三山ひろしの新境地①~初のポップス曲「その名もコノハナサクヤヒメ」にゾクゾク~

コロナ禍にあって歌手活動が制限される中、ここぞとばかりに楽しい話題を提供し続けているのが、三山ひろしだ。昨年は、YouTubeチャンネルでの生配信ライブでギターの弾き語りを初披露したり、東京・亀有でのコンサートでは作詞にも挑戦したり。そんな三山がオリジナルシングルとして、初めてポップスに挑戦したのが、「その名もコノハナサクヤヒメ」だ。2021年の1月には王道演歌の新曲「谺-こだま」もリリースされたが、新境地を切り拓く三山に注目する。

三山ひろしの新境地②~勝負曲「谺-こだま」 全力で、半歩でも前へ~

♪“三山ひろし”じゃなく、“三山ヒロシ”

歌い手を知らずにこの曲を聴いたら、多くの人は三山ひろしの作品だとは気づかないかもしれない。それくらい、過去にない新しい挑戦となったのが、昨年、“三山ヒロシ”としてリリースされた「その名もコノハナサクヤヒメ」だ。

演歌にあらず、三山にとって初のポップス作品。高音を効かせたノリのいい曲調に、思わず背筋が伸びて小踊りしたくなる。「朝、通勤時間などに聴いたら気持ちが元気になり、何か作業する時なら身軽に体が動いて作業効率が上がる。そんな一曲です!」と、三山は笑顔でアピールする。

作曲は、俳優としても知られる「在日ファンク」のボーカル兼リーダーの浜野謙太。3年ほど前に主演で演歌歌手の役を演じた時(NHK・BS連続ドラマ『男の操』)、浜野が参考にしたのが三波春夫と三山だった。三山のデビュー曲「人恋酒場」を何度も聴いたという縁から、楽曲提供話が浮上。それが実現した。

作詞は名曲「君は薔薇より美しい」の門谷憲二で、同曲のように華やかな女性賛歌の曲となっている。タイトルの「コノハナサクヤヒメ」は日本神話に登場し、中でも最も美しいとされた誉れ高き女神だが、その女神を現代版にアレンジ。サビの「花が咲くほど艶(あで)やかに 露と散るほど艶(つや)やかに」の部分が一番の聴きどころだ。

「その名もコノハナサクヤヒメ」にまつわる三山からのメッセージをお届けしよう。

♪聴けば聴くほどテンションが上がる「その名もコノハナサクヤヒメ」

女性が元気なら世の中もっと明るくなるよと、ズバリ女性を応援する歌です。美しい女神をモチーフにした門谷先生の詩に、浜野さんが飛び切り明るく、楽しい曲をつけてくれました。

曲をいただいた当初、率直に感じたのは聴けば聴くほどゾクゾクする曲だなと。何度か聴いていくうちに、自然に気持ちが朗らかになっていくんです。テンションが上がっていくのが感じられ、皆さんにも気持ちを盛り上げたい時に聴いていただけたらうれしいですね。僕自身も思い切り楽しんで歌っています。前奏がなく、ボーカルから始まるというのも初めての試みでした。

レコーディングの時、思ったことがあります。それは、このようなポップスの場合、演歌とは歌い方が全然違うということです。感情でメロディーをつくっていくというよりも、メロディーで感情を表す、逆の発想なんだなと。メロディーやリズムに先に合わせておいて、そこに感情を乗せていく。だから、声もひとつの楽器なんです。楽器の一部としてとらえられ、そして曲がつくられている。演歌とはまた違う奥の深い世界に接し、いろいろ発見がありました。

MVにもご注目! お巡りさん姿がピッタリ!

今回、CDの発売より前に、楽曲のデジタル配信(聴き放題サービスや、ダウンロード販売)が行われたのですが、それも今までにない試みでした。またMV(ミュージックビデオ)もCD発売日前に公開されましたが、撮影は、いや~、おもしろかったです! 演歌ではまずない映像を制作するということで、総合プロデューサーにマッコイ斎藤(演出家兼ディレクター)さん、監督は品川ヒロシ(漫才コンビ、品川庄司の品川祐。作家・映画監督としては品川ヒロシ名義で活動)さんにお願いしました。今まで積み上げてきたものが人のつながりをつくり、その縁で生まれた作品でもありますね。

映像ではなぜか僕が警察官の恰好で登場しています。演歌の枠を超えて新しいものをという観点で見た時、“警察”というのはまさに簡単には踏み入ることのできない枠の中の職業です。その殻を破り、飛び出していく。その意味で警察官を主役にしたと聞きました。

ところが自分で言うのもなんですが、これがまた妙にしっくりしてしまって。自分でも似合ってるじゃないかとびっくりです(笑)。撮影現場の一つとなったのは東京・千住の「ジョイフル三ノ輪商店街」でしたが、本物の警察官と間違われて道を聞かれたり、僕の姿を見て自転車を降りてそそくさと歩いていった人がいたり。そのうち撮影現場に人垣ができて、思わず交通整理もしちゃいましたね。そうこうしているうちに、本物の警察の方が来てびっくりしちゃいましたが。

MVの後半は屋形船の上での撮影で、墨田川沿いを歩く人たちが「何だろう、賑やかにやってるな」と不思議そうに見ていました。いずれの場面もたくさんの女性に囲まれ、楽しい振りで一緒にダンスをしています。振り付けは恵比寿マスカッツの松本ゆんさんで、それほど難しい振りではないので皆さんにも楽しんでいただけそうです。商店街バージョンより屋形船バージョンの方があとに撮影したせいか、ダンスもキレキレ。もっとアップで撮ってほしかったのに、意外に引きのカットが多いのが残念だったかな(笑)。

♪カップリングは「きみにハレルヤ!」

こちらも女性が主役のポップスです。「あなたに見つけてもらったから今の自分がいる」という、感謝の思いを歌にしています。作家陣は「その名もコノハナサクヤヒメ」と同じ。明るい曲調で歌詞がとても新鮮ですが、実は当初のA面予定はこの曲だったんです。でも、レコーディング後に変更。僕はどちらも若々しさを感じて好きですが、聴いてくださる皆さんはどうでしょうか。

この2曲を収録したCDジャケットは、ピンクを基調にしたこれまた過去にない雰囲気のものになっています。穴あきのソファーに座る僕、髪形もいつもとは変えています。40歳に見えないって? いやいや、できればいつまでも若々しくいたいですからね! こちらの撮影もとても楽しかったです。

「その名もコノハナサクヤヒメ」では、ポップスへの初挑戦ということで芸名を「三山ヒロシ」とし、歌唱します。新境地を拓いた曲です。ぜひ聴いてください。

文=藤井利香


2020年12月2日発売
三山ひろしがポップスに挑戦!
三山ヒロシ「その名もコノハナサクヤヒメ」

「その名もコノハナサクヤヒメ」
作詞/門谷憲二 作曲/浜野謙太 編曲/村上 基
C/W「きみにハレルヤ!」
作詞/門谷憲二 作曲/浜野謙太 編曲/村上 基
日本クラウン CRCN-8372 ¥1,227+税

三山ひろし公式チャンネルで公開されている品川監督とのトーク映像

 


2021年1月27日発売

DVD「三山ひろし物語~こころの師匠と共に」
三山ひろしが歩いてきた道と師匠・中村典正との思い出を歌と語りでたどる映像作品。

<収録曲>1.いごっそ魂 2.男の路地裏 3.祝いしぐれ 4.仁義 5 終着駅は始発駅 6.男の港 7.こころ酒 8.むらさき雨情 9.人恋酒場 10.お岩木山 11.祝い船 12.男の燈台 13.浮草慕情 14.花街一代 15.これから峠 16.父・娘(おやこ) 17.祝い船 18.望郷山河 19.北のおんな町
日本クラウン CRBN-95 ¥4,364+税


Profile
三山ひろし
(みやま・ひろし)
1980年9月17日、高知県生まれ。本名は恒石正彰。作曲家・中村典正氏のもとで修業し、2009年、「人恋酒場」でデビュー。音楽情報番組「あさうたワイド」(BS日テレ。毎週木曜日 午前5時~5時29分)では師匠・松前ひろ子とともに司会を務める。2020年12月2日に初めてのポップス曲「その名もコノハナサクヤヒメ/きみにハレルヤ!」を、”三山ヒロシ”名義でリリース。2021年1月13日に新曲「谺-こだま」を発売。谺(こだま)をモチーフに望郷の想いを歌う。また2020年大みそかの『NHK紅白歌合戦』には6回目の出場を果たし、企画としてギネス世界記録「連続してけん玉をキャッチした人の最も長い列」に挑戦。125人を達成し、2年越しの記録更新を果たした。

三山ひろし公式ホームページ
三山ひろしオフィシャルブログ
YouTube公式ミイガンチャンネル
YouTube三山ひろし公式チャンネル

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