音楽への情熱と愛があふれる、松阪ゆうきの歌声

演歌・歌謡曲、民謡、J-POP、そしてオペラまで……。松阪ゆうきを語る時、一番初めに思い浮かぶ言葉は「オールマイティー」。癒し系の温和な笑顔とは裏腹に、決めたことには一意専心。とことん突き進み、そして見事に成し遂げる。その積み重ねが、年月を経るごとに歌手・松阪ゆうきをたくましく成長させてきた。

2015年のデビューから、今年歌手生活5年目の節目を迎え、10月7日にリリースする通算6枚目のシングル「遥かな人よ」では、その圧倒的な歌声をあますことなく響かせ、聴く者の心を捉えて離さない。予想だにしないコロナ禍の中で改めて気づいた、音楽や歌への情熱と愛。そして、新曲に込めた思いを聞いた。

 

歌うことができないつらさ
歌えることのありがたさ

 

――今年、松阪さんは歌手デビューから5年を迎えられますが、上半期はコロナ禍で歌謡界自体も大変な影響を受けました。

松阪 歌手としてデビューしてからのこの5年間、慌しく過ぎる毎日は幸せで、あっという間でした。もう5年も経つのか! という思いが、正直いちばん大きいです。でも、こうして歌手として歌わせていただいてきて、こんなに長くお客様の前で歌わなかったことはなかったですね。テレビやラジオの収録やインターネットでの配信ライブなどで歌わせていただいたりはしていますが、やっぱりお客様に近い距離で、目の前で歌をお届けできないということがつらいです。

――自粛中の生活はどんな感じで過ごされていましたか?

松阪 最初の頃は、普段は控えているお酒でも飲んで、家でゆっくりゴロゴロできたら最高じゃない!って思っていましたけど(笑)、だんだんと、外に出られない、“歌えない”というのに耐えられなくなりましたね。久しぶりに歌おうと声を出してみたら、筋肉を使っていなかったので筋力や声を出す技術なども衰えているかなという気はしました。なので、それからは5分でも10分でも、カラオケにも行けないのでYouTubeなどで音を聴きながら、自宅で毎日歌っていました。この半年間、これまでのことを自分なりに振りかえってみて、歌えるということがどれだけありがたいか、ということをつくづく思いましたし、お客様あっての歌い手、仕事なんだな、というのを改めて感じていました。

――5周年を飾る新曲「遥かな人よ」は、たおやかで流れるようなメロディーに松阪さんの豊かで凛々しい歌声が映える叙情歌です。作詞は、3枚目の「愛の欠片」でも提供を受けた友利歩未氏、作曲は前作「令和夢追い太鼓」と同様に、松阪さんの声の魅力を最も知っていると言っても過言ではない作曲家・浜 圭介氏による作品ですね。

松阪 これまで僕の歌は難しいと言われることが多かったので、今回は覚えやすくて歌っていただきやすい、叙情的な感じの作品を作っていただけませんか、と浜先生にお願いし、作っていただきました。僕はいつもレコーディングの時には、曲のイメージの大まかな輪郭は作って臨みますが、「こうじゃなきゃだめだ」っていうふうに決め込んではいきません。作り込んでいっちゃうと、先生方からアドバイスをいただいた時に適応できないような気がするので。レコーディングでは先生方も同席してくださって、今回は「いつものように声を前に出すんだけれど、あまり張るんじゃない」と。歌い方もソフトな感じにと、アプローチの仕方をアドバイスいただきました。

――大学時代はオペラを学ばれ、一時はプロのオペラ歌手を目指されていました。演歌・歌謡曲や民謡とも異なる独特の、力強かったり、時には寄り添うようにやさしかったりというその緩急自在の歌声は、松阪さんならではですよね。

松阪 僕のなかでは高くも低くもないキーでそんなに張らない曲なので、本当は、今回自分で歌っていてちょっと物足りないかな……(笑)、と思っていたところもあるんですが、逆に浜先生のおっしゃるとおり、それくらい力の抜けている感じのほうがこの曲の世界観に合っているというか。親しみやすさがある曲になってよかったな、と今は思っています。

――歌われる時に松阪さん自身が意識して歌われたポイントなどはありますか?

松阪 基本的には、“言葉を伝える”ということは意識して歌いました。今までもやってなかったわけではないんですけど、柔らかく歌うならメロディーに乗せた時に逆にしっかりと歌詞を伝えるということをしないといけないかなと思ったんですよね。1番の歌詞だと、「根尾に」の「ね」、「強く」の「つ」とか、言葉の頭っていうんですかね、わりとアクセントを入れて強めにメリハリをつけて歌ってます。

――先生方の反応はいかがでした?

松阪 先生方は基本的に、「いいよ、いいよ松阪くん!」っていう感じで受け入れていただきました(笑)。

――浜先生は普段はどういう方なんですか?

松阪 浜先生は、全然怖い方ではないですよ。ちなみに、浜先生のデモテープは、毎回ギターの弾き語りで歌ってくださって、とても贅沢だし味わい深いです。しかもカセットテープなんです(笑)。

 


2020年10月7日発売
松阪ゆうき「遥かな人よ」

「遥かな人よ」 
作詞/友利歩未 作曲/浜 圭介 編曲/若草 恵  
c/w「ふるさと日本、しあわせ音頭!」  
作詞/結木 瞳 作曲/宮下健治 編曲/伊戸のりお  
c/w「遥かな人よ~情熱編~」 
作詞/友利歩未 作曲/浜 圭介 編曲/若草 恵 
徳間ジャパンコミュニケーションズ TKCA-91283 ¥1,227+税

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