花*花、デビュー20周年記念日にクラシックの殿堂からオンラインライブ
メジャーデビューから20年目を迎えた花*花(おのまきこ、こじまいづみ)が、デビュー記念日である7月26日、無観客ライブ配信「花*花 20th Anniversary ニカケルニジュウ Special Online Live」を行った。
花*花は、「あ〜よかった」「さよなら 大好きな人」など33曲を収録した20周年記念ベストアルバム「2×20(ニカケルニジュウ)」をコロナ禍の真っ最中の5月27日にリリースした。しかし、アニバーサリーイヤーでありながら、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、予定されていた20周年記念ライブやインストアライブ、全国ツアーは中止や延期を余儀なくされた。
それでも、この20年間の感謝の気持ちをファンに届けたいという思いが強く、無観客ライブ配信「花*花 20th Anniversary ニカケルニジュウ Special Online Live」の開催を決めた。
会場はクラシックの殿堂、ザ・シンフォニーホール(大阪市北区)。日本初のクラシック音楽専用ホールとして1982年に建設された由緒あるホールのパイプオルガンを背負った広いステージに、グランドピアノ2台が向かい合ってセッティングされた。
エレガントなベージュのレース柄のワンピース姿で、ステージ袖から静かに登場した2人が深々とお辞儀するところからステージは始まった。ファンからのリクエストも多かった2001年のアルバム収録曲「スープ」、そしてインディーズ時代の名曲「雨の雫」でスタート。続く2001年のヒット曲「やっぱり!」では、演奏もテンポアップして、2人の表情にもリラックス感が出てきた。
「見えてんの? これ大丈夫? 今、このでかいシンフォニーホールで2人の声だけ響いてますが、私の耳には盛大な拍手が聴こえてきました」
「なかなかこうやってピアノ2つ分のディスタンスをとって、2人向かい合って演奏することはないですね」
挨拶がわりのMCに続いて披露したのは、デビュー前に、『NHKみんなのうた』にも採用された「赤い自転車」。少しジャジーなアレンジで、梅雨空の合間の晴れた空のような、ほっこりした空気をお茶の間に届けた。
続いての曲は「ゴール」と「小さい箱」。「ゴール」は共に過ごしてきた相方やファンに向けてのメッセージを込めて、アルバム「2×20」のために、おのが書き下ろしたバラード。「小さい箱」は「ファンの皆さんのために作ってきたように気がしてたんですが、一番それで救われてたのは自分かもしれないです」と語るこじまによる曲で、どちらも新曲だ。
劇団山本屋の舞台『午前5時47分の時計台』のために書き下ろした「まだ愛してる」では、こじまが「まきちゃんと出会った頃、あの阪神淡路の震災があって、瓦礫の中をリュック背負って音楽専門学校に通ってました」と紹介。「そこからいろいろなことがあって、今日ここシンフォーニーホールで歌ってるなんて想像もしてませんでした。今年もいろいろな出来事があって、明日明後日、10年後20年後、これからも何があるかわかりませんが、みんなの幸せを祈る気持ちを込めて歌います」。
約15分の換気休憩として「涙のチカラ」「童神」「乾杯のうた」のミュージックビデオを挟んで、2部は、2000年のアルバム「2 souls」に収録された2人のハーモニーが印象的な「奇跡の裏側」でスタート。「スニーカー履いてシンフォニーホールで歌っていいんでしたっけ?」とお色直しした衣装は1部よりカジュアルなシャツ姿に。ちょっとフォーマルな雰囲気の1部よリも、リラックスした雰囲気で演奏を聴かせた。
そして、スペシャルゲストのバイオリニスト・NAOTOをステージに迎え、2003年のアルバム「コモリウタ」収録の「風の花」、そして2000年発表の代表曲「さよなら大好きな人」、活動再開後に制作された「こがね菜の花」「キャンディ」の4曲を披露。2人のハーモニーにNAOTOのバイオリンの優雅で艶やかな音色が縦横無尽に絡んで、ステージに彩を添えた。
ピアノ椅子から立ち上がってハンドマイクに切り替えたこじまが、「20年前の今日、発売したデビュー曲です。みんながいい時、楽しい時に流れた曲だと思いますが、私たちがしんどい時にも寄り添ってくれた曲です。20年まきちゃんと続けてこれて・・・あ〜よかった! カモン、お茶の間!」と感極まって言葉をつまらせながらも、「あ〜よかった」を歌った。
続いて「ただただ1秒でも長く愛していたい 長く歌っていたい」と、限りある命の時間の中で自身が歌い続ける理由を歌ったゴスペルのような「for a music」をパワフルに演奏した。
「こんな時期だからこそ歌う意味があるんだなって思います。ジーンとするのかなと思ったら、ただただ楽しいです。20年やってみるもんやね。縁もたけなわではございますが、お手元にグラスはおおそろいでしょうか。では、カンパ〜イ!」と、新曲「乾杯のうた」で全15曲のステージを締めくくった。
手を振りながら笑顔でステージを後にする2人のホッとした笑い声が、クラッシックの殿堂に無邪気に響いていた。
もともと2人がピアノを弾き、2人が歌うという演奏形態でスタートしている花*花。ユニットとしての原型と言えるシンプルな形で、丸裸の花*花の音を聴くことができるライブ。無観客のホールからの2人の乾杯の発声が、全国のお茶の間に拡がった。
<公演情報>
2020年7月26日(日)
「花*花 20th Anniversary ニカケルニジュウ」
Special Online Live(at 大阪 ザ・シンフォニーホール )
スペシャルゲスト:NAOTO(バイオリニスト)
■セットリスト
<第1部>
M1 スープ
M2 雨の雫
M3 やっぱり!
M4 赤い自転車
M5 ゴール
M6 小さい箱
M7 まだ愛してる
<第2部>
M8 奇跡の裏側
M9 風の花(w/NAOTO)
M10 さよなら 大好きな人(w/NAOTO)
M11 こがね菜の花(w/NAOTO)
M12 キャンディ(w/NAOTO)
M13 あ〜よかった
M14 for a music
M15 乾杯のうた
2020年5月27日発売
「2×20」【初回仕様盤】
2CDデジパック仕様。2000年7月のメジャーデビューから20年目のアニバーサリーイヤー。
「あ~よかった」「さよなら大好きな人」などの永遠の名曲を始めとして、2人の20年間をまるっとまとめたベストに加え、今の花*花の最新曲も含めた目出度い作品がここに。全33曲収録。
Profile
花*花(はなはな)
メンバーはおのまきこ、こじまいづみ。2人とも兵庫県高砂市生まれ。ともにボーカルとキーボードを担当。2000年7月、ワーナーミュージックジャパンより「あ~よかった-setagaya mix-」でメジャーデビュー。同年末、「第51回NHK紅白歌合戦」に異例のスピードで出場を果たす。その後、「さよなら大好きな人」などシングル7枚、アルバム7枚をリリース。2003年、活動を休止するも、2009年3月、花*花誕生10周年を機に再始動を発表。大阪・神戸・東京にて10周年記念ツアーを開催。その後もアルバムを2枚リリースし全国各地でライブを行う。2015年8月7日(はなの日)、デビュー15周年を記念して原点回帰をコンセプトにしたアルバム「アンダーウェア」をリリース。同年12月に神戸朝日ホールにて15周年記念ツアーファイナルを開催した。現在も楽曲制作はもちろん、全国各地での精力的なライブや、舞台音楽制作など幅広い活動を行っている。
▼花*花の大ヒット曲「さよなら 大好きな人」