない。千花はなんと、エレキギターを弾きながらソウルフルに歌い上げたのだ。このエレキギターは、今年2月の誕生日にプレゼントされたもの。「(プレゼントされたからには)しょうがない、やろうと。でも、まあ、本当はやってみたかったんですけどね」と、はにかみながら夢が叶ったことを明かす。その姿は、ベテラン歌手の新たな挑戦への意欲を感じさせた。

千花有黃

ライブのタイトルは「千花有黃LOVE SONGS~世代を超えた名曲と共に~」。テーマは、その名の通り「ラブソング」だ。「Stand By Me」に続いて披露されたのは最新曲「夜明けのチェロ」。別れを決めた女性の切ない心情を、異国情緒漂う世界観で歌い上げた。

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序盤はオリジナル曲から「百花唱」、「雨の記憶」が歌われた。「雨の記憶」を歌う前には、自身の「雨女」伝説を披露。「小学校のプール授業が嫌で、雨が降ることをいつも願っていたんです」と可愛らしい思い出を語ったかと思えば、「野外コンサートに過去3回呼ばれたんですが、毎回雨で、観客は関係者10人程度だったこともありました」と苦労話を笑いに変え、会場を和ませた。

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▲ライブを演奏で支えたのは、今は亡き名バンドマスター・岡宏さんの遺志を継ぐ「東京クリアトーンズ」。千花が長年演奏を依頼してきた「岡宏とクリアトーンズ」の魂を受け継いだメンバーたちの心のこもった演奏が、千花の歌声に一層の深みを与えていた。

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▲リハーサルはずいぶん前から準備してきた。ファンの皆さんからのリクエストも参考にどんな歌を歌うかなどを選曲したが、リハーサル期間が長かったので、「ライブ直前のリハでは歌詞がぽんぽん飛んじゃって、もう逃げ出したくなるような気持ちだった。でも、その気持ちに負けないようにこの日の本番を迎えた」と明かした千花有黃。

中盤はカバー曲コーナー。昭和を彩った珠玉のラブソングが次々と披露された。高度成長期にヒットした「骨まで愛して」「女心の唄」「女のため息」のメドレーでは、サックスの音色がノスタルジックなムードを醸し出す。「女のため息」は事務所の清水優社長からのリクエストだったと明かし、社長と同世代のファンへの心配りを見せた。

千花有黃

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さらに、松山千春の「恋」では、再びエレキギターを手に。「中学生の頃、ラジオでこの曲を聴いて、カセットテープに録音して歌詞を書き写して覚えたんです」という甘酸っぱい思い出を語り、青春時代を懐かしむように歌い上げた。他にも「恋人も濡れる街角」(中村雅俊)や、終盤では2階席から登場してファンへの感謝を込めて歌った「for you…」(高橋真梨子)など、時代を超えて愛される名曲の数々で、愛の喜び、悲しみ、そして感謝という様々な形を表現した。

千花有黃

歌手としての活動は30年を超える千花だが、ライブ中盤、「早いもので、千花有黄として再デビューして丸20年になりました」とファンに報告。名前の由来を語る場面もあった。

「この名前は、ビクター時代にお世話になったディレクターの白井伸幸さんがつけてくださったんです」

白井氏が一人で訪れた沖縄の旅先でインスピレーションを受け、「千花有黃という名前が降りてきた」と電話があったという。「時間はかかるが必ず成功する」という願いが込められた名前。当初、後援会からは反対の声も上がったが、「売れたかったらこれでやれ」という白井氏の強い勧めに、千花自身も腹をくくった。「もう20年、あっという間ですね」としみじみと語る彼女の目には、万感の想いがよぎっていた。

千花有黃

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▲ライブには20代の女性もおり、「20代? 平成生まれですか。若いですね。なんかパワーをもらえますね」と笑みをみせる場面も。

このエピソードに続けて披露されたのは、2005年6月に再デビューし、2曲目の作品となった「帰郷」(2007年)だった。この曲は、千花が憧れている歌手・ちあきなおみの名曲「紅い花」を手掛けた松原史明(作詞)・杉本眞人(作曲)という黄金コンビによる作品。20年の重みをかみしめるように歌うその声は、ファンの胸に深く染み渡った。

ライブ終盤にはオリジナル曲から再デビュー10周年記念作品「名前はリラ…」と「レミ」が歌われた。どちらも文学的な作品だ。とくに最新シングルのカップリング「レミ」はひときわ感動を誘った。

「レミというのは母の名前です。歌の主人公は娘の私。母親は2年前に亡くなりました。今はお店を営んでいる私のもとに、ある日、一人の男性が来ました。そして、どうやら私の母の話をしている。あれと思ったら、その人は母が昔付き合っていた男性で、私はその子供だったんです」

男が自分の娘だとは知らずに、母親であるレミの想い出話を語る。普遍的な親子の絆、そして運命の巡り合わせを描いたこの曲を、千花は天国の母に届けるような、祈りにも似た歌声で披露した。

千花有黃

「いろんな人にお世話になって、そして自分が今ここにいるという感謝の歌です」

そう語って本編最後に披露されたのは2009年にリリースした「あなたがいたから」だった。

千花有黃

“歌があったから生きてこれた”と感謝の気持ちを込めた千花のメッセージソング。支え続けてくれたファンへの想いを歌声に乗せると、アンコールでは、「夜明けのチェロ」を再び熱唱。「ぜひカラオケでも歌ってくださいね」とファンに呼びかけた。

千花有黃

この日、千花はうれしい報告も行った。恒例のディナーショーが、今年は12月7日に開催されることが発表されたのだ。再デビュー20年という節目を越え、さらに円熟味と輝きを増す千花有黃。彼女の歌の旅は感謝の心を胸に、これからも続いていく。

 


2024年4月3日発売
千花有黃「夜明けのチェロ/レミ/百花唱」
千花有黃

「夜明けのチェロ」
作詩:朝比奈京仔 作曲/徳久広司 編曲/矢田部正
「レミ」
作詩/朝比奈京仔 作曲/徳久広司 編曲/矢田部正
「百花唱」
作詩/朝比奈京仔 作曲/徳久広司 編曲/矢田部正
日本クラウン CRCN-8652 ¥1,500(税込)

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