ザ♂ベルカント5シンガーズが懐かしの昭和歌謡名曲で、昭和の乙女／平成のマダムを魅了

2020.09.23

今日だけはアイドル

誰もが知る名曲をきっかけに、クラシックを含め幅広い音楽に触れてほしいというのが彼らの願いだ。音楽を通じてシニア世代が元気になってくれたらうれしいという。

「童謡コーラスの活動主旨、目的のひとつは生涯学習です。やりがいづくり、生きがいづくり、健康づくりです。（シニアの方が）寝たきりゼロ、引きこもりゼロとなるように、みんなで歌ったり、コーラスに出かけたりすることで健康になってほしい」（中村）

ザ♂ベルカント5シンガーズの合唱会では、50〜70才、80才代のマダム&ヤングシルバーまでが多く詰め掛ける（中には元気な90才代の方も!!）。そして、誰もが気持ちを若返らせる。「全員での合唱で、声がそろわなかっただけで笑ったり」（秋山）、「音楽の中の面白さを感じながら」（和田）、まるで少女になって楽しんでいるという。

彼らは舞台を“コンサート”とは呼ばない。音楽を指導することを“レッスン”とも言わない。観客（＝童謡コーラスの団員）と一体になって音楽の時間を共有する。実際に合唱会では、彼らが歌声を聴かせるだけではなく、全員が一緒になって大合唱もする。

秋山「お客さんじゃないんです。出演参加者なんです」

高木「そう、主役は来てくださる方。メインステージは僕らじゃなくて、あっち側（客席側）です」

笹原「自分たちが好きな曲だけ歌っても、皆さんが歌えないじゃないですか。僕たちを応援するつもりで来てくださる方もいますが、一緒に公演をつくるのが目的です」

客席の観客（＝出演参加者）は、ペンライトを持ってザ♂ベルカント5シンガーズに声援を送る。「ペンライトを振るのは右からですよ。右手が疲れたら、左手に持ち替えてくださいって指導しながら、一緒に楽しんでもらいます」（高木）。

夏季全国ツアーを始め、秋季ロングラン公演、テレビ番組公開収録では、彼らと聴衆が一体となる。音楽大学でクラシックを学んできた彼らだが、合唱会では「明るく元気に、若くあってもらいたい」（高木）と、堅苦しい雰囲気にならないよう「ライブっぽく、自分たちで振り付けなど考えて、動きもつけて歌う」（笹原）。

高木「でも、動きはスローなんですよ」

笹原「鏡を見ながら、動きをそろえようとかやったり」

和田「特別に振り付けの講師がいるわけではないので、僕たちのできる範囲で踊っている感じです」

松本「今日だけはアイドルだと思い込んでくださいって語りかけて、アイドルっぽくしたりね」

高木「照明、音響、映像はプロ、僕たちの振りは……手作り感がいいのかも（笑）」

中村「でも、“歌と光のイリュージョン”という題名がつくスペシャルライブもあって、魅せる時は魅せます」

高木「照明がお客さんに当たると、まぶしいので、角度を調整しながらね。クレームが来ないように（笑）。とにかく、これまでライブを観たことがない、コンサートホールへ行ったこともないという方も多いので、指導員として、ライブってこんなふうに盛り上がるんですよって」

秋山「色っぽく見せることにも気を使っています。童謡コーラスの指導員、先生として接する時には教育者なので色気は必要ないんですが。でも、ザ♂ベルカント5シンガーズとして歌う時には特別感を出そうと、うなじを見せたり……。中村なんか、うなじだらけ（笑）」

ミュージカルの舞台を多く踏んでいる中村は小顔のイケメン。選抜組の中でセクシー担当と言っても良さそうで、年齢的にもいちばん若く見える。しかしプロフィールの3サイズに自虐的に“ボン・ぼん・ボン”と書いている高木が「顔の大きさで見てませんか？」と笑わせる。今や紅白歌手の歌謡コーラスグループ、純烈に例えると、高木はリーダー、酒井一圭のような存在か。