特集「羽山みずき」(3)思い出の曲たち
羽山みずきの音楽事情
半生を振り返りながら選んだ「思い出の10曲」
つねに音楽とともに生きてきた。羽山みずきが節目節目で出合ってきた思い出の曲たち。
1
童謡「チューリップ」
1歳のある日、突然、「♪さいた さいた」と歌い始めたそうです。もちろん、覚えてないですが(笑)、赤ちゃんが初めて話す言葉は、「お母さん」とかですよね。母の母子手帳に「チューリップを口ずさんだ」と書いてあるんです。赤ちゃんにしては、音程はちゃんとしていて、正確に歌っていたそうです。でも、親は将来歌手になるなんて全然思っていなくて、内気な子どもだったので度胸をつけさせたいという思いで、人前で歌わせる機会をつくってくれていました。
2
「悲しき口笛」(1949年)
美空ひばり
私の田舎では近所の人が、皆さん歌が大好きなんです。小さな子どもが歌うのを喜んで聴いてくれました。近所の人が回覧板を持って来た時に、私はパジャマを着たままで出ていって、玄関の段差をステージにして、美空ひばりさんの「悲しき口笛」や「越後獅子の唄」などを口ずさんでいた記憶があります。
3
「ふたり酒」(1980年)
川中美幸
4歳の時、初めてステージで歌った曲が「ふたり酒」。舞台は近所の敬老会です。皆さん喜んでくださって、私もすごくうれしかった。この歌を聴くと今でも当時のことが思い出されて、胸がキューンとなります。小さい頃は本当によく歌っていたのですが、キーが高くて、大人になるにつれて歌わなくなってきました。残念ですが、今は聴くだけになっていましたね。
4
「ミニモニ。ジャンケンぴょん!」(2001年)
ミニモニ。
自分で最初に買った音楽CDです。小学3年生でしたが、当時はミニモニ。がすごく流行っていて、私もカワイくて大好きでした。演歌に関しては、お母さんのオススメ曲を聴く感じでした。松原のぶえさんの「蛍」や「女の出船」、原田悠里さんの「津軽の花」、三船和子さんの「だんな様」などはCDを買ってもらいました。CDにはカラオケが収録されていたので、それで練習して大会に出場するというのが当時の流れでした。
5
「旅路の女」(2004年)
永井裕子
高校の時は部活動で弓道をしながら、県の歌謡連盟に入り、いろいろなカラオケ大会に出場していました。部活がない時には、学校が終わるとセーラー服のまま、夏祭りのカラオケ大会に出場したこともありましたね。その頃も歌手になろうとは思ってもいませんでした。歌の世界は半端な気持ちではできないし、私のレベルでは無理だと思っていました。当時は森山愛子さんの「東京挽歌」、永井裕子さんの「旅路の女」、水森かおりさん「庄内平野 風の中」、香西かおりさんの「雨酒場」などをよく歌っていました。
6
「東京挽歌」(2009年)
森山愛子
私の人生を変えた、2015年の日本クラウン・新人オーディションでグランプリを獲得した思い出の曲です。中学の頃から作曲家の聖川(湧)先生と知り合いで、「こういうオーディションがあるので、ちょっとステージで歌ってみたら?」と声をかけていただきました。じゃあ人生経験のために行ってみようと。でも、東京で歌うのは最初で最後だなという気持ちでした。オーディション当日はあまりに緊張して、どうやってステージに出て、歌ったのかをまったく覚えていません。会場に入ると、私は決勝出場者26人の中の23番目。他の応募者の歌を聴きながら待っていると、みんなうまくて、「ここは私が来る場所じゃない!」と感じました。今までの人生でいちばん緊張した瞬間かもしれないですね。デビューして、最初の収録も緊張しましたが、記憶がないということはないですから(笑)。
7
「365日の紙飛行機」(2015年)
AKB48
落ち込んだ時によく聴きます。新人オーディションに合格し、巫女をしていた神社をやめる時に地元で送別会を開いてもらいました。その時に、最後だから前向きで明るい曲をみんなで歌おうということになって、前に出されて、この曲を歌いました。するとサプライズで私に向かって紙飛行機が飛んできました。それを開いたら、ひとりひとりからメッセージが書かれてあったんです。うれしくて、今でも思い出すと感動しますし、元気が出てきます!
8
「雪深深」(1998年)
藤あや子
デビュー1年目に東京・明治座で藤あや子さんとご一緒させていただいたのですが、とても優しくしていただきました。デビュー前から藤さんのことはすごくカッコいいなあと憧れていましたので、袖で舞台を見せていただいて感動しました。先日、ステージで一緒に「雪深深」を歌わせていただく機会があったのですが、その時は感動で泣いてしまいました。
9
「HAPPY BIRTHDAY」(2019)
back number(バックナンバー)
ポップスは普段、ほとんど聴きません。でも、コロナ禍の自粛期間中にいろんな歌を聴くのがいいかなと思って、back numberさんやスピッツさんを聴いていました。back numberさんの「HAPPY BIRTHDAY」「雨と僕の話」といった切ない系の曲を聴くと、いいなあって思いますね。
10
「祇園小唄」※
みちのく娘! でいろんな曲に挑戦させてもらっているのですが、日本の情景を描写した祇園小唄を歌った時にすごく心地いいなあって感じました。小唄には長い歴史があり、たくさんの曲があります。これからいろんな小唄に挑戦してみたいと思っています。
※明治から昭和にかけて活躍した小説家/作曲家の長田幹彦氏が、祇園の情緒を「祇園小唄」として作詞した。昭和5年(1930年)、映画「祇園小唄絵日傘」の主題歌となり、広く知られるようになった。無声映画であるため、舞妓姿に扮した女優が映像に合わせて歌った。
(文=川原田 剛 写真=長谷川秀司)
→特集「羽山みずき」(1)キラキラと輝く
→特集「羽山みずき」(2)素顔でQ&A
2020年7月22日発売
弓道をモチーフに女ごころを歌う!
羽山みずき「弓ごころ」
2曲とも女性の恋ごころを描いた曲で、羽山みずきの世代にとっては等身大の内容となっている。「弓ごころ」は恋ごころを抱く女性が、カップリング曲の「いろは紅葉」では“あの人”との幸せを願う女性が主人公となっている。
《追加情報》7月28日に「弓ごころ」のミュージックビデオ(MV)が公開された。この中で羽山は、弓を引く姿を見せている。
profile
羽山みずき(はやま・みずき)
1991年12月7日、山形県生まれ。高校卒業後、出羽三山神社で巫女を務めていた2015年に応募した日本クラウン主催の新人オーディションでグランプリを獲得し、翌年、「紅花慕情」でデビュー。工藤あやの、津吹みゆとともに東北出身女性演歌歌手3人による歌謡ユニット「みちのく娘!」としても活動中。高校時代に始めた弓道は二段の腕前。
→特集「羽山みずき」(1)キラキラと輝く
→特集「羽山みずき」(2)素顔でQ&A