秋山涼子は走り続ける~熱き歌への思いを抱いて~

秋山涼子が11月18日、新曲「終着…雪の根室線」を発売する。秋山の心に浮かんだ曲の構想を、作詞家の円 香乃氏にすべて伝えて歌詞を書いてもらったというドラマチック演歌の自信作。
トレードマークの「涼子号」のラッピングも新曲のジャケット写真にリニューアルして、「歌は天職、やれるところまでやってみたい」と語る秋山に、歌に対する飽くことのない熱い思いを聞いた。

 

新曲「終着…雪の根室線」を引っさげて、“涼子号”は日本全国津々浦々へ

 

取材当時は、前作「海峡なみだ雪」の秋山さんが輝く「涼子号」!

どこの駐車場に停まっていても、ひときわ目を引く秋山涼子のキャンペーンカー。CDのジャケット写真でラッピングを施した「涼子号」で、秋山は全国を駆けずり回っている。取材の当日も、佐賀、熊本、大分、下関を回った長距離ドライブから、夜中の2時に帰宅したばかり。それなのに、意外なことに運転はまだ初心者だというのだから驚かされる。

「運転免許は18歳の時に取得しましたが、『あぶないから乗らないほうがいいよ』って、みんなに言われていたんです。いままでは事務所の社長でもある松井(義久)先生が運転してくれて、私は助手席で寝ているか歌っているか食べているかだったんですけど、先生ももうお年ですからね」

外出自粛を余儀なくされている時期に、ふと思い立って、おそるおそる家の周りを車で走ってみた。少しずつ乗る距離を延ばして、9月に岐阜で行われたテレビ収録に涼子号で行ってみたのが初の長距離ドライブ。今回が2度目の遠出で、1,140km以上もある佐賀県まで行くのは無謀ではないかと迷ったが、先輩歌手に「これは宣伝になるし、九州まで行けたらすごいよね」と言われたので、思い切って行ってみた。まだまだ車線変更にはドキドキするし、身体中に力が入ってしまうのだという。

「でもね、パーキングエリアで車を見ただけで『CD持ってるの?』って声をかけていただくこともあって、ありがたいですよ。ふだんは着物も着ていないし、誰にも歌手だとわからないじゃないですか。ラッピングカーに乗っているおかげで、出会いがたくさんありますね」(秋山)

11月18日発売の新曲「終着…雪の根室線」は、大好評だった前作「海峡なみだ雪」に続いて、円 香乃氏が作詞を担当している。切ない女心のひだに触れるこの二つの曲は、秋山と円氏の出会いから生まれた作品だ。

「ずっとタイトルに『海峡…』とつく歌を歌ってみたいと思っていたのに、なかなかその機会に恵まれなくて。だったら自分で頼んじゃおうと思って、会社を通さず思い切って円先生に直接電話をかけたんです(笑)。『海峡ものを歌いたいんです』ってお願いしたら、『私で良かったらぜひ書かせていただきます』と言っていただけて夢がかなった一曲が前作の『海峡なみだ雪』なんです」

こうしてできた「海峡なみだ雪」は、道ならぬ恋の終わりを自分で決めた女性が、船で短い旅をした後に雪の小樽で恋人と別れるという作品。秋山がストーリーの細部まで、円氏に伝えてでき上がった曲だった。

今作をつくるにあたっては、前作を知っている人も知らない人も聴きたくなるような続編にしたいと考えた。北海道で恋人と別れてひとりになった主人公が、「それじゃあ、どこへ向かおうか」ということろから円氏と話し合った。

「実在する映画からインスパイアされて、男性が酔うといつも話してくれたという北の駅“幾寅(いくとら)”をイメージしました。途中に出てくる“野花南(のかなん)”という駅名も、すごく気に入っています」

これまで新曲は、レコード会社と事務所と秋山でどんな曲にしようか話し合った上で、作詞は誰に依頼しようかを決めていた。事務所を通して作詞家の先生に「こんな感じで作ってください」と希望を伝えるところ、秋山は直接電話をかけて会いに行った。自分のアイデアを伝えて、曲作りに関わることができたこの2曲を「心から幸せだと思う」と話す。

「もうイメージどおり、イメージ以上にステキにでき上がったという感動が大きくて。最初は、自分から飛び込んでいくなんて畏れ多いことだと思っていましたけど、やって良かったです。やっぱり思ったことは、どんなことでも行動してみた方がいいんだなと、あらためて思いましたね」

 


2020年11月18日発売
秋山涼子「終着…雪の根室線」

「終着…雪の根室線」  
作詞/円 香乃 作曲/松井義久 編曲/伊戸のりお  
「ホンキなの」  
作詞/円 香乃 作曲/松井義久 編曲/伊戸のりお  
「伊勢路ひとり」  
作詞/ゆうきよう 作曲/松井義久 編曲/伊戸のりお  
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