
特集「羽山みずき」(1)キラキラと輝く
羽山みずき、新曲「弓ごころ」で等身大の恋ごころを表現
羽山みずきの通算6枚目のシングル「弓ごころ」は、これまでの作品と異なり、等身大の女性の恋ごころがテーマ。羽山は「これまでの作品の中でいちばん気持ちがスッと入っていく曲になりました!」と、大きな瞳をキラキラと輝かせる。
弓道をモチーフに、女性の切ない恋ごころを描いた羽山みずきの通算6枚目のシングル「弓ごころ」。高校時代に弓道部で活動していた彼女にとっては、これまでの作品の中でいちばんすんなりと気持ちが入り、歌いやすい曲になったという。
「この歌を最初に見た時に、素直に懐かしかったです。恋の歌なのですが、高校時代に弓を引いていた頃に自分が感じていた気持ちが反映されています。私は女子高に通っていましたが、部活では他校とも交流がありました。他校には男の子もいたので、みんなであの子はカッコいいなとか。そんな淡い思い出が蘇りました(笑)」
喜多條忠氏の手がけた歌詞の中には「きりりきりきり 残身(ざんしん)の」(※)など、弓道を知る人にはよくわかるフレーズが出てくる。しかし意外にも、この曲はもともと別のスポーツがテーマだったという。
「じつは、柔道の歌詞だったんです。柔道一筋、美空ひばりさんの柔のような歌詞だったと聞いています。でも、私が柔道じゃなくて弓道をやっていたので、スタッフの方や喜多條先生が相談してくださり、弓道をモチーフにした内容に変わったそうです。喜多條先生のお気持ちが本当にうれしく、レコーディングはがんばれました」
歌詞だけでなく、メロディーも原型とは大きく異なっている。羽山は前作の「雪割り酒」から作曲家であり恩師の聖川 湧氏とともに曲づくりに関わるようになったというが、今回も聖川氏の稽古場で、実際に歌いながら、試行錯誤を繰り返して曲を仕上げていった。
「3拍子のワルツ調をメインの曲でいただくのは初めてでしたが、曲調は先生とレッスンしながらいろいろと考え、どんどん変わっていきました。『このパートはこっちのメロディーのほうが歌いやすい? あっちのほうが気持ちが入りやすい?』などと、先生からお声をかけていただき、曲調が変わっていきました。恋の歌とわかりやすいように1番と2番の歌詞の順番を入れ替えたり、『今、みずきの声を聴いていたら新しいフレーズが生まれた』と、先生が(喜多條氏に)相談してくださったり。先生との作業は勉強になりましたし、楽しかったです。かなりの時間をかけて先生と一緒に曲づくりに関わらせていただきました」
羽山は「曲づくりは弓道と似ている部分があるかもしれませんね」とも言う。
「弓道はただ的に当たればいいというのではなく、自分の心と向き合い、自分を追求するのが面白いんです。曲づくりも一緒です。追求していくのが楽しいですし、私には向いているのかもしれません」
カップリング曲の「いろは紅葉(もみじ)」も「弓ごころ」と同様に聖川氏と一緒になってつくり込んだ曲だ。それだけに思い入れがあり、「カップリングにするのはもったいないなあと思いました」と羽山は語っている。
「すごく優しくて、あったかい感じがする曲です。しかも歌いやすいですし、メロディーも心地よくて、う~ん、こっちも好きだなって(笑)。両親にも事前に聴いてもらったのですが、お母さんは『いろは紅葉』、お父さんが『弓ごころ』と、家族でも意見が分かれるほどでした。本当にどちらもいい曲なので、たくさんのお客様に聴いていただきたいと思っています」
※きりりきりきり:弓を引き込んでいくと、ギリ粉と呼ばれる滑り止めが“ギリギリ”、“キリキリ”と音を立てる。その音を表現したフレーズ。
※残身:矢が離れたあとの姿勢。矢を放ったあとも気持ちを途切れさせず、その一射を総括する。その姿に、弓を引く人の品格が現れる。
(文=川原田 剛 写真=長谷川秀司)
《追加情報》7月28日に「弓ごころ」のミュージックビデオ(MV)が公開された。この中で羽山は、弓を引く姿を見せている。
弓道の腕前は二段
高校の時に始めた弓道は二段の腕前。団体戦では、大前(5人立の先頭で弓を引き、的中が求められる大切なポジション)を務めることが多かったという。
「私の母校は女子高なのですが、部活見学に行った時に先輩が並んで矢を引いている姿を見てカッコいいなあ、私もやりたいなあと思ったんです。子どもの頃から歌とスポーツが大好きで、バスケ、卓球、ソフトテニスをやってきて、高校から弓道部に入りました。当時は髪も短くて、いろんなスポーツに取り組みましたが、弓道がいちばん好きです」(羽山)
→特集「羽山みずき」(2) 素顔でQ&Aへ
→特集「羽山みずき」(3)思い出の曲たち
2020年7月22日発売
弓道をモチーフに女ごころを歌う!
羽山みずき「弓ごころ」

「弓ごころ」
作詞/喜多條 忠 作曲/聖川 湧 編曲/伊戸のりお
c/w「いろは紅葉(もみじ)」
作詞/喜多條 忠 作曲/聖川 湧 編曲/伊戸のりお
日本クラウン CRCN-8349 ¥1,227+税
2曲とも女性の恋ごころを描いた曲で、羽山みずきの世代にとっては等身大の内容となっている。「弓ごころ」は恋ごころを抱く女性が、カップリング曲の「いろは紅葉」では“あの人”との幸せを願う女性が主人公となっている。
profile
羽山みずき(はやま・みずき)
1991年12月7日、山形県生まれ。高校卒業後、出羽三山神社で巫女を務めていた2015年に応募した日本クラウン主催の新人オーディションでグランプリを獲得し、翌年、「紅花慕情」でデビュー。工藤あやの、津吹みゆとともに東北出身女性演歌歌手3人による歌謡ユニット「みちのく娘!」としても活動中。高校時代に始めた弓道は二段の腕前。
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