伊達悠太

伊達悠太が新曲「涙のララバイ」で聴かせる”悠太らしさ”~荒いっぽく、砕けて~

テイチクサムライの次男坊でもある伊達悠太。甘いマスクと優しい人柄が魅力の彼が今回発表したのは、ロック色の強い歌謡曲だ。禁断の愛に溺れた女性の、激しい心の内を表現した曲だが、サビの部分ではどこか中性的な妖艶さも感じられ、彼の新たな魅力を存分に堪能できる一曲となっている。

レコーディングは先生と僕との対決!?

新曲「涙のララバイ」は許されぬ恋に溺れた女性が主人公。恋しい相手を思いながら酒に酔い、夜明けの街をさまよい歩く女性の、苦しく切ない心の叫びを歌っている。

――今回のこの「涙のララバイ」、イントロからかっこいいですね! 最初に聴いた時はどう思われましたか?

伊達 パンチが効いてて、いいですよね。最初は作曲の杉本(眞人)先生が歌ってくださったデモを聴いたんですが、あまりにもかっこよくて・・・。すぐさまマネージャーに電話して、「すごくかっこいい曲ですね、でも、僕はあの味出せません!」って(笑)。それが最初の一言でした。でも、マネージャーからは、「悠太らしくていいんだ、大丈夫だから」と言ってもらい、何も考えずに、自分らしく歌おうと思って、レコーディングには挑みました。

――そのレコーディングはいかがでしたか?

伊達 杉本先生からは、僕の歌ではまだきれいすぎるから、もう音符なんて気にせず、砕けて歌うようにと言われました。それから、この歌の1番決めるところ”あたし女の屑だね”という部分なんですが、ここで女を出すようにと言われましたね。

――女を出すというと、どんな感じですか?

伊達 声の色を変えるっていうんでしょうか。声質から女性に寄せていく感じです。だから「あたし女の屑だね」のところまではガサガサな声で荒っぽく歌って、”あたし女の屑だね”のところは優しくて切ない感じを表現しました。

――ハスキーボイスのような、掠れた声がまた歌にマッチしていました!

伊達 もう何度も録りなおしましたからね。それであの声です(笑)。先生からは、とにかく荒っぽく歌うように指示がありましたが、その荒っぽくっていうのが、先生を越えられないんですよ。先生の荒っぽくはもっとさらに上にあって。そこまでたどり着くのに、大変でしたね。だから、それこそレコーディングはもう、まるで先生と僕との対決でした。「こう歌ってみろ!」「はい!」「そうじゃない!こうだ!」「はい!」みたいな(笑)。とても熱心にご指導いただきました。

「その先」を想像できる歌が好き

――この曲を歌うために何か参考にしたものなどはありましたか?

伊達 いつも表現の幅を広げるために、ドラマや映画などをよく見るんですが、今回は、篠原涼子さんと、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE・EXILEの岩田剛典さんが出演している「金魚妻」というドラマを参考にしました。この曲は恋愛で過ちを犯してしまう女性を描いた歌なんですが、「金魚妻」もまさに、篠原さん演じる既婚女性が、岩田さん演じる金魚屋の主人と恋に落ちてしまう物語なんです。

――確かに世界観が似てますね。今回の曲はその世界観に、伊達さんのハスキーボイスも相まって、どこか桂銀淑さんを思い出すような仕上がりになっていた気がします。

伊達 昔から桂さんの歌はとっても大好きだったんです。桂さんの曲って、どれもなんだかドラマチックですよね。だからそういった歌を僕もいつか歌いたいと思っていました。僕の今までの作品は、どちらかというとその曲の中でストーリーが完結するような曲が多かったんですが、この曲はさらにその先を想像できるような曲になっていると思います。歌を聴いた方が、「この女性はこんな気持ちなのかな」っていうように、答えを出す。そういった歌が歌いたいと思っていました。

――伊達さんからこういったイメージの曲を歌いたいというリクエストを出されていた?

伊達 そうですね。この歌をつくるにあたっては、今まで演歌が続いていたので、ちょっと歌謡曲っぽいものを歌ってみたいですとお願いしました。そこからさらに話を詰めていった時に、「すごく贅沢ではありますけど、作曲は杉本先生にお願いしたいです」とディレクターに相談させていただきました。僕の願いが叶った形になり、とてもうれしかったですね。

歌詞がすべてを物語っている

カップリング曲は「冬のいたずら」。かつて恋人同士だった男女が同窓会で再会し、再び恋に落ちる様子を描いた作品。曲調や歌詞の中に、どこかノスタルジーを感じられる一曲となっている。

――カップリングの「冬のいたずら」も、またドラマを感じる作品ですね。

伊達 僕の想像ですけど、きっとこの曲に出てくる2人は昔は恋人同士だったんでしょうね。一緒に暮らしたこともあったし、愛し合ったこともあったんだけど、久しぶりに同窓会で会うと、いざ話せなくて。そんなもどかしい気持ちのまま帰ろうとしているところに、突然男性から着信があって、2人して路地裏の深夜喫茶に向かった。そしていろいろ、話していくうちに、冬のいたずらが起こったんでしょうね。この曲もまた、いろんな想像ができますよね。

――世界観がどこか詞的ですよね。こちらは、どのような部分に注意してレコーディングされたんですか?

伊達 この曲に関しては、もうすでに歌詞が物語っているから、そこに感情を入れないこと。感情を入れてしまうことによって逆に届かなくなるから、単調に歌うようにと指示をいただきました。そこを注意して歌うようにしたら、3回目で杉本先生にOKをいただき、作詞の朝比奈先生にも、感動したと言っていただけました。ただ、「涙のララバイ」とはまるっきり声も歌い方も違いますし、切り替えが難しかったですね。

――実際歌ってみたなかで、ご自身のお気に入りのフレーズなどはありましたか?

伊達 全部いいんですけど、あえて言うなら”冬のいたずらかしら”っていう2番の歌詞はとっても好きですね。やっぱり、ここも想像できるじゃないですか。どんないたずらなのかって(笑)。ストレートに言わないところが好きです。

――そういった意味でも、やはり物語の後を想像できるような曲がお好きなんですね。

伊達 好きですね。ドラマや映画の最終回でも、「えっ? この後どうしちゃったの!?」みたいな作品が好きなんです。そんな時は自分で物語の続きを想像したり、作品によっては「なんでこんな終わり方なんだよ!」ってもどかしく思う時もあります(笑)

――この曲の制作経緯を教えていただけますか?

伊達 僕を応援してくれるファンの方は、60代後半から80代ぐらいの方が多いんですが、そういった方々にも納得していただけるような作品をということで、「冬のいたずら」は出来上がりました。例えば”映写機が回るように”という歌詞。今はあまり映写機という言葉を聞かないですが、まさにこの年代の方々がピンと来るような言葉ではないかなと思います。

――伊達さんのファンの方々にとって、馴染みやすい曲になっているんですね!

伊達 「冬のいたずら」は、「ああ、こういう時があったなあ」とか、昔を懐かしんでいただける、とっても素敵な作品になったと思います。歌っていて心地よい曲ですから、みなさんにもぜひカラオケに挑戦してみていただきたいです。

(文=鳥嶋えみり)

 

Side story【取材こぼれ話】

「新曲の衣裳は自らが調達。即決でした!」

服や靴が好きで、よくショッピングに出かけるという伊達悠太さん。衣装にもこだわっており、前作に引き続き、今作でもCDのジャケット写真で着用した衣装を、自身で選んだと教えてくれました。

「『涙のララバイ」に合うようなスーツを探しまわって、普段から私服とかでも使っているブランドでようやく見つけました。この衣装に描かれているお花は薔薇なんですが、よく見るとキラキラと濡れているんです。それがまるで涙の雫みたいで。これだ!って思って。もう即決でした」(伊達)

新曲のジャケット写真にも注目ですよ。

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2022年6月22日発売
伊達悠汰「涙のララバイ」
伊達悠太

「涙のララバイ」
作詞/朝比奈京仔 作曲/杉本眞人 編曲/猪股義周
c/w「冬のいたずら」
作詞/朝比奈京仔 作曲/杉本眞人 編曲/猪股義周
テイチクエンタテインメント TECA-22029 ¥1,350(税込)

渋いエレキギターの伴走に乗せて、唸るような歌いだしから始まる「涙のララバイ」。伊達の歌声が曲の雰囲気に見事にマッチし、彼の魅力を何倍にも引き出している。またミュージックビデオでは手を使った振りにも挑戦。「日舞をやっていたんですが、ダンスとはリズムの取り方が違う。ちょっとぎこちないですが、一所懸命やりました!」と伊達が語る振りつけにも注目だ。一方、カップリング曲の「冬のいたずら」は、ノスタルジックな空気が漂う一曲。同窓会で出会った男女の間に再び灯る、恋の始まりを予感させる作品となっている。


伊達悠太

Profile
伊達悠太(だて・ゆうた)
1987年11月30日、北海道出身。1998年、小学生のころに、地元のスーパーマーケットや、老人ホームなどで歌い始め、2004年にNHK「のど自慢」に出場。その後、スカウトされ16歳で単身上京。数々の歌手の前哨を務め、2012年、「伊達ゆうた」の名前で、千 昌夫がプロデュースした「望郷赤とんぼ」でメジャーデビューを果たす。2017年、「伊達悠太」に改名し、テイチクエンタテインメントより「聞かせてください」で再デビュー。現在は、テイチクレコード所属の男性歌手らと共に、テイチクサムライとしても活動している。最近のマイブームは筋トレ。「スクワットやベンチプレスなどをやってます。トレーナーさん曰く、僕は筋トレに向いているみたいで、今では腕がすっかり太くなっちゃいました(笑)」(伊達)

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