パク・ジュニョンが新しい時代へ。初のハイブリッドコンサートで愛を届ける

パク・ジュニョンが11月3日、東京・日本橋の日本橋三井ホールで初のハイブリッドコンサートを行い、ありったけの愛をファンに届けた。

ハイブリッドコンサートとは有観客コンサートと、配信コンサートを組み合わせたもの。会場に足を運んだファンと、会場へ来られないファンが全国から見守る中、新曲「海に語りて」(Aタイプ)のカップリング曲「夕霧挽歌」からコンサートは幕を開けた。

ジュニョンにとって、観客の前に立っての単独コンサートは今年1月に沖縄で行ったツアーファイナルのコンサート以来となり、この日を前に「眠れない夜を過ごしてきた」という。

「『パク・ジュニョン ハイブリッドコンサート~新しい時代(とき)~』へようこそ。このコンサートをとってもとっても楽しみにしていました。急きょ決まったと言いますか、1カ月ちょっと前にこのコンサートが決まったんですが、皆さんに会えるかと思うと、毎日毎日、眠れない状態が続いていました。寝不足です(苦笑)。ハイブリッドと聞いた時は、車かなと思いましたが(笑)、こうしてコンサートをやらせていただけてうれしいです。(会場に)来られなかった方とは画面越しになりますが、これまで会えなかった分、今日は皆さんとひとつになって楽しみたいと思います」

「たくさんの方の協力をいただいてコンサートが開催できました」とジュニョン。一曲一曲を大切に歌っていく。

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ファンは掛け声を掛けられないが、拍手やペンライトで声援を送った。

第1部ではカップリング曲から「夕霧挽歌」《(「海に語りて」(Aタイプ)c/w)、「愛は腕の中」《「ブリキの玩具(おもちゃ)」(Cタイプ)のc/w》、「海鳴り」《永遠(とわ)にサランヘヨ」(Aタイプ)のc/w》、「追憶のブルース」《「羽田発」(Bタイプ)のc/w》を披露した。

コンサートは3部構成となり、まずはファンをおもてなししたいと、執事をイメージした衣装でオリジナル曲を歌うジュニョン。「ライブでもほとんど歌ったことがない」というカップリング曲「愛は腕の中」「海鳴り」「追憶のブルース」を中心に力強く歌唱した。

もちろん、代表曲「河口湖」も外せない。毎夏、ジュニョンは山梨県の河口湖で同曲を歌っており、配信を観ているファンからは「河口湖に行きたい。前のように(コロナ禍以前のように)河口湖に行って、美味しいものを食べて、素晴らしい景色を見て、ジュニーの歌を聴きたい」というメッセージがコメント欄に届いていた。ジュニョンも「河口湖」を歌唱する前に「皆さんと一緒に河口湖へ行きましょう」と訴えていたが、一日も早いコロナ禍の収束を願うばかりである。

第2部は研ナオコが1978年に歌ってヒットさせた「かもめはかもめ」のカバーで登場し、韓国ドラマの主題歌.挿入歌をカバーした最新アルバム「LOVE Ⅱ~愛の不時着~」から「偶然のような運命」(『愛の不時着』より)と「Beautiful」(『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』より)を歌う。「かもめはかもめ」は2015年のセカンドアルバム「愛の法則 ~名曲カバー・コレクション~」でも歌っているが、ピアノの伴奏だけで歌うことに挑戦し、オリジナル曲のような世界観で観客に届けた。

ジュニョンは最新アルバム「LOVE Ⅱ~愛の不時着~」の中から「偶然のような運命」と「Beautiful」の2曲を歌い上げる。

第2部では「かもめはかもめ」をピアノ演奏で歌い、アルバム収録曲もアコースティック・バージョンで披露した。

ジュニョンにとっての、ジュニョンのファンにとっての“新しい時代(とき)”とは何だろうか? このコンサートはライブ配信されており、故郷・韓国では、いつも帰省するとテーブルいっぱいに御馳走を作ってくれる母も観ていた。

コロナ禍により、ファンとは握手もハグもできなくなった。それでもようやく、バンド演奏によるコンサート開催にこぎつけ、ハイブリッドコンサートという新しい形式により、日本中の、いや、世界中のファンとつながれた。

また、ジュニョンはコンサート中、3度もバンドメンバーを紹介していた。演奏家にとっても観客の前で音を奏でられることは大切だった。

「新しい時代(とき)にパク・ジュニョンはどう臨んでいくのか? ちょっと僕の中でも悩んでいます」と吐露していたが、ジュニョンは歌手として音楽に携わる責任感を感じていたのではないか。“新しい時代”とは、“パク・ジュニョンが新しい時代を作るんだ”という気概にも思える。

黒のジャケットとパンツ姿で登場したジュニョンは、激しい歌とダンスでファンを引っ張っていく。

この日のコンサートは昼の部と夜の部の2回公演となっていた。黒のジャケットに身を包んで登場したジュニョンは、“ロックなジュニー”で第3部を盛り上げていく。

「昼も夜も真夜中も皆さんに会いたい。今日は2回ステージで、昼の部、夜の部と。真夜中はどうしようかな」

「昼も夜も真夜中も」「離さない」の2曲を激しく歌うと、2013年、デビュー2年目のセカンドシングル「チャラ」で、さらに会場を沸かす。「昼も夜も真夜中も」は新曲「海に語りて」のBタイプに収録されたカップリング曲で、「離さない」は2014年のファーストアルバム「嘆きの雨~パク・ジュニョン~」に初収録された曲だ。

「声援ができない、声を出せないという中で、どうやって(コンサートを)盛り上げるか、考えていました」とジュニョン。しかし、言葉はいらなかった。コンサートを楽しんでくれているファンの目があり、曲に合わせて体を動かし、ペンライトを振ってくれるファンがそこにいる。それだけで十分だった。

「伝わってきました。感じます」。ジュニョンの言葉も短かった。

エンディング曲は新曲「海に語りて」。リアルイベントが叶わなかった8カ月分の思いを込めて歌う。

自宅の風呂で久しぶりに湯舟に浸かった顛末記や、寿司を握れるようになった話、ペットとして飼っている2匹のカクレクマノミの“クマ”と“ノミ”の話など楽しい話題で、ファンと打ち解けていく。雌雄同体魚であるカクレクマノミは、ジュニョンの元へやって来た時から体長が2~3倍に成長したが、雄の“クマ”が雌に性転換してしまったという。雌のペットに“クマ”という名前。今後は「クマくんじゃなく、クマちゃんと呼びます」と笑わせていた。

いよいよコンサートは終盤に向かっていく。「僕の大好きな曲です」と、オリコン演歌・歌謡曲チャート初登場2位を記録した「嘆きの雨」(2013年)をしっとりと歌うと、「皆さんに感謝したい。この愛が届くように」と、「涙の流星」(2017年)を熱唱する。

時間が過ぎるのは速く、あっという間にエンディング曲「海に語りて」を歌う時間となる。ここまで12曲を歌い、コンサートは1時間半をゆうに超えていた。

「海に語りて」は今年2月にリリースしたが、コロナ禍により、ファンに直接、生歌を届けられなくなってしまった曲。叶うことのない思いを鈍色(にびいろ)の海に嘆く主人公の心境を歌っている。ジュニョン自身、やるせない思いにつぶされそうになると、海の代わりに、新幹線での移動中、富士山に向かって心の中で叫ぶこともあったという。

「キャンペーンができなかったので、8カ月分の(思いを込めて)『海に語りて』をお届けします」

明日(あす)も見えない 心にいつか
朝陽が昇るのならば…
叫ぶように 響く鼓動
わかっておくれよ 海よ
(3番歌詞より)

「海よ~~~~」と、すべての息を吐き出し、歌い上げたジュニョンは感謝の言葉を2度繰り返してステージを降りる。

「ありがとうございました。ありがとうございました」

ジュニョンはアンコールに応え、韓国のヒット曲「無条件」(ムジョッコン)を歌うと、「また笑顔でお会いしたい」と訴えた。

アンコールではファン全員が総立ちとなり、全身でジュニョンに声援を送った。

8カ月ぶりに再会したジュニョンとファン。そう簡単には終われない。すぐさまアンコールを要求する拍手が会場に響き渡ると、ラフなシャツ姿でステージに現れたジュニョンは母国・韓国でパク・サンチョルが歌ってヒットさせた「無条件」(ムジョッコン)をノリノリで歌う。

ジュニョンの呼びかけで、ファンはオールスタンディングとなり、おそらく配信を観ていたファンも“無条件”に立ち上がり、一緒に歌っていただろう。

「ありがとうございました。ありがとうございました」

歌い終えると、また感謝の言葉を2度繰り返し、コンサートを支えてくれたバンドのメンバーにも感謝した。

アルバム「LOVE Ⅱ」から「偶然のような運命」がスピーカーから流れる中、ジュニョンは「寒くなってきました。また元気な姿で、笑顔でお会いしたいです」と訴える。そういえば、ジュニョンはコンサートの中でこんなことを言っていた。

「韓国では偶然が3度繰り返されると、それは運命になります。皆さんとは運命でつながっています」

コロナ禍により、会えなくなってしまったファンとの再会を果たしたジュニョンは、その夜、自身のブログにこう記した。

「『新しい時代』に突入して、僕はどう進んでいくべきか。変えるべきこと、変えずにどうにか守っていきたいこと・・・変化に対応しながらも、いかに皆さんと繋がれるかを軸として色んなことを考えてきた数ヶ月、これはこの先も更に掘り下げていきたいと思っているのですが・・・そのひとつの形として、叶えられたのが今日のコンサートでした」(パク・ジュニョン公式ブログより)

コンサート終了後、ファンを見送るジュニョン。アクリル板越しではあったが、一人ひとりに感謝の笑顔を届けた。

INFORMATION

まだ間に合う!!
アーカイブ配信
2020年11月8日(日)23:59まで視聴可能
「パク・ジュニョン ハイブリッドコンサート 新しい時代(とき)」

https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2065805

コンサートの模様は11月8日まで視聴することができる。詳細はチケットぴあのチケット情報で確認してください。

 

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2020年10月7日発売
パク・ジュニョンによる
韓国ドラマ主題歌・挿入歌カバーアルバム
「LOVE Ⅱ~愛の不時着~」

キングレコード KICX-1119 ¥2,727+税

収録曲
1偶然のような運命(『愛の不時着より』)
2.Flower(『愛の不時着より』)
3.Beautiful(『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』)
4.桜恋歌(『100日の朗君様』より)
5.愛そう(『太陽の末裔』より)
6.偶然のような運命(カラオケ)
7.Flower(カラオケ)
8.Beautiful(カラオケ)
9.桜恋歌(カラオケ)
10.愛そう(カラオケ)
-ボーナストラック-
11.雪の華(『ごめん、愛してる』より)
12.烙印(『チュノ~推奴~』より)
13.逢いたい~ポゴシプタ~(『天国の階段』より)

※ボーナストラックは2019年にリリースされた「LOVE ~韓国ドラマを歌う~」に収録された3曲

2020年2月26日発売
パク・ジュニョン「海に語りて」

【Aタイプ】
「海に語りて」
作詞/伊藤美和 作曲/HANZO 編曲/蔦将包
c/w「夕霧挽歌」
作詞/鈴木紀代 作曲/HANZO 編曲/川村栄二
キングレコード KICM-30965 ¥1,273+税

 

【Bタイプ】
「海に語りて」
作詞/伊藤美和 作曲/HANZO 編曲/蔦将包
c/w「昼も夜も真夜中も」
作詞/紙中礼子 作曲/HANZO 編曲/杉山ユカリ
キングレコード KICM-30966 ¥1,273+税

パク・ジュニョン10枚目となるシングル。2タイプ同時発売。3曲とも、カラオケユーザーを中心に人気のシンガーソングライター、HANZOが作曲を手がけた。カップリングの「夕霧挽歌」は北海道を舞台にした切ない恋の歌。「昼も夜も真夜中も」はノリのいいリズムに乗って、愛を告白する。

 

 

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