まだまだ終わらない木原たけしの「俺の人生」

出身地でもある岩手県に在住、みちのく演歌の先駆け的な存在として活躍し、今年歌手生活48年目を迎えた大ベテランの木原たけし。昨年リリースした「あぁ人生峠」に続き、新曲「俺の人生」も木原流のいぶし銀の魅力が光るスケールたっぷりの人生演歌で勝負する。

 

終わらない終われない 俺の人生
(「俺の人生」歌詞より)

 ――今年に入ってからのコロナ禍で日常がガラッと変わりました。木原さんは岩手県にお住まいですが、地元の状況はいかがでしたか? どのような毎日を送られていましたか?

木原 私は岩手でお昼からカラオケの歌えるお店を営業していまして、自粛期間中はほとんど家とお店の往復でした。お客様と従業員の間のカウンターには、飛沫が飛ばないようにビニールを下げたり、マイクは1曲歌うごとに消毒をしたり。感染防止対策をしっかり徹底して行って、皆さんに少しでも安心して楽しんでいただけるよう努めていました。

――木原さんご自身がコロナ禍で新たに挑戦されたことなどはありますか?

木原 そうですね。初めて挑戦したことと言えば、YouTubeで配信されている「いわてエンタメチャンネル」という番組で、司会を担当しました。もちろん歌も披露させていただいています。3回目までの収録は終わっているのですが、さて、いつまで続くのでしょうかね……(笑)。

――司会と歌の両方を担当されるのは大変ですね。ちなみに、歌うことがままならない自粛期間中に、歌へのモチベーションを保つためにされていたことなどはありますか?

木原 私はカラオケ教室も開いておりまして、生徒の皆さんにレッスンする傍ら一緒に歌ってみたり、レッスンが終わってからひとりで発声練習などをしたりと、のどの調子を整えることはしていましたね。

――カラオケボックスにも行けない日々でしたからご自分のお店でというのはうらやましいです。今回の新曲「俺の人生」は、移動もままならない状況で行われた制作活動だったと思うのですが、どのような作品でしょうか?

木原 どんな人でも、人生の中でいろんなことがあるだろうと思います。私もまだまだこのまま終われない。がんばらないと、と奮い立たされる力がある作品ですね。私と同世代の団塊世代の皆さんや、団塊前後の方々にも勇気を与えることができる曲ではないでしょうか。

――とくに、この作品の中で聴いてくださる人たちに伝えたいと思われるところはありますか?

木原 歌詞の中にね、“終わらない 終われない 俺の人生”という言葉があるんです。日本中、世界中が新型コロナウイルスによって苦しめられている状況が続いていますが、負けられない、負けるもんか、そんな強い気持ちを持って歌っています。

  

歌手生活48年。「まだまだ頑張ります」

――昨年リリースされた「ああ人生峠」も骨太な人生演歌でした。前回のお話をうかがったときには、「ああ人生峠」はまさに「人生の応援歌であり、我が人生を歌う曲」だとおっしゃられていました。

木原 そうですね。今回も人生演歌ですが、前作と同じくこの曲を聴いていただいて少しでも皆さんの応援ができて元気になっていただけたらという思いです。

――レコーディングはいかがでしたか。先生方からはその際に何かお話があったりしましたか?

木原 とても雰囲気が良いレコーディングでしたが、私は冷房が苦手で……。何度も外に出てコンディションを整えて、休み休みしながらの吹き込みでした(笑)。先生方からは、ゆっくり目のテンポですので、両足を肩幅くらいに開いて、歌い出しの“渡る世間の……”をおなかから大きく歌って、あとは自分の人生を振り返りながら歌ってみるようにアドバイスをいただきました。皆さんもカラオケで歌っていただく際には、そのような感じで、ご自身の人生を振り返りながら歌ってみてください。

――今年、歌手生活48年目を迎えられました。この間にはおよそ8年間、歌手を休業されるなどさまざまな出来事があったと思います。この48年間を振り返られて、一番思い出に残っていること、今思うことなどがありましたらお聞かせください。

木原 そうですね。本当にいろいろなことがありましたね。よく覚えていることは、昔、二葉百合子さん一行の仕事で長くお世話になったことがありました。冬の朝、東京駅のホームで振り返りそのままあいさつをしたのですが、片手は衣装ケースを持って、もう片方はポケットに入れたままだったのです。一緒にいた方にポケットの手を指摘されて、とても反省しました。それからは必ず膝元に手を置くようにしています。

――まもなく大きな節目、歌手生活50周年も目前ですね。今後の歌手活動において、挑戦したいことや抱負、意気込みなどがありましたら教えてください。

木原 これから挑戦してみたいことは、三味線を習ってステージで弾くことですね。この「俺の人生」は聴いたら頭から離れいないようなメロディーですし、誰でも歌いやすいキーの曲になっています。今世の中は新型コロナウイルスで大変ですが、私も負けないで乗り越えたい。頑張ります。応援よろしくお願いいたします。

 


2020年10月21日発売
スケールたっぷりに我が人生を歌う
木原たけし「俺の人生」

「俺の人生」  
作詞/麻 こよみ 作曲/宮下健治 編曲/伊戸のりお  
c/w「夫婦(めおと)坂道」  
作詞/麻 こよみ 作曲/宮下健治 編曲/伊戸のりお  
テイチクエンタテインメント TECA-20057 ¥1,227+税

岩手県在住、東北を中心に活動する木原たけしがいぶし銀の味わいでスケールたっぷりに歌い上げる男の人生演歌「俺の人生」。カップリング曲 「夫婦(めおと)坂道」は、長年連れ添った連れ合いと二人三脚で歩んできた男の夫婦演歌。「作詞の麻 こよみ先生の歌詞はわかりやすく、誰でも経験していることが物語になっている感じです。多くの方に重なる部分がたくさんあると思います。男性女性問わず、歌い出しの詞の風景を考えてそれぞれのご夫婦、二人の始まりを思い出して歌ってみてください」(木原)

 


Profile
木原たけし(きはら・たけし)
岩手県奥州市生まれ。作曲家の村沢良介氏に師事。1973年「燃える女」で歌手デビュー。途中8年間のブランクはあるが、1989年に「宴/婿殿よ」を発売し、再び歌手活動を再開。1997年にテイチクエンタテインメントに移籍し、「津軽じょんがら…雪の宿」をリリース。以降、東北、北海道など北国が舞台の楽曲を多く歌い、みちのく演歌のリーダーとして東北を中心に活動中。

 

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